これからの保育行政について考える ―保育園に対する国・行政の姿勢― - 2013.09.30 Mon
幼稚園についてどうこうではなくて、保育園と比較することで浮き彫りになったことです。
表面的な事象としては、幼稚園の方がともすると子供ひとりあたりの人員が多いということです。
かつては幼稚園年中年長ともなれば、担任の教員ひとりでほぼ全般的にみたものですが、いまはどこも補助教員・指導員といった人がついておりました。
前の記事にも少し出ましたが、発達に問題のある子・ハンディキャップを持った子一人に一人の職員がつきっきりという様子もありました。
これらに関しては息子が小学校に上がった時にも同様の印象を受けました。
幼稚園・学校の方が人員配置がなんだかんだで多くなっているのです、より幼かったり長時間だったりする保育園よりも。
別に小学校や幼稚