支配的な行動を示す子供 Vol.4 ―保育士としての子供への援助― - 2013.06.11 Tue
(いつも話が横っ飛びするのが僕の悪い癖なので、今回は補足的な部分は下に(注)として書き加えるようにしてみました)
ある程度年齢が上がってから受容が必要になってくるこのような事例には、様々なケースはありますが、必要なだけの親の関わりの変化が期待できないことも少なくありません。
様々なケースとは、まだ保育士とその親との信頼関係ができておらず、こみいった話ができない場合や、話してみても理解をえられなかったとき、理解はしてもらえても親自身が効果的な関わり方をできない場合、支配的に関わっているのがその親ではなく祖父母などの第三者である場合などなど、いろいろな理由があります。
そして前号でみたような事例のように、親と話し合うことですぐ解決のいとぐちにつけるようなケースだけでなく、そのようにすんなりといかないこともまた現実には多いです。
その際は保育士が、そのたりないものを補えるだけの関わりをその子供へしていってあげるべきでしょう。
今回はそのアプローチについて書いていきます。
しかし、このことはどれほどうまく保育士が子供に援助できたとしても、次善の策にすぎません。
やはり一番良いのは親から子への関わりがいい形で行われることです。
親へのアプローチよりも、子供へのアプローチに重点をおくことにしたとしても、そのことは忘れずに視野の内においておきます。
また、それが可能になるような子供・親へのアプローチも配慮します。(注1)
まず、子供への対応の基本になるのは保育士と子供との信頼関係です。
このような大人から支配的に扱われたり、親の思い通りの子であることを要求され満たされていない子は、おおむね大人への信頼感が薄くなってしまっています。
大人への信頼・期待が高ければ、もっと大人を直接困らせたりするような形で出せているのです。
しかし、それができないからこそ、自分と同等か下の立場の人間に支配的な行動をとることで自分の心のバランスをとろうとしてしまっています。
ゆえに、信頼関係を作ることがまず第一に必要であり、重要なのです。
その後に「受容」のプロセスがくるのですが、その子のその大人への信頼が薄ければいくら受容的行為を重ねてもその効果は低いままです。
だけど、この信頼関係を作るのが現実には、なかなかに難しい仕事です。
以前にも書いたように年齢が低いうちであれば対応はしやすいのですが、もともとの大人への信頼や期待が薄い子で心の発達も進んでいる子と信頼関係を築いていくのはそうでない時に比べて大変です。
また、「可愛げがなくなってしまっている」状態にまできていればそれはなおさらです。
保育士も人間ですから、ここは言葉でいうほど簡単ではありません。ですが、これができるかどうかが保育士としての腕の見せどころでしょう。
こういった対応ができる人は「高い専門性をもった保育士である」と言えると思います。
具体的には、取ってつけたような褒め言葉などは、このような精神的な発達の進んだ子供には見透かされてしまいます。
むやみに子供に迎合するような関わりをするのではなく、「いいものはいいよくないものはよくない」と本音で関わるような誠実な態度もきちんと信頼関係を築くためには必要かと思います。
素直な部分、子供らしい部分もたくさん残っていればいいですが、そうでないところまでいってしまっていれば「ほめる」ところなど見つからなくなっているケースだってあります。
「ほめる」ことよりも「認める」ことをきちんとしていくことが、発達の進んでいる子供には大切でしょう。
作ってでも「認めて」いきます。
なにかお手伝いをしてもらったり、仕事や役割を任せたり、他児への支配的な関わりをいい形にするようにアプローチしてそのまま遊びの中心的な存在に育てて、そういったところを認めたり、達成感を持たせていくというような関わりが効果的になると思います。
こういった事例に限りませんが、子供がネガティブな部分を持っていたとしても、いい部分を増やしていってあげることでネガティブな出し方をする必要がなくなっていくようにすることができます。
怒る・叱るという関わりから出発し、それに終始してしまってはなかなかその段階に到達することは難しいです。(注2)
保育士と子供とのあいだに信頼関係をつくり、子供に自己肯定感を持たせていくこのようなプロセスを積み重ねていけば、その保育士に対して「甘え」を出してくることがあります。
これは個々によりけりですが、出せる子もいれば、自分からは出せない子もいます。
しかし、それを出させてあげることがこういった子供への援助のためにはとても大切です。
出せる子にももちろんですが、出せない子には特に意識して出せるように関わっていく必要があるでしょう。
どのようにすればいいかというと、関わりの中に常に「あなたを受け止めますよ」とでもいうような「受容的態度」をもって接することです。(注3)
直接的には、「先回りした関わり」などで引き出していくことも大切でしょう。
