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2023-09

発達障がいについて考える Vol.5   ―伝えることの難しさ― - 2012.07.10 Tue

今回は前回の逆の難しさです。

保育士をしていると、この問題に多々突き当たります。

預かっている子供になんらかの障がいがあるのではないかと思われるとき、障がいとは言えないまでも発達に個別的な対応が必要でないかと思われるとき、そのようなことは実際少なくないのですが、それを家庭に伝えるときにはいろいろな難しさがあります。

保育園というのは事情があって家庭で子供を見れない間、預かって保育するというところですから、そもそも親のための施設であると同時に、預かっている子供に対しては「その子の最善の利益を追求する」ということが根本にはあります。

それゆえに保育士は、子供になにか発達上問題があれば、それに対処してあげたいと考えます。






発達上の問題には早めに対処することで、軽くなったり、よい影響を与えられるというものもあります。

また、これまでに見たように、その子にあった個別的な対応ではなく、その子の問題行動に対して叱ったり怒ったりのことをして子供に悪影響を与えてしまうということがあれば、そういうことも早いうちに防いであげたいとも思います。


なかには現実的な問題として、多動や突発的行動があったり、その子の特徴ゆえに怪我をしやすかったりということも場合によってはあります。

そういったときに、人手が確保できなければ安全に預かれないということもあるのです。

そのためにもある程度その子の発達の状況というものがきちんと分かっていなければ、人員をつけてもらうということはできません。そのような点からも診断などの専門的な対応をしてもらうことが必要になってきます。



しかしながら、発達に気になるところがあると思っても、軽々しく親には伝えられません。

ひとつには、発達障がいというものが見えにくいものであること。

専門医に行っても、普段と違う状況になるので、その子の特徴的な様子がまったくでないこともあり、医師からは「なんでもない」と診断されてしまうこともあること。

医師から見て気になる点があっても、年齢が小さければはっきりした診断を下すことを見送られてしまうこともあること。

実際に、明らかな発達障がいの特徴をだしていたとしても、時間の経過とともにそれが薄らいでしまって、「なんでもない」という状況になってしまうこともあること。

このような時に、人によっては保護者と保育士の信頼関係にひびが入ってしまうこともあるので、なかなか言いづらいことです。


場合によってはそれ以前、「お子さんに発達上気になる点があります」と伝えるだけでも、保護者に強いショックを与えてしまったり、不快にさせたり、怒らせたりしてしまうということもあります。

「保育士からうちの子を障がい者扱いされた」と強いクレームが来たということすら耳にします。


ただ、こういう問題の裏には同じ伝えるにしても、その子のためを思ってというよりも、子供やその親に対する「非難」としてそういうことをいう、保育士側にも問題のあるケースというもの残念なことにありますから、一概には言えないのですが、そうではない親身に子供やその家庭のためを思っての行動であってもそういう反応はありますので、つらいところです。


このあたりのことについては「障がいの受容」というまた別の問題にもなっていくのですが、今回の「発達障がい」のテーマとはずれてしまいますので、いつか別の機会に書く事もあるでしょう。


話を「発達障がい」についてに戻します。

保育園ではいま「グレーゾーン」と呼ばれる子供が増えてきています。

「グレーゾーン」とは、診てもらってもなんらかの診断名がでるというほどでもないけれども、かと言って通常の子供の発達段階の範囲にもいない状況を指しています。

僕の知っているある3歳児クラスでは、25名定員のうち10名もグレーゾーンと考えられる子供たちがいたという例があります。

かつてはそんなに多くなかったのに、最近こういうケースが増えているのにはいろんな理由が考えられます。

本当は過去にも同じくらいそういった発達障がい的傾向をもった子供というのはいたはずです。
しかし、目に見える状況で最近増えてくるようになったというのには、いろいろな理由があるはずです。

大きなものとしては、子供をとりまく環境からうまれていた自然発生的な「経験」の不足です。


兄弟や子供同士の仲間関係、生活の中での子供の役割、自然環境の中で五感をフルに使って遊んだり、身体を使って遊んだり、泥や砂、水、木などに触れたりするなどなどの経験が、かつてよりも現在は著しく減っていたりします。

