楽しい子育てのために! その2 「ごまかし」 - 2009.12.12 Sat
仕事の上でに限らず、公園や病院、お店などいろいろなところで、親子のやりとりを目にします。
そこでとても多いのが、「おどし」と「ごまかし」なのです。
おどしは「そんなことをすると先生に怒られるよ」「おばけがくるよ」「おまわりさんがくるよ」「おにがくる」
「となりのおじさんにおこられる」「お父さんにいいつける」などなどなど。けっこう当たり前に使っていますよね。
ごまかしはおばあちゃんとか年配の人がよくやるけど、若い人もけっこうしますね。してもらいたくないことを避けるために物で釣ったりとかね。
1歳くらいの子のいるいとこのうちでテレビ・ビデオデッキの前に人工芝が敷いてあったのです。なんでなのか聞いてみると、いじられると困るから人工芝にのると熱くて火傷しちゃうってことにしてあるとのことだったんです。そのときは他の子育ての悩みでいっぱいだったので、そのことについてはあまり触れなかったのですが、いまからごまかしていくと後々大変になるかもな~と思ってました。まあ、そんなのはほんの1例ですが、「ごまかし」は「おどし」以上にいろいろつかわれてますよね。
以前にも書いたように日本の子育ては「しつけ&教育」と考えている傾向が強いので、大人が望ましくないことをさせないという観点からこういう「おどし」「ごまかし」が増えてしまったのかもしれません。頭ごなしに叱りつけるよりはいいような気もしますが、場合によっては返って悪いかもしれません。
なぜ多くの人がこどもに対して「おどし」や「ごまかし」を使うかというと、その理由はこれです。
「まだ小さいからちゃんと話したとしても理解できないだろう」こう考えているからに他なりません。
しかし本当にこの通りでしょうか・・・?
その答えは、「この通りでもあり、この通りでない」なのです。
ん、なんのこっちゃ??と思われるでしょう。それは、
「まだ小さいからちゃんと話したとしても理解できないだろう」
↑こう考えて接している親の子は、その通りに話したとしても理解できない子になります。
「小さくたってちゃんと理解できるはず」
↑こう考えて接している親の子は、ちゃんと話をして理解できる子になります。なんでもすぐにとはいかないはないかもしれないけどね。
このまえ病院の待合室で走り回って大騒ぎしている2歳くらいの子がいました。そのおばあちゃんらしき人が母親に「まだ小さいから言ってもわからないわよね~」みたく話しているのを聞いて、「あ~残念なことにあなたのうちの子はそうなっちゃいますね~」と僕は心の中で思ってました。「そしてそのツケが10年か15年後くらいにくるだろうな・・」とも。
こういうのを僕は「こどもを馬鹿にして育てている」「たかをくくって育てている」と思います。
産まれたばかりの赤ちゃんであれ、自閉症の子であってもほぼ100%大人の気持ちは理解できると考えています。ただ、それを実行したり表現したりできるかは別の問題というだけ。
そしてそれは普段からきちんと関わってさえいれば事実です。以前お話した『心の言葉』ってやつですね。
(過去ログの「叱らなくていい子育て その1 その2」です)
こどもをほんとに信じてあげられるなら「そんなことをしたら隣のおじさんに怒られるよ」と言う前になんで「そんなことしたらママはとってもいやだ。困る!」と言わないのでしょう。
「おどし」や「ごまかし」は1歳や2歳の子ならばそのまま通用することもあるでしょう。(しかしおそらくそんな小さい子でも「なんかへんだな?」とは感じているはず)
でも、結局のところ「おどし」も「ごまかし」もすべては『うそ』に他なりません。
いずれこどもでも、親や大人がしばしば自分をだましている、うそをつかれてる という認識を持ちます。
頭のいい子ほど早い時期にそれがはっきりとわかるようになります。1歳半くらいでもう見抜かれます。
そうするとその子はどうなるかというと、「親や大人は信頼に足らない」「やりたいことはごまかされてやめさせられる」と思っているので、大人の言うことは聞かなくなります。また、普段から自分の意をごまかされて曲げられているので、その鬱積した気持ちから別のところでゴネたりして「ごまかされの仇」をとるようになります。
「成長期」(いわゆる昔の第一次反抗期)の時期ともあいまってより大変な反抗を示すようになります。
ごまかしたり、おどしたりする必要はこれっぽっちもないのですよ。
ごまかしたり、おどしたりしてその場をそれで済ませるのは、問題をもっと大きくして先に持ち越しているだけです。
くどくどした小言や物の道理の理屈の細かい部分は理解できないかもしれないけど、本当に「心から困る」と思って伝えれば必ず理解しています。ごまかすのではなく「いいものはいい、出来ないことは出来ない」と伝えるほうが結局はもっともその子のためになるでしょう。(前も言ったけど普段からなんでもかんでもダメだししてたらダメよ~)