ここで「甘え」がでてくることも大きな前進なのですが、それは次の難しい局面に入ったということでもあります。
ここでもまた保育士の力量が試されることがあります。
なぜなら、これらの子の多くは大人への「甘え方」というものを知りません。
それを知っている子、出来ている子ならば、本当に生育上の問題となるような他者への関わり、ここでは支配的な態度、までは発展しないものです。
そういう「甘え」を出せる子ならば、「問題は一時的なもの・軽いものだった」ということが言えるでしょう。(注4)
大人への「甘えの出し方」というものをあまりわかっていない場合、その出し方が受ける大人にとって「心地よくないもの」であることがあります。
嫌がるようなことを言ったり、不快になるようなちょっかいを出したり、困らせること、その大人に対して支配的な態度をとったり、イライラするくらいまで極端にベタベタとしてきたり、などなどです。
ケース(注5)にもよりますが、やはりよい関係というのは「お互いが心地いい」ということが欠かせません、そのためにときには「それは困る・嫌だ」ということも伝え、一方で「素直な甘え」「よい甘え方」というものを子供に実地に伝えていかなくてはならないでしょう。
この点も保育士自身が、普段から子供を肯定する姿勢や受容を受け止めるという姿勢を持っている人でなければ、なかなかうまくいきません。
ここも「保育士の高い専門性」の部分だと言えると思います。
実際やってみると、とてもストレスを感じる大変な部分ではありますが、保育士には子供のより良い育ちを援助する職務についたものとしての意識とプライドをもって臨んでもらいたいです。
平たく言ってしまえば、「可愛い子」にしていくのです。
互いに心地よい、大人からすれば「この子は可愛いなあ」と思えるような「甘え」を出せるような子供にしていくことが必要だと僕は思います。(注6)
この状態まで到達し、それを維持していくことができれば、支配的な行動にもある程度目に見えたよい変化というものがでていることでしょう。
それですっかり他にも問題がないと判断されるのケースであれば、それはそれでよいでしょう。
でも、他にもなにか気になる行動があったり、問題を抱えているならば、この到達点をジャンプ台にして、注1に書いたような、「親へのフィードバック」に特に配慮していく必要があるかと思われます。
そういったケースでは、ここまできてそれはゴールではなく、ようやくスタート地点です。
そこで得られたものが、「以前より少し可愛げがでてきたかな」程度のわずかなものであっても、それを親に示しそこから母子関係・親子関係をよりよくするための援助ができることで、保育士としてはその後まで続く子供の成長に寄与したことになるでしょう。
注1 例えばこの後に述べられているように、「素直な甘え」の出せる子供に保育士がすることで、子供には自分の親に「甘え」を出せる子、親からすれば子供を「受容」しやすい状態にし、その上でもう一度親子間でよいアプローチを取れるようにしていくなどが挙げられる。
注2 このことは「してはならないことにまで目をつぶる」ということを意味するのではない。
よくないことならば、怒ったり叱ったりすることも大人の誠実な態度というものであり、それは信頼関係を築く上でも大切なことである。
ここで怒る・叱るの対象にすべきでないと述べているのは、子供が「他児へ支配的な態度を示す」という行為そのもののこと。
注3 このことは過去記事にある「全面肯定」とも関連が深い。
注4 今回は説明のためにモデルとして、根が深いケースを想定して書いています。
ご家庭で気づくような「ちょっとした気になる態度」程度であれば、ここまで深刻なものでないことが多いでしょう。
また、ご家庭では上記のように「甘え」の出せるかどうかというところが、ひとつのバロメーターになると思いますので、それによっても「成長の中で出るちょっとしたこと」なのか「きちんと向き合って対応すべきこと」なのかの違いがわかることもあるかと思います。
注5 被虐待児などでこういうものでも甘んじて受容したほうがよい場合というのもあるだろう。
注6 本来ならばこのプロセスというのは1~2歳のときに、子供は成長の段階として持っているのですが、こういうケースではそこから引きずってきていることが多いです。
- 関連記事
-
- 公的保育とはなにか Vol.1 (2013/10/04)
- これからの保育行政について考える ―保育園に対する国・行政の姿勢― (2013/09/30)
- 「人手がたりない」クラス (2013/08/14)
- 保育 第三の道 (2013/06/23)
- 保育士の援助と公的保育 (2013/06/15)
- 支配的な行動を示す子供 Vol.4 ―保育士としての子供への援助― (2013/06/11)
- 支配的な行動を示す子供 Vol.3 ―保育士としての親への援助― (2013/06/06)
- 支配的な行動を示す子供 Vol.2 (2013/06/05)
- 支配的な行動を示す子供 Vol.1 (2013/05/31)