こういう体験が、以前は子供の発達における諸問題を、軽減したり、その中で改善してしまったりということが自然とできていたようです。

例えば、何もないところでも転びやすかったり、簡単な手先を使う動作がとても不器用だったりする「発達性協調運動障がい」というものが発達障がいのなかにはあります。

こういうものを持っていたとしても、そういう豊富な経験が目立ってくる年齢になる前に直してしまっていたというようなことが、以前は多くあったのでしょう。

他にも、人と触れることを極端に嫌がる「触覚防衛」というような特徴も、子供同士の遊びの中で「おしくらまんじゅう」なんかをするうちに、少しずつ慣れていってある程度の年齢になるまえに治ってしまったりしていたのでしょう。
そういえば最近では「おしくらまんじゅう」なんて子供たちが自分たちでしているのを見かけることなくなりましたね。

そのように、今では全般的な経験が少ないということが普通になってきています。

そんな現代の子供をとりまく状況というものが、グレーゾーンの子供を増えてきている背景にはあるようです。




その程度が、それほどでもなければ、成長していくなかでその顕著な行動が薄れていくことを期待していいケースもあるけれども、なかには今のうちにある程度あたりをつけて対処しておかなければ、あとあと困ったことになるのではないかというケースもあります。

例えば、就学を前にした4歳児5歳児で、このまま小学校に上がったら「学習障がい」という状況になってしまうのではないか、というようなときもそうです。

これを親にも知らせずに放置してしまうと、その子は小学校に入ってから困ったことになってしまうということが予想できます。
例えば学級崩壊の原因になってしまってその子もその親も責められたりということがないとも言えません。


しかし、保育園のうちに専門医に診てもらったりして、早めに適切な療育を受けることで、他の子と変わらず授業が受けられるようになったり、状況によっては要支援学級を最初から選択したりということもできます。


ですので、発達に問題があると思われるとき、「何もないなら何もない」ということでもいいから、家庭でも気になるようでしたら専門のところで診るだけみてもらいましょうということを勧めています。

まあ、前述のように「なんでもないって言われました! 失礼ねっ!」と不満に思われてしまうことも中にはあるのだけど、それでも発達上の問題が早めにわかったときは、わからないままいった時に比べてはるかに、子供にもそしてもちろん親にも結果的にはよかったということがありますので、できるだけそういった子供の様子には向き合っていくようにしています。

まだまだいろいろありますが、長くなってきたので今回はここまでに。
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● COMMENT ●

No title

いつも興味深く拝見しています。

私には4歳と2歳の息子がおりますが、長男のほうに広汎性発達障害の傾向がみられると医師に言われていることもあり、今回の一連の記事は特に関心をもって読ませていただいています。保育士さんの観点からの内容は、納得させられることも多々あり、とても参考になっています。

ただ一つ、発達障害グレーゾーンの子供が増えている大きな理由として、昔と比べての「経験不足」をあげられていることに、私をはじめ、ひっかかるものを感じる保護者がいるような気がして、コメントを書かせていただきました。

たしかにおっしゃるような側面もあるとは思います。記事に書かれているように、本当に「経験不足」が理由で、発達に問題がみられる子供も保育の現場にきっと多くいるのでしょう。そして、記事ではそのことが言いたかったのだと理解はできます。

ただ、うちもそうですが、まだ本人の経験値に大して差もない0歳児の頃から、発達の遅れを指摘され(ハイハイや歩行の遅れ、手先の不器用さ、特定の物に異常な関心を示すなど)、その頃から健常の子をもつ親よりもむしろ一層、経験を増やすことも含めて、療育に通うなど多くの努力をしてきた保護者も多いと思うのです。そのような経過を経て、明らかに発達障害と診断される子もいれば、我が家のように、「その傾向が見られるがグレー」といわれるケースもあるわけです。

