関わりの方向 - 2012.10.24 Wed
夕方の大人に甘えたくなってしまう時間。
夕食の準備をしていれば、「てつだうことある~?」と言ってくる。
別にお手伝いをすると褒められるからでも、お小遣いがもらえるからでもない。
手伝うことでコミュニケーションできることを知っているからである。
0、1歳くらいでは手伝うことそのものはまだ無理かもしれないが、もっと大きい子でもそういったときダダや大人の受け止めきれない甘えとして出してしまう子は多いだろう。
子供はどのように大人と関わっていけばよいのかを経験を通して学習している。
子供の姿が難しくなり子育てが大変になってしまっている人は、子供が意志や気持ちを出したり自己主張をする方向性が大人にとって受け入れがたいものになっているケースがある。
全てではないだろうが、その多くはそれまでの大人の関わりによって、そういった子供の難しい姿が形成されてしまっている。
一般の多くの人が考えるように、「男の子だから大変」「子供だからわからない」「子供特有の姿」というようなことからなっているのでなく、大人が適切な形で子供の自己主張や感情の表出の道筋をつけてあげていないがために、子供はもっとも大人の注意をひける形、たいていはネガティブな形で出すようになってしまう。
つまり、本当は「子供だからダダっ子するのが当たり前」ではないのだ。
大人が「ダダっ子せざるを得ない子供」に育ててしまうのである。
以前の記事でも、「素直に甘えの出せる子にすることが乳児期のひとつの課題である」ということを述べた。
それはこういったネガティブな形で子供が主張をするのではなく、大人から見ても心地よいポジティブな形で主張をできるようになるために最も重要なことである。
このことを「しつけ」との関連性から見てみよう。
「しつけ」の子育てでは、あまり「甘えを受け止めること」という子供との関わりは重視されていない。
それよりも、「○○すべき」「○○できる」「○○しない」といった規範的な行動を身につけることが重んじられている。
その「○○しない」のうちに「大人にベタベタと甘えない」というものを含めて考えている人もおり、むしろ「甘えることはよくないこと」という認識の人も少なくない。
しかし、「受容」の不足は決定的に子供のネガティブな姿を増大させる。
素直な甘えが認められないと別の形で、自分が親に認められていることや、自分が大人に守られていることなどの確認作業をしなくてはならないからだ。
例えばそのために、本心から欲しいわけでなくとも、食べ物やものを欲しいと主張し、その主張を受け止めてもらう、つまりそれらのものをもらうことで「自分のことを受け止めてもらえた」と自己を納得させようとするなどの行動がある。
しかし、これらは本当の意味での受容ではないので、簡単には満足できない。
その結果こういったネガティブ行動は増大していく。
そのうちに、それがその子の大人への関わり方として固定化してしまう。
こうなってしまうと「育てにくい子」の出来上がりである。
そしてさらに、こういったネガティブな姿を直そうと、ここでもまた「しつけ」行為にさらされてしまう。
かつてよりも年齢も上がっているので、親から見てネガティブ行動が許容される範囲も狭まっており、要求されるハードルは高くなる。
結果として、叱るや怒るなどの否定的関わりで臨まれてしまうことも多くなる。
年齢があがったことで、理解力などもアップし大人の望む行動がとれるようになっていればよいが、そうでない場合は「自己否定感」を形成してしまうことともなる。
意識して自覚していなくとも、根底には小さい頃からの受容を受け入れてもらえなかったという欲求不満があるので、大人に対する不信感が生まれることもある。
ここでは、「しつけ」のふたつの側面がでてきた。
「しつけ」の子育て考え方が、そもそもの子供のネガティブな姿を増やしてしまうこと。
そのネガティブな姿を押さえるために、否定的な関わりが多くなってしまうことである。
このことは、いまの乳幼児期の子育てを見ていて、とても大きな問題だと感じる。
● COMMENT ●
No title
関わり方のお手本
あれから色々試行錯誤していますが、まだまだという感じです。
まだまだ、というのは私自身のことです。
関わり方のお手本が身近に無い、ということに気付いたんです。
頭で分かってるつもりになったり、いくら決心しても、いざ子供にやってほしくない行動をやめさせようとする時や、何かを教えようとする時、怒ったり怖がらせたりしてしまう。
その直後に、あ~今のは怒らなくて良かったのかもとか、怖がらせただけになってしまったかもとか、失敗に気付いて落ち込みます。
そういう時、意識して言葉や表情を考えてみましたが、どうしてよいのか分からず固まってしまうことがしばしばあります。
おとーちゃんさんのおっしゃるとおり、しつけの刷り込みはかなり根深く、実際に自分の親やママ同士の中からリアルなお手本を見つけるのは難しいことに気付きました。
暫く八方塞がりみたいになっていましたが、主人の母が受容という面ではすごくお手本になることに気付きました。
