FC2ブログ

2023-03

「甘やかす」と「甘えさせる」のちがい - 2010.01.18 Mon

「甘やかす」と「甘えさせる」のちがいについて知りたいというリクエストがありましたので、ここでお答えしたいと思います。
実はこのこと現代の日本の子育てでもっとも重要なことかもしれません。
すこしまえ『公共広告機構』のCMでも「お子さんを抱きしめてあげてください」というのを放送していましたね。





「甘えさせる」というこのことはほんとに重要なことなのですが、子育てのブログをご自身で書いている方や、こうして子育てのブログをのぞきにきてくださる方は、もともとこどもや子育てに関心の高い方だと思いますので、このことは言うまでもないことかもしれません。まあ、参考までにどうぞ~。


保育士をしていて大勢のこどもを見ていると、手のかかる子・問題のあるこどもというものがいます。
どんな問題があるにしろ、その子たちを二つに分けることができます。それは大人に甘えられることができる子か、できない子かという違いで問題の深刻さが大きく変わってくるのです。

噛み付きやひっかきなどの行為のある子でも、素直に大人に甘えられるのであればその問題は解決することが比較的簡単だし、すぐに解決しないとしても将来的には直すことが可能です。
しかし、甘えられない子は容易に解決せず、そればかりか問題がさらに問題を生むこともあります。

なぜか、甘えが素直に出せない子というのは「基本的信頼感」(←これについてはココの真ん中あたりに説明があります)がうまく獲得できていない子といえるからです。


あ~~話がまた理屈っぽくなってきたので、平たく言わなくっちゃ・・・。
要するにね、「甘えられる」ってことは人間が信頼できるってことなのよ。
だから、可愛がられている子っていうのは、何か問題がでたり、道を踏み外しちゃったりしても戻ってこられるの。
これは幼児期にだけ言えることではなくて、思春期になっても大人になってもだと思うよ。
最近、通り魔殺人事件多いけどあの加害者たちは、おそらくこどものときから「甘えられない」子だったと思う。
なんでこんなこと言えるかというとね、保育園でも将来性犯罪に走ったり、傷害事件を起こすのではないかと心配になるような事例があるのですよ。
小学校に入ってから女児に対する性的なイタズラが頻出し問題になったり、寡黙で無表情な子が人形の首を斬ってニヤニヤしたりとかね。そういう子はやはり甘えが出せず、さらに親に抑圧されていることが多いのね。


なんか極端な例になっちゃったな。
ちゃんと「甘やかす」と「甘えさせる」の説明しなきゃ。

日本人は「しつけ」の意識が強いので、子育てする上で「甘やかしてはいけない」と考える人がけっこういます。
「甘やかす」というのは前回のところでも出ていた「こどものいいなりになってしまう」という状態のことでしょう。

「甘やかしてはいけない」←このこと自体は間違っていないと思うのですが、それにともなってこどもが「甘えたい」という欲求までシャットアウトしてしまうことがしばしばあります。

こどもは  「甘える」→「それを受け止めてもらう」
このプロセスで安心したり信頼したり、愛情を確認したりしています。

日本語だと「甘やかす」と「甘えさせる」の言葉がとても似ているために、概念はまったく違うことなのに混同され易いのです。また、ストレートな感情表現があまり得意でないので家族の間でも「愛してるよ~」とかあんまり言わないですしね。

これが1つのパターンです。 「甘やかしてはならない、それゆえに甘えさせない」


もう1つあります。最近多いパターンなんだけど。
それは 「甘やかしているのだけど、甘えさせていない」というものです。
この「甘やかしている」はまさに「成長期」のところで見た「いいなりになっている」というタイプです。

最初にいったパターンのほうは、古風というか保守的な感じだからもしかしたら最近では減ってるかもしれないけど、2つめのこっちのパターンは増えてるのですよ~。

ほんと「成長期」でみたとおりなんだけどさ、最近の親の世代は、こどもとか子育てとかほとんど知らない人が多いのだけど、そういう人に限って「いい子」にしなきゃいけない見たく思う人が多いようで、
一生懸命、「親の言うことを聞く子」とか「いい子・出来る子」とかにしようと、支配的・命令的・抑圧的な関わりをしてしまいます。その過程では「甘えさせる」という余地はあまりありません。

そして、「成長期」にいたりこどもはそれまで抑圧されたものが大爆発!
子育てスキルがそもそも低いその親は、そこからこどもに負けてしまい、「いいなり化」。
それが奇妙なことにそこで「支配」をやめるのではなく、「支配的関わり」をしつつも「いいなり化」するんですよ。
(ここでは「子育てスキルが低い」とわかり易く言ってしまっていますが、実はそれだけでなく一口では説明できない多くの問題があるのです。けっして子育てに不慣れな人を非難しているわけではありません)

つまり、「甘やかそう」と思っているわけではないのだけど「いいなり」になってしまうことで結果として
「甘やかしているのだけど、甘えさせていない」という状態になってしまっているのですね。
これが最近多いパターン。

