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2024-04

遊べない子に遊ぶ力をつける その4  ―遊びの援助の内容 1― - 2013.04.27 Sat

ではさらに、具体的な遊びの援助の中身についてみていこう。

ただ、これは個々の子供に応じてすることであるから、こうすればよいというものがあるわけではない。

そのためいくつか参考になりそうな事例をあげていく。







・2歳6ヶ月(2歳児クラス) 男児 A君

強い刺激に慣れていて、ひとつの遊びに集中して遊べない。刺激を発しないタイプの遊具には興味を示さないというタイプの子。



A君が興味を示す遊びをそばで見守り、遊びの中で起こることに共感したり、認めてあげることを大人がフィードバックしていくことで、遊びが持続するよう援助する。

いわば、その大人とのフィードバック・関わりが、普段のA君の遊びのモチベーションである「刺激」の代わりとなる。

また、同時にA君の遊びに寄り添っていることで、他児の干渉や外からの注意を引いてしまう刺激などを大人が軽減し、より集中して遊べるようにもしている。


それでも、当初はひとつひとつの遊びの持続時間は長くはない。

まだ、遊びの力のついていない段階であるから、ひとつの遊びへの興味が短いことを否定せず、次の遊びも同様につきあい、見守っていく。

この段階の子供への援助の目的は、「遊び」自体の面白さを伝えることであるので、ひとつの遊びを長続きすることにこだわる必要はない。

むしろ、大人が意図的にそこを目的にしてしまうことにより、子供に窮屈な思いをささることにより、遊びへの興味が減じてしまうので、その状態を肯定し、ひとつの遊びにこだわるのではなく、総体として遊びの時間が楽しめればよい。


刺激に慣れてしまっているタイプの子は、集中したり頭を使う遊びをすることに慣れていないので、そのように遊びを援助している中で疲れてきて、だんだんと遊びへの注力が弱くなってくることもある。

また、刺激を作るために、騒いだり大きな声を発したりという欲求がでてくることもあるので、興味を持続させるような、アプローチも用意しておく。

例えば、普段使っていない遊具をだしたり、遊びに飽きた時用に、動きがあったりする(他の物よりやや刺激のあるような)遊具を別に用意しておくのだ。

そのようにして、ある一定の遊びの時間を「遊び」をして過ごすという習慣をつけていく。

初めから長い時間それができるようにする必要もない。

例えば、30分の室内遊びの時間があるならば、最初の10分それができるところから考えて、少しずつ遊べる時間を増やしていけば良い。
保育者の動きに余裕がなければ、5分でも、ひとつの遊びでもいい。


遊びが持続できそうにない兆候がでてきたら、「今日は○○一緒に遊べて楽しかったね」などと認めるフィードバックをして、あとは積極的な援助から「見守る」などの消極的な援助に切り替えて、そこで遊ばせるためのアプローチを切り上げてもいいだろう。


子供がすでに集中を欠いているのに、無理やり大人につきあわせる必要もない。
遊び込めないようなテンションの日や状況であるならば、あえて遊びに取り組むことを求めないという対応もありだ。

大人からみての「できる」が目的なのではなく、子供自身の「力」をつけるのが大切なのだから、「その遊具で集中して遊べる」といった短期的な目標にこだわり、大人の意図にあわせるあまり、遊びへの興味を損なってしまうようなことをする必要はない。


こういったケースの子は、遊びへの興味がまだ育っていないうちは、「遊具」や「遊び」への興味ではなく、その援助する大人との関わりが上位にあって遊びが持続しているのである。
その大人との関わりが負担になってしまえば、「遊び」へのとっかかりがなくなってしまう。

なので上記のことには十分に注意されたい。


つづく。
関連記事

● COMMENT ●

怖がりの娘への声かけ

今回の記事とは関係ないのですが、参考記事を
見つけられなかったので、こちらで質問させてください。

1歳7ヶ月の娘(ひとりっこ)のことで相談です。
4月のはじめ頃から救急車のサイレンを怖がり、
遠くから聞こえると(母の耳には聞こえないくらいの
小さな音でも)「ピポピポ!」と半泣きになり、
母にしがみつくようになりました。

もともと飛行機の音は苦手で、外で聞こえると「だっこ」と
なっていましたが、家の中では聞こえても平気でした。

救急車は家で遊んでいるときでも聞こえると遊びや食事が
中断されてしまいます。家が大きな道路に近いので、
日に10回くらいはサイレンが聞こえます。

保育園に入れているので、保育士さんに相談したところ、
一度娘がひとりだけ昼寝から早く起きてしまい、園庭で
遊んでいるときにサイレンが聞こえ、保育士さんに抱きついた
ことがあったが、普段友達がたくさんいるときは「ピポピポ」と
教えにはくるが、怖がっている様子はないということでした。

娘はほかにも絵本のあるページで「こわい」と言ったり
ネコが怖かったりするのですが、今日はカラスの鳴き声も
怖いと言い出しました(昨日までなんともなかったのに…)