主人は温厚で生活面もほどほどにきちんとしており、きつく怒られたことが無いと言っていたのを思い出しました。義母のところへお邪魔した時は三才の息子の相手を楽しそうにしてくれています。そな様子を参考にしてみることにしました。
しかし、あまりに優しすぎる!?ためか、何でもやってあげてしまうので、そのあたりをどうしようかと思っていました。
ここで話が跳んだようになるのですが、おとーちゃんお薦めの童具館へ行ってみました。積み木は、小さな大工さんで揃えたのですが、どうしても気になってショップを覗いてみたくなったのです。
そして、ショップのアドバイザーさん!?の勧めにあれよあれよとのせられ、アトリエ教室の体験を申し込むことになりました。
月謝はけっこう高いし、体験だけで終わりにしよう…と思って当日を迎えました。
けれど、体験して考えが変わりました。先生方の子供とのやりとりがとても素晴らしかったので、もっと体験したいと思ったのです。
先生方は怒りません。否定も強制もしません。そういう雰囲気を無言で出したりもしませんが、小さな子供達は目一杯心を解放させ、終る頃には作品が出来ているのです。
先生方はとても楽しそうに子供達を誘導していきます。子供達はどんどん目が輝いていきます。
これと言って特別なことをしているわけではないけれど、こうした関わり方が大切なのだと思いました。
息子は三才で、親子で教室参加出来るのはあと半年間だということなので、すぐに入会を決めました。
半年間、私自身が勉強することにしました。
ちょっと遠いので、幼稚園入園前までの半年間。ちょっと高いので、親子二人分と割りきって(^-^;
これも一つのお手本だと思いました。生活の全てに関わるわけではありませんが、小さな子供相手に臨機応変な先生方の様子。とても参考になります。
まだまだ十分ではないです。積み木遊びも、木製レールを作るのも、おままごともめんどくさそうにしてしまって、息子をガッカリさせることもしょっちゅうです。今までの過干渉のせいで自信がないせいか、デキナイ…カアサンヤッテとしょっちゅう言われます。
それでも、難しいと感じる以上に可愛くて可愛くて仕方なくなりました。息子も楽しそうにしていることが増えました。
一歩一歩前進出来ていると感じています。
おとーちゃんさんのブログに出会えたことに感謝です。ありがとうございます。
息子にも沢山助けられています。
カアサン、○○?(クイズっぽく)って言って。と言われ、その通りに言ってやります。息子が○○~♪と答えを言って
カアサン、セイカイ~って言って。と言われ、セイカイ~!と言ってやります。ものすごく喜びます。
息子が私を教育することにしたようです(笑)
最近、どうしても道路に飛び出してしまうお友達に
ドウロニデタラアブナイヨ~!と声をかけている息子を発見しました。ちょっと前に一緒に出てしまったことがあったのですが、その時に私なりに話たことを考えてくれたようです。嬉しかったです。
これからも、お手本探しをしながら、ブログを読みながら頑張っていこうと思います。
自分の話で長くなりすいませんでした。
お手伝い
うちの息子はまだ1歳半なのでお手伝いはなかなか難しいですが、私が家事をしていると横で真似をしてくるのがとっても可愛いです!布団上げてたら、布団引っ張って自分も押し入れに入れようとしてみたり、掃除機掛けてたら掃除機を奪ってきて真似してみたり、おやつを食べ終わった後のゴミを捨てて来てくれたり、外出しようと玄関に出たら靴を履かせてくれたり……。
それを見てると、親が手伝いなさいと言わなくても、子供は真似したりして自然にお手伝いをするようになるものなのかなぁと思いました。
親の行動を真似っこするのも、子供にとってはコミュニケーションのひとつなのでしょうかね。
No title
今回も、これから大事に心に留めたいと思う内容でした。
私は、主人の実家がまさに「甘える=甘やかし・過保護=我が儘に育つ」という考え方です。
1歳の時に「抱っこして!」と私に甘える息子に「な~んだそれは!」「お母さ~んじゃない!」と笑われたり、「もうお兄ちゃんにならんと」なんて言われたりしました。(その圧力で、こんなに甘えるのは良くないんだと思った時期がありました。)
そのくせ、食べ物は一日中与えられ(寝る直前まで「お風呂上がりのデザート」と)、夜8時に寝かせることは「神経質」「核家族だからできることだよね」と言われます。テレビに関しては「テレビから学ぶことは多い。見せないのは可愛そう」。
言葉がほぼ全て命令形なのも気になります。「食べなさい」「着替えなさい」などなど…。他にも「いただきますは?」「こんにちはは?」などずっと要求言葉が続き、形の上できると「できたね、いい子ね」の評価。
食べ物は少し食べないと「これ嫌いなの?」「これ苦手なの?」と間髪入れずに言い続けられます。(「お父さんは何でも食べたよ」とも。)
一緒に過ごしていて、私が苦しくなります。
食事や生活習慣で大切にしていることを伝えてみましたが「うちの子どもたちはそんなこと気にしなくてもちゃんと育った」という考え方を変えることはできません。(主人も「考え方を今更変えるのは無理だ」と話しています。)
