兄弟関係について その3 - 2013.02.03 Sun
また、「一人っ子だから○○だ」というようなことも言われる。
こういったものは、いいわるいは別として、兄弟の位置やいるいないということからくる違いというものはあると思う。
子供の成長は、すごく大雑把に考えて、「もともと持って生まれたもの」「環境」「関わり」の3つが大きな柱となっているだろう。
兄弟関係の違いによってそのうちの、2つ「環境」「関わり」が大きく変わるのだから、その結果の成長が変わってくることは当然のことと言える。
二人以上の子を持っている人が、よく「一人目のときはずっと哺乳瓶を煮沸消毒してたけど、二人目の時は最初だけであとは適当にだったわよ」とか、「一人目の時はなんでもマニュアル通りにやってたけど、二人目からはちっとも気にしなかった」などと話す。
こういうことは多くの人に覚えのあることではないだろうか。
どうしても一人目の子のときは、わからないことが多いために神経質になったり、過保護になったり、かけずともよい手間をかけて大人がへとへとになっていたり、その挙句に子供と笑顔で関わる余裕がもてなかったなどということが少なくない。
そういった関わりや雰囲気などが、上の子を気難しくしたり、神経質にしたり、引っ込み思案にしたりということは往々にしてあることだ。
その一方で、二人目三人目ともなると、親もいい感じに力が抜けてくるので、子供も穏やかだったりのんびりと育ったり。
また、上の子の振る舞いを目にして学習していたりするので、親が口うるさく言うことも少なくなったりする。
いいわるいではないし、こういうことはあくまで傾向というだけのことではあるが、そういった兄弟関係のあるなし、ポジションによる育ちの違いというのはあることだろう。
「子供は多ければ多いほど子育てが楽になる」などとも言われる。
これもまたそう言った意味で真実なのだろう。
だが、このことは育てやすい子が生まれてくるわけではなくて、大人の方の子育ての経験や、落ち着き、手をかけるところと手を抜くことのバランスなどの大人の方の関わりに変化がでてくることが大きな意味を持っているはずである。
現代では子供のいる家庭の半数近くが一人っ子であり、兄弟がいる家庭でも大半が二人であり、三人四人いると聞くと多いと感じてしまうくらいになっている。
もし上の言葉のように「適度に力の抜けた子育てが子育てのひけつ」だということがある面の真実だとすると、そういう子育てをすることは難しくなっているということになる。
むしろ、一人の子どもへの期待の大きさ、あふれる情報や、危機感・焦燥感を煽るような子育てや教育の宣伝や伝聞など、よりひとりひとりの子供にのめり込むような子育てになりやすくなっている。
前回見たような、子供との関わりを回避し続けていたり、過剰な人手で子供を囲ってしまうような子育てをしている家庭では、兄弟がいてもまるで一人っ子が二人いるかのようになっているところもある。
そういった家庭の子育てはとても大変である。
兄弟のいるメリットは少なく、デメリットばかりが大きくなってしまうのだから。
僕が目にする兄弟関係のうまくいっていない家庭の多くは、親の関わり方がその原因となっている。
それには事情があってやむを得ないものもあれば、そうでないものもある。
一時的なものもあれば、ずっと根の深いものもある。
原因となるものは無数にあるだろうが、よくあるところをざっとあげてみよう。
親の神経質さ・自信のなさ、過保護・過干渉、過剰な期待、過剰な要求(過度な教育・しつけなどもここに含む)、親の思いの押し付け、多忙、無関心、親自身の育ち、兄・姉であることの強要、満たされなさ、自己肯定感の有無もしくは自己否定感、関わりの一貫性のなさ、その子その子に対する親の好悪 などなど。
昔ならば、「貧しさ」「モノのなさ」というものがあっただろうが、いまはそれらはまずほとんどない。
また、下に弟妹ができて、上の子が不安定になったり、幼児退行したり、下の子にちょっとした暴言や意地悪をしてみたり、疎外感をもったり、こういったことは誰しも通る道であり避けられないことだ。
