自然なモチベーション - 2012.03.25 Sun
算数でいえば、「答えをおしえちゃう」よりも「答えを出せるやり方を教える」ほうがいいし、もっといえば「その問題を解きたい」という気持ちだけ持たせてあげて、あとは自力で解けるのがさらにいいのではないかというようなことでしょうか。
と言うことを書いていました。
その時はたんなる比喩だったのですけど、よく考えたらまったくこのままのことがありました。
今度小学校に上がる息子のことです。
過去記事にも書きましたが、僕は子供に字を読ませることを極力避けます。
小さい子が絵本などを自分で読むようになってしまうと、お話を耳から聴いて無限に育まれるところの想像力がどうしてもおろそかになってしまうからです。
イメージをふくらませるどころか、小さい子供が自分で字を追って読んだとき、字を追うことにいっぱいでその内容すら頭にきちんと入っていないこともほとんどです。
物語をたのしむこと、イメージすることよりも、字を見ること読むことに気持ちがいってしまいがちになるからです。
そして、字を読めること自体それはそれで楽しいものなので、一度字を読むことを覚えさせてしまうと、それは後戻りできません
子供時代の想像力、何ものにもとらわれない自由な発想、空想の中に自分を置いて楽しむこと、こういったものは子供にだけ許される特権みたいなものです。
大人でも子供と同じような想像力、空想力、発想を持っている人は、ほんとに一部のクリエイティブな才能に恵まれた人か、子供時代によほどその力を伸ばした人だけではないでしょうか。
なので、子供には字の獲得以前の力をしっかり伸ばして欲しいと思うし、またその日ができるだけ長くあってくれればいいと思います。
とはいえ、学齢期にはある程度読めることが期待されてしまうのですが、その年齢になってしまえば字を覚えることなどは、たいした苦労もせずにできてしまいます。
それまで、絵本をたくさん読んだり物語に触れてきていれば大人が教えるまでもなく、その時期の子供は字に対する興味関心が高まってくるでしょう。
大人はそこからその姿を認めてあげれば、それは大人が押し付けた「作られたモチベーション」としてではなく、「自然なモチベーション」として子供の能力を素直にまっすぐ伸ばしていくのではないでしょうか。
息子には字を教えるどころか、これまではできるだけ字を読ませるようなことは避けてきたのだけれども、先月小学校の入学説明会で名前を書かされてから(そのときは見よう見まねで書いてきたみたい)、読んだり書いたりし始めて今はもうアーノルド・ローベルの本がすらすら読めるようになりました。
字だけではなくいろんな場面でそうなんだけど、子供の力はしっかりと溜めさせておくと素直なかたちである瞬間に開花するようです。
● COMMENT ●
何だか安心
参考になります
文字への興味…出てくる子は3・4歳くらいからでてきますよね。文字を読みたがるこには教えていっても良いのかなと思う反面(お母様方もそろそろ…と思っていたり、基本的な生活習慣が身についていないのに文字に興味がでてきていてさらに覚えている場合、我が子はすごいと思っている方もいるようです。)
絵本をただ羅列した文字を読む物になってしまっている子を見るとこれは良い事なのかな??と疑問に思う事もありました。
素晴らしい絵本の世界。一番世界に入り込めるのはこどものうち。せっかくならどっぷりつかって欲しいな~と思うところです。
今年は幼児クラスになったのでそのあたりをどう伝えようか考えていたところだったのでとても参考になりました。イメージする力を育てたいなぁーとおもっているので…(^ ^)
理想と現実
3歳10ヶ月の娘と1歳11ヶ月の息子がいるすずと申します。
いつも拝見させていただいて、子どもへの寄り添いかたなどいろいろと参考にさせていただいています。
わたしも、文字を教えるつもりはありませんでした。
でも、本人が名前に興味を持ち、自分の名前や家族の名前、お友達の名前を書いてと、らくがきちょうを持ってきます。
また、近所に住む義両親(子どもたちの祖父母)が子どもたちとの関わりの中でひらがなを教えようとしているので、娘の字への興味関心が増しています。
こういった場合、わたしが意地を張って文字を教えないのは間違っているように思えるのですが、おとーちゃんさんはどうおもわれますか?
