相談 「叱る子育て」を変えていくには Vol.6 - 2012.11.14 Wed
>もうひとつ、ネガティブ行動が多くなってしまっている子は、ネガティブでない行動がわからない・知らない・できなくなっている ということがあります。
これについてです。
子供は関わり方というものを、大人や周囲の子供との関わり・環境から絶えず学んでいます。
しかし、その学ぶこと・身につけていることも、良い形のものばかりとは限りません。
ネガティブ行動が多くなっている子がそれを長いこと続けていると、その子にとっての基本の関わり方そのものがネガティブ行動になってしまうということが、しばしばあります。
そのような子にとっては、親から怒られることですら、親から関わりを向けてもらう機会となってしまうからです。
逆に言えば、その子は素直に関わることをそもそも知らなかったり、親が受け入れてくれないためにそれができなかったり、正直に自分を出して甘えることを拒否されるつらさを回避してしまうためなどいろいろな要因があるでしょう。
それらが子供のもともとの性格に起因することもなかにはあるかもしれませんが、多くは大人の方がそのような子供にしてしまっていると言っていいでしょう。
以前の記事で「子供は生まれながらに可愛いのではない、親が可愛くするのだ」というようなことをずいぶん前に書いた記憶がありますが、このような状況にならないためにも、「素直な甘えの出せる子」にするというのは大切なわけです。
親から怒られたり叱られたりすることすら、心地よくなってしまう(本当にそれを望んでいるのではなくそうせざるを得ないからなのだが)状態になってしまうと、ネガティブ行動はとどまるところを知りません。
ときどきこのような場面をみかけることがあります。
保育園の降園時、お母さんに可愛がられながらお世話をされている1歳児の女の子を、それを見ていた3歳児の男の子がいきなり突き飛ばす。
その3歳児の男の子は、普段からネガティブ行動が頻出している。
人を突き飛ばすなど当然してよいことではありません。
しかも、何もしておらず、年齢も小さい子であるならばなおさらです。
では、なぜこの男の子はそのようなことをしてしまったのでしょう?
この子が生まれつき悪い子だから? 当然そんなことはありません。
テレビなどの影響で、遊びだと思ってやった? 状況的にそうは考えられません。この子の発達段階であれば、そういった認識は確実にできているはずです。
このような姿はこの子供に限ったことではありません。
同じような育ちの状況になっている子では、ときどきみられることです。
このようなケースは、その子自身ポジティブな関わりをそもそも知らなかったりするのですから、突き飛ばすという行為は良くないことではあるけれど、その子自身が責められるべきことではないのです。
では本当はなぜそのようになってしまうのでしょう?
ひとつには、そのように可愛がられている子供に対する「やっかみ」という気持ちもあるでしょう。
でも本当のところは、「自分もそのように可愛がられたい」という願望でもあります。
自分の親に対しての無意識的なメッセージとしてのそういう気持ちもあれば、その女の子の親に対してどうにかして関われば、自分にもそのような好意的な関わりを同じようにしてもらえるのではないかという気持ちもあるのです。
だけど、その子にとっては自分のできる関わりがネガティブなものしかないので、そういった誰から見ても受け入れてもらえないような行動としてしか表現で出来ません。
では、この男の子はどのように対応していったら、そういったネガティブ行動がなくなるでしょうか。
対応方法としてはこれまでに書いたことと全く同様です。
「受容・先回りした関わり・全面肯定 」
これらを積み重ねていけば情緒も安定して、ポジティブな関わりも出来る子になっていけるでしょう。
でも多くの場合、その親が子供の姿から、これまでの関わりを見直す機会をもって、関わりの方向を根底から変えるくらいでなければ、親子間の関わりだけで修正していくのは難しいです。
意識を変えずともそれができるくらいであれば、そもそもその子がそのような状況にはなっていないのです。
このような状況に子供が追い込まれてしまう・作られてしまうと、それを本来のまっすぐな状態に戻していくことは現実的にとても難しくなります。
その状況を知っている大人からすら、あまり可愛くは捉えられなくなっています。
それを知らない人からすれば、なおさらです。
日常の中で肯定されることは少なく、否定されることばかりが多くなります。
その親自身からも可愛く思われなくなってしまう・そもそも可愛く思われていないということがありますから、現実にだんだんと無視・子供へのアプローチを放棄するという方向へ行ってしまうことも多いです。
子供に対する受容という姿勢がなく、叱る・怒る・しつけるだけの子育てをしてきてしまっては、子供がそのような姿になってしまうことがときどきあります。
またこのようなことが本当に顕著な事例では、そういった実際の関わり方だけでなく、親が子供に向ける感情のあり方が深く関わっていることも現実には多いです。
(そもそも子供自体好きではない。兄弟のほかの子供は可愛がれるがその子だけは可愛く思えない。その親自身が生育歴において人から可愛がられた経験を持たない。などなど)
甘やかしでもいいから甘えさせてくれる祖父母のような存在でもいたら、また少しは状況が変わっていたかもしれませんが、現代に多い母子の密室状態の子育てではこのようなことが引き起こされやすいのかもしれません。
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いますいます
我が家の次男です。
3人兄弟の真ん中なので、私と次男だけで行動する機会はほとんどありませんが、ごく稀にそんなチャンスがあると、すごく嬉しそうにします。そして、とても穏やかな面を見せてくれます。ところが、ここに私と次男以外の誰か(家族でも子供でも大人でも)が一人でもからむとダメなのです。
私と2人だけでいるときの、この子の落ち着いた様子を、みんなに知ってもらえないのがすごく残念で、可哀想です。幼稚園でも習い事でも、“すぐに手の出る要注意人物”扱いなので。。
まだまだこれから先、私の接し方で変わって行くものなのでしょうか?ネガティブ行動を全く無くすのは難しいかもしれませんが、“悪さをするこの子も受け入れるんだ!!”という気持ちを持って、接していこうと思います。
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コメ失礼します☆
勉強になります・・・!
私も将来に向けて、勉強していきます!
まりあ