いじめについて考える Vol.5 - 2012.09.01 Sat
「ゆとり」でもなく「詰め込み」でもなく「生きる力」なのだそうですけれども、生きる力というのはいささかオーバーな内容だと感じます。
まあ、もっともらしいお題目を探したら、そこに落ち着いたというようなものでしょう。
このところの文科省の理念のない方針変更などグダグダでしたからね。
まあ、建前はともかく実質的に大きく変わった部分があります。
指導要領の中では「地域との関わり」という書き方がされています。
文科省のホームページや、一般向けのパンフレットでは、それの具体的なところまではわからないのですが、地域の幼稚園や保育園・その他の保育施設と密な連携を模索するようになりました。
幼稚園の指導要領や保育所保育指針では23年度での改訂で盛り込まれましたので、実質的には今年度くらいから動き始めているようです。
連絡会議のようなものを設けたり、保育園・幼稚園からの申し送りが制度化されたりしてきています。
これまでにも特に必要だと思われる子供に関しては申し送りをしていましたが、自発的にやっているという範囲でした。
学校側がそういった、学齢期以前の施設との関わりの中でなにを求めたかというと、ある小学校の先生は特に「最近の親の傾向」を知りたいと言っていました。
保育園・幼稚園では送り迎えや行事などで親と関わるのに対して、学校では親との距離感がそれよりも大きいので年々変わる親の傾向を掴みきれないとのことでした。
まだ、動き出したばかりですが、様々なよい副次効果も生んでいるようで、今後に期待できそうです。
しかし、ではこれまでそういった動きがなかったのか?といえば、
僕の知る限り、小学校側が新入学になる年長の様子を見に来るといったようなことは皆無でした。
学童クラブの指導員が見に来るということはわりとあったのですが。
一度だけ深刻な虐待を受けている子について、その子が小学校に入学してから、子供や家族について話を聞きたいということはありましたが、それですら「学校に来ていただいて話を聞きたい」という感じでした。
今後だんだんとそういう部分は変わっていくのでしょうけれども、逆に考えたらなぜいままでそういう動きがなかったのか不思議です。
小学校1年生での学級崩壊などが頻発していたのに。
外国では日本で言うところの、幼稚園と小学校がひとつの学校として統合されているところも多いです。
当然ながら、子供はその連続性の上にいるのですから、小学校に入った時点でなんらかの大きな問題を引き起こすならば、その原因の究明や解決のいとぐちもそれ以前の時点に存在するはずです。
しかし、これまではそういう動きというものはなかったのです。
保育園・幼稚園・小学校と制度的に切り離れているので、その連続性を考慮せず、個々の施設が個々の理論と方法でそれらの問題に対処していました。
小学校においても、もちろんその段階で学内だけで、または家庭などとの連携をとって根本的に対応できたならば、それでも問題ないはずですが、そうはいかないケースもあるでしょうし、それが毎年のように繰り返されていれば、いたちごっこのような徒労感ばかり多いことでしょう。
しばしば、これから小学校に入る子供をもつ親御さんの中には、「小学校に入るまでに字をきちんと読み書きできるようにしておかなければならない」という意識でいるひとも多いですが、ある小学校の先生が言うには、「そういった勉強的な部分よりも、人の話を聞けるとか、座って食事ができるとか、そういった部分をご家庭でしっかりとできるようにすることの方がはるかにしておいてほしいことです」と言っていました。
そのことを入学前の保護者説明会などで伝えるのだけど、それでも「最近の人が気にするのは勉強的なことばかりで、そういった部分ができていないまま来る子が多い」とのことでした。
今回はいじめとは直接関係のない話になりましたが、話の前後の経緯がありますので、そのままいじめについて考えるのシリーズの中の一つとしました。
次回は、いじめをなくすためも視野に入れた、教育のあり方について私見を述べさせてもらおうかと思います。
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