すなわち、ご承知とは思いますが、「経験不足」という努力や工夫である程度解決できること以外の理由で、グレーゾーンとなってしまっている子供も少なからずいます。そのような子の親からすれば、グレーゾーンの子供が増えている大きな理由が「経験不足」だと言われてしまうのは、それが真実の面があるとしても、自分達の非を責められているように思えてしまい、不快感や自己嫌悪を覚えたり、また周囲にも「あの子は経験が足りないからこうなっている」などの誤解を与える可能性があることにもご配慮いただければ幸いです。
長文失礼いたしました。

No title

2人の子供の母です。
今日初めてブログを拝見しました。
うちの場合、子供が多動傾向、登園拒否があり私の意思で受診し、広汎性発達障害と診断されています。
受診前に担任保育士の方に発達障害を疑っていることを申し上げたら、少し驚いた風でした。当時4歳です。

診断された息子は、アレルギーと化学物質過敏症も併せ持っています。後で知ったのは、発達障害と同じような症状がいずれの疾患にも見られる、ということ。
アレルギーは病院での検査だけでは見つけられない隠れアレルギーがあります。うちは、そのアレルギーさえも見つけられる検査をして かなり多くのアレルゲンを把握し、除去しています。
化学物質過敏症の人は、アメリカやカナダの調査では人口の1割。あまり周知されていない病気ですが、潜在的な患者は日本でも多いと思います。

息子はアレルギーと化学物質のコントロールで落ち着きました。 診断後転園した幼稚園の先生に発達障害をどこで診断されたの?と聞かれました。その時は化学物質過敏症や隠れアレルギーの対応もかなり進めていた時期で、発達障害は落ち着いていました。先生は診断を疑っていらっしゃったのだと思いますが、県立小児医療センターという大きな病院のアセスメント外来で診断されています。多くの専門職種の方により 集団の中で半日かけてアセスメントされた結果です。

ひまわりさん

ちょっと僕の書き方が至らなかったのですが、

>発達障害グレーゾーンの子供が増えている

という意味で書かれた文章ではないのです。ちょっと文脈で説明しようと書いてしまったのでわかりにくかったですね。
正確に言うと


>グレーゾーン的特徴の「顕在化」が多くなっている 


という意味合いで書かれたものであって、

ここでの「経験」というものは、「親が子供に与える経験」ということではなく、子供の生育環境にまつわる自然発生的な「経験」ということです。


僕は、発達障がいの子供や親に対して、「経験不足だからそうなっているのだ」という意図は一片もありません。



むしろ、今回のこのシリーズで、いまのところ直接言及しているわけではありませんが、「個別的な対応」「個別的配慮」というところの底流には、つねに一般的な子供をひっぱりあげようとする働きかけ、つまり経験、ではなく、その子の育ちをありのまま尊重するべきであるという意味を込めて書いているつもりです。

それは発達障がいに限ったことでなく、このブログでつねづね述べていることでもあります。




ですが、一方で発達上の問題からでなく「育ち」によってグレーゾーンになってしまう子がいる現実も僕は重く受け止めています。

ただ、これは発達障がいとは分けて考えています。


今回のシリーズ「発達障がいについて考える Vol.3」のなかでも、

>いま、目の前に見られる子供の姿、とくに問題行動が発達障がいやその子の気質的特徴からきているのか、それともそれまでの育ちや親の養育姿勢からきているのか、簡単にはわかりません。
ですが、その原因によっては対応は全く違うということもあります。

と明記しています。


その上でご理解いただきたいのですが、この「育ち・養育姿勢」からくるグレーゾーンについても、僕は今後必要とあれば触れていきます。

もうすでに、1年か2年前の過去記事ではそれについて書かれたものも存在しています。


なぜあえてそれについて書くかといえば、それによって解決の糸口が見えたり、救われる子や保護者の方、またはそうなってしまうjことを未然に防ぐことができるかもしれないからです。

書き方が至らない点はお詫びしますが、それにつきましてはどうぞご理解、ご承知ください。

No title

おとーちゃんさん、ご丁寧に説明いただきありがとうございます。揚げ足をとったような形になってしまい申し訳ありません。

私自身、発達障害の傾向のある息子をもって、問題行動を少しでも改善すべく日々悩み、勉強し、精一杯努力しているつもりですが、周囲には「親の育て方の問題だ」「(親子ともに)努力が足りない」と思われやすく悩んでいることもあり、やや主観的な発言になってしまいました。