- 遊べない子に遊ぶ力をつける その6 ―間接的アプローチ― (2013/05/02)
- 遊べない子に遊ぶ力をつける その5 ―遊びの援助の内容 2― (2013/04/30)
● COMMENT ●
反省させられます
コレは個人的な反省に、なってしまいますが…自分は本当にできていないなぁ…と反省させられることばかりで。おとうちゃんさんや、周りの職員達に気づかされ、支えられ、保育士歴7年目だというのに、情けないです…。プロとして、しっかり関わっていきたいと改めて思いました。おとうちゃんさんのブログがあってよかったです。ありがとうございました。
No title
いつも拝読させて頂いております。
現在一歳二カ月の男の子の母親です。
息子が産まれてすぐにこちらのブログに出会うことが出来たことを本当に感謝しています。
息子は産婦人科でもかなり心配されるほど全く寝ないでよく泣くパワフルな子で、新生児の頃から一日中4,5時間は泣き通しな上、眠る時は必ずずっと抱っこし続けていないと眠らないというかなり大変な赤ちゃんでした^^;
あまりにも元気な声で泣く為、四回ほど虐待の疑いで警察が訪ねてくるほどでした(笑)
お昼寝中は抱っこし続けないといけなかったので、おかげでネットや本を読む時間はたっぷりあって、おとーちゃんさんのブログはコメント欄も含めて三回読み通すことが出来ました。
出産直後のハイな気分のままおとーちゃんさんのブログに出会うことが出来たので、周りにはかなり心配して頂いたわりに私自身はずっと幸せな気持ちのまま育児をすることが出来ています。
といってもまだまだ成長期も迎えていないので、大変なのはこれからが本番なんでしょうが…
事例に関してなんですが、私自身も個人的な意見としてですが問題無いかと思っています。
そこまで厳密に言ってしまうと、小町などの新聞社が管理している掲示板の相談事ですら情報漏えいにあたるのではないかと思います。
また私自身は個人情報についてかなり厳密な管理を要求される仕事についていますが、個人が特定されるようなものでない限り、おと-ちゃんさんの提示されている程度の情報はお客様によく話しますし、わかりやすい具体的な事例としてそういう話をするように指導も受けています。(一部上場企業です)
上の子の排泄について相談させて下さい。上の子は春から幼稚園に通い始めるまでオムツをしていました。入園する幼稚園がオムツでも入園OKだったことを幸いに本格的なトイレトレーニングはしてきませんでした。当時、トイレに誘うことは何度かしてきましたが嫌がってほとんど行ってくれなかったので無理じいしたくなかったのです。GW明けから園の要請で布パンツでのトイレトレーニングが始まり(夜はまだオムツですが)、今月初めの遠足では初めて1日もらさずにいることが出来ました。その後2日はもらさずにいられましたが、以降必ず家でおもらしするようになりました。幼稚園では失敗なく出来ているみたいです。失敗の度「おしっこ(うんち)したよって言えたね。おしっこ行きたくなったらする前に言ってねー」と軽く声かけをしています。園でほぼ完璧に出来ているので排泄のタイミングがわからないわけではないと思うのですが。幼稚園ではお友達がいるから頑張っているだけでしょうか。私が求めすぎてしまっているのでしょうか。それとも失敗することで私とコミュニケーションをはかろうとしているのか…。だっこやおんぶを求められることもよくあり、もしかしたら赤ちゃんがえりの一種かとも思いましたが考えすぎでしょうか。是非教えてください。
返信コメントを求めておいて勝手を言うようですが、決して無理をせずご自愛下さい。
ご相談
また相談に対しておとーちゃんさんの誠実な姿勢に敬服し、感謝しております。
以前にもご相談させて頂いたのですが、再度ご相談させてください。
もうすぐ3歳になる娘が、夜眠りについてから何度か泣きながら起きます。
そのときの泣き方が手が付けられず、困っています。
原因は5月から保育園に行っていることです。(8:40~16:30)
甘えたいのだと思いますが、「抱っこしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」と泣き叫び、抱っこしていても同じように泣き叫び、収まりません。
自分でも訳がわからず泣いている感じです。
はじめは「大丈夫だよ~お母さん、いるよー。抱っこしてるよー」と声を掛けながら抱っこしているのですが、30分とか1時間近く続くので
私もイライラしてしまい、それが態度に出てしまっています。
ここ最近始まって、5日間ほど続いています。
私が冷静に根気よく付き合うのが一番なのでしょうが、正直ご近所の目も気になります・・・。
今まで、特に話ができるようになってからはこんな風に泣くことはなかったので戸惑っています。「保育園、もうやめるー」などはいっていますが、昼間はここまでひどく泣くことはないです。
*ここ2~3日、昼間も泣くようになってしまいました。理由は朝ごはんはパンがいいとかテレビをもっと見たいとかです。(6/17追記)*
