相談コメントより 「保育園にあずけているときのフォロー」 と事例 - 2011.10.03 Mon
保育園にあずけることの家庭でのフォローというのは、けっこう多い質問なのでこちらにのせました。
こどもの成長や精神状態が、園や担任の先生や環境によって良くも悪くも変わってしまう可能性があるなと思いました。
園生活の後のフォローって何かは必要ですね?まだ入園はしていませんが、気になりまして。
となると家庭での生活が、より大切になってくるんですよね…。
保育園にあずけられているとそこがどんないい保育をしていたとしても、やはり子供にとっては家庭とは違う環境であり精神的にも肉体的にも疲れたり、がまんしていたり、がんばっていたりするわけです。
年齢が小さければ小さいほどそうですね。
例えば、親が通勤片道1時間で8時間働いてきたとすると、子供は10時間あずけられているわけです。
といことはその子は親より2時間多くがんばっているわけです。
フォローといっても特別なことをするわけでもないし、難しいことでもありません。
子供のいる家庭なら普通にすることを、きちんと向き合ってすればいいだけです。
子供が可愛いと思えている人ならば難しいことではないのですが、仕事で疲れていたり、ストレスがあったり、時間がなかったりすると、そういう人でもなおざりになってしまうことがあります。
笑顔で言葉をかけたり、会話をしたり、子供が向き合ってもらっているというのを実感できるような関わり、例えば楽しく一緒にお風呂にはいったり、ご飯を暖かい雰囲気の中で食べたり、一対一で絵本を読んでもらったりというようなことをしてあげればいいわけです。
家庭での遊び・生活のなかでも、否定・支配の関わりをするよりも肯定の関わりを意識することで、子供が保育園にあずけられているなかでの寂しい気持ちや疎外感を大きくすることなく、逆に安心感を与えていけるでしょう。
「こんなにちらかして~きれいに片しなさいっ。片付けないとご飯たべられないでしょ!」などと言われるよりも、「たくさん出したね~手伝ってあげるから片付けようか」「そろそろ片付けましょう。自分でできそうもなかったら手伝ってっていってね」と言われる方が子供は自己否定されず前向きになれるわけです。
「歯みがきしたの?はやく磨いちゃいなさい」「はやく、はやく」などと命令的なことを言われるのも、ようやくくつろげるはずの家庭に帰ってきた子供にとっては、あまり心地いいことではないですね。
また、普段十分に関われないからと、休みの日にはがんばってたくさんお出かけしたりという人もいますが、子供の年齢が小さいうちは特に、普段と違う環境にいくことは精神的・肉体的に負担になってしまう子も少なくないので、家に帰ったあとや休みの日にはのんびりと過ごしてあげることも時には大切です。
ですが、休日に遊んだり出かけたりというのも普通に考えられる範囲ではそれほどの負担にはならないものですが、最近では子供のためにというよりも、大人の都合や大人の満足のために子供を連れ回すという人も少なくなくなっています。
父親が帰りが遅く普段関われないからと、一度寝ている子を夜中に起こして遊びの相手をするなんていう話もときどき聞きますが、こういうことは子供の生活リズムや健康のためにいいことではないので、行き過ぎではないかと思います。
親が友だちと飲みたいからと、しょっちゅう居酒屋に連れて行かれてそこではほとんど放置されていたりという子もいます。
また外出するにしても、子供を楽しませるためにではなく、親の趣味に付き合わせるために毎週休みごとに連れ回すといった人も増えています。
こういう状況になると、子供は休みにもさらに肉体的に疲れて、精神的にも親に十分受け止めてもらっていないため(親は自分の趣味のために行っているので、子供はあまり省みていない)情緒の安定を欠いているということがあります。
でもまだ一緒に連れていってもらえるだけましなのかもしれません。
休日でも祖母にあずけたりして頻繁に遊びに行ってしまうという人もいます。
