先回りした関わり - 2013.02.12 Tue
*コメント欄も含めた検索方法は「はじめにお読みください」の中に書かれています。
いまさらですが、ここに記事としてまとめておこうと思います。
まず、「先回りした関わり」とはなんでしょう。
正確には「先回りした良い関わり」ということです。
子供が、とくに乳幼児、そして年齢がひくいほど、子供がだしてくる様々なネガティブ行動や無気力な姿などは、多くの場合において親子関係・母子関係などにその根本の原因がある。
・育てにくさ、問題行動の根っこは「満たされなさ」に
そして、そういった身近な大人との関係からくる、子供の「満たされなさ」や「自己肯定感」のあり方が、種々の問題行動を引き起こす。
そういったものには、大人から目に見えている問題行動のみに対応しようとしても、解決にならない。
それどころか、対応の仕方によってはさらに満たされなさを増大させたり、自己肯定感を低めてしまったりと悪い方へと進むことすらある。
また、大人を困らせたり怒らせたりという子供のネガティブな行動が出てしまってからでは、大人も適切な対応がとれないし、子供も大人からのアプローチを受け入れる余裕も失われてしまう。
・問題行動をいちいち対処するのではなく、「先回りした関わり」で根っこを解決してしまう
なので、子供のネガティブな行動が出てからそれに対応するのではなく、良好なときに大人から積極的に子供を満たすような行動、肯定するような行動をとることで、ネガティブ行動の根本の原因になっている部分を解消し、ネガティブ行動そのものをださなくてもよいように、先回りして良い関係を結ぶということがこの「先回りした関わり」である。
「先回りした関わり」として、簡単で誰にでもでき時間も取らず、その効果も大きいものとして、とくにおすすめしているのが「くすぐり遊び」です。
くすぐりについては、ここに詳しく書いているところがありました。
「先回りした良い関わり」として、たいせつなのは子供が受け止められていることを実感でき(受容)、同じ気持ちを共有できている、つまり共感をもてることなどです。
ですので、別に遊びでなくとも大人と子供で良い時間を共有することができればなんでもいいのです。
一緒に歌を歌ったり、ゲームや手遊びをしてもいいし、気持ちよく笑顔でおむつ交換をしてあげることもいいし、着替えを手伝ってあげること、気持ちよくご飯を食べさせてあげること、話を聞いてあげること、面白いことをいって笑わせること、一緒に洗濯物をたたんだり、料理をしたり、そんなことですら、大人の方の心持ちしだいで、「良い関わり」へと変えることも可能です。
ですが、慢性的なネガティブ行動がでているようになっていたりすれば、そういった日常で気持ちに余裕をもって関わること自体難しいことも多いので、くすぐりや顔遊び手遊びなどのようにまずは直接のアプローチやスキンシップなどからはじめることで、だんだんと子供にも大人にも気持ちの余裕をもつことができるようになるでしょう。
現代の子育てにおいて、この「先回りした関わり」は多くの場合非常に効果的です。
別に満たされていない場合でなくとも、このような信頼する大人からの、肯定的で受容的・共感的な関わりというのは大変心地よいものです。
それは安心感と自己肯定感を増やしていくので、子供の健全な成長に大きく寄与します。
子供のネガティブ行動や育てにくさに直面したときは、悪循環にはまってしまうまえに、まずはこの「先回りした良い関わり」をしてみることをおすすめします。
それで解決してしまうことも多いですし、それで解決しきれないものだったとしても、それをすることで派生的にでている問題を少なくすれば本当の問題を解決することがたやすくなるでしょう。
参考として、「相談」カテゴリにある
相談 「叱る子育て」を変えていくには
の一連の記事を上げます。
こちらには具体的な対応としての「先回りした関わり」があげてあります。
また、子育てが難しくなった時に「先回りした関わり」同様に大切な「受容」「全面肯定」もこのシリーズに書かれています。
よろしかったら参照してみてください。
注) 育児の本などで、ときどき過保護・スポイルという意味での「親の先回りした行動」「先回りした関わり」という言葉が使われています。
もちろん、これらは「すべきでない」というニュアンスで使われているものです。
紛らわしくて申し訳ないのですが、僕もときどき同様の意味で「先回りして~~」という言い方をしていたりします。
ですが、主に「囲い込み」という言葉をこちらの「過保護な先回り」をさして使っています。
それについてはこちらがわかりやすいかと↓
失敗はさせてみるもの -過保護と過干渉- その1
今回のテーマの「先回りした良い関わり」と混同しやすいと思いましたので、念のため注として付記しました。
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● COMMENT ●
No title
ぽんたさん
そうだからといって、子供がうまく育たないかと言えば必ずしもそんなことはないとは思いますが、保育の専門性というところから見たら、努力する方向性が違っていると思わざるを得ません。