やっぱりね、こどもを無理やり従わせるのではなく『信じて待つ』のがもっとも近道だと思います。
上のビデオの人工芝の例でいうなら、人工芝なんか置くのではなく「ビデオデッキいじったら壊れちゃうから触らないで欲しい」「おもちゃにされたら困る」「手を入れたら危ないから気をつけて」とか、1歳の子であってもちゃんとその時に話して、またいじったときも「それは困る」と言葉と顔と目で本当に困るという気持ちを伝える。すぐできなかったとしても信じて待つことで必ずできるようになります。
そして大人は常に本当のことを言っているというそのことは、ビデオデッキだけでなくほかの事でも危ないことや困ることを伝えたときに、すんなりと受け入れられる下地になります。
だからね、ごまかすよりも最初だけ少し大変かもしれないけど後になればなるほど楽になっていくのですよ。
そして大人を疑っているのではなく、ちゃんと信頼できている子はかわいいよ、とってもかわいいよ~。
といったところで今日もおしまい。
そして、「その3」はあるのだろうかという疑問を自分にも残したまま、おやすみなさ~い。
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● COMMENT ●
No title
さっちんさん
子育てって人生のなかで必要になってくることなんだけど、普通の人はどこでも教わる機会なんてないんですよね。みんながみんなたとえ我が子であってもうまく関われるとは限らないし・・
だからそういった裏技みたいなの使いたくなっちゃう気持ちはわからなくはないんだけどね~
ほんとは楽しいものなんだけど、子育てって人によっては難しいんだよね~
待つ…
最近 夕食の準備をしている時に ガスレンジにさわりたがるので ついついオンブしてしまっています(^_^;) そうすると 暇になるからか 眠ってしまいます・・・。お話したり 歌をうたったりしてるのですが・・・。よくないですよね・・・。
今日は 危ないことをしそうになったら 「ダメ!」ではなく、ちゃんと伝えてみようと思います!
ジャッキーとチャッキーさん
それはごまかしているわけではないですからね。
(おんぶの弊害に関して言えば、ある程度行動できる年齢になってもずーっとおんぶしっぱなしというのは成長を阻んでしまうことがありますが、必要に応じてならば問題ないですよ)
それにそういうときに歌をうたってあげたり、話しかけてあげるのはとてもいいことです。
でも、それとは別に小さくても危ないことは危ないよって伝えるのは大切ですね。
理解させようと一生懸命教え込むことはないんです。ふつうの口調で話してあげればいいと思います。
No title
いつも本当に勉強にさせて頂いています。
こちらのサイトに出会えて、子育てがずっとずっと楽しくなり
本当に感謝しています。
さて、本当にお忙しい中恐縮なのですが、過去ログに質問させてください。
現在今月で1歳になる息子がいます。
最近はどんどん高いところに登るようになり、できるだけ先回りしていい関わりをしているつもりですが、それでも「触らないで(PC周辺機器など)、怪我するからやめて」という声がけが多くなってしまっています。
正直高いところに登れるようになって登りたい気持ちもわかるので、自分でもどこまでをセーフとするべきなのかすらあやふやになってきています。
また、ガスレンジやビデオデッキがある引き出しなど、「ダメ、危ない」を頻繁に使い、言葉の価値がなくなるよりはと思い(もうすでになくなっているかもしれません)、キッチンそのものに入ることができないようにブロックしてしまったり、引き戸ロックをしてしまっているのですが、それでは将来的に弊害が出てしまうのでしょうか。
「やめて」ということに関しては既に効き目がないかもしれません。。。
「わかっちゃいるけどやめられない」という状態でこちらを確認しながらあえて触ってほしくないものに触ったりしている状況です。。。例えば無線LANのようなものであったりとか、、、
まとまりのない文章で大変申し訳ございません。
本当にお忙しい中恐縮ですが、お時間のあるときで結構ですので返信頂けましたら幸いです。
何卒よろしくお願い致します。
ぺろさん
もし、危険でさせたくないことならば、うんざりして注意するのではなくしっかりと心を込めて「そこは乗らない」などと目を見て伝えていきます。
して欲しくないことならば、「それは困る!」「お母さんは嫌です!」
と一人称で気持ちを伝える言葉を使うようにしていくといいでしょう。
「ダメ」といことばはそういったことに置き換えられます。