そうしますと、平日に保育園でがんばってがまんしているものを、その子にとって一番受け止めてもらいたい人がいなくなってしまうので、精神的なフォローがなされないままになってしまいます。
そういった子供たちは、休み明けの日から荒れています。
なにかにつけて泣いてキーキーしたり、疲れていたり精神的に満足していないのでゴネたり、他児にあたったり、意地悪をしたりという行為がみられることも珍しくありません。
そういう場合ですと、保育園で子供の気持ちを受け止め、落ち着いて慣れた安定した環境で十分にのんびりと過ごさせていく必要があります。
このことが何を意味しているかわかるでしょうか。
本来の家庭の役割と保育園での過ごし方が逆転しているのです。
0歳、1~2歳児ですでにこういう子がいます。
子供にもよりますが、キーキーしたり意地悪で気持ちを満たそうとする子を、月火水曜日と週の前半しっかり受け止めていくと木曜日くらいから落ち着いてそういうネガティブな行動も少なくなって過ごしていけます。
しかし、週末の休みでまた同じような状況になると月曜日からまたその繰り返しです。
意地悪な行動などもたまたまそういう状況があったというならば、一過性のものかもしれませんが、それが慢性的に続いていきますと、性格がそういうふうになっていってしまうこともあります。
保育士として子供を育てていてこれはつらいです。
保育士がどれだけ頑張ったとしても、子供が求めているのは自分の親に受け止めてもらうことなので、それだけで満足できる子というのはほとんどいません。
こういう状況におちいっている子が成長するにつれてどうなっていくか様々なケースを見てよく分かっていますから、極力受け止め、親にも受け止めていくことを勧めます。
しかし最近の親は、それなりの年齢の人でもわりと自分の余暇を削ってでも子供のためにと考える人は少なくなっているようで、あまり真剣に考えてくれない人もいます。
そういえば以前こういうことを保育士に言う母親がいました。
保育士 「お母さんお子さんの夏休みはありますか?」と8月頃きいたときのこと。
母親 「夏休みは会社がわたしのためにくれているんです。子供はいつもどおり保育園に連れてきます」
今の保育園は親への援助というのも視点に入れていますから、1日くらい「休みだけど夕方まで預かってもらえますか?」と言われればイヤとは言いません。
別にそれはいいんです。
でも、親には会社が休みをくれるのなら、子供には誰が休みをあげるのだろう?
子供に親の目が向いていない寂しさを感じます。
当然ながらその子は普段から荒れています。
夏休みのことだけでなく、普段も「親のしたいことが優先、子供はお荷物」といった状況でしたから。
どれだけ保育士がその子の気持ちを受け止めたり、信頼感・自己肯定感を形成しようとしたところで十分なところまで到達することはありません。
そのままいけば将来的にさらに問題が増えていくであろうことはまず確実です。
親がいま目先の楽なり自分の都合なりエゴなりを優先させてしまうと、あとでその付けが回ってくるのは確実なので、その子のためにも親自身のためにもなんとか年齢の低いうち・問題の小さいうちに解決させたいのだけど、親がその気になってくれないことには根本的な解決は難しいです。
最近では親にそういった働きかけをしたとしても、自分のやりたいことに口出しをしてくれるなとばかり、反発されたりスルーされてしまうこともしばしばです・・・。
保育園にあずけることのフォローからちょっとそれてしまいましたが、フォローと家庭で受け止めることの大切さの事例でした。
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● COMMENT ●
No title
こんにちは
いつもためになるお話ありがとうございます
毎日ブログにお邪魔して、勉強させていただいています
感謝しております
今日のお話の中に出て来た「大人の都合」について考えてしまっています。
