片付けのしかた Vol.4 - 2012.08.25 Sat
片付けについてつらつらと書きましたが、片付けなどということは子育ての中では結局のところ枝葉の部分に過ぎないことだと僕は思います。
子育ての大きな幹の方をしっかりと育てていれば、それをひとつの課題として取り上げて訓練しなくても自然と子供の発達・成長を追ってだんだんと身についてくることのひとつです。
なので、基本的にはこれまでさまざまなところで書いてきたようなこと。
たとえば、
受容であるとか、満たされていること、生活リズムや情緒が安定していること、などなど
『乳児の遊び・関わり Vol.9 これまでのまとめみたいなもの』
ここで書かれているようなことなどがちょっとずつでも形成されてきていれば、子供が片付けるようになるのはそれほど難しいことではありません。
それは集約してしまえば、大人と子供・母子・親子の「良好な信頼関係」とでもいうものと言えるでしょう。
ここでいう信頼関係とは、「親子の絆」というような抽象的なことではなくて、『乳児の遊び・関わり Vol.9』であるような具体的な関係です。
例えば保育園で、母子関係がうまくいってなくていつも満たされていない気分を抱えている子に対して、いくら片付けの習慣をつけようとしても、まず身につくことはありません。
怒ったり叱ったりすることで、やらせることは出来るかもしれませんが、それは結局その場だけのことなので、身に付いたというには程遠いものです。
それを保育士の立場からでも(母子関係の改善まえであっても)、その子を受容し、とりあえず保育の場にいるときだけでも満たしてあげて、その子と保育士とのあいだに良い信頼関係を築くことで、その保育士に寄り添おうとする気持ちができるので、片付けをするときには手伝ったり、自分でやろうとする良い姿を見せようとしてきたりします。
年齢が上がってしまえば、強制力をともなわなければ片付ける習慣がつかなくなる場合もあるかもしれませんが、乳幼児の成長段階にいるときならば、そのような良好な関係のなかで自然と身につけられることでしょう。
なので今回片付けのしかたというテーマで書きましたが、根本的にはこれまで書いたような子供との関わりのオプションといいますか、別の角度でピックアップしたことに過ぎないわけです。
そういうわけで、片付けを身につけることに躍起になる前に、それ以前の段階のことでつまづいていることがあれば、まずそこを作っていくことを先にするべきです。
それをせずに片付けを押し付けていくことは、ときには子供の様子を難しいものにしてしまうこともあるでしょう。
とりあえず今回で片付けについてのシリーズはおしまいです。
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● COMMENT ●
No title
すんさん
こういうのは、遊びにじっくりと取り組めずに荒れた遊びになってしまうこととはちょっと違います。
1歳を過ぎる頃から子供の世界が広くなり、母親に守られたところからちょっとでてはいろんなものに触れたりして、また安心な母親のもとに戻ってくるという姿を見せるようになります。
これを「安全基地と探索行動」といいます。
いわばその探索行動が遊びになったものです。
この年齢は既製のおもちゃよりも、家にあるものや親の持ち物に興味を示してそれをいじることを大きな遊びとします。
そうやって自分の世界を広げているわけです。
また、その過程でしていいことやよくないことをちょっとずつ学んでいきます。
ダメだしや指示や規制を多くしないというのはそうなのですが、一方で、危険な行為やしては困ること、大人が不快になる行為などしっかりと伝えなければならないことがあるのももちろんです。
そういった伝えなければならないことを伝えるためにも、普段の不毛なダメだし規制を多くして言葉をスルーする癖をつけないという意味もあるのです。
そしてそれを伝えるためには、怒る必要はないのだけど感情・気持ちを伝えるということを「心のパイプ」についてのところで書きました。
そのためには言葉だけ気をつければいいのではなくて、いかにその言葉と同時に気持ちを伝えることができるかというところが大事です。
大人がその行為を本当にしてほしくないと思うのならば、子供に誤解の余地のないように毅然として伝えることです。
それが「メリハリのある対応」です。普段きちんとした受容や信頼関係が形成されているならばきっとそれが可能になるはずです。
このことを親のほうも、今の時期から成長期にかけて身に着けることで、子育てがずいぶんと違ったものになることと思います。
理屈っぽい注意の言葉をやんわりとかけられるよりも、気持ちをこめて「○○しないよ」など言い切りの形で言ってしまった方がすんなりと入ることもあります。
「大人はいいときは笑顔でみててくれるけど、だめなときはきっぱりできないっていうんだな」と子供が理解している関係性ができてくると、いちいち制止の言葉をかけたりせずともアイコンタクトだけで自分からやめたり、いずれはそもそも大人が望まないだろうという行為を自分で考えて回避したりもできるようになります。
そういう関係性がすんさんも実際にやってみてつかめてくれば、プールの件もスプーンを投げてしまうこともどう対応するのがいいかつかめてくるかと思います。
細かい注意、回りくどい注意などは、結果的にはあまりなにも残らなくなってしまうことも多いので、今の時期そういうことに大人が力を入れてしまうより、「先回りした関わり」でくすぐり遊びなどをたくさんして、伝えたいことがすんなりと入る下地づくりをするほうに力をいれたほうがいいと思いますよ。
ありがとうございました!