実際問題、医師ですら、子どもの問題行動の原因(おとーちゃんさんの言う、育ち・養育姿勢によるのか、発達障害によるのか)がすぐに分からず「グレーゾーン」という言葉を持ち出すケースもあるのですから、一般の人の理解不足や誤解はある程度やむをえないのかもしれませんね。周囲が皆、おとーちゃんさんのように深く理解してくれていれば、私のような者の気も休まるのですが、なかなかそうはいきません・・・。

思い当たること

はじめまして。数日前にこちらのブログに行き当たり、一生懸命読んでいます。投稿の仕方がわからないので、うまくいってなかったらすみません。

うちの息子も、経験の少なさからくる発達障害グレーゾーンだと思ったのですが、正にその記事だったのでコメントさせて下さい。


思い当たること 続き

すいません、続きます。

今、息子は3歳6ヶ月です。
気になるのが、春から幼稚園のプレに行っているのですが、なかなか馴染もうとしないのです。
みんなが踊っていても踊らない。集まっていても私から離れない。
これも一人二人ではないので、いずれ馴染むものだと思っていましたが、あることに気がつきました。
参加したがらない割には「楽しかったね」「また行きたい」と言います。
どうやら、参加したいのに嫌そうにしてしまうらしいのです。
その様子は私の子供の頃とそっくりでした。
気持ちを代弁すると
「楽しそうだけど、騒がしくて落ち着かない。何をやっているかは分かっているけど、今一それを一緒にやる気がしない。だけどやっぱりみんな楽しそうで、いいな~。」
と。
私はひとりっ子で、家が街中であまり他の子どもと関わらず育ち、両親共働きで保育園へ行きました。上記はその頃の私の気持ちです。
そういう感情は大人になるまでずっと続き、苦しいこともありました。
両親はのんびり育ててくれ、プレッシャーもなかったので、穏やかな性格にそだちましたが、遊びや人との関わりが少なかったために、すなおに集団が楽しんでいるところへ入って行けないのです。
子どもなのに変に大人びているというか。子供っぽいダンスをみんなでするテンションに、ついていけないのです。
そのくせやはり楽しそうで…ひねくれた態度をとってしまう。

息子もそっくりな行動をとっており、むしろ私が子どもの頃よりは発散タイプなのか、分かりやすくそういう感情を私にぶつけてきました。

ぱっと見は大人しめで、割りと行儀よく出かけ先では大人うけが良いほうです。乱暴はせず、お友達をぶったり玩具を取ったりもしません。少人数なら問題ないのですが、集団となった時にとても扱いにくい子どもなのです。

元々引っ込み思案など性格上のこともありますが、大人になって気づいたことは
圧倒的に一人の時間が長いことと、大人の中で落ち着いた生活はいいのですが、子供っぽい遊びを目一杯していないこと。
感情を無邪気に開放する術が分からないのです。
これは、学生の間ずっと「楽しそうだけど楽しめない」という感覚として続きました。

保育園では親が関わることは少なく、ほとんど送り迎えだけですが、幼稚園では親がかなり関わりますよね。
自分が寂しかった経験から、専業主婦になり幼稚園を選んでいるわけですが、息子と一緒に行ってその様子に気づき少しショックを受けてしまいました。
そばについて育ててはいたけれど、どう関わっていけばよいのか、その子がどのくらいの関わりを欲しているのか分からないのです。

結果、一緒にいるのに関わり不足で寂しい思いをさせていたと思い至りました。今、じゃれつき遊びを試してみたり、なるべくご近所の子と外遊びをするようにしています。私の気づきと関わりが変わった当日から急に目の輝きが変わり、何でもやる気になりはじめました。これにはビックリしました。今まで促してもやろうとしなかったことを次々にやって見せました。私の関わり不足がいかに枷になっていたかと、申し訳なさと嬉しさとが込み上げ泣いてしまいました。