もう、こどもは親のわけわからない対応にどんどんねじくれた性格になっていきます。
なぜかというと、こどもは「甘える」ことによって安心感・信頼感・愛情の確認をするのだけど、それができないばかりかさらに支配・抑圧されてしまうので、その感情をほかの事で表してきます。
何かやりたい事を無理やり押さえつけられ、大人の考えを押し付けられたらそのときはがまんしたとしても、一見関係ない別のことで自分の主張を押し通そうとします。
「江戸の仇を長崎でとる」という状態です。

例えば、毎朝「早くしろ、早くしろ」とせかされ、さらに「いい子」でいることを普段から要求されている女の子。保育園につくなりクマの人形を持ってこなかったと母親を責め大泣き。(実はこのクマがどうこうっていうのは、この子にとってどうでもいいことなんです。なぜなら、受け入れて母親がいってしまうとケロっとしたりすることからわかるのです。)
ね、「江戸の仇を長崎でとってる」でしょ。

こういうのは親が対応を変えられれば解決するのだけどそれがすっごく難しいんだよね。
なぜなら、我が子を「よい子」として人に見せたい親は、自分のやり方を否定されたりするのがとっても受け入れがたかったりするのでね。

こういうケースだけでなく、親の注意を引いたり、関わってもらうためにあえて親や大人が困ることをする子もいます。
こういうのを僕は勝手に「ネガティブ症候群」とよんでるけど、この問題も「甘えさせてあげる」ことで解決するのだよね。
『公共広告機構』のCMではないけどさ、ほんと毎日「抱きしめてあげる」このことで解決する問題がたくさんあるんだよ~。
大人が受け止めてあげないと、こどもは「甘え方を知らない子」になります。こうなると、受け止めてもらうためにネガティブなことをする子になってしまいます。

はい、今日のまとめ。
「こどもは0、1、2歳のうちに甘えの出せる子にしてあげましょう」


やり方は簡単です。こどもが飛び込んでこられるように、大人が手を広げてあげればいいんです。

素直に甘えられる子にさえなれば、道を踏み外したとしたって戻ってこられる人間になるし、多少わがままになったってかわいいもんだよ~(笑)。

20行くらいでさらっと終わらせるつもりだったのに、とっても長文に・・
相変わらずの構成力のなさに絶句しつつ、おやすみなさ~い。

↓励みになります。よろしかったらお願いします。

育児ブログ・ランキング
関連記事

● COMMENT ●

ありがとうございます!

早速記事にしてくださってありがとうございます!
今のところ(6ヶ月)『甘やかす』状態には当てはまらないって受け取って大丈夫なんでしょうか?
基本息子の要望に応えてるですが、ずっとこれは甘やかしてるのではないのかと引っかかってました。

またまたお時間のあるときでもいいのでリクエストしてもいいですか?
ひつこくてスミマセン。
絵本の選び方とか読み方とか。
絵を見ながら『これは○○だね~』とか言うほうがいいのかとか気になります。
気が向けばお願いしま~す(*^o^*)

まめさん

6ヶ月現在の対応だったら、甘やかすってことはないから問題ないですよ。
乳児期で気をつけたいことは、泣いたからといってうろたえないってことかな、
泣いたことでで大人がオロオロしてしまうと、それをこどもは覚えてしまってときどき
泣きで大人を誘導するようになってしまうことがあるのです。

絵本の読み方や選び方、紹介も今度していきますね。

毎回

勉強になりますm(__)m  


子育てスキル   

これの学校必要ですよ  ほんとに(;一_一)

国が補助金出してでもやるべきだ

考えれる、やる気のある、道徳心の有る、思いやる心の有る・・・

他にも有るでしょう

こういう子達が大きくなれば、生産性の高い、犯罪の少ない、我欲に走らない(政治家?)・・・

食育も取り入れれば、医療費も下がる

良い方向に動いていくのになぁ

晴トントン さん

ほんとうに、子育ての質っていうか中身についても行政や国がもうちょっと考えていく必要があると思うのだけど、いまの日本ではまだまだ先のことでしょうね。
いまはまだ福祉にかかるお金を切り詰めることしか考えてないみたいですからね~。
当面、自分でできることからしていくしかないのかな。

No title

私も甘えると甘やかすの違い、詳しく知りたかったのでちょうどよかったです~。私も質問しようとしていたところでした。

自我が出てくるまでは甘やかすという概念はなかったんですけど、最近、甘やかすと甘えさせるの境界がぼんやりとしか見えなくて悩んでました。

公共広告機構のCM、すごく印象に残っています。
子どもができて抱きしめることの大切さを実感しているところです。

もっともっとい~っぱい抱きしめてあげようっと♪
中学生とかになったらさせてくれないだろうし(-m-)ぷぷっ

さっちんさん

うちでは中学生になってもギューさせてくれるように育てますっ!キリッ☆ミ


ごめんなさい、「おとーちゃんあっちいって」って言われない程度でがまんします・・;;