僕自身も保育園に子供を預けていたとき、その保育をなんとも残念に思いながら5年間過ごしました。
そんな僕と妻の感じた保育の最低基準は、保育が下手でも古くてもそこは百歩譲って(本当は千歩くらいなのだけど)もいいけど、担任保育士が「意地悪」でなければいい ということでした。
いくら保育が上手くても人間が意地悪な人にだけは子供を育てて欲しくないと思います。
幸いその条件だけはクリアできていたので、息子は卒園まで預けられました。
No title
子供を受け止めることについて悩んでおります。
だだこねをした時に表面上の、そうだねぇという受け入れから徐々に本音を引き出して受け入れられたという安心感を導き出すというような文面だったと理解しております。
駄々をこねた時、正直何に駄々をこねているのかわからない時があります。そんな時、ただひたすら何が原因だったのかもわからないまま、そうだよねぇ~と声かけをすることに疑問や抵抗やらを感じています。かといってどうやって受け止めていいのかもわからず... いつも何がいやだったの?と聞いてしまいます。もちろんわからないから梧寝ているのですが、私ですらよく理解できない何かのごねについて、ただそうだよねぇと表面的に言うことが受け入れることになるのだろうか???そんな疑問がぬぐえず声かけが出来ません。どうしてそういう言葉が受け入れることのきっかけになっていくのでしょうか? 実際、そうだよねぇ、いやだったんだよねぇと声かけしても、違う!!と言われてしまったりしてあまりいい結果を得られていません。 よろしければご回答をお願いいたします。
kssさん
お子さんの年齢が書いてないのでわからなかったのですが、成長期にともなうゴネやイヤイヤだったら、「魔の2歳児カテゴリ」に参考になることが書かれていると思います。
また、ひとつひとつのゴネが起こってから対応するよりも、それがでないようになれば一番ですよね。
そもそも、ゴネること自体が目的であるようなことだって子供にはあります。
例えば疲れているときや、眠い時など、またなにか別の思いがあるのにそれを素直にだせないときのサインとして出すときなど。成長期のイヤイヤもそのひとつと言えるでしょう。
そのようなときに、いくら受けごたえをうまくしたところで、納得できたり解決するものではありません。
ちょうどこの記事にあるように、先回りした関わりなどで、ゴネに対応すること以前に受容や認めること、共感することなどを意識していくことがより解決の助けになるかもしれません。
年齢や状況がよくわからないのではっきり言えませんが、子供のゴネを受け止めよう受け止めようとばかりしてしまうことも、かならずしもいい結果をもたらさないこともありますよ。
なぜなら、そういう積み重ねを経験してしまうと、子供はゴネることで大人に受け止めてもらったり、要求を通すことを経験・学習していく度も繰り返していってしまうことがあるからです。
こう育ててしまうと、子供も大人も苦しいし大変です。
そのようなクセがついてしまうくらいならば、「そんな理不尽なゴネゴネは聞けません」と毅然としてつっぱねてしまうことがいいこともあります。
そのへんは、子供の状況や意図、それまでの関わりなどで臨機応変に対応すべきことです。
受容することは大切なことであるけれども、それは子供の要求をなんでも聞き入れるということとは違いますので、混同しないようにしてください。
ありがとうございました
歯磨きについて相談させて下さい。
2歳3ヶ月の娘がいます。おとーちゃんさんのブログとは1ヶ月ほど前に出会い読ませていただいてますが、まだ全部読みきれてないので重複していたら申し訳ありません。
うちの娘も2歳になった頃から成長期が始まりどんどん主張が激しくなってきました。おむつ替え、着替え、お風呂、歯磨き…
正直、おとーちゃんさんのブログを読むまでは無理矢理替えたり磨いたりしていましたが、ブログを読ませていただいてからはそれをやめ、スキンシップや一緒に遊ぶ時間も増やしました。
おむつ替えと着替えは、「かーちゃんも着替えるけど一緒に着替えるー?」などと声かけすると、自分から着替えてくれるようになりました☆
しかし問題は歯磨きです…
今まで無理矢理磨いてしまっていた私が悪いのですが、仕上げ磨きを断固拒否します。
自分ではYouTubeなどの歯磨きの歌を見ながら磨いてくれるのですが…なのでその時に横からちょこちょこ手を出してサッと手伝ってはやめ…を繰り返しています。長くは磨かせてもらえませんし全く触らせてくれない時もあります。
仕上げ磨きをしたくて「歯磨きしよっか!」と言っても「いや!」はあたりまえ。
「そっかぁ、いやかぁ、、でもね、虫歯になったら痛くてご飯食べれないよ。」などと優しく言っても聞く耳もたず…
何度もこの会話が繰り返されるだけ…
エジソンのハブラシという噛むだけのハブラシがあるのですが、仕上げ磨きさせてくれないならせめて噛んでもらおうと噛んではくれますが、これもちゃんと磨けているのか不安です…
一体どうしたら歯磨きさせてくれるようになるのでしょうか?
