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2023-03

片付けのしかた  Vol.1 - 2012.08.09 Thu

子供に片付けを身につけさせるにはどうしたらよいか、ということをたびたび質問されて、では今度記事にしますと予告しておいたので、ここでまとめておこうと思います。

ただ、以前にも書いたことがありますが、片付けさせることにどうか躍起にならないで欲しいと思います。
片付けることばかりに子供を駆り立ててしまうと、それよりも大事なことが失われてしまうことがあるからです。

(過去記事を読んでいない方はぜひとも↓こちらから)
『遊びとかたづけ』 





片付けというのは目に見えることなので、どうしても親は気にしだしたらそこが気になってしまいます。
でも、片付けるということはそうとうに難しいことです。
それなりの発達段階も要求されます。
そして過去記事にあるように、「遊びにじっくりとりくめる」ことなどの前提がある程度できていなければ、なかなか身につくものではありません。

ときには、「片付けろ、片付けろ」をあまりにたくさん言われるために、遊具を出して遊ばなくなり室内でも暴れまわるしかなくなってしまったというケースすらあります。

また、僕は片付けに限らず全てにおいてそうですが、「子供に教え込む」「子供にしつける」ことで子供を「できる」ようにすることを主軸には考えていません。

外部からそうするように指示されたり、要求されたりするからやる子よりも、子供が身の内からそれを必要だと思ってするという子供が自分で持っている力として獲得させてあげることが大切だと思うからです。

「片付けろ、片付けろ」と叱咤激励して身につかないとかそれが悪いというわけではないかもしれませんが、僕は積み重ねで子供を育てていくことをします。

なので今回の記事も、「うまい片付けのさせ方」というようなものではないです。

長い子育ての期間の中で、どういうことを踏まえていって、いずれ片付けができる力を育めるかという気の長い話です。



これから書く事を、本当は別に「子供を片付けの出来る子にしてやろう」と思ってするわけではありません。
子育ての過程ででてくるものを、片付けという視点で、環境や大人の関わりなどピックアップしただけです。
そう言う意味では、「片付けができるようになる」というのは、こういう普段のことの積み重ねの結果として自然についてくることだと思います。


子供にどうするか以前にまずは大人がどうしてるか、がもっとも大切なことになるでしょう。


・大人が普段からものを大事にしているか

大人が物を投げたり、本や新聞を踏んづけて歩いているのをみていたら、子供もそうするようになってしまうでしょう。
大人が普段からきちんと片付けている、ということ以前に物を大切に使っていることから子供には影響してくると思います。

物は大切だから片付けようとも思うわけです。さして大切でないというふうに子供が捉えるようになってしまえば、片付けをする意義も見いだせなくなってしまうでしょう。


・物に愛着をもてる子供に育てる (←特に大事)

小さい子供は、物があたかも心をもっていたり生きているかのように、それに愛着を持つことができます。

大人がなにもしなくても、そういう気持ちの強い子であれば自分からそういう気持ちをもつ子もいますが、そうでない子にはちょっと後押しをしてあげたり、そういう気持ちを伸ばしてあげることをしていくといいかと思います。

どうすればいいかといえば、大人がその見本をみせればいいのです。

例えば、人形遊びを子供にさせるとき。
自分のしたに、赤ちゃんがいたり身近にそういう光景をみているならば自然とできますが、そういう経験のない子にただ人形だけを渡してもあまりうまく遊べないこともあります。

そういうときに、大人が人形にミルクを飲ませたり、あやしたりと可愛がる姿をみて、同じように子供も人形を可愛がったり、大事にしたりするようになります。
わざわざ書かなくとも、多くの人がこういうことを自然にやっているかとは思います。

そして、ぬいぐるみや人形などはもう「物」としては扱いません。
ベッドや居場所を決めてあげたりして、使ったらそこに帰してあげます。
投げたり、床に放りっぱなしにしていたら、可哀想だよと助けてあげます。

叩いたりぶつけて遊んでいたら、子供が赤ちゃんを叩いていたら叱るのと同じように叱ります。

場所をきめるというのは片付けの予行演習として、そうしているわけではありません。
愛着をもたせたいからであって、その心を育むためです。
なので、必ずしも子供にさせずとも、遊び終わったのならば大人が、「じゃあもうベッドにいきましょうね」とその場所に帰してあげてもいいのです。

そのとき子供は関心ないようでも、そういうことを繰り返して積み重ねていけば、やがては子供の中に自然とそういう気持ちが育っていけます。

うちでは遊具の引き出しのひとつが、赤ちゃんのおうち兼ベッドになっています。


・壊れた玩具、壊れやすい玩具、雑な遊具は用意しない

うちのおじいちゃんは、孫と出かけるたびにお土産屋さんや、スーパーやファミレスのレジの横に置いてあるような値段は手頃だけど、メーカーも定かでないようなおもちゃを買い与えるのが好きです。

でもこのような遊具は、大変いい加減・雑にできています。
まともに機能しなかったり、丁寧に扱っても開けたその日に壊れたりすることがとても多いです。

最近では日本の有名遊具メーカーですら、雑なものが出ていますから、こういうものに至っては買う方もその程度と思って納得してしまうのでしょう。

しかし、きちんと楽しめないもの、すぐ壊れてしまうものがたくさん子供の身の回りにあると、そういうのがあたりまえの感覚が育ってしまって、遊具に愛着を形成したり、大事にしようと思う気持ちが失せてしまいます。