ちなみに毎日、ひとりに二冊は絵本を読んでいるのですが、表紙のタイトルを読もうとすることはあっても、本文の文字を追うことはしていません。
3歳7ヶ月の娘がおります。
娘は字の読み書きが好きで、教えてもいないのにいつの間にかカタカナも読み書きできるようになってしまいました。
絵本を読む時は、やはり字を追うことも増えてきており、とても気になっていたところでした。
ですから、紙芝居をよく読むようにしていますが、娘もお人形相手に紙芝居を読んでいることがあります。
こうなってしまった場合の対策があれば教えていただきたいと思っております。
よろしくお願いします。
うさこさん
僕もその世代であるけれど、勉強とかが子供を測る一番大きなものさしになっている世代なんじゃないかな。
>今年は幼児クラスになったのでそのあたりをどう伝えようか考えていたところだったのでとても参考になりました。イメージする力を育てたいなぁーとおもっているので…(^ ^)
↑劇ごっことか面白いよ。
別になんの舞台装置もいらないからイメージだけでやらせるの、例えば3歳児くらいだと公園とかに行ったとき、そこに藁の家があるとイメージさせて、狼役の大人が「フゥっーーー」って吹き飛ばして追いかけるとかね。
室内とかだったら、ちょっとした小道具だけ用意して、例えば「大きなかぶ」だったら袋かなんかをかぶに見立ててとか、発表でやるような劇じゃなくて、イメージを育んで遊ぶための「ごっこ」としてアバウトでいいから気楽にやるところがポイントかな。
ハーフの場合・・・・
いつも参考にさせていただいております。
今回のテーマは今一番頭を悩ませている議題でしたので初コメントします。
3歳8か月の娘がおります。
タイトルの通り、娘はイタリア人と日本人のハーフです。本人はその様なこと、全くわれ関せず(笑)。イタリア人とはイタリア語、日本人とは日本語と本当に自然に使い分けております。こどもの能力ってすごいな~と感心してしまいます。現在イタリア在住ですので、母以外とはほぼイタリア語(現地幼稚園にもかよっております)ですが、日本語はまったく問題ありません。
保育士おとーちゃんのおっしゃる通り、時期が来ればあっという間に文字を覚える、ということも理解できます。(おむつはずれ、本人の意思で始めたら4日で完了!だったので、時期が~というのは経験上そうだと思います)しかし、小学校に上がったら否応なしにイタリア語の学習がはじまります。娘の場合は6歳1か月で小学校入学です。親としては、その前に日本語の読み書きを完成してほしいのです。
海外在住ですが、幸い我が家にはたくさんの絵本があるので読み聞かせには不自由しませんし、娘も絵本の表紙や背表紙の色?絵を記憶していて、読んでほしい本を自分で選べます(文字がよめなくても苦労していない)。しまじろうを受講しているので、そちらから興味がわくかもしれませんが、暫くは「教える」ということをせず様子を見ていこうと思います。もし、お近くに外国人やハーフのお子さんがいらしたら、2言語を学ぶというテーマを記事にして頂けると嬉しいです。
子育て、楽しいですよね。母がいじわるして「ママに絵本よんでよ~」と娘に言うと「○○絵本読めない」と言いながらも想像(記憶)で一生懸命読んでくれる姿に娘の成長を感じます。ママと結婚したいという娘、いつまでママっこでいてくれるんだろう。。。。
すずさん
女の子は比較的、字に興味をもったりするのが早い感じがありますから、もう無理に避けなくたって大丈夫ですよ。
すずさん自身が、字を読むことにばっかり価値を見出しているわけではないのだから、それは作られたモチベーションになってしまうこともないですし、お子さんから聞いてきたことを教えてあげるくらいなんの心配もないと思います。
イメージをする力を大切にしてあげたいと思うのならば、子供自身が字に興味をもってしまったあとでも、「今はお母さんが読んであげるから、あなたは聞いていてね」と伝えて絵本など読んであげればいいのですから。
ようようさん
比較的女の子のほうが、文字に興味を持つのは早いようです。
ようようさんの場合は、大人がそれにモチベーションを作ってやらせているのではなく、自分から興味をもってきているのだから、何も心配ないと思いますよ。
イメージを持つことを大切にしたいと思うのであれば、絵本を読むときなど、「いまはお母さんが読むから、あなたは聞いていてね」などと伝えて、字が読める段階になったとしても聞いて楽しむことを習慣にしてあげればいいかと思います。
Ritaママさん
イタリアにお住まいなんですか。海外での子育ては文化習慣なども違っていろいろと大変なこともあるのではないかと思います。
イタリアというのは家族をともて大切にするお国柄だそうですから、子育てとかしやすいのかな?
そういうえば、スローライフの流れで保育にも新しい動きがでているというのを聞いたことがあります。ボローニャだったかな。
僕も美術とか遺跡とか大好きなので、イタリアには是非一度いってみたいですよ~。
>2言語を学ぶというテーマを記事にして頂けると嬉しいです。
↑このあたりのことは、僕も知識としてもっているだけで専門家ではないのであんまり適切なことは言えないと思うんですよ。
おそらく、実地のことはRitaママさんの方がはるかによくご存知だと思いますよ。
もうすでに問題ないかもしれませんが、バイリンガルの状況で育つ際にひとつだけ気をつけなければならないとされているのは、多言語をまぜこぜで話すことを覚えさせてしまわないようにするということだと思います。
そこだけしっかりしておけば、ネイティブの環境で多言語を習得することは、特に大きな問題にはならないようです。
女の子は心の成長が男の子に比べてずいぶんと早いこともありますから、気がつくとあっというまに親から自立してしまうんですよね。ベタベタできるうちにいっぱいしておかないと(笑)
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今回の記事、参考になりました。うちの3歳半の息子も絵本大好きで、毎日家で6冊、週3くらいで行く図書館で約20冊とたくさんの読み聞かせをしています。が、なかなか字が読めるようにならず、実は少し焦っていました。あまり絵本読まないお友達がもう平仮名全部読めると聞いたもので…。
でも、今は想像力や空想力など、字を読むより大切なものが育まれてる時なんですね。無理に字を教えようとせず、今の読み聞かせを楽しもうと思います。