私は自分の中で消化して引っ込めてしまう子でしたが、息子はまだ私に不満をぶつける余地があるようで、それが助けにもなっています。

他人から見ると、行儀は良いが活発さが欠けていて、何事も取り掛かりが遅い。という感じになるようで、特別問題行動は無いが評価も低い。他の子より出来ないことも多く幼い。本人は意図せず前向きな行動がとれず、ジレンマを抱え続けることになります。

息子の、この心の壁をなんとか取り去りたいとおもいます。
具体的に関わり方が分からず早期教育を素晴らしいと感じたこともありましたが、根本的に何かが違っていると思い早々にやめました。

発達障害グレーゾーンとテーマがあっていなかったかもしれなく、長々とすいません。
私の作り出している日々、息子にとっての自然に受けている環境で、やる気を奪っているようなことが私にはタイムリーでしたので、コメントしたくなりました。
今、おとーちゃんさんのブログで勉強させてもらってます。
読んでいただいてありがとうございます。

触覚防衛?

おとーちゃんさんこんにちは。いつもブログ記事楽しみにしています。

はじめて質問させていただきます。ブログにあります「触覚防衛」についてなのですが。。。

2歳4カ月女児、保育園3歳児クラスに通っています。
常に動き回っているような活発な子です。気になるのは登園のとき。部屋に入るとお友達が○○ちゃーんと呼びながら近寄ってきますね、するといつもその寄ってくれた子を必ずと言っていいほどバシっと叩くかか、押すかするんです。特定の子相手でもなく、男女も関係ありません。主人も送迎を担当しているので、夫婦で心配していました。

こういうのも触覚防衛の特徴に入るのでしょうか?ネット上で色々調べてみましたが、いまいち参考になる情報がなく。。。保育園のクラスも人数が多く、忙しそうな先生に相談する機会がなかなかありません。多動傾向があるような気もします。

お時間がある時、簡単で構いません。どうぞよろしくお願いします。


No title

すみません、先ほど投稿させていただきましたぴよです。

記事にありますとおり、ここでおとーちゃんさんに質問させていただくより、やっぱり勇気を出して専門のところで診てもらうほうが良いですよね。ものすごく自己完結状態になってしまいお恥ずかしいかぎりですが、参考になりました。ありがとうございました。

おとーちゃんさんのお話、非常に参考になりました。
確かに保育園からのアプローチは大変そうです。

私には六歳の子がいまして、昔2~3歳頃は発達障害のような症状が出てとても深く悩んだ経験があります。

そのときに、周囲からご指摘いただき、私の養育態度(主に肯定的な関わり不足)を見直し、諸事情から荒れがちだった生活環境を3歳後半から変えたところ、目の輝きから変わってきて…。

何事にも不活発で、神経質でこだわりが強く、怖がりで集団にも馴染めず…大人の約束が信用できず暴れたり、一見大人びた感じに斜に構えたり、自意識過剰な感じで逸脱行動をしたがるタイプだった子が、五歳を過ぎる頃には、能動的に遊び、素直でルールを守りたがり、他人を信じ、お調子者で明るくおおらかになりました。

今でも環境の変化には弱く不安がりですが、適応に不具合が出るほどではない程度になりましたし、発達障害を思わせる諸症状も消失しました。

うちの子のケースでは、今思うと私の努力でなんとかなる範囲だったなと。
そして対策が間に合う時期に、色んなプロの方々が可能性のひとつとして、私が陥弄にはまりこんでいることを指摘して、私と私の子どものために、あえて苦言をくださった…。
言われた当初は反発したり、こんなに頑張って関わってるのに理不尽だと当時はとても傷つきましたが…でも今考えると、満足に大人に受け入れてもらえてなかった子どものそれまでの苦しみから考えると、ほんと些細なものですよね。

原因は、誰かを糾弾するために探すのではなく、事態を打開する対策をたてるために探すものだと、そんな当たり前のことを忘れて自己防衛に躍起になっていた当時の自分を思い出すと、恥じ入るばかりです。

あのとき、心ある方々に言ってもらえなければどうなってたろうと思います。
子どもが毎日楽しそうで、私自身も心から子どもが可愛いと思える今日があるのも、あのとき助言をもらったおかげだなあと、今は感謝でいっぱいです。