しかし、今までの私の対応は中途半端だったように思います。
怒らないように気持ちを伝えようとしていたものの、さらりと言っていた事もしばしば。明日からは言うときには思いを込めて真剣に伝え、「メリハリのある対応」を心がけていこうと思います。
このブログに出会い、「先回りをした関わり」はひたすら意識して息子と関わってきました。
ほんの数日でこの関わりの効果が目に見えて現れた事に本当にびっくりしました。
息子はもともと良く笑う子でしたが、いっそう良く笑い、良く甘えてくれます。
そして、「先回りをした関わり」を持ったりその反応を見ることで、なにより私自身が一番そういう今を幸せだと強く思えました。
おとーちゃんの言葉は、いろんな育児書や情報があふれる中、一番自分の中で腑に落ちる言葉ばかりです。
両親や周りのお母さん、色んな人の目が気になり、こどものしつけに不安だらけだった私ですが、やっと自分の中での軸が見えてきました。
これからも勉強させていただきます。
本当にありがとうございました。
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最近こちらのブログを知り、過去のブログも時間のあるときに読んで子育ての参考にさせていただいています。今まで子どもと関わる事があまりなかったためどのように子育てをしていいのか分からず、自分の中でもやもやした気持ちや何かに焦る気持ちの中で子育てをしていましたが、こちらのブログに出会い、かなり気持ちが楽になり、子どもと向き合うのも楽しくなってきました。おとーちゃんのブログのような関わりを心がけるだけで、どんどんこどももかわいく甘えてくるようになりました!ありがとうございます。
私には現在1歳5ヶ月の息子がいます。もともとあかちゃんのころから良く寝てくれ、人見知りもひどくなく、支援センターに行っても私から離れて他のママさんににこにこしながら得意技を見せに行くような息子です。
そんな息子の事でおとーちゃんに相談させていただきたい事があります。1歳2ヶ月頃から本やCDを棚から全部出してしまうようになりました。モノを出すという行為が楽しいからかなとしばらくやりたいようにやらせていましたが、1日に3回以上やられてしまうようになりだんだん私自身がイライラしてしまうようになってしまい、やめさせたいと思うようになりました。最初は「やめてね」と言っていたのですが、このブログに出会い、注意や指示はやめなくてはと思い、「本を棚から出してるの〜、でもママは困っちゃうなぁ」と伝えるようにしました。じっと待つ事で前よりも回数も量も減ったような気がします。時々片付けもしてくれるようになり、良かったぁと思っているのですが、行為自体はなくなりません。この遊びはおとーちゃんのいう荒れた遊びなのでしょうか。
また、支援センターのプールで遊んでいるとコップや容器を見ると口を付けて飲むまねをしています。(水までは飲みません)プールではありませんが、お家ではおままごとのコップで飲むまねをやらせています。やはり公共の玩具だし、外に出しているプールなのでなめてしまうと不衛生だからやめてほしいと思い「汚いからなめないでね〜」というと、それを投げてしまいます。「友達にあたると危ないから投げないでね」と伝えるとますますムキになって投げてしまいます。家と外で注意される事が違うのはやはり混乱するのでしょうか。注意されているという事が嫌なのだなとは伝わるのですが、注意しない訳にも行かず・・・。
また場面は変わりますが、食事の後もごはんを全部食べた後「じゃあ、ごちそうさまね」と私が言うとスプーンを必ず投げます。本人は悪い事をしたという自覚があるような顔をしているので、私も「投げちゃったのね。スプーンはココに置いてね」と告げるだけにしています。
いろいろと書いてしまいましたが、息子の投げてしまう行為、本やCDを棚から出してしまう行為は大丈夫なのでしょうか。状況がうまく伝えられず、申し訳ないのですがアドバイスをいただければうれしいです。自分のこどもとの関わり方で荒れてしまっているとしたら・・・と不安でいっぱいです。