「弱い大人」の問題 Vol.2 - 2012.11.21 Wed
2,3,4について見ていくつもりでいましたが、それよりも事例をあげていくほうがわかりやすいかと思いましたので、今回は「弱い大人」の事例やエピソードなどをいろいろとあげていこうかと思います。
ただ、「弱い大人」についてすべてを網羅できるようなことではないので、気づきのきっかけとして参考くらいに思ってください。
「弱い大人」と言ったとき思い浮かぶ大人の行動は「いいなり」やわがままに対する「甘やかし」ということがあげられるでしょう。
子供のいいなりになって、「好ましくない」とその大人本人が現に思っていることですら、やってしまうやらせてしまうというのは、まさに大人の弱さ以外のなにものでもない。
親自身好ましくないと思っているのならば、子供にそれをさせなければよい。
でも、子供の泣きやダダ、その他の行為に抗うよりはと、それに負けてしまい、結局その好ましくないことをさせたり、やらされてしまう。
小さいうちでもそうだが、多少大きくなってからでも、「周りはしているから」「ないと可愛そうだから」などとわざわざ理由をつけてあげてまで、「好ましくない」と思っていることを子供にさせたり与えてしまうことも、よく聞く話だ。
「私はそれがあなたのためになるとは思わないからしない(させないor与えない)」
で十分なはずなのだが、それを言えるだけの強さや自信をもっていない親も多い。
大人の強さから引き起こされる「過保護・過干渉」もあるが、「弱さ」ゆえに起こる過保護・過干渉も多い。
こんなエピソードがある。
登場人物は、祖母・母・3歳の娘。
母は普段からいいなり傾向で過保護・過干渉。
あるとき、その女の子が朝からずっとダダや不機嫌。
母は「このところ疲れていたし、ちょっと体調悪いのかしら」というような言葉をもらす。
(結果的には体調が悪いのではなく、先回りした気の回しすぎだったのだが)
祖母はそれは大変だと、昼食にはわざわざうどんを柔らかめに茹でて作ってくれる。
するとその子は、「うどんは嫌だおモチが食べたい」とごねる。
それを聞いてその母はわざわざそれからモチを買いに行った。
冷静に考えればわかると思いますが、本当に体調が悪いのならば咀嚼が大変なモチなど食べたがるはずもありません。
単なるわがままというか、大人を振り回すことが関わりとして定着してしまっているゆえにでている行動のひとつでした。
当然ながらこのような関わり方を子供にしていると、子育てはどんどん大変になっていきます。
子供もひねていくことが多くなります。
もし、この親が僕だったらおばあちゃんがせっかく作ってくれたものに対して、「うどんは嫌だモチが食べたい」などといったら、思いっきり怒ります。
あえて感情をあらわにして怒るでしょう。
そのわがままが許容されるということは、人の優しさや真心を突っぱねて良いということになってしまいます。
それはこの子のためにもなりません。
なぜなら、そうやって優しさをアダで返していたら、その子が満たされることはなくなってしまうからです。
人の優しさをそのまま受け取れないような子供になって、子供がまっすぐ育つわけもありません。
「いいなり」や「甘やかし」というのは必ずしも、「満たされた子供」にしてくれないのです。
ときどき、「子供を受容しなければ」と考えて、ただの「いいなり」やわがままに振り回されるだけになっている人がいます。
「いいなり」や「甘やかし」はその子供の要求を聞いているのだから、さぞかし満たされるのではないかとも思えてしまいますが、実際はそうではありません。
子供がそこで出している要求は、その子自身が本当に望んでいることではなくて、うわべの要求に過ぎないからなのです。
子供は、大人に暖かく関わって欲しいとか、優しい視線で見守って欲しい、自分を肯定的に認めて欲しいという欲求を満たすために、様々なアクションをとります。
しかし、それが大人も心地よく受け取れないような要求としてでてくることがあります。
大人はそのうわべの要求に振り回されて、そこだけオロオロしながら叶えたところで、子供が本当に望んでいるその裏に隠れた要求を満たしていなければ、子供の満たされた気持ちは作られません。
前回のところで述べたような、自己肯定感を持てないようなことにすらなってしまいます。
大人自身が「好ましくない」と思うのであれば、そこに自信を持ってそのような、理不尽わがままな要求など突っぱねればよいのです。
その上辺の要求をつっぱねたとしても、その大元のところさえ満たしてあげることができればそれでよいのです。
例えば、「○○がほしいー」とダダをこねる子供に対して、「それは買いません!」と断言して突っぱねたとしても、そのあとにくすぐり遊びをしたり、子供を向き合って楽しく共感したりする経験を持てばそれで子供は満たされるのである。