なので、おとーちゃんさんが、今回の記事もこれまでの記事もそうですが、あえて書きにくいテーマのことでも、わかりやすく記事に書いてくださることは、色々な人にとって、とてもありがたいと思います。

以上は感想です。お返事は不要です。
おとーちゃんさん、いつもありがとうございます。とても参考にさせていただいてます。
これからも更新楽しみにしていますね。

No title

連投で申し訳ありません。
ぽりさんのコメントを読み、これからでも間に合うのだと涙が止まらなくなりました。

先週のプレ幼稚園では、最初に少し躊躇したものの、ダンスやかけっこなどやり始めると大喜びで「もういっかいやる!」と言って全力で楽しんでいた様子で、本当にホッとしました。

息子が赤ちゃんだった時はたくさん抱っこをしあやして、よく笑う子だったのですが、歩き始め言葉を話すようになった頃から、どうして接すればいいのか分からなくなっていきました。

私自身、子供は大人に合わせて生活するというふうに育っており
静かにしていなければならない。勝手なことをしたり言ったりしてはいけない。大人の邪魔をしてはいけない。言われたことは従わなければいけない。
これらのことを強要すれば良くないことになるとは思っていたのですが、ではどうすれば良いのかという具体的なことがわからないまま息子のプレ入園をむかえました。
うちの両親もそのように育っており、それしか方法が分からなかったと思いますが、幸いなことに誠実さはあったので、愛情は感じられ意地悪なことも覚えずでした。が、常にどこかさみしく心の底から楽しいといことのない日常はやはり不健全で、苦しいものでした。

息子にもやはり、誠実に育てているものの肯定的な働きかけはかなり少ないようだと感じてはいました。
こちらのブログにたどり着き、くすぐりっこをしたり生活の中での声がけを楽しいものにして行ったりとするうち、私自身の蟠りも解れていくようで何度も涙が溢れました。

今、息子がお友達から覚えてきて
「◯◯するひとて~あげて!」「はーい!」
というのを一緒にやってほしいと言うので、毎日てーあげてお返事ごっこをしています。おとーちゃんさんが正解の分かっているクイズごっこをするといいと記事で書かれてましたので、それもやってみると楽しそうでした。
当たり前にされている方には何でもないことかもしれませんが
私は親とそういう関わりをしたことがないので、ちょっと気恥ずかしく感じるのですが息子の喜ぶ様子を見ると良かったと思います。

こちらで、自分の気持ちを吐き出すような書き込みになってしまい、申し訳ありません。
まだまだ手探りで、自分自身が不安定ですがこちらのブログで勉強してがんばっていこうとおもいます。

おとーちゃんさんブログを作って下さりありがとうございます。
お体も、ご自身の心も厭われ、これからもがんばって下さい。
そして、ぽりさん 私宛てでは無いにしろ貴重なコメントありがとうございました!

またまたコメント欄をお借りします…おとーちゃんさん、すいません。

ひとりっ子ママさんへ
こんなコメントがお役にたてて幸いです。
書き込みを見ると、うちのケースより子の反応が良く早いので、母子の間で元々しっかりとした信頼関係が構築できていたのではないでしょうか。ひとりっ子ママさんが、ちゃんと子どもの求めるものを与えられていた証左に私には思えます。

うちは最初の変化の兆しが出るのに二週間、目が輝くまでには1ヶ月くらい、集団適応はもっとかかりました。
だから、多分大丈夫ですよ。間に合わないなんてことないですよ。

子どもさんとひとりっ子ママさんの生活が楽しいものになるよう祈っています。

ひとりっ子ママさん

コメント拝見しました。

読んだ限りでははっきりとはわかりませんが、対人関係のことは発達しょうがいともまた別のこともあります。

そして、だんだんとでも適応していくことができるならば、個性の範囲で発達障がいと考える必要もないようです。

気になる部分も年齢とともに緩和してくることも多いので、関わりを変えたことでお子さんが良い方向にむかっているとのことですから、暖かく見守ってあげることが力になっているのだと思います。