とても大切にしていて、壊れてしまったけど捨てられないというのならばいいのです。
それはそのものに愛着をもてた結果ですから。

でもはじめから、壊れていたり、思い通り・仕様通りにいかない遊具を子供に与えると、楽しむ前にそういう点にストレスを感じてしまい、遊べないし楽しめません。子供はそういうものは、放り出してしまいます。
その結果、物を大事にする気持ち、愛着をもてるところにはなかなか到達しません。

なので、丈夫な遊具を選ぶことは、単に遊びという観点だけでなくとも重要です。


関係ないけどついでに言うと、「遊具の造形」ってとても大事だと思うよ。
今、日本で普通に売られている遊具には、プラスチックにシール貼りで形作られているものが多いけれども、こういうのはまさに「子供だまし」だと思う。
あっという間にシールがめくれ上がっちゃったり、剥がれてきたり、折れたり欠けたり、あんまりプラスチックのものは美的ではないよね。

世のお父さん、お母さんだって、使っているうちに曲がってしまったりロゴのシールが浮いてきてしまうようなゴルフクラブや、一度洗ったらほつれたり色落ちしてしまうようなドレスを喜んで使ったり着たりはしないですよね。
↑のようなことは、「子供だから」「おもちゃだから」と許容されてしまっていいるのです。つまりはやっぱり「子供だまし」を大人は子供に与えてしまっているわけです。

こういう時代だから、それもやむを得ない部分もあるけれども、持っている遊具の中にひとつふたつくらいは、造形的に素敵なものを入れておくといいのではないかと思います。

あと、0~1歳児に与えるものはできるだけそうしたほうがいいでしょう。遊びの多くの部分が、見たり、触ったり、音を出したり、という感覚によるものになっているので。

長くなってしまいましたので、次回に続きます。
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● COMMENT ●

No title

初めまして。
私の職業は言語聴覚士で主に小児の治療をしています。
治療の中におもちゃを使った遊戯療法を取り入れることが多々ありますが、おもちゃの出し入れ(準備と片付け)はおもちゃの受け渡しと同じぐらい大切な要素として訓練の中で位置づけています。
保育士おとーちゃんさんが、片付けは単に片付けるという目的だけのためにあるのではないと考えておられるところが私の考えと似ているなと思って読ませていただきました。
大人が、そうあってほしい姿を押し付けるのではなく、子どもが自然とあるべき姿を選ぶように育てていくという考え方も。

No title

おとーちゃん、こんにちは。

片付けの記事参考になります。
2歳になって保育園に通い始めた息子ですが
保育園ではものすごくおりこうさんで、
縦割り保育だからなのでしょうか、
大きいお兄ちゃん・お姉ちゃんが片付けているのを見て自分もちゃんとお片づけができているようです。
先生の言うこともちゃんと聞いているようです。

が、家では真逆なんです。。。。。

おもちゃは散らかしっぱなし。片付けない。
本も読んだたら読みっぱなし。

おとーちゃんの記事を参考に

「読まないなら片付けちゃうね」

と絵本を戻し始めると怒って私を叩きにきます。。。
でも読まない。そして他のおもちゃで遊ぶ、となります。

息子に声がけせずに片付けちゃってもいいのでしょうか?

また、保育園ではおりこうさんなのに家では
片付けません。

家で受容が十分できていないからだと思ってはいますが・・

No title

はじめまして。7歳の息子を持つ父親です。

対象年齢が書かれてないから分からないんだけど、やっぱり乳幼児なのかな。
うちの子が乳幼児の頃は、あまりガミガミと片付けのことで言った覚えはないですね。

ある育児書には、片付けは思春期ぐらいに自発的にできるようになればいいと書かれていました。
思春期までの間に、楽しく一緒に片付けをして、部屋がきれいになったら、気持ちいいとか、落ち着くとかいう気持ちが子どもに伝わっていれば大丈夫みたいなことが書かれていたと思います。

その本に影響を受けたせいか、僕は、子どもが親にやらされて片付けをする行為には、特に意味はないと思っています。
それよりかは、親と一緒に片付けて、終わったあとに親の気持ちを言葉で伝えてあげる方が大切だと思っています。
そういう気持ちが根底にあれば、いつかは自発的に片付けれる子になるかな。

ちなみに、うちの子は言われると、それなりに片付けをします。
自発的に片付けるには、まだ時間が必要なようです。

お邪魔しました。

はじめまして

はじめまして。

すごいためになるブログですね!
パパとして私ももっと向上したいと思っております。

子どもの視点、
子どもの心、
親として大事なこと。

すべて参考にさせていただきたいと思います。

Hiroさん

>また、保育園ではおりこうさんなのに家では
片付けません。

それが普通です。いまはまだそれでいいのです。
繰り返しになりますが、「片付けができること」よりも大事なことはたくさんあります。


>と絵本を戻し始めると怒って私を叩きにきます。。。

↑この辺は片付けではなくて関わりの問題になるかと思います。


>息子に声がけせずに片付けちゃってもいいのでしょうか?

そのほうがうまくいくのならばそれで問題ないでしょう。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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