行きたくない理由は「お母さんがいないから」と言っています。
保育士さんにはあたたかく見守って頂いていて、だんだんと園で泣く時間は減っているとのことです。
肯定や先回りの関わりを増やすことでなくなっていくのでしょうか。
このままの状態が続いたらと思うと辛いです。
おそらく対処法はこちらで学んだことに答えはあるとわかってはいるのですが、なかなか自分をコントロールできず、後から反省するを繰り返しています。。。それも良くないことですよね。
お忙しいところ申し訳ありません。
私に喝を入れてください。
*5月から入所
初め1週間は楽しそうに通園(慣らし保育期間)
その後、毎日行くということに気がついたようで泣き始める
さらに2週間経つと泣かずに通えるようになったが、
発熱で1週間休んでしまい、朝泣きながら通園する状態に戻る
+深夜の泣き叫びが始まった
相談です。
色々書きましたが、シャンプーの事、ありがとうがまた言えるようになるか、寝るときの事 改善点を教えて下さい。後一番は娘が私に脅えてないか、私との親子関係は大丈夫か。娘は買い物に行くと私と離れようとはしません。家では怒る時以外娘と遊べる時は、一緒に追いかけっこや、くすぐりやままごとして笑顔もよく見せてくれます。前に保健婦さんに相談した時も、オドオドしてないしお話や笑顔も見れるから大丈夫と言われましたが、娘の心に傷を残してないか不安です。これからの成長に影をおとさないか?でも肯定や受容を増やせば今からでも修復可能か教えて下さい。ちなみに下の子供の事は、私があれこれ言わなくてもよく可愛がってくれます。私も下の子が泣くと、よくママも娘ちゃんもいるから大丈夫だよーと言ってます。後言い過ぎたと思ったら、寝る前に今日は言い過ぎてごめんねと話ますが、後手後手で大丈夫でしょうか。長々
体調の優れないなか申し訳ないですが、ご無理せずに時間のある時にお願いします。 解決策はおとーちゃんブログを見ていて、私が変わる事が一番だと思いますが、私も自分の感情をコントロール出来ない時もあります… 最近は手を出しそうになったら、この子は預かってるよその子だから手を出したらダメと思うようにしたりします。そこまで思わないと手を出しそうになります。自分の子なのに本当ダメママですよね。また長々とすみません
よろしくお願いします。
きららさん
叱って怒っていれば子供がまっすぐ育つのならば、こんな簡単なことはありません。
それをしていても、良くなっていなければそのやり方に疑問をもつというのが論理的なものの考え方というものなのだけど、そう考えられる人は残念なことに少ないようです。
何十年という経験年数を持つ人でも、ちっとも子供を理解し伸ばしてあげられないという人もたくさんいます。
うさこさん
本当に大事なのは、「気づいていること」です。
本当のことに気づかないままであれば30年やったとしても、ちっとも変わらないなんてこともざらです。
でもそれは、おなじ「うまくできなかった」ことだとしても、気づいていたけどうまく対応できなかったというのとは雲泥の差です。
例えば、全く同じように子供を叱ったとしても、相手を否定する気持ちしかなくて叱っている人と、相手を受容しようとして叱っている人では、子供が受け取るものは全く違います。
そういうわけですから、まずは気づきがあってそれを忘れない気持ちがあることが大切なのだと思いますよ。
ジェリーさん
「先回りした関わり」
これは僕が作った言葉なので、説明がないとわかりにくいですよね。
いろんなところには出てくるのだけど、まとめたものが↑にありますので、ご覧になってください。
ムムリクさん
それにしても4回も警察が訪ねてくるとは、なかなか気苦労も多かったのではないかと思います。
とはいえ、幸せな気持ちで子育てができているとのこと、きっとの気持ちはあとあと子供の姿にいい形で反映されていることと思いますよ。
最近、このブログをよんで子育てが楽しくなった、子供の姿が可愛くなったというコメントを頂くことが多くなりました。とてもうれしいです。ありがとう。
すみさん
>失敗の度「おしっこ(うんち)したよって言えたね。おしっこ行きたくなったらする前に言ってねー」と軽く声かけをしています。
優しく言っていても、こういうことで失敗を意識してしまってプレッシャーになり、返ってなかなかうまくいかないという子もいます。
特別な病気や機能の問題があるのでもないかぎり、日中の排尿の自立はもはや時間の問題の段階にきていることと思います。
こういうとき、僕はことさらできることを求めるアプローチはしないようにして、「そういうこともあるよねー」とか「あ~いいよいいよ~」と軽く流すような関わりだけしています。
あとは子供の成長を信じて待つのが、プラスに働いてくれるケースが多いです。
排泄の自立は意識すればするほど、子供自身(親にとっても)思い通りにいかないということが多々ありますので、ほかの部分で自信をつけていってあげるといいです。