ありがとうございます

おとーちゃんさん、コメント下さりありがとうございます。
そうですね、決定的な障害というのは無いと思うので、私の関わりを肯定的にすることで、変わっていけますよね。

たくさん関わって、生まれてきて良かったと思ってもらえるようにしたいです。
私自身ネグレクトっぽく育ったようで、年長のころに
「どうせ死ぬなら生まれてこなければよかった」
と考えていました。
親からの愛情も誠実さもよく理解していましたが、どうしようもない寂しさと落胆…のようなもので押しつぶされそうでした。
およそ子供らしいというのではない日常だったので(ドライというか…)
おとーちゃんさんが例を上げている子供との会話や関わりを参考に
過干渉や、遊びなど様々に自分自身が考えを変えて対応していこうと努力しています。
本当にこのブログで目から鱗が落ちる連続です。

私も…

4歳の娘が一昨日PDD - NOS との仮診断を受けました。当方、核家族で娘はひとりっこです。専門(小児精神科)の担当医に「原因は生育環境的な因子がありますか」とお聞きしたところはっきりこう言われました…「もしも環境的な因子であれば、もう2年近く保育園に通われている今ではもう追い付いているはずです」と。おっしゃられていることも十分頷けるのですが、こういった見解もあります…ということで。参考程度です。

記事から随分時間がたってのコメントお許し下さい。
私も、経験不足からくる発達障害グレーという所に違和感を受けてしまいました。
既にご回答頂いているのですが、発達障害グレーに「似た」症状になる、と言い換えて頂けたら、と思いました。
息子も、自閉症スペクトラム診断を受けており、3歳前から療育に通っています。生後1ヶ月たたず、母親以外の抱っこを拒み始めました。
おしくらまんじゅうの件、言わんとすることは分かりますが、息子は服のタグが全くだめです。だからと言って無理にタグを付けたままにすればいいのでしょうか。
感覚過敏は、例えば私たちが黒板に爪を立てた音が嫌なのと同じだと聞きました。つまり何度経験しても中々慣れないのだと。逆に無理矢理慣らすと逆効果なので、とにかく少しずつゆっくり経験させて一般社会に慣れるようにしなければならない、と。
先生はご存知とは思いますが、記事を見た他のは人がどう受け止めるかが気になり書かせて頂きました。乱文申し訳ありません。

意外に思うかも知れませんが、医師に発達障害の診断は不可能です。何故なら、医師は育成カリキュラムの中で、心理学や発達障害を学んでいないからです。

日本に於いて、発達障害の研究を続けてきたのは、教育大学や学習塾だけです。

保育士は、育成過程に於いて、発達障害の教育を受けています。医者よりも、保育士の意見の方が妥当ですよ。

私は教員免許を持っている者です。(製薬会社の主任研究員やってます)

日本の教育問題で最も問題なのは、親が教育問題に口を出す事です。心理学も教育学も何も学んでいない親が教育に口を出す事が問題なのです。

親という存在は、子供を育てる過程で、”万能感”を得てしまいます。そりゃ、当たり前です。普通の大人なら、子供より劣る訳がありません。ところが、多くの親は、子供を育てる内、”自分は万能だ!”と誤解してしまうのです。

この頁にも、万能感を持った親が来ている様です。客観的な見方を排除して、自分の感覚だけを頼りにしている人達です。こういう人達が、善意ある保育士や教師を排除してゆくのです。

普通の人が保育士や教師に文句が言える程、知識が豊かなら、ご自分で全てを解決できる筈です。当然、発達障害の子供も自分で治療できるでしょう。

人に頼りたいのに、文句を言う人々。矛盾しているのに、それに気付かないのです。

実は、発達障害児童の親の大部分は、発達障害を抱えているのです。自分が発達障害である事に気付かないので、”全てを保育士のせいにして”批判する訳です。


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発達が極端に遅い

ふつうどんな動物でも生後四年もたって自分で餌を取れないということはありません。ところが人の幼児は保護者がいなければ絶対に食糧を獲得できないでしょう。人間は生活能力の発達が極端に遅い。にもかかわらず言語は簡単に習得する。

子供は自分の話をするのが好き «  | BLOG TOP |  » 発達障がいについて考える Vol.4   ―援助者側の理解の難しさ―

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当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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