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2024-04

『粘土細工と植木鉢』 - 2012.10.20 Sat

「しつけ」でする子育ては粘土細工のようなものだ。

昨日書いたことを寓話的に書いてみた。






ある神様が人間にこう言う。

「あなたにひとつの仕事をあたえます。さあ、あなたも粘土でこれと同じように作ってみなさい」

そして「理想像」という、まるで芸術家が作ったかのような完璧な見本の写真を見せられる。


人はそれと同じようにしようと、あっちをひっぱってみたり、こっちにつけたしてみたり、試行錯誤してこねくり回す。


なかには、作る人にたまたま才能があり、さらに粘土の固さや水分の量、もともとの色具合、温度や湿度なんかの諸条件もぴったりでそこそこ見本と似たようにできてしまう人もいる。

でも、たいてい人のが初めての作品で、芸術作品のような理想的なものをつくれることなどまずない。

それでもそれを作らなければならないと思うので、もっとこねくり回してみる。

あっちの油を足すといいと誰かが言えば入れてみて、こっちのヘラを使うといいと聞けば使ってみる。

やればやるほど、本当に何がいいのかちっともわからないまま、いつのまにか粘土は乾いてきて理想像とは遠いところで固まってしまう。


そのときになって、人は初めて気づく。

見本の写真はあったけど、見本そのものはどこにもなかったことに。




また、別の神様は言う。

「この植木鉢に種が蒔いてありますから、あなたのするのはこれに水をあげることですよ」

「えーと・・。あのぅ、粘土細工を作るもんだと思ってたんですけどしなくてもいいんでしょうか?」

「ああ、あれはちょっと前に流行した仕事なんだけど、もともとはみんなこの仕事でよかったのよ。
別に粘土細工の方がよかったらそっちでもいいですよ、どうします?」

「いえ、こっちなら自分にもできそうだからこっちでいいです」

「じゃあ、毎日忘れずに水あげてね。少なすぎても多すぎてもよくないから気をつけて。
それから、芽が出てきたらたくさん話しかけてあげるようにね」

「あの~。ここにはなんの種が蒔いてあるんですか?」

「うん、それは大きくなってくるまで誰にもわからないの。育てるのが簡単なタンポポみたいな場合もあるし、とっても難しい蘭のようなこともあるけどね。
まあ、水と話しかけるのさえ忘れなければ、大体どうにかなるからやってみてよ」


花は人が形作らずとも、自然と伸びてくるものだ。そこが粘土細工とは違う。

でも、水をあげるという単純なことでも、いやむしろ単純なことだから、ときどき忘れたりめんどうになってしまうこともある。

でも、そういうことがあっても気づいたら、ちょっとあとで多めに水をあげたりすればいい。

元気に育ってきたら「元気だなあ」と言えばいいし、ちょっと勢いがなかったら「応援しているからがんばれー」と言えばいい。

きれいに咲いたら「きれいだね」と言えばいいし、かわいく咲いたのなら「かわいいね」と言えばいい。
思っていたよりも小さな花だったとしても、「それはそれですてきだよ」と言えるだろう。
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● COMMENT ●

ステキなお話ですね(*^▽^*)

植木鉢みたいな育児ができるといいなぁ。

「ときどき忘れたふり、めんどくさくなったりする」
たしかに、そうなんですよね。
人間だから完璧はないですもんね。
「おおめに水をあげたらいい。」
おとーちゃんさんが、そんな表現をしてくれると思っていませんでした。

双子を一人でみていると、1人のお風呂をいれている時、もう一人が大泣きでも待ってもらわなくてはなりません。
大粒の涙で、一生懸命泣いているのです。

「順番だからね。もうすぐ終わるから。待ってて。」
仕方のないことですけど、心が切なくなります。

余裕のある時に、できるだけ、話しかけたり、コチョコチョしています。

きっと、もう少し大きくなったら、わかってくれるかなぁ。
お母さんは、君たちが大好きだよ。

すこし、救われた気がします。

お忙しいのに、コメントありがとうございますo(^o^)o

私の住んでいる下関に、年に一回来られているとのこと。
なんだか、おとーちゃんさんと少しご縁があるような気がして、勝手にうれしくなっちゃいました(笑)

おとーちゃんさん、文才もあるし、本を出してほしーなぁ。
もちろん、現場で得た保育の技術も!

ここで、相談にのっていただいて、双子にも双子ママにも寄り添ったアドバイスをいただけるのも幸せなんですが。

たくさんの方が、保育士おとーちゃんさんのブログで救われていますね。

いつも、ありがとうございます(^_^)/

No title

なんてすてきなお話なのだろうと、パソコンの前でじーんとしてしまいました。ありがとうございます。

子どもを育てる親全てがみぃんな、子どもの幸せを心の底から願っていて、そのためにはなんでもしてあげたいと思うけれど、おとーちゃんが以前に記されていたように、子どもは自分で育つ力をもっているのですよね。
もっと違ういい関わりがあったのではないかとか反省することも多々あるけれど、毎日まいにち「かわいいね、大好きだよ~、大事だよ~」と話しています。そうすると、それが彼女の中で貯金となって、ひとりでも上手に楽しそうに遊べていたり、こちらの思いを汲み取ったりしてくれているのかなあと思います。

最後の一文が大好きです。「それはそれですてきよ」私もそういつも子どもに言ってあげられる自分でいたいと思います。

No title

こんばんは。

今回、すごくありがたいた話でしたm(__)m☆
私にとって、ホントによかったです。
わかりやすかったです。

みんな違ってみんないい。
ということが、心の底から、理解できたような
気がします。



返信不要です。

No title

とてもココロに沁み渡りました。
息子が一歳の誕生日を迎えたときに、ココまで息子は自分で育ったんだと感じました。
息子が産まれてから一年は、何もわからず私がキチンと育てなきゃととにかく必死でした。
できた母親でないし、うまく子育てできないと感じるときばかりでしたが、とてもイイコに育ってくれました。
「こんなに可愛いコが私の息子なんて幸せすぎる」なんて親バカですが思ってたからですかね?
今もいろいろ悩みますが、おとーちゃんのブログとみなさまのコメントに助けられてます!

先日相談させていただいた噛みつきや叩くことですが、噛みつきはなくなりました。
叩くことはありますが、ほぼなくなりました。
よくよく考えたら、断乳が影響してたかもしれません。
だからこそ、共感・受容・先回りした関わりで満たすことで元に戻ってくれたんでしようね。
迷いながらも周りの言葉や状況に断乳したことをずっと後悔してましたが、それも良くないと知り前を向くことにしました。

植木鉢のような子育てにしたいです。

おとーちゃん大変お忙しいですよね。
くれぐれもムリなさらないでくださいね。
返信不要です。

No title

草花が好きで、育ててるというか、半分ほったらかしというか してます、それでも草花達はグングン成長し必ず時期が来ると花を咲かせます。

難しく考えて捏ね繰り回す粘土細工にする必要ないですね。
子供達一人一人を見て、愛情という水を与え、見守る。

おとーちゃんの文章は下手に飾ろうとせず、一生懸命に伝えようとするので心に入ってきます。

返信不要です♪


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Author:保育士おとーちゃん
当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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