うちの娘(一才半)は、最近ベビーカーに乗るのをいやがります。
予定があるとき、また外は人通りや車も多いので、泣いてのけぞっても乗せてしまうことがほとんどなのですが、それって、やっぱり親の都合、私の都合なんだろうなぁ、と。
自分の予定に間に合うため、そして、歩くと時間がかかるし、あちこち行ってしまう、行ってほしくないところへも行こうとする・・・こんな風になるのがいやで、ベビーカーがラクだ、と思ってしまいます。
結局、私の都合です。
ほかにおむつ交換もいやがるので、こんな状況ではどんな風にしたらいいのだろう、と毎日のように考えています。
お忙しいところ申し訳ないのですが、なにか助言をいただけたらうれしいです。
お風呂もいやがっていたのですが、おとうちゃんさんのブログの記事にあったように、歌を歌い、夫と二人でお風呂を愉しいものと言うふうにしたところ、最近では自分から向かうようになり、そして、今度は出たがらずに泣く、と言ううれしい悲鳴を上げています 笑
普段は受け入れるように、言い聞かせるように、と心がけています
どうぞよろしくお願いします^^
みっきぃさん
また親受けねらいでなくとも、一斉保育が中心のところではいまだに発表会などに熱心なところもあります。
その一方で、普段からの個々の育ちを大切にしようと、発表会などの行事に重きを置くよりも、日々の生活・遊びを大切にしようと考えている園もあります。
どれがよくてどれが悪いとは一概には言えないことですが、そういった傾向があるのだと知っていれば選ぶ際にはいいかもしれませんね。
まりままさん
保育園とは第一も第二も子供のための施設なので、「子供の育ち」(あくまで子供の好みや希望ではなくて)を無視して大人中心にすることはいいことではありません。
しかし、家庭では大人もその一員なのですから、なんでもかんでも子供中心というわけにいかないこともあるでしょう。
また必要があってのことならば、子供の意思を制限してしまうことも当然あることです。
子供が病気にかかっているときに、その子が病院を嫌がるからと医者にいかないというわけにはいかないですよね。
それと同じように、何事も子供の希望優先というのは違います。
ベビーカーやオムツ替えなど苦手に思う子はしばしばいます。
それはそれでその子の性格だったり、傾向だったりするわけですからあまり気にしすぎてもしようのないことです。そういうのってその時だけの傾向ってこともありますので、「ああ、いまはこういう姿なんだな~」と考えてもいいかと思いますよ。
子供がベビーカーを嫌がるからと、2歳児だけど15キロもある子を親が毎日無理してだっこしてきている親子がいましたが、いいなりになっているだけでは子供はけっしていい育ちを送れません。
ときには「苦手なのはわかるけど、今はちょっと我慢しててね」と伝えていくのも必要なのかと思います。
No title
お忙しいところ、丁寧なお返事をいただき、ありがとうございます
保育園と家庭では違うこと、理解しました
ベビーカーについては、健診に行く必要があったので、前日から話をして、当日もベビーカーに乗ってほしい理由を話して、待ちました。
2度ほど「いやいや」と言って去って行きましたが、自分の意志で戻って来て、自分で乗ってくれました。
私の気持ちの持ち方、ちょっとしたゆとり、みたいなもの、も大きく影響しているように思いました。
これからも娘の気持ちも尊重しつつ、言いなりではなくて,言い聞かせたり、協力を求めたり、やってみます
これからもブログを愉しみにしています
ありがとうございます!
園選びの際は 見学などしてみたりしながら検討してみようと思います。
親子の触れ合いの安定した基盤をしっかり作っていければ もしかしたら、どんな環境でも、こどもは乗り越えようとする力を発揮してくれるのかもしれないのかなとも おとーちゃんのいろいろな記事を読みながら思えてもきました。
これからも、また勉強させて下さい。
こんにちは!