感動しました

通りすがりの者ですが、この記事を読ませていただいて感動しました。
甘えさせるということがどういうことか良く理解できました。

うちの息子は保育園で問題行動が多く頭を悩ませているのですが、
母親から非常に厳しくしつけられており、甘やかしてもいないし甘えさせてもいない状態です。保育園の先生からも家庭で甘えさせていない、受け入れてもらえないことからの反発行動ではないかと指摘されましたが、うまく消化できずどうしたらよいかわからない状態でした。
ありがとうございました。

通りすがりさん

保育園にいるうちの年齢ならば、まだまだ対応はそう難しくはないと思います。
「受容」というのはどうしても子供の成長の中で必要なものですから、大人の方が考え方を切り替えることさえできれば、子供には必ず伝わると思いますよ。

No title

現在、主夫をしているのですが娘がちょうど一歳でどこまで甘えさせていいのか分からない状況だったので参考になりました。
自分が少しでも見えなくなると大泣きする寂しがりやの娘が可愛のですがそれによってストレスを感じる時もあり相談する相手もいないのでこういう記事があるととても参考になり助かります。

ぺろパパさん

子供と一対一ですごすのって、傍から見ているよりもけっこうしんどいこと多いですよね。
一緒に楽しめる子育てができるといいですね。がんばってください。

ためになった!

私自身が、ものすごく甘える人間だったから、甘やかさないように接していました。
凄く参考になりました。
長男にもっと抱きしめてあげようと思いました。
「甘えさせてあげる」ことは大事なんだ。
私が怒った時、「抱きしめて」って、言ってくる長男を何回か拒否したことがあります。
親やめたいわぁ、って何度も思うし口に出してしまいます。
私に育てられない方が、この子たち幸せなんじゃないかな、って半分本気で思っています。
心の助けになりました。


トラックバック

http://hoikushipapa.jp/tb.php/34-a8d9a049
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

捨て犬からセラピー犬へ 『愛情で受け止める』とは

1日1回の応援が記事更新の励みになります。 ⇒犬用品・グッズの人気ブログランキング ■捨て犬からセラピー犬へ     ドッグトレーナーの「のあお」です。     捨て犬で

捨て犬からセラピー犬へ 『愛情で受け止める』とは

1日1回の応援が記事更新の励みになります。 ⇒犬用品・グッズの人気ブログランキング ■捨て犬からセラピー犬へ     ドッグトレーナーの「のあお」です。     捨て犬で

6ヶ月前後のあかちゃんあそび «  | BLOG TOP |  » 楽しい子育てのために その3 「魔の2歳児」 つづきのつづきのつづき

ごあいさつ

ただいまコメント欄での子育て相談は休止中です。 お悩みのコメント下さっても回答を差し上げることができません。 申し訳ありませんが、過去記事、すでにある返信コメントなどを参考になさってください。 多くの相談への返信がすでにあります。関連するカテゴリーから探す、検索を使って探すなど利用してみてください。 多忙になってしまい、コメントへの返信ができなくなってしまいましたが、お寄せいただいたコメントにはすべて目を通し更新の励みになっております。ありがとうございます。

最新刊

よければレヴューも書いてね!

前作!

最新記事

最新コメント

プロフィール

保育士おとーちゃん

Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
ご利用に当たっては自己責任でお願いします。

楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

講演等のご依頼

講演・ワークショップ等のご依頼はFacebookのメッセージ または『保育士おとーちゃんホームページ』 http://hoikushioto-chan.jimdo.com/ よりどうぞ。

カテゴリ

はじめにお読みください (2)
【まとめ】記事 (2)
子育てノウハウ? (81)
子育て日記 (13)
保育園・幼稚園・学校について (120)
日本の子育て文化 (209)
おもちゃ (27)
叱らなくていい子育て (10)
排泄の自立 (11)
『魔の2歳児』 (5)
子育てまめ知識特集 (4)
あそび (41)
おすすめグッズ (10)
おすすめ絵本 (23)
食事について (15)
過保護と過干渉 (47)
満たされた子供 (7)
早期教育 (20)
我が家の子育て日記 (96)
心の育て方 (107)
相談 (86)
子供の人権と保育の質 (90)
その他 (70)
未分類 (24)
講座・ワークショップ (142)
父親の子育て参加について (3)
雑誌・メディア (48)
子育てに苦しむ人へ (27)
保育研修 (3)
note有料記事 (4)
保育について (16)
性教育について (6)
子育てオンラインサロン (1)

保育ひろば

保育ひろば

楽天

FC2カウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

おしらせ♪

当ブログはリンクフリーです。トラックバック・リンクはご自由にどうぞ。 しかし、本文・コメント・その他を含めて著作権は私にありますので、引用・転載する場合は連絡をお願いします。また引用元の記載も併せてお願いします。 なお写真の転載はお断りいたします。

ランキングに参加しています

検索フォーム

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

QRコード

QRコード

アクセス解析