「弱い大人」の問題 Vol.7 - 2012.12.06 Thu
周りに子供を持った家族がいたとしてすら、なかなか実際のところどのように子供と関わっている どのように関わるとどのようになる ということすらわかりにくいことです。
そういったなかで、「子供は受け止めなければならない」とか「子供の気持ちを満たしていこう」「叱らないで育てるのがよい」というような断片的な情報から、単に子供のいいなりになってしまったり、甘やかすだけだったり、過保護過干渉になってしまったりということもしばしば見受けられます。
「子供を尊重する」ということは「子供のいいなりになる」ということではないし、「子供は大人と対等の人間である」という言葉は、子供が間違ったことをしたときに叱ってはいけないということを当然ながら意味しません。
しかし、誤解する人・理解していても実践できない人もいるようです。
また、子供の「泣き」や「ダダ」を回避しようと、いいなりやモノで釣るなどになることもあるし、ごまかしや脅しといった大人として不誠実な対応を重ねてしまう人もいます。
多くの人が「弱い大人」としての対応におちいってしまうのは、子育てや人との関わりにおける「自信のなさ」や「失敗をおそれる気持ち」というものがあるような気がします。
子育てというのは、明確な正解というものもないけれども、逆にあきらかな失敗というものもそうそうありません。
特に小さい子供にはそうです。
なにかうまくいかないことがあったとしても、あとから修正していくことも可能だからです。
よしんばさして子供のためにならないことだったとしてすら、失敗を恐れながらするよりも自信を持ってやってしまいさいすれば、そのほうがましなことだってあります。
これまで「弱い大人」について実際の事例でもないのに、ずいぶん長々と「相談」カテゴリに書いてきてしまいました。
これには理由があります。
相談されることのなかには、「子供・子育て」の問題というよりも、「大人」の方の問題が子供や子育てに影を落としているだけのことが多々あるからです。
例えば、このようなことや、これに類似するような相談をいくつも受けています。
「子供がごはんを食べてくれなくて困っています」
さらに詳しく話を聞くと・・。
食事以外のところで、「子供が欲しがるから」や「子供に言う事をきかせるため」(つまり誘導や釣りとして)ジュースやお菓子を親が与えたくないと思えつつも与えてしまっている。
などや、
「子供が座ってられないから、気を紛らわさせるためにテレビを見せながら食事をしていた」
「寝起きにぐずりが激しいのでそれをなだめるために、ジュースなどでごまかしていた」
食事のことに限らず、様々なこういった「子供の原因」でなく「親の関わり」ゆえに引き起こされた「子供の問題」が多々あります。
表面的には「子供の問題」に見えますが、これらの原因は結局のところ「親の姿勢」にあるわけです。
その表面的な問題に、なんらかの対症療法的な・裏技的な対応をしてそこに一応の解決をしたところで、親のそういった姿勢が変わらなければ、また必ず別のところで同根の問題がでてくるでしょう。
そのような対症療法ばかりに目がいっていたら、その子育てはどんどん迷走していってしまいます。
つまり親自身が自己の関わりを認識して、そこを変えていこうと思わない限り年齢を重ねるにつれてどんどん子育ては難しくなってしまうでしょう。
そしてそのつけは全部、子供が将来払わなければならなくなってしまいます。
だからこそ、あえて耳の痛くなるような話ですが相談カテゴリに書いてきました。
僕は子供への関わり方をアドバイスすることはできますが、親そのものを変えることはできません。
そこは自分で気持ちを切り替えるしかないことだと思います。
余談ですが、
乳幼児への関わりで、言葉を子供に浸透させられない、いいきかせたりすることができない人で、ときどき子供との会話のなかで「幼児語」や「声色」を切り替えて使ってしまっている人がいます。
これだと子供も大人の感情の所在がつかみにくい、ということになることがあります。
そういった人はもしかすると、普段から普通の言葉で会話することを気にかけることで、多少は改善するかもしれませんよ。
とりあえず、「弱い大人」のシリーズは今回でまとめとしたいと思います。
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● COMMENT ●
いつも楽しく読ませてもらっています。
まるこさん
多くの人に少しでも子育てが楽しんでもらえるようになってくれればいいと思って、これからも書いていきます。
No title
最近育てにくさを感じ、記事を拝見させて頂き、私が弱い大人であるがゆえに色んな問題が生じているのだとわかりました。
自分自身が過保護や過干渉により育てられたと感じ、自分に自信がなくぶれることがあり迷いつつ子育てしていることがよくないのだとも感じています。
弱い大人であることに気付いてから自分自身を変えて行くように努力しているのですが、気になることがあるので相談させて下さい。
最近気になることの一つが「拗ねること」です。
皆で遊んでいる時に私が他の子の相手をすると拗ねて離れた場所に行きどうしたのと声を掛けるとしくしく泣きます。
理由を聞くと、ママが自分よりお友達を好きになったのかと思ったと言います。
「ママはあなたが一番大好きだから何も心配しなくていいよ。」と伝え、先回りした関わりや全面肯定などするように努力していますが、何回かこのようなことが続きどのように対応すればいいのか悩んでいます。
もう一つは、お友達に注意することが増えていることです。
皆が仲良く遊んでいる時に、それはしてはダメなど人を注意することが先に立ち一緒に遊べずにいたりする時があります。
幼稚園でダメと規制されることが多いようなのですが、同じ幼稚園に通う子が皆そうではないので私の育て方に原因があると思うのですが、私がダメダメと言っているわけでもありません。
あともう一つ。
お友達や私と話していて、気に入らないと「ふん!」と言ってその場から立ち去ります。(この言葉自体はは見ているテレビの影響だと思います。)
キレやすいというか。。。
言われてとても嫌な気持ちがする言葉であること、自分の意見が通らないからと言ってそんな風にしてはいけないことも伝えると「ごめんなさい」と泣いて謝るのですがこれも最近続いています。
私自身が変わることが一番の解決策ではあると思うのですが、おとーちゃんさんならこのようなことが起きたときどう対応されるか教えて頂きたくご相談させて頂きました。
お忙しいなか申し訳ありませんが宜しくお願いします。
ありがとうございます
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独身時、就学前の子供たちの療育施設で働いていました。
ほとんどの母親は子どもの事を大切に思っているのに、子どもとの関係がしっかり作れなくて、親子関係が悪循環になっている・・・と歯がゆく思うことも多かったです。
子育ての不安感からくる、過保護や過干渉、「子育てはこうするべき」の思い込み・・・まさにおとーちゃんのおっしゃる通りだと思います。
今娘が2歳なのですが、(本人の気質が元々穏やかで育てやすい部分も大きいのですが)「子ども自身が育つのを信じて、待つ」だけで、こんなに子どもって、面白く可愛く伸び伸びと育つのか・・・と驚くことがしばしばです。
子育てってすごくシンプルで、でも今の時代、本当に難しいことなのだと思います。
おとーちゃんの具体的でわかりやすい記事、コメントの丁寧な返信にいつも感心させられています。
子どもと真摯に向き合って、子どもから絶大な信頼を得ていた保育士さんだったんだろな~と勝手に想像しています(^-^)
我が娘も順調に成長期で、ウンザリすることも多々あるので、おとーちゃんの記事を読んで初心に戻らせてもらっています(笑)
本当に良いブログだと思います!
ずっと応援しています!