もっといえば、普段からそれが出来ていれば、そもそもそこでうわべの理由に過ぎない「ダダ」を起こす子供にはならないのである。
(そのあたりが「叱らなくて良い子育て」であり「先回りした関わり」である)
泣きやわがままやダダに負けてしまう「弱い大人」では、子供も結果的に満たされないのです。
長くなってしまったので、また次回に続く。
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● COMMENT ●
先日はありがとうございました
はっきりいいまして、私は弱い大人でした。
今、一歳二カ月の息子がいますが、子供の要求はできる限り満たして育てていこうって言うのを育児本で読んで(今から思うと、いいなりになる…って言うのではなく、子供の気持ちを受け止めてあげましょう…って事を書いてたんだなと思いました。)、息子が指差してあっちへ行きたいと訴えれば、抱っこして言う通りにし、机に登らせて好きにさせたり、できる限りダメと言わず、好奇心を満たしてあげることが最良なのだと思っていました。
でも、息子が大きくなるにつれ、育児がしんどくなってきて、これでいいのかと色々調べているうちに、こちらのブログに辿りつきました。
今は、叱らない子育てを何度も読んで、実践(しっかりできているかわかりませんが)しております。
おかげで、息子もダメなことはダメなんだと理解してくれるようになってきました。
その息子のことで二点、相談です。
この頃、壁に頭をゴンゴンと打ちつける行為をするようになりました。
嫌だなーと言う顔をしながら、「あなたの事が大事だから、そんなことしたら悲しいな」と伝えて、抱きしめるんですが、それが嬉しいのか「へへっ」と笑って何度もします。
壁から離して、違う遊びに誘うとその遊びに入ってくれるのですが。
気を引こうとしてるのなら、私の愛情が伝わってないのかと不安になってしまって。
息子が生まれてから、子育ては触れ合いが一番!と、くすぐったり、抱きしめ
たりして育ててきました。
逆に言うと、これ以上触れ合いを…と言われてもできないくらい、それを一番大切にして過ごしてきました。
いくつか、原因となりそうなのを考えたんですが、先月に引っ越しをして環境が変わったこと、いつも寝る前に親子でじっくり遊んでから寝るということをしてたのですが、寝かされるのが嫌なのか、遊ぼうとしても離れて違う遊びをしてしまうので、寝る前の遊びをこの頃しなくなったこと…が、原因かなぁと思ったんですがどうなんでしょうか。
息子はおっぱいが大好きなんですが、最近さらに執着が出てきて、昼間もおっぱいを飲むと30分以上のんでいます。また、服の中に手を入れて、おっぱいを触るようになりました。それも気になっています。
何かの不安の現れなのでしょうか。
もう一点は、遊べない子供についてです。
うちにあるおもちゃは、光る、音がでるおもちゃばっかりです。息子はもともと絵本が好きで、三カ月くらいの時からよくじっくり読んでくれていましたが、最近はぜんぜんです。
スイッチを押すと反応するおもちゃばかりを与えてしまっていて、今ではそれ以外のものでは遊ばなくなってしまいました。
ブログをよんで、これはマズイと思い、すぐにそのようなおもちゃの電池を抜いて、ダンボールで作ったお家など置いて見ましたが、ちょっと遊んですぐに飽きてしまいました。
息子がじっくり遊べる子供に育てるために、今からできる環境作り、関わりのアドバイスがあればお願いします。
息子と遊びながら、「遊べないなー、どーしたらいいかなぁ」と不安になるのも、息子に伝わってるんでしょうか。
長々と申し訳ないです。
時間のある時で構いませんので、アドバイスいただけたら幸いです。
まだまだ、ネガティブ行動もたまにあるだけなので、打ちつける行為をした時は、「そんなことしなくてもちゃんとみてるよー」と伝えていこうと思います。
思えば、環境の変化や引っ越しの片付けに追われてバタバタとしておたし、息子も不安だったのだと思います。
また、ダメなことはダメと伝えるようになり、今でよりも好き勝手できず、私もちゃんと受け止めてから制止することがうまくできないときもあり、そういうこともストレスになってるのかもしれません。
とにかく、記事をしっかり読まず質問してすみませんでした(>_<)
さくらさん
このことは本当によくある誤解なのですよね。
「子供を尊重する」とか「子供の要求を受け止めて」「叱らない子育て」などという言葉から、それを結果的に「いいなり」になるや甘やかし、過保護・過干渉へとおちいってしまう人はたくさんいます。
遊べないことについては、刺激の強い玩具になれてしまったこともその一因かもしれないし、ほかにも「依存」という部分が強くなってしまっているのかもしれません。