ご飯をのこさず食べられてほめるとか、絵がかけたとかなんでもいいので。
また、園ではできているということは一応の到達点にきているということです。
ですが、その状態は子供自身が無意識のうちにかなり頑張って維持されているということかもしれません。
そういう状態にあるとき、大人だって外でものすごくがんばってくれば、家の中でぐたーっとしてしまうように、気持ちがゆるんでしまうことだってあるでしょう。
なので、外で頑張る反動として、家庭で失敗が一時的に増えているとも考えられます。
それはある意味で、家庭では安心してくつろげているということでもあります。
なので、家庭で無理に頑張らせて、人格形成に響いてしまうようなことをするよりは、外で問題なく出来ているという部分を認めて、おおらかに長い目で見てあげるほうがいいのかもしれません。
どちらにしても、自立までは時間の問題の段階にきていることは間違いないでしょう。
ぽぺぺさん
ちょうどその時期にきているのかもしれないですね。
そこで変に親が預けていることに後ろめたくなったり、及び腰になってしまうと、返ってなれるものもなれなくなってしまいますので、子供の気持ちは受け止めつつも、そのあたりの気持ちはしっかりと持っておくといいでしょう。
園でひどい扱いを受けているというのでなければ、頑張っていることの反動とでも言っていいものでしょう。
時間とともに乗り越えていけることです。
親子で一緒に過ごせる時間は大切にして、受容などもわすれずに気に留めておきましょう。
また、夜泣きについては激しい場合、眠らせようとするよりも、一度起こしてしまってリセットしてからあらためて眠りにつくようにするとすんなりといくこともありますよ。
起こすといっても、遊ばせるとかテレビを見させるとかではなくて、食卓に連れて行って水をのませるなど、その子に応じてですが。
誰に相談して良いかわかりませんので、思い切ってこちらでコメントさせていただきます。
3歳の息子が成長期真っ最中です。
が私がそれについていけません。
今、息子との関係が最悪な状態です。
この春、妹が生まれ、幼稚園入園と息子にとって
環境の変化があり、ストレスを抱えているのだと思います。
が私が第2子を妊娠してから、息子を可愛いと思えなくなってしまいました。
主人にも「息子に愛情を持って接していない」と言われ、これではいけないと思うのですが、毎日グズグズされると余計に距離を置いてしまっている
駄目な母親です。
自分自身、親から愛された記憶がないので、子供には私のような思いはさせたくないと思っていましたが、結局同じ事をしています。
このままでは息子はまともに成長できない、申し訳ないとおもいますし、
下の子にも同じような接し方になってしまう自分が怖いです。
どのようにしたら、子供を愛してあげられるのでしょうか?
No title
こちらこそ優しいコメントをいただけてとても嬉しかったです。
本当にありがとうございます。これからも頑張っていこうって思えました。
生後三日目から始まった昼間に何時間も泣き通しという状態は六カ月ごろにようやく治まったのですが、その頃から今度は毎晩必ず十回~二十回ほど夜泣きをするという状態が続くようになりまして…^^;
それも数週間ほど前にやっと落ち着いてきたかなと思ったら、今度は早くも成長期の兆しが見えてきたりして(笑)
まだまだこれからも大変なことは沢山あると思いますが、胎動も感じるのが十二週、他の人が触ってわかるのが十五週ごろと驚くほど早くて、お腹の中にいた頃からとても元気な子だったので、そのままパワフルに産まれてきてくれたんだなと喜んでいます。
私は今まで小さい子と関わる機会が無く、子育てがどういったものかわからずに親になった上に、かなりいい加減な所があるので「いつも元気でいてくれる」という部分で本当に息子に助けられています。
それに親馬鹿ですが、むーちゃんのように本当によくしゃべっていっぱい笑ってくれる子です。
おとーちゃんさんのブログには「赤ちゃん、いっぱいしゃべる」で辿り着きました(笑)
言葉はまだですが、会話をするのと変わらないぐらい意思疎通が出来るので、おとーちゃんさんのおっしゃっていた通りベビーサインが無くても赤ちゃんと意思疎通って簡単にできるんだなぁと驚いています。
本当に可愛いわが子ですが、これから成長期が本格的に始まったり、来年は保育園で長時間保育を受けることになりますので、また違った悩みが出てくるかと思います。
もしも行き詰った時はおとーちゃんさんのブログを読み返して自分の子育てを振り返ってみようと思っています。
こういったブログを続けられるのはご負担も大きいかと思いますので、ご無理はなさらないで下さいね。
かにかまさん
お子さんの難しい姿には、もともとの性格的なものや気質的なものの影響もあるのかもしれません。
また、実際の様子が見れない僕からは正確なことは言えません。もし発達障害などの個別的な原因があってのことであればまた対応などは違ってきます。ですから、一般論としての範囲でお答えしていきますね。