このまま毎日の受容、肯定を繰り返していればいつかは磨かせてくれるようになるのでしょうか?
でもその前に虫歯になるのではないかという不安でいっぱいで、焦って時々声を荒げてしまい泣かせてしまう事もあります。
その度にこちらが泣きそうになったり…
おとーちゃんさん、どうかアドバイスをよろしくお願いします。
se-koさん
様々な関わり方があるのに加えて、子供の性格により、状況によりさらにいろいろあるでしょう。
なので、どうすればよいという絶対的な正解もないですし、また逆にどうしたらまずいという絶対的な間違いというものもないと思います。
別に無理やり磨くことが良くないとも思いませんよ。
そのことが子供の健康を守るためにどうしても必要なことだと大人が判断するならば、子供が泣いても喚いてもするというのも立派な対応のひとつだと思います。
大人が本気で子供のためを思ってしているのだったら、そのことは子供も理解しますので、それで子供がどうにかなったりするものでもないでしょう。
2歳のイヤイヤ期ということを考えれば、もしかするとしばらく適当にやり過ごしていれば、そのうちさしたる抵抗を示すこともなくなるのかもしれません。
子供に無理にやらせずとも、大人がとなりで自分の歯を磨いているのを見ていれば、そのうち子供も抵抗感なくするようになるかもしれません。
しかし、そういった硬軟の「軟」の対応だけでは、ずっとしないままになるかもしれません。
どういう対応がどういう結果をもたらすかというのは、個別の問題なのでどういう対応がベストなのか僕からは判断付きません。
子供のためになにを最優先するかというのは、親自身が考え判断し決めることです。
もし、歯の健康のために歯磨きをきちんとすることが必要と考え、子供が嫌がってもやるのであれば、大人はそれに自信をもってすることが大切です。
「これでいいのかなぁ」「泣いたらかわいそうだな」と大人の気持ちがブレブレでは、子供は本当に大人がすることを望んでいる、必要なことなのだということが理解できないので、返って納得することもできなくなりかねません。
もしかすると、歯磨きそのものが本当に嫌というよりも、イヤイヤ期の姿でそれを理由として自己主張の練習をしているのかもしれません。
そうであるならば、特に大人は毅然として臨むことが大切だと思いますよ。
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先回りしたかかわり(^-^)/改めて勉強になりました。
またまた反省(/_;)でも明日から頑張ろうと勇気もいただきました。
息子の保育園、三歳児クラスですが、定年間近の主任先生が毎日毎日
ダメダメばかりで子供たちがかわいそうに感じております。
走り回る園児を座ったままの先生が『あ~それはだめ!』『やめて下さい』と
何か他の遊びを提案するもなく、禁止の言葉ばかりです。
毎日毎日そんな姿ばかり…
素人の母親の私が何か言うのもどうかと思いながら。
でも三歳の大切な時間!伝えたい気持ちもいっぱいです。
おとうちゃんさんのブログ読んでほしいです。
いつも勉強になるお話ありがとうございます!