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2021-07

差別をなくしたい -差別を構造としてとらえ解体する- - 2021.02.17 Wed

昨今の状況を振り返って、自分の中のモヤモヤを整理するために、拙いものですが自分の頭で考えたことを自分の言葉で書きます。


【差別からの利得】
差別には実際の所、大きな利得がついてまわっています。

◆自己の位置づけ
組織や家庭内での上下構造、支配・被支配関係。こうしたものに依存している人にとってそれらの源泉となるところの差別構造は事実上捨てることのできないものになっていることでしょう。

◆対人上の利得
それら利得は、単に組織上や経済上のものだけに留まりません。
身近な対人関係においても同様になっています。
例えば、子供や女性、年下や立場の下の人に横柄な言葉をぶつける人などもそうです。

◆自己同一性のための差別
自己の同一性に差別が利用されることも大きな問題です。
「○○(性別や人種、出身地、学歴などなんらかの属性)は自分よりも下だ」と決めつけることで自身の優位性、そこからの自己同一性の規定に資することは差別に典型的な現象です。


【内在化された差別とそこからの自己防衛】
差別は内在化することで守られていきます。
例えば、「デブ、ブス、ハゲ」などルッキズム(容姿に由来する差別)による冗談で笑ってきたことのある人は、それは差別的であるという指摘に直面すると、その人自身が主体的に差別をしている人でなくとも、自己防衛のためにそれを否定したり、矮小化したくなってしまいます。

性風俗産業を利用したことのある人が、そこにおける差別構造の指摘を聴いて、「セーフティーネット」になっているといった矮小化する理屈を持ち出してくるのも、背後にはこうした自己防衛の構造のある場合も考えられるのではないでしょうか。


内在化したものは、自分の一部となってしまうので冷静に捉えることが難しくなります。
たとえば、自分の好きな作品(特にファン化するもの)に対して、なんらかの問題が指摘されたとき、その部分だけを冷静に捉えるよりも、「私が好むものを指摘された」は、それがその人の中で内在化の度を強めているほど「私が否定された」に転化されやすくなります。

これが小説や映画のようなものですと比較的客観視してとらえやすいですが、昨今のアニメなどは、商業的利益のために意図的に「ファン化」が作られているので、こうした傾向は強まっているのではと感じます。

この差別の内在化は、差別を解消していく上でのとても大きなネックになることでしょう。
このため、差別解消の最初の一手が「内なる差別」と向きあうことになります。


【差別のつらなりを見る】
差別には下部構造が上部構造を支えるという、差別がより複雑化する特徴を持っているようです。
端的なところでは、ミソジニーがレイシズムの下部構造になっていることを感じます。

笑いに落とし込まれるものやルッキズムのようなカジュアルな差別が卑近にあり、家庭や学校といった身近なところで性差による差別に幼少期から親しみ、学校や部活で、組織的な力関係、上下構造の洗礼を受け・・・・・・。

そのように様々な側面が絡み合い、差別がより強固なものになっていると考えられます。
ですので、一点を解きほぐすことで全体を緩和することにもつながるでしょうし、逆に一点だけでなく広くとらえる視野の大切さも同時にあるかと思います。


【差別の背後にある、差別からの傷つき】
差別は必ずしも差別を受けた人が、反差別的になるとは限りません。
差別を受けたことでできた傷が、自分よりも弱い立場の人に差別や攻撃として向けられることで、その傷を癒やそうとする形で出てしまうことがあるからです。
こうなってしまうと、差別の拡大再生産になります。

こうした差別からの傷つきとその再生産をカジュアルに生みやすいもののひとつが容姿に対するジャッジ、ルッキズムでしょう。

だからといって差別に寛容になれということではありません。差別は悪意のあるなしにかかわらず、意識的であれ無意識であれ、目の前に攻撃されている人のいるいないにかかわらず、差別は加害です。
加害には断固としてNOを突きつける必要があるでしょう。

ですが、同時にケアにつなげられる視点が必要だと思います。
これについては、差別の理解を「内なる差別」理解から始めることで、この差別に対するNOからケアへのつながりが見えてくるのではと考えます。

言い換えれば、「ポリコレとケア」をセットでとらえていく思考の必要性です。

現状の日本をみていると、この傷つきを持った人が他罰的な思考を形成し、モラルからの断罪を一種の癒やしに変えてしまっているようです。

そこにポリティカルコレクトネスが適切に導入、適用されていないことの一因があるように感じます。
ポリコレとケアをつなげて考えていく視点を私は模索しています。


【民主主義という反差別】
民主主義というのは、そのあり方そのものが反差別を内包しています。
私のような市井の一個の人々がそれぞれ主役であり、そこには人権や平等といった概念が不可分に存在しているからです。
ですので、本来ならば適切な民主主義の理念を公教育の範囲で学ぶだけでも、差別のない社会に向かっていくはずです。

【公教育への期待】
そして、教育は教育のあり方そのものが民主的であることを規定されています。(教育基本法)
しかしながら、教育の内容や学校教育のあり方そのものが必ずしもそれに沿ったものになっているとは言いがたいと感じます。学校はその設置自体が地方自治の一環ですので、適切な市民参加により盛り立てていく必要があるでしょう。


【私の取り組み】
最後に微力ながら私がそのためにできること、またやっていくことを表明して結びとします。

私は子育てと保育に携わっています。
その中で私が差別をなくすための取り組みと念頭に置いていることがあります。
それは、他者を支配しないこと、子供を支配しないこと、支配せずに子育て・保育することです。

上で述べたように、差別を受けた人が差別の拡大再生産をする特徴があります。その下部構造が支配を受けることです。
支配を受ける中で否定を蓄積された人、自尊心の傷つきを得た人は、他者を支配することでそれを癒やそうとすることがあります。
ここにできる心の隙間に、それを正当化してしまうものとして差別が入り込んでしまいます。

私は、子供という人の人格形成の基礎に携わる仕事にありがたくも関わっています。そこにおいて、子供を支配せず成長を援助していく、また支配せずとも子供は健全に育っていくことを同時代を生きる人たちに伝えることで微力といえども、差別のない社会への一助としたいと考えています。
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