コメントから推察するに、娘さんは「肯定」の欠如に対してサインを出しているという可能性があります。
「自分のことを大好きなお母さんに認めて欲しい」子供には誰しもこういう強い欲求があります。
これが足りなくなってくると、様々な形でそれを引き出そうとします。
しかしどうすればそうしてもらえるか、ということがわからなかったり、いい形でそれを出すには余裕がないために、少なからず大人にとって困った形ででてきてしまいます。
サインを出しているうちはいいのです。
それに対して、叱られたり怒られたりを繰り返し長きにわたって続けられてしまったとき、諦めきってそれを求めなくなった時には性格的な問題などとして、固定化したりさらに難しい問題へと発展したりすることもあります。
しかし、こういった「肯定」の足りなくなる状態というのは、子育て中頻繁に起こることがあります。
親が忙しかったり、保育時間が長くなったり、下に赤ちゃんが生まれるなんていうのも、そのよくあるひとつです。
出方も小さなものから大きなものまであります。
すねる程度から、下の子に攻撃したりするなどなど。
そして、場合によっては親からいい関わりをもらおうという「肯定」すらもらえないとき、叱られるような関わりですら親に繰り返すことで、満たされなさを埋めようとしたりします。
しかし、当然ながらそれで十分に満たされるはずもありません。
大抵はより怒られたり、叱られたりして不満がつのり、さらにネガティブな行動が増大するという悪循環になります。
そういう状況から抜け出るには、親のほうが意識的に「肯定」的な関わりを増やしていくしかありません。
子供に「良くなる」ことを先に求めて、それから「肯定してあげよう・可愛がってあげよう」というのは無理なのです。
ですので、認めるところを作ってでも、認めたり褒めたりをして、「自分はお母さんに肯定してもらっているんだ」という実感をもたせるしかありません。
『Fがない』の記事や、「全面肯定」「認める」などで検索してみると過去記事に参考になるところがあると思います。
くすぐりなどをしているのであれば、そういう時間を増やしてみたり、笑顔でいっぱいでしてみたり密度を濃くしてみるのもいいかもしれません。
ただ、現状では娘さんの方に大きく余裕が失われている状態でしょうから、すぐにかわるものでもないかもしれません。コツコツとやっていくことが大切でしょう。
>シャンプーの事、ありがとうがまた言えるようになるか、寝るときの事 改善点を教えて下さい。
↑これらは「出来ること」に過ぎません。
これは問題そのものではなくて、満たされない状況からくる派生的な問題でしかないでしょう。
ですので、気持ちが満たされそれが安定してくれば、それにつれて解消される問題です。
むしろこういった「出来ること」を求める親の気持ちということが、子供を追い詰めていく一因となることもあります。
親が子供に「出来ること」を求めるのは、子供からすると「現状の否定」と感じられます。
「なんでできないの」「なんでわかってくれないの」「またごねるのね」そういう気持ちは言葉に出さずとも、子供に「自己の否定」と映ります。大人にそういった意図がなくとも子供にはそう見えてしまうことがあるのです。
当然それは「肯定」の逆の行為です。
もちろん人間ですから、大人に余裕がないこともあります。
そう思ってしまうことだってあるでしょう。それはそれでいいのです。
でも、「できないことをできるように求めることは、否定になることがある」というのは知っておくといいかと思います。
それだけでも変わってくることもあるでしょう。
出来るならば、「4歳なんだから」「お姉さんなんだから」そういうことを全部取り払った目で見てあげる時間を増やしていきましょう。
大人にそういう意識が強いと、子供は自己否定から抜けられなくなってしまいます。
「ありがとう」が言えるかどうかなどは、「子供が自己肯定感をもって成長していける」といったことに比べたら実にどうでもいいことなのです。
以前言えていたのならば、本質的には「言える」のです。
でも、子供の満たされなさがそれを出せない状態にしてしまっているだけのことです。
問題は大人のそういった意識にあります。
きちんと自己肯定感を持たせることができれば、またもとのようにいうことができるでしょう。
ですので、とにかく今の段階では「子供に『できる』を求めない」「できないを否定しない」ということがひとつのポイントになると思います。
赤ちゃんに優しくする姿がでているということは、本当に余裕がすっかり失われているわけではないということでしょう。
大人の意識・関わりしだいで子供の姿を変えていくことは十分可能と思われます。
怒りすぎてしまったとき謝ったりすることは、大人が自覚し反省するという点ではいいかもしれませんが、ときに子供からすると混乱を招くことがあります。
悪いことをしたから叱られたと思っていたのに、それは悪いことではなかったのだろうか?
たくさん怒られるとあとでお母さんは優しくなって謝ってくれるから、(ネガティブな行動は)間違ってなかったのだ!