今日で息子は2歳9カ月になりました。
自分でできることも増えてきて、以下のようなことは出来るだけ自分でやってもらっています。
○食事:自分の食器を持っていく。食べたら片づける。
○トイレ:おしっこしたら流す。手を洗う。
○お風呂の後:パジャマに着替え。
などなど。
「~しなさい!」という言い方はしないよう、
自分でなかなかしない(食後、エプロンをつけたまま遊び始めちゃう時など)は
「お皿を片づけてくださいねぇ~」
と声をかけるのですが、
それでもなかなかしてくれない時、結構あります。
(もちろん、すぐにしてくれる時もあって、その時は必ず「ありがとう!」と言うようにしています。)
何度も声かけしていると、自分も疲れてきてしまうし
そういう時ってどうすれば良いのかなぁ?と毎日感じています。
無理やりさせるのも違うと思うし、
親が代わりにやるのは、「あ、親がやってくれるんだ」って思ってしまうのかな、と思ったり。
歯磨きは旦那さんがやってくれるのですが
何度も「歯磨きしよう~」と言い続けて、それでもずっと遊び続けているので、
結局押さえて歯磨きするハメになることもあります。
子供は大泣きで、私も悲しくなってしまいます。
子供もよく笑って甘えてくれるし、家族3人仲良しだと思っているのですが
いまいち気持ちが伝わらない、話を聞いてくれない、という事が多々あるようにも思います。
何かアドバイスありましたら、お聞かせいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
はるかーさんさん
言葉で説明すると難しいのだけど、子供に「させる・させない」「する・しない」ということにこだわりすぎるのではなくて、生活の「流れ」を身につけることを主にして、そこでのひとつひとつの「できるできない」というのはあとからついてくると考えます。
生活のすべてのことを「できる」で考えて子供にそれをさせていくと、子供はどこかでそれは窮屈になって反発をだしていくようです。
流れの中でなんとなくやるのが当たり前という風にしておくと、無理なく身についていけることが多いようです。
ではそのためにはどうすれば、というのが問題なのですが、例えば歯磨きなんかは子供にやらせるまえに大人が磨きます。
子供にやらせるために大人が見せるというのではなくて、歯磨きの流れをつくってしまうというわけです。
そういうものなんだとだんだんと身につけていけばよいわけです。
また、僕は歯磨きはスキンシップやコミュニケーションの時間だと思ってやっています。
歯を磨くついでに「かわいいかわいい」したり鼻の頭くすぐったり。
小さいうちからそんな感じだったから自然と歯磨きの時間がすんなりと身についていたようです。
とはいえ、歯磨きの感触自体が苦手な子というのもいますから、どっちにしても苦手な子というのもいると思います。
健康上必要なことなのですから、子供が嫌がっていても大人がやってしまうというメリハリも大切でもあるでしょう。
「いまは歯磨きの時間です」ときっぱりけじめをつけるのも、また大事なことですからね。
>「お皿を片づけてくださいねぇ~」と声をかけるのですが、それでもなかなかしてくれない時、結構あります。
子供がすべきことと決めて必ずやらせる習慣づけをしていくというのならばそれはそれでもいいですし、「あー、そうなんだじゃあ今日は私がやっちゃいますよ」とそんな日があってもいいかと思いますよ。
ありがとうございます!
柔軟なご対応、参考になりました。
そうですね。
子供がしない日は、親がしたっていいんですよね。
そんな姿も、子供はしっかり見ているんですよね。
「流れを作る」というのも、そうか~!と思いました。
小さな悩みにも、丁寧に答えていただいて感謝しています。
楽しく、やってみます^-^
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こどもの根っこの部分は温かい家族や家庭で、そこがこどもの成長には欠かせないのですね。外で辛い事があっても、帰ってきたら、安心して体を休めて、自分を受けとめてくれる家族がいたら心がじわっ~と和らぐというか。大人だってそういう家がいいです。
こどもが、園で過ごす時間が、それなりの影響力があるなら良い環境で質のある保育がある所でと思ってしまう気持ちになりまして。いろいろな特色ある園が出てきているので、今から園選びに悩むこともあります。園側も先生もその結果をこどもに出すためにと発表会などで見映えよくしなくてはともしかしたら厳しい指導になってしまうのでは…?
こどもの本当の育ちを重んじてくださる園ってどういう保育をしているのかな…と考えちゃいます。