ある面では関わりが、ある面では時間が解決してくれるだろう。
つらつら書いたのでまとまりがなくなってしまったが、こういうことがあるということを頭の隅にでもおいておくといいかもしれない。
次回はポジティブに、なにが兄弟仲をよくするかについて考えてみたい。
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● COMMENT ●
No title
miyuriさん
親ではできないこと、どうしたってしてあげられないたぐいのことが、兄弟同士の関わりの中でたくさんあるからです。
いろいろ大変なこともあるかと思いますが、それはきっとそれ以上の価値のあるものとして返ってくるものだと思います。
No title
発達障がいについて考える、のシリーズを改めて読ませていただきました。
【なんらかの発達障がいを持っている場合や、そうでなくとも発達に強い個性を持っている子に対しては、個別的な対応というものが必要です。】
わかっているつもりでも、うっかりしてしまいます。
最近あったできごとですが、大きい公園で、
人が多いけれど安全な敷地内なので、遠くから見守っていたら、
どこまでもどこまでも走っていく次男。
しまいに見失うことになりました。
外出してもきちんとおりこうさんにしていることも増えてきていたので、
つい、この行動をやめさせなくては(もうそろそろ、やめさせられるのでは?)、と思い、
「離れたらいけないって言ってるのに、どうして遠くに走っていくの!」とか「迷子になっても知りません!」と言ってしまいました。
「どうして~するの」と言われても子供は困るのですよね。
「知りません」と突き放すのはどんな状況でもだめですよね。
そう言われた次男が悲しそうに泣くので、本当に悪いことをしたと思いました。
怒らないですごせるようになってきたと思いましたが、
油断すると癖がでます。3歩進んで2歩下がっています。
ところで上の兄・下の弟はこんな母よりよっぽど大人なのか、
いい感じにとりなしてくれたり、案じてくれたりします。
幼児、あなどりがたいです。
返信不要です。これからも楽しみにしています。
miyuriさん
「知りません」と突き放すのはどんな状況でもだめですよね。
記事は一般論として書くので、まあいろいろ書いてあるとは思いますが、僕はその状況でそういった対応をしたからといって「ダメ」だとは思いませんよ。
もしかすると、もっとうまい言い方というのはあったのかもしれないけれど、そういったことでお母さんはどれだけその行動で困ったのかということは伝わったと思います。
そしてその気持ちに嘘はないわけですから、言い方のベストかベターかなどということは小さな問題にすぎないことでしょう。
親子の絆、日々一緒に生活することのつながりといったものは、そうそう簡単に壊れるものではありません。
親も人間、子供も人間ですから、うまくできないことや、思い通りにならないことなどたくさんあります。
それでもきちんと人は育ちます。
3歩進んで2歩下がるでいいと思います。
No title
ありがとうございます。
3歩進んで2歩下がって、1歩分進んでいるのは、
まちがいなくこのブログのおかげです。
No title
お忙しい中あたたかい言葉を発信していただけることに感謝しています。
4歳になる一人息子がいます。兄弟を望んでいるのですが高齢のため諦める気持ちが強くなってきました。
今は園から帰ると近所の子と遊べるのが楽しみな様子で、毎日外でおいかけっこをしたりかくれんぼをしたり、家の中で一緒に工作をしたりして遊んでいます。親としても周囲に恵まれたことを喜んでいます。しかし近所の子が習い事に行ったりして遊べない日は私と遊んでいます。(公園に出掛けても私の地域はあまり外遊びをしていません)こういう時、兄弟をつくってあげたかったと胸が痛いです。
幼稚園は帰りが早いので、夕方はたくさん時間があります。子どもを肯定的に見てくださると感じた園を選んだのですが、長く友だちと遊ぶことができる保育園にした方がこどもにとっては楽しかったかなと思う日もあります。幼児時代はたくさん遊ぶことができるよう願っているので、習い事も本人が望むまで考えていないのですが…。