無意識にですが、そういう風に子供は行動づけされてしまうかもしれません。
謝るよりも、「今日はあなたのしたことたくさん怒っちゃったけど、あなたのことは大好きだよ」
など、存在の肯定を伝えられる言葉にしたほうがプラスになると思いますよ。
ペロンパさん
というのは、子育てしていると誰しもにでてくることのあるものです。
「駄目な母親」だとは僕は思いません。
本当にそうならば気にもしないし、そのことで悩んだりもしません。
うまくいかないから「駄目」なわけではないですよね。
人には得意不得意というものもあるのも当然です。
ですから自分を責める必要はありません。
成長期は個々の差もありますが、大変なときは本当に大変です。
そういう場合は、「うまく対応しなければ」と考えず、「なんとか今を乗り切ろう」でいいと僕は思っています。
イライラしてしまって手が出てしまいそうなほど大人も追い詰められたとき、そうならないようにちょっとしたことであればスルーしてしまったり、食べ物で気分を変えられるのだったらそういう手段に頼ってしまったっていいと思います。
それが子育て中ずっとでは困るけれども、成長期の大変さを乗り切るためならば、真正面からぶつかって子供にも大人にもプラスにならない関わりを積み重ねるくらいならばそれでもいいと考えています。
また、
>自分自身、親から愛された記憶がないので、子供には私のような思いはさせたくないと思っていましたが、結局同じ事をしています。
そういう経緯があるならば、子育てをひとりで抱え込まず助けを求めることも、ときには必要です。
ご主人にもご自身のそういったことを伝えているのであれば、今一度子供の対応に苦慮していること、そうしたいとは思いつつもどうしてもできないことを理解してもらって、ご主人に「子供を可愛がる役」をやってもらうのです。
いまの時期だけでもそうやって乗り切っていくことで、子供の成長はバランスをとれます。
そして、成長期が落ち着いてくればペロンパさん自身にもまた余裕をもって関われる日がくるでしょう。
いまはペロンパさんが直接可愛がることはできなくとも、別の人が代わりにしたものが子供に蓄積されれば、あとあとペロンパさんにもプラスになって返ってきます。
今現在は妊娠中とのことですので、体のしんどさや精神的な変化で、ものをポジティブに考えられなくなるということもよくあります。
成長期+妊娠というのはとっても大変だと思います。
でもずっとそれが続くわけではありませんから、どうか悲観的にならずに無理をしなくていいのでできることからやってみてください。
僕がつかっている技をひとつ書いておきますね。
これは、子供がイライラしてたり、心がささくれだっていて、それゆえに困ることや意地悪なことネガティブな行動をするときにつかう方法です。
こういう場合は、悪気があってやっているわけでも、していけないとわかっていないわけでもないので、叱ること・怒ること・理責めで話すことも、よけい子供をささくれだたせるだけでプラスにならないことが多いです。
そんなときは、「そういうことをする子はくすぐっちゃうぞーー」とくすぐりで返します。
ときには、「そこに寝なさい!」と怖い顔で言って、寝かせてから「そういうことする子はくすぐっちゃうぞー」と笑顔でやってあげます。
これにより、子供は受容されたことを実感できるのと、ネガティブ行動でださずとも大人は見てくれるということを体で理解します。
ただし、子供も大人も本当にヒートアップしてからではできないし、効き目もないことが多いので、本当にそうなる前に先手を打ってするのがポイントです。
とりあえず今だけ乗り切ってしまおう。きっとまた笑顔で関われる時がくるよ。
ムムリクさん
いまたくさん関わった分や、可愛がったものがきっとあとあとにも助けになってくれますよ。
ありがとうございました。
大変ご無沙汰しております。
突然の相談に丁寧なアドバイスをいただき
まことにありがとうございました。
お礼が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
相談させて頂いた時はかなり精神的にも追い詰められていたので
文章がかなりまとまりがないものとなっており、重ねてお詫びいたします。
アドバイス。心に染みました。とても救われました。
元々私自身が不器用なため、子供と真っ向正面から向き合おうとして
私がつぶれかけていました。
でも、おとーちゃんさんの「乗り切る」という方法でも良いのだと
アドバイス下されたのでかなり気持ちが楽になりました。
くすぐりもかなり効果がありました!!ありがとうございます。
最初のコメントで、息子の状態をお話すればよかったのですが、私が追い詰められていて余裕がなく、お話しなかったのですが、もう一つ気になる事があるのですがお話してよろしいでしょうか?
実は息子は市の1歳半、3歳児検診で毎回面接(保育士さんとのやりとり)でチェックが入り、2度ほど心理テストなど受けています。
言葉も遅く、発達障害を疑われております。
先日も3歳児検診では面接もやりたくないと大泣きして出来ず、
保健士さんに心理テストを勧められ、後日受けに行きましたが
全くやる気がなくテストになりませんでした。(やりたくない事はどれだけ
説明してもやってくれません。眠たい状態ではありました)
1歳頃から多動を疑われ、現在は多動については落ち着きを見せてますが、コミュニケーションがうまくとれない、気分にムラがあると指摘を受けています。
先日の心理士の先生からははっきり「育てにくい子」と言われてしまいました。
特に発達障害の診断を受けているわけではないのですが、かなりグレーゾーンのようです。
私の育て方が悪かったのでしょうか?