このようなとき「怖いね」と共感してみたり、「○○ちゃんの
ところには来ないから怖くないよ」と言ってみたりするのですが、
「怖いね」というのは怖さを増強させるような気がするし、
「怖くないよ」というのは娘の気持ちとは異なるので、
どのような声掛けがよいのかわからなくなってきました。

また、だんだん怖がるものが増えてきていることも気になります。
寝ているときも「イヤー」と言ったり「ピポピポ」といって泣いたり
夢でも怖い思いをしているようです。

何か娘のためにできることがあるでしょうか。
ご助言をお願いいたします。

玩具について質問させてください。
6カ月の男の子の子育て中なのですが、0才児のおすすめ玩具はありますか?
あと、玩具は飽きないように定期的に入れ替え(ローテーション)したほうが良いのでしょうか。

リクエストですみません

いつも興味深く読ませて頂いています。過去の記事、コメント欄も自分の事のように勉強させていただいてます。



過去の記事で、むーちゃんの事はよく出てくるんですが、わたくんの小さい頃はどんな感じでしたか?第一子と第二子の違いや、個性の違いなどあったら、おとーちゃんなりの見解を聞いてみたいなと思ったんです。


お忙しいかと思いますので、もし心に留めている事がありましたら、関連記事をお願いします。


まなさんへ

横からすみません。
我が家の息子も2歳に成り立ての頃、「怖い」ものが急激に増えた時期がありました。(現在は3歳2ヶ月で、いつのまにか気にならなくなりました)
あの頃は小さな虫、滑り台、犬、ドライヤーなどなどそれまで全然平気だったものを急に怖がり出し大泣き。そして途中からは「イヤ」の代わりにも使うように。例えば買い物中、自分の興味ない売り場は「ここ怖い」や、食べたくないものは「◯◯怖い」など。。。

「怖い」といえば心配してもらえて、さらに自分の思い通りになるという子どもなりの策略か?!とちょっと感心し(笑)演技っぽいものは「怖くないよ〜」で流してました。


でも本当に怖がってるときは「怖いね」の代わりに「大丈夫だよー。◯◯だからね〜。」でやんわり共感しました。救急車なら「大丈夫だよー。救急車は痛い痛いになってる人を助けてくれるかっこいい車なんだよ〜。急いでるので皆さん道空けて下さい〜!ピーポーピーポー!ってね〜。」みたいな感じでポジティブな感じで。まなさんも色々工夫されてるかと思います。すぐには変化なくても、「大丈夫なんだ」って感覚は少しず〜つ心に溜まってきてると思います。


怖い怖い期?全盛期は私もまなさんと同じように、自分の関わり方が悪かったせい…?と不安で仕方なかったので、大丈夫ですよ〜と言いたくてのコメントでした。


そういえば最近はブランコを怖がって近付きませんが、他の遊具では楽しそうに遊ぶので、気にしてません(笑)


おとーちゃんの場合はどんな風に対応するんでしょうね。私も知りたいです。










ぺこさんへ

体験談聞かせていただいてありがとうございます!
同じ状況を経験されたとのこと、お話していただいてうれしかったです。

>「怖い」といえば心配してもらえて、

確かに、こちらが心配しすぎな素振りをみせているかも、と気づきました。
さらっと流してあげたほうが、たいしたことないのか、と娘も思うのかも。

身の回りの色々なことに気づき始めたってことなんんだろうな、今だけのことなんだろうな、とは思っているのですが、怖いもの・音に会うと顔をこわばらせているのがかわいそうで…。

私も少しずつ娘の心に「大丈夫」をためていけるようにしたいです。

まなさん

成長の過程でなにかを恐れたり怖がったりというのはしばしばあることです。

まなさんのところのようにサイレンとか、あと掃除機なんかも多いです。他にも地震や避難訓練などもあります。


そういった様子は、認め受け止めつつも、あまり過剰に守りすぎないのがよいようです。

地震なんかは大人も怖いものですからしょうがないにしても、本当に怖がる必要のないものにまで大人が過度に守っていくこともないわけです。

あまり、そうやって大人を求めることが習慣になってしまうと、依存が強くなってほかのところでも関わりにくい姿がでてしまうことなどもあります。

怖がったりするのは、年齢があがり成長ともにそういった姿も自然と解消されていくと思いますよ。

とももさん

6ヶ月ということですから、まだ遊びにしてもさほど玩具中心というわけでもありません。

とりあえず、右のリンクから行ける「木のおもちゃがりとん」さんでしたら、「お座りの頃から」のカテゴリの遊具が参考になるかと思います。

また、この時期は遊具の数もさほど多いわけでもないですし、ローテーションする前に次の段階にいってしまうので、あまりその必要はないでしょう。

ともこさん

そうなんですよね、たしかにあんまり書いていないんです。

書こうと思うとたくさんあるんですけどね。
小学校に入っての様子とかも書こう書こうと思いつつ一年たってしまいました。

今度いろいろ書いてみます。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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