一人っこを育てることになったら、おとーちゃんならどのように育てられるでしょうか。降園後や小学生下校後のことも含めて教えていただけると嬉しいです。
一人っこママさん
基本的に一人っ子でも兄弟がいても関わりというのはそうそう変わりませんが、さまざまな家庭を見ていて思うのは、一人っ子の家庭だとプレッシャーをかけられすぎて、その子らしく育っていないということがあるのを感じます。
子供というのは、ほうっておいても親の意向にできるだけ沿おうと考えています。
その家庭、両親にもよるでしょうけれども、なかには一人っ子で、それらの親の要求、願望、注文、期待というものを強くかけられすぎて、それに沿おうとはするのだけど、その子自身の意思とそれらが折り合いがつかなかったり、過剰なプレッシャーになりすぎたりして、萎縮して育ったり、抑圧され続けていくというようなケースもあります。
ですので、もし気をつける点があるとすれば、よりおおらかに見守っていってあげることが大事かと思い
ます。
>降園後や小学生下校後のこと
あまり深く考えないで、その状況、状況にあわせたことをしていけばいいのではないでしょうか。
「なにかをしなければならない」「なにかが足りないのではないか」というような、強迫観念めいたものを持ちながら子育てすると、しんどくなってしまいますよ。
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兄弟のメリットとデメリットというお話でしたので
最近考えていたのと共通する話題と思ったので、書き込みします。
次男が発達支援を受けています。
ちょっと遊び方が幼くて、興奮してくると騒ぎ出したり走り出したり、あと細かいことにこだわりがあって癇癪を起こしたりします。
障がいの認定は受けていなくて、グレーゾーンらしいです。
こういう症状は、障がいであるかないかの線引きは難しく、程度問題というか、本人と周囲の困り感の問題である、と関連書籍等で読みました。
保健センターのすすめでデイサービスの施設に通っていますが、
私としては「療育の必要ない普通の子ですよ」と言ってもらえることを期待して通わせたのですが、
この前、担当の方に「『治る』ということはない、というか、おにいちゃんのようには、ならないですよ」と宣言されました。
奇声を発したり怒鳴ってしゃべったりで、騒がしい状態であることが多いです。
次男本人にゆっくり時間をかけて向き合えないことは勿論、
長男にとってストレスなのでは、とか、三男の成長にも影響を与えるのでは、と思うことがあります。
また、次男ですから、生まれたときは長男のかげに放っておかれ、
長男が手がかからなくなってきたら三男の世話で放っておかれ、
いい関わりができなかったからこうなってしまったのだろうかと責任を感じたりしました。
一日怒鳴りあう兄弟の仲裁で終わることも多いです。
物を囲い込むくせがあり被害妄想気味の次男と、まだ何でも持っていく1歳三男、次男が興奮するからとおもちゃをひとりじめされても我慢させられがちな長男、3人で大騒ぎです。各自しっかりと遊ぶ時間を確保できていないのでは、と心配になったりします。
こういうのがうちの「デメリット」だと思います。
しかし、
甘えんぼで臆病な長男が、次男の相手をしてやったり、手をつないで連れて行ってくれたり、
次男も、感情を親以外にぶつけたり、しかえしされたりで、加減を覚えたり、
私自身が、もしひとりっこだったら子供にべったりで過保護にしてしまったかもしれないけれど、三男の世話を名目に長男を一人で冒険に出したりできて、
兄弟がいてよかったことがたくさんあると実感しています。
これがうちの「メリット」だと思います。
特にオチはない話です。
しいていえばデメリットにばかり目がいきがちだけれど、メリットを意識して、それを活かせるようにして、楽しくすごせたらいいな。と思います。
ポジティブ思考、ですね。こちらのブログからのいい影響だと思います。
続きを楽しみにしております。