また、我が子のように少し個性の強い子供への対応の仕方で何か良い方法がありましたら、またアドバイス頂けると幸いです。
お忙しい中度々申し訳ありません。
ペロンパさん
グレーゾーンというのは何が原因か特定できないからグレーゾーンなのですから、誰のせいなんのせいなどときめつけることもありません。
たいていは、誰しも発達の中で出てくることがたまたま強くでているといったことが背景にあるのですから、自分のせいなどとは気にしなくていいでしょう。
よしんば、ペロンパさんのこれまでの養育態度に問題があったからそうなっているものだったとしても、それで自分を責めてどうにかなるものでもありません。
これからできることに目を向けましょう。
また、子育て中の人はしばしば「自分がよくなかったから」という思考におちいりがちですが、そう考えることはプラスにならないばかりか、より問題を大きくする元ともなるので危険ですらあります。
そういう考えにとらわれないようにすることを強くお勧めします。
>また、我が子のように少し個性の強い子供への対応の仕方で何か良い方法がありましたら、またアドバイス頂けると幸いです。
この点に関しては、『発達障がい』について書いた過去記事の中でとりあえず一般的なことは書いておきました。
こういったケースは個別の対応が大事になりますので、僕からは具体的にどういった対応がいいかというのは伝えられません。
大事なことはその子の個性を見極めてそれに応じた最適な対応を考えてみるということだと思います。
大人の対応やかかわり方を変えるだけで、子供の行動や様子に影響するということが、個々の特長にもよりますが往々にしてあります。
それをしらずに既製の対応では、子供の自己肯定感などをさげる結果につながることもありますので、心理士の方から注意点を教えてもらうなり、参考になる本などを紹介してもらうと良いかと思いますよ。
No title
早速の返信アドバイス、ありがとうございました。
まさか、自分の子供が発達障害を疑われてるなんて・・・
と受け止めるのに正直な所、いまだに時間がかかっています。
そんな中、成長期のかんしゃく、赤ちゃん返りと重なりかなり
心が折れそうになっていました。(まだ少しへこんでいますが)
でも後ろを振り返っても仕方ないですね。
心理士の先生や市の保健士さん、幼稚園の先生とも
相談しながら、息子にあった対応の仕方を私ももっと学び
楽しい子育てが出来るように努力します。
これからも、ブログを拝見させて頂きながら勉強させて頂きます。
ありがとうございました。
親が救われました
当方、1歳5か月の男児をもつ父親です。
出産直後より母親が体調不良のため、
私が育児休業を取得してこれまで子育てしてきました。
この4月に保育園が決まり、間もなく復職予定です。
子供が9か月のときにこのブログと出会ってから、
これまでの記事を数ヶ月かけてゆっくり拝読しました。
おとーちゃんさんのアドバイスの数々を実践する中で、
子供の笑顔が明らかに増え、子育てがさらに楽しくなりました。
---
ここで親自身も救われたことがありましたので、
感謝のコメントをさせてください。
「支配的な行動を示す子供」シリーズは、
私がブログの中ではじめて拝読した記事でした。
私自身が子供の頃、支配的な行動を示す子供でした。
我ながら、変に大人びて可愛げのない子供でした。
その傾向は10代のときにものの本で気づいたのですが、
その結果、自分を責める方向に向かいました。
「私は他人と関わっても悪影響しか与えられない」
「ならば今後は他人にあまり関わらないように生きよう」
そんな悲しい決意をして、長い間生活してきました。
でもこのシリーズで、大人への信頼感が薄い・あきらめが
根底にあるとのご指摘に、腑に落ちた思いがしました。
自分が子供の頃そうなったのも仕方なかったのだ、
そう思うことで救われる思いがしました。
そして、子供には決して同じ思いをさせたくないです。
私も、自分の育ちを乗り越えようとしている一人です。
※関連して、もうひとつ親が救われたことがあったので、
「信頼関係 Vol.1」の記事にコメントします。
トラックバック
http://hoikushipapa.jp/tb.php/444-d732815d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
子供の人数も多い上にネガティブ行動をする子が多く職員にも余裕がなくキチンと関わってあげることがありません。
上のクラスで困るからと厳しくしたり見えることだけに力を入れる始末。
おとうちゃんが言われるような関わりが出来る保育士になりたいですが周りにはいません(泣)
今回の記事勉強になります。ありがとうございます。