この頃はしんどさが増してきて、
「いつでも預かるからね」「もう1人でお泊まりできるかな」と言われることに応えられずにいます。
今は近所に住んでいますが、近い将来は同居。
こういう場合、どのように解決していくことが、子どものためになるでしょうか。
おじいちゃんおばあちゃんからの関わりを、私の思いだけで遠縁にしてしていく権利はないと思う気持ちもあり、悩んでます。
りんちゃんさん
子育てってこんなに親を幸せにしてくれるものなのに、そこまでなかなか行くことができない人が多いのが残念で仕方ありません。
ひとりっこママさん
僕もこうして書いていても、いつもうまく伝わるかなと悩んでしまいます。
自分自身、子育てについてわかってきたのは本での勉強以上に、実際の子供との関わりや、いいのも悪いのも含めて周りの大人や保育士が実地でしているのを見てきたという部分が大きいです。
ときどき聞くのが、園庭開放などで保育園等にいってそこでのプロがしているのを見て、子育てのしかたのヒントがつかめたというものがあります。
童具館のアトリエはよかったですね。
積み木遊び等にとても深い造詣がありますので、そこでの関わりも十分手本になるかと思います。
natukiさん
僕もしばしば相談されるのですが、子供のことならばたいていのことはどうにかなるのですが大人のこととなると正直とても難しいです。
ですが、もっとも子供に影響力を与えるのは、一番身近で一番信頼関係のある母親です。
ですから、ある程度周りが過干渉だったり、過保護だったりしても母親の子供に関わる姿勢がきちんと維持できていれば、子供はそれなりにしっかりと育っていけます。
どうしても目に余るようなことがあれば、そこは大人同士ですから大変でも話しあっていくべきでしょう。
No title
お忙しいと思いながらもいろいろと相談にのっていただきすみません
これからも学ばせていただきたいです
悩んでます…
以前も質問させて頂いたことがあるのですが、幼稚園教諭をしている、一児の母です。
育休明けで、4月から復帰して、4歳児年少を担任しています。
育休時代から、おとーちゃんのブログに出会い、もうすぐ3歳になる息子は多少甘えん坊のお母さん大好きっ子ですが、可愛くて可愛くてたまらないほど、素直で良い子に育ってくれています。
たくさん愛情とスキンシップをかけて、叱ることもほとんどなく、話をするとしっかり聞いて理解してくれます。
悩んでいるのは担任しているクラスのことなのですが…
子育てと同じように、たくさんの愛情とスキンシップを心がけ、良くない行動も叱るよりは話を聞き、一緒に考える、ということを心がけてきました。
しかし、園児たちは先生大好きにはなりましたが、男の子は特に、スキあらばふざけたり、まとまりにくいクラスになっているように感じます。
他の先生方にも、メリハリをつけたらとか(もっと厳しく叱るとか…)言われたりもして、仕方なく、二学期は私も叱って、今すべきことを伝えるようになりました。
やはり、子育てとは違って、教育現場では叱るしか手段がない場合もあるのでしょうか…。
家庭で叱られ慣れて4年過ごしてきた子たちには、優しい先生というのは少しなめられてしまったりするのでしょうか。。
色んな育ちをしてきたであろう一人でも多くの子に、自己肯定感を持って欲しくて、出来るなら話をすることで変わって欲しい、叱らなくても分かるようになって欲しいと思って、本当に毎日毎日、一生懸命話をして頑張ってきました。
ですが、乱暴なところもあったり、話を聞く時に聞けなかったり、なべなべそこぬけの遊びでもうまく出来なくて負傷者が出るくらいで…
幼稚園で初めて友達が出来た、という子も多いので、経験不足もあるとは思いますが、4月から本当に苦労し続けています。。
クラス担任というのは、厳しくあるべきなのでしょうか?
甘やかさない、毅然とした態度、などは気をつけているつもりなのですが。
厳しい先生だと、子どもたちとの心の距離が遠いように感じるので、出来れば私は優しくあたたかい先生でいたいのですが、それではクラス運営は難しいのでしょうか。。
長くなりましたが、ご意見聞かせて頂けると嬉しいです。
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うちの3歳になる娘もお手伝い大好きなんですよ。
一緒に食器ふきや卵をわったり、お肉に衣をつけ
たりしてます。
娘『ぼく(お肉のこと)はなんで粉でお化粧するの?』
私『お化粧すると、ぼくはもっとも〜っと美味しく
なるんだよ。今日もたくさん食べてね。』
娘『うん。いっぱい食べるよ〜キャハハハ。』
と、こんなやりとりをしてます。なるほど、娘に
とってはコミュニケーションのひとつだったのですね。
娘は毎日食事中に『まま、美味しいごはん作って
くれてありがとう。』と言ってくれます。
本当に嬉しいです。
娘がこのような姿を自然と見せてくれるのも
おとーちゃんの教えのおかげです。
おとーちゃん、子育ては最高に幸せで楽しい
です