その前のおっぱいの部分でもそうなのですが、子供の成長がやや「依存」の方へと傾いてきてしまっているような印象を受けます。
しかし、これまできちんと受容やスキンシップ・コミュニケーションを積み重ねてきたのはとてもいいことです。
そして、1歳2ヶ月という年齢を考えたらそういった甘えを出したり、遊びが長続きしないというのもなんらおかしいことではありません。
どの程度のことなのか僕からは見れないので何とも言えませんが、それらの姿の程度がさほどのものでないのならば、これから成長していくことであるので気にするほどのことではありません。
ですが、どちらにしても「依存と自立」ということがそろそろ成長の中での課題のひとつとなってきます。
今現在はまだ、「安全基地」の段階です。
お母さんに守られながら、ちょっと外界を探検してみてはまた安全なお母さんのところへ帰ってくるというものです。
そこではお母さんが絶対的な安心できる場所としてあることが何よりも大事です。
ですので、ここで無理に自立させなければと、あえて子供から離れたりひとりにしてみたりと言う必要はありません。
それを理解した上で、子供が自分でできる部分は「自分でやらせてみる」、大人が気を回してなんでもすぐに手助けしたり手を出してしまうのではなく、見守りつつ自分ですることを促したりということも出来る範囲でちょっとずつしていくこともいいかもしれません。
例えば、なんでもかまえばいいというものではなく、「いまはご飯の用意をしているからいけないよ」というようなことも伝えてみてもいいのです。
かといって、先ほど述べたように
>ここで無理に自立させなければと、あえて子供から離れたりひとりにしてみたりと言う必要はありません。
それはできなければならないという類のものではないので、できなければできないでも別にいいのです。
また「過保護と過干渉」カテゴリのなかにも自立についての記事がありますので、よければそちらも参考にしてみてください。
FBで紹介させてください
いつも拝見させていただいております。私自身ちょっと迷った時に拝見することが多いです。
というのは、私はシングルで地元も遠いため、4歳の息子と二人暮らしで東京に住んでいます。私しかいないので、息子が本当に育っているか、不安になるので私自身の指針として拝見させていただいております。
そして、読み終えた後はいつも、息子のお話をいっぱい聞いてあげて受け止めようという、前向きな気持ちになります。
私の周りにもママが多いのでFACE BOOKで紹介させてください。
ご一報まで、と思いましたが長くなりました。ご容赦ください。
これから益々寒さ厳しくなりますが、ご自愛ください。
これからもブログ楽しみにしております。
いずみさん
僕はそういうものは疎いのですが、FBというのはずいぶん便利なもののようですね。
時間のあるときにでも勉強してみます。
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お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。
ありがとうございました
おとーちゃんに言われて、ハタと気付きました。
こどもを信じて、頑張るぞってこどもが決めたことを優しく笑いながら見守るのが親のなのに、何やってんだ。と…。私、幼稚園受験に踊らされていたんです(笑)目が覚めました。
結論からいうと、こどもが宣言した通り、11月の中旬のお誕生日翌日からオムツ外しました。
ときたま失敗しますが、自分からトイレに行って、トイレトレーナーを便座にかけて用をたしたあと、水を流す…まで出来るようになりました。濡れたパンツも、取り替えて籠にいれ、新しいパンツをはけるように…。ウンチはまだ確率低めですが(笑)。
夜は、まだ失敗はなく、寝る前と朝イチでトイレにさそっていると寝ている間は大丈夫な感じです。
幼稚園も、面接時にちゃんとオムツ聞かれましたが、今まで卒乳も自分で宣言して辞めたことなども話して、誕生日にオムツをやめると本人がいっている事、息子の決断を大切にしたいと思っていることなどを正直に話しました。
旦那が言うように、オムツ外れてないと不合格なら、最初から合わない園だし、もう一年イチャイチャして2年保育でもいいんじゃないか。と、素直に思えました。
本当におとーちゃんには教えて頂くことばかりで…感謝しています。
その結果、幼稚園も希望のところに受かり、有難いことです。
おとーちゃん本当にありがとうございました
まだまだトイレトレーニング?は完了ではないのですが、おとーちゃんの排泄についての記事を見つつ、息子大好き!を中心に、もうちょっとがんばります。
ありがとうございました