受け止めない甘え Vol.3 - 2013.08.01 Thu
これは本当の意味で尊重することにはなっていません。
人と人との関係というのは、常に「相互」なのです。
片一方だけが満足していたとしても、もう一方は不満をもってそれにつき合っているというのは、健全な関係とはいえません。
この場合で言えば、子供の意思や意見が尊重されたとしても、大人の意思や思いが否定された状態では、ただ大人が子供に媚びたりへりくだっているというだけで、本当の意味での尊重にはならないのです。
なので、甘えを受け止めるという「受容」にしても、子供と大人がお互いに心地よい形で関係づくられるというのが望ましいのです。
多くの大人は、一方的に子供のほうに「可愛く振舞え」ということを無意識に要求するのですが、大人がその道筋をつけてあげないことには、そうそう子供から出せるものではありません。
のんびりと家庭で過ごしている子供ならばまだしも、保育園に長時間預けられたりと我慢することの多い子供にとってはそれはなおさらです。
子供は親のために甘えを出してはならないと健気に思っているからこそ、素直ではないネガティブな出し方をとらざるを得なくなってしまいます。
また、周りに成長を望まれ、自立を望まれ、また自我の発達により自分の内面からも自立することを欲している成長段階・発達段階の子供にとっては、素直に自分の思い(=甘え)を出すということがしにくくなっています。
なので、なおさら素直に甘えるということができないのです。
コメントでの相談にもありましたが、「ママきらい」とか「あっちいって」と言ってしまいます。
甘えたい、受け止めてほしいということが内面の葛藤によって、こういったネガティブな出し方になってしまうのです。
おおむねですが、こういった成長段階は3歳前後をピークとする2~3~4歳くらいに顕著にでてくると思われます。
自立心を損なうような「いいなり」や「甘やかし」になってしまうあまりに過剰な対応は望ましくありませんが、まだこの年齢は受容される中で「自己肯定感」をはぐくんだり、活動の原動力となっていくのですから、大人はしっかりと子供の気持ちを受容してあげていい年齢だと思います。
日本の子育て観のなかでは「甘え」というものを否定する見方が支配的なのですが、受け止めてもらうべき時期に受け止めてもらえなかった子供が引き起こす問題はとても多く、また大きなものになっているのを感じます。
子供にとって自立するというのは内からわき上がる当然の欲求ですから、バランスの取れたものであるならば「受容」をすることで自立心が損なわれるということにつながるものではありません。
しばしば、子供がだだをこねたり、ぐずったりしても徹底的に無視することで子供はそうしなくなるからそうすべきだという意見があります。
怒ったり叱ったりした後で、子供に反省させたり考える時間を持たせたり、自分から行動するのを待つためにあえて放っておくということは僕もしますが、上のような子供が気持ちを発信しているにも関わらずそれを最初から無視するというのは大変危険なことだと思います。
こういう対応をされた子供は、どんなに小さい子供でも心のうちに「怒りをためていく」といわれています。
「無視」というのは最大の「否定」ですから、僕はこのような子育ての方法は支持できません。
子供の行為が嫌なら「いやだ」とはっきり言うほうがよほど情の通った関わりであると思います。
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お忙しいところ、コメントに目を通してくださり、本当にありがとうございました。
「内面の葛藤」というご説明をいただき、息子が「ママきらい」と言っている心理がよく理解できました。そうとわかれば、「ママきらい」という表現については「いやだ」と伝えつつも、葛藤の部分については受け止める対応を考えることができる気がしてきました。感謝申し上げます。