「ダメ」で子供を動かそうとすると、否定の積み重ねになってしまうので、子供の聞こうとする力を奪ってしまうのは過去記事に書いたとおりです。
また、「○○をしないようにする」という規制の部分ばかりに注目せず、なぜその行動をしてしまうのか?という視点を持つことで、否定や指示をせずともその行動を改善する助けになることもあります。
例えば、子供が机に登ってしまうというのであれば、なぜ机に登ってしまうのだろう?という疑問をもつことができます。
それは、ほかに遊ぶものがないからかもしれないし、刺激になれてしまっていることから高いところに登ったり飛び降りたりで刺激にしているのかもしれないし、だれかがしているから真似をしているのかもしれない、などなんらかの答えが見いだせるかもしれません。
そうしたら、その問題を解決してしまえばいいのです。それならダメだしや否定の積み重ねをせずともいいわけです。
遊び込める遊びがなくてそうしているのであれば、なにかその子にあうような遊具を用意したり、遊びが身につくように大人がしばらく遊びの相手をすることで、遊べる子供にしたりと対応策をとればいいのです。
それでいきなりその机に登るという行動が全くなくなるということはないかもしれませんが、ちょっとずつでもいい方に向かえるかもしれないし、今後の成長の助けになることでしょう。
また、小言が多くなってしまうくらいなら、
>キッチンそのものに入ることができないようにブロックしてしまったり、引き戸ロックをしてしまっているの
こういうこともありです。
状況に応じて適宜使い分けていけばいいでしょう。
これは推測ですが、お子さんはそうやって大人から見てしては困ることをして、大人がそれを止めたり下ろしたりしてくることを、「楽しい関わり」としてしまっている可能性もあります。
しばしば子供はこういう風になるのですが、このままでは大人から見て気になる行動というのは一向に減りません。
なので、先程も出ましたが「先回りした楽しい関わり」をすることで、そうした大人と楽しく関わりたいという欲求をこちらから率先して満たしてしまうことがとても有効になります。
それにはスキンシップをともなう遊びが最適です。
楽しくくすぐり遊びをするだけでも効果があります。
子供が気になる行動を出して、大人が注意をしなくてはならない状況になる前に、たっぷりとそれをしてあげましょう。
そちらのほうが楽しいということが実感できれば、困らせることで関わることが減っていけるはずです。
そうして子供との関わりをいい循環にすることで、子育てを楽で楽しいものと変えることもできます。
ぜひやってみてください。
ありがとうございます
ありがとうございます。
おとーちゃんさんの『大人から見てしては困ることをして、
大人がそれを止めたり下ろしたりしてくることを、「楽しい
関わり」としてしまっている』という推測、おそらく当たって
いると思います。。。
キャーと満面の笑みになってしまうので・・・(汗)
元々ひょうきんで愉快なことが大好きな少年なのですが、
私も続くとうんざりしながら注意をして、彼から離れてクールダウン
したいような気持ちになってしまい、益々悪循環になっていた
ように思います。
なぜその行為をしたいのか、ということに目を向けるというのも
非常に参考になりました。
思えば大体私が家事で忙しくしていたり、夫に面倒を任せていて
夫がテレビを見て大して相手をしていないときに多いような気が
します。
きっと「もっと構って、遊んで、退屈なんだよー」のサインなの
でしょうね。
家事をすべて投げ打つことはできませんが、今日はおとーちゃん
さんに言われたことを意識していましたら、ほとんどそういった
行為が見られなかったので効果的面でした。
最近、せっかくこちらのブログに出会って読みこんでいたはずなのに
思うように離乳食も進まなくなっていたところだったので、
「それでもやっぱり男の子って大変だ」と思い、うんざりしそうでした。
思い切って相談できてほんっとうによかったです。
本当にありがとうございました。
これからも応援しています。
乱文長々と失礼しました。
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確か育児雑誌か何かに載っていたと聞いたような気がします。
痛いから近づかなくなるとか・・・。
おどしやごまかし・・・
今の所はおどしやごまかしをするような場面ってあまりないのですが、気をつけないとうっかりしてしまいそうです。
自分の気持ちをきちんと伝えればいいだけのことなんですね。
「信じて待つ」ことはなかなか大変だけど、大切なことですね。
努力しようと思います。
いつもいつもとってもわかりやすくて勉強になります♪