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2023-03

受け止めない甘え Vol.2 - 2013.07.31 Wed

受け入れがたい甘えを受け止めないことの具体的には、受け入れられないと素直につっぱねればよいと思います。

別に必ずしも怒っていう必要もありませんが、そのネガティブの程度がひどい場合などには怒ってでもネガティブな出し方をやめさせるということもときにあります。







僕がよく使うのは「素直に甘えなさい」という言葉です。

「理由をつけて泣かないで素直に甘えな」とか
「ごねて甘えないで、可愛く甘えましょう」などです。

子供が本当に感情的になっていたり、眠かったり疲れていたりで理性が働かなくなっているような状態でなければ、わりと通じるものです。


子供にしたって、素直に甘えて受け止めてもらえるならば、ごねて出すよりもよっぽど心地いいものですから、互いにそれはいいことです。


ただ言葉だけではだめですよ。
素直に出してきたらそのときはきちんと受容をできなければ、その言葉は嘘になってしまいますから、かえって大人への信頼感を損なうことになってしまいます。





子供が強いかんしゃくやダダを出してくるようになってしまっていたら、そういうときは大人だって強くでないと子供には伝わらないこともあります。

そういうときは、「そんなイライラされても困るっ!」と怒ってしまいます。

その上で、「ちゃんと受け止めてあげるから素直に甘えなさい」ときっぱり毅然として伝えます。

もちろん、かんしゃくをやめて素直に甘えてきたらそれを受け止めてあげます。


そうすることで、子供はネガティブな出し方から、受け入れやすい出し方にすることを実地に学んでいけます。





保育園のある3歳児クラスのことです。

このクラスは、保育時間が長かったり、親の関心が低い子がいたりで、全体的に大人への関わりが素直にできなくなっている子が多かったです。

はっきり言ってしまえば、満たされない子が多かったと言っていいでしょう。


その前の2歳児のクラスのときから、「この子達は大変だ」としきりに言われていました。

3歳児クラスになり、さらに大人を困らせるような出し方、他児とのトラブルなども増えてきています。


そこで、この「ネガティブを受け止めず、素直な出し方にする」ということを、保育士で意識して取り組んでいました。

この子供たちは、素直に控えめに甘えを出していては受け止めてもらえないということを、これまでにたくさん経験してきてしまっていますから、かなりのダダやかんしゃく、どこかが痛いだとか、誰かが叩いただのと理由をつけて甘えや大人の関心を引き寄せようとするようになってしまっています。

なので、最初の方はそれこそ怒るようにして、そのネガティブをきっぱり否定するところからスタートしなければなりませんでした。

でも、怒ってその「行為」を否定したとしても、その後に受容することを大人が保証しています。
つまり、受け止めることについて嘘をいっていないので、それを繰り返すことで大人への信頼感を回復していきました。

そして、受け止めるということは、その子個人の「肯定」ということなので、どんなに強くネガティブな出し方を怒って否定しても子供にとっては自己肯定感をさげることではありません。

これをすることで、2ヶ月もたたずに落ち着いたクラスにすることができました。

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● COMMENT ●

No title

はじめてコメントさせていただきます。
記事の「受け止めない甘え」に少し関係して、最近、2歳3ヶ月の息子のことで悩んでいることがあり、相談させていただきたく存じます。
お忙しい中、大変恐れ入りますが、もしお時間がありましたら、お読みいただければありがたく存じます。

この1ヶ月ほどなのですが、息子が、寝る前や起きてすぐでぐずり気味のとき、「ママ、いや。」「あっち行って」などと繰り返し言うようになりました(追い出そうとするしぐさとともに。それで、言われるとおり本当に部屋を出ると、すぐに追いかけてきて「ママ、こっちに来て」と言われます)。
目が冴えているときは、母親(私)に十分甘えてくれますし、キスなど愛情表現もしてくれます。
自立したいという気持ちの表れなのか、それとも深層心理では母親が嫌いと思わせることをしてしまったのか、毎日考えてしまいます。
それで、質問をさせていただきたいのですが、

おとーちゃんさんのご経験では、このように「母親嫌い」を表現するお子さんはよくいらっしゃるでしょうか。もしほかにもいらっしゃる場合、どのようなことが原因としてありますでしょうか。

こうした息子の態度に接したとき、私は、自分の存在が否定されてしまったように感じ(これ以外の「いやいや」は概ね受け止めることができるのですが)、本当に悲しくて、「そんな言い方をしたらママは悲しい」と伝えています。
息子の「ママきらい」という気持ちをどのように受け止めたらよいものか、「そんな言い方はやめて欲しい」と伝えてもよいのか(それは息子の気持ちを否定することになるのか)、おとーちゃんさんのご意見をいただくことはできないでしょうか。

長々と書きましたこと、どうぞお許しください。もし、この質問が、回答に値するものであれば、お答えいただけると本当にありがたく存じます。

3才7ヶ月の息子がおります。
癇癪、こだわり等多々育てにくいと感じることがあり、発達障害ではないかと悩みすぎて育児ノイローゼになりそうな日々を過ごしていたところ、こちらのブログに出会いました。
2才5ヶ月で弟が生まれてから赤ちゃん返りと本格的なイヤイヤ期に私もいっぱいいっぱいになり、息子を可愛いと思えずこの一年息子の自己肯定感を否定する日々で、息子も限界がきて発達障害と同じような症状が出ているんだと思います。
ブログに保育園のお迎え時に今まで楽しく遊んでいたのに母親の姿を見るなりグズりだすという記事を拝見しましたが、まさに息子がそうでして昨日も教室に私が入るなり『ママキライ〜出ていっていや〜』と泣きわめき先生方もビックリされていました。
あびえんさんに便乗させていただきますが、息子もこの4月の3才クラスになった頃からママきらいと頻繁に言うようになり、何かにつけてママきらいと言います。ごはん中は座りなさいママきらい といった感じで些細な注意ですらママきらいで返してくるので、きらいの裏には好きがあると分かってはいても一日に何十回もきらいと言われると精神的にきついです。息子の前で泣いてしまったこともあります。
きらいと言うと母親が何かアクションを起こすことに満足感を得ているのでしょうか?
ブログを参考にくすぐりは毎日心がけています。
ママきらいと言うことに関して何か意味があるのか教えていただきたく、またそういう場合はノーリアクションがいいのか等アドバイスいただけたら助かります。よろしくお願い申します。

あびえんさん

こういった相談は他の人もやはり同じように感じるみたいで、しばしば同様の相談が寄せられます。

そういったとき僕はいつも感じることなのだけど、自分のお腹のなかでまさに一心同体の状態で命が宿って、さらに死ぬほど苦しいという痛みを乗り越えて出産してきた母親にとって、子供が年端もいかない状態でちょっとした悪態をつくくらいでその母親としての存在や自信は簡単に揺らいでしまうものなのかな、という疑問をいつももちます。

男性の僕には想像するくらいしかできませんが、どうなのでしょう?


僕の勝手な想像ですが、子供を生むという経験は男性が「自分は父親である」と思うようになる過程にくらべてずっとずっと強烈なものなのではないかと思うのです。


子供の母親に対する思いや、母子の絆というのはそれはもう父親へのそれとは比べ物にならないほど大きなものだとたくさんの子供を見ていて思います。


よほどのことがなければそれは揺らぐものではないでしょう。


子供が悪態をついてきたとしても、「なに言ってるの、そんなこといったらお母さん承知しないよっ!」と怒ったって、少しも母子の絆や信頼関係はそがれるものでもないですし、

母親としての自信で、子供の何気ない言葉など大きな包容力で笑顔で「はいはい、気持ちはわかるけど、そんなこといわなくても大丈夫だよ」と返してあげてもいいのではと思います。



はっきり言ってしまえば、子供はツンデレをしているのです。

ある意味では、そういったカマをかける言葉で大人のほうが動揺してしまうくらいだから、子供はそのようなストレートでない出し方で大人の気持ちをたしかめざるをえなくなっているとすら言えるでしょう。


>それで、言われるとおり本当に部屋を出ると

こういう対応をとられると、子供は母子関係により自信をもてなくなってしまいます。
その結果その他の場面などでもネガティブな行動が増えていくことが予想されます。

なんでもいいから自信をもってきっぱりと返してあげるほうがいいでしょう。

はぴこさん

大体はあびえんさんのところに書いたのと同じだと思います。

子供のそういった言葉というのは、親の気持ちがどれだけ自分に向けられているかを試しているわけです、多くの子供がこういった同じような態度を示します。

愛情を確かめたいという気持ちがこういう態度を子供にさせるのでしょう。



ひところはやった「ツンデレ」というやつですが。

これは、「好き」といって「好き」と言ってもらえるのはある意味当然で、普通のことです。
でも、ツンデレは「嫌い」とこちらは相手に言っているのに、相手はその言葉を乗り越えてそれでもさらに「好き」といって欲しいという強い愛情への欲求があるわけです。

それにたいしてノーリアクションをとったとしたらどうでしょう。
子供は確かめたいという気持ちからでた行為を無視されるのですから、余計に不安におちいります。

そうなればもっと別の出し方で確かめなければならなくなります。
たいていはさらにネガティブな出し方です。

場合によっては、情緒に影響を与えたり、性格に屈折をもたらしたり、成長の足踏みの原因ともなったりします。

いろいろ子育てに悩みを抱えていて、子供に向き合う気持ちに余裕がなくなってしまっていたのでしょう。


僕からは個別的な発達についての部分はわかりませんが、もしかするとそういった母親の気持ちから発達における問題と似たような姿が引き起こされることはすくなくありません。

まずはあるがままを認め受け入れる気持ちで、子供の自己肯定感を高めるようにしていくことが大事だと思います。


そうすれば少なくとも子供のネガティブ行動というのは減っていくでしょう。

無理をせずにできることからでいいと思います。
うまくできる必要もありません。

ことあるごとにくすぐるということだけでもいいです。

それだけでも必ず子供が可愛い姿も多くなりますし、そうなってくれば同じ大変さがあったとしても子育て自体が楽になりますよ。


発達に関して悩むのはそれからでも遅くないと思います。

ありがとうございました

息子が「ママいや」と言うことについて、お忙しいところ、アドバイスをくださり、本当にありがとうございます。
受け止めない甘えVol.3の記事でも、このことについて触れてくださっていて、とっても納得いくご解説だったのですが、コメント欄でも個別にお返事をくださり、恐縮に存じます。

こういうことはよくあるということ、そして、その心理を知って安心しました。そして、いかに自分が自信がなかったか、ということにも気がつきました。
「ツンデレ」だと思えば、そんな息子が余計に可愛く見えますし、笑って対応する余裕も持てるように思います。

昨日寝る前、息子は、1回は「ひとりで寝る」とも言い出したのですが、その後は、「カンガルーケア」状態になったり、「背中かゆい」と言うので、掻いたりしているうちに眠りにつきました。前のように、「ママいや」「あっちいって」を連続で言うことがなくなったのは、「受け止めない甘えVol.3」を拝見してから、対応の仕方が少しわかったからかな、と思います。

わざわざ相談にのってくださり、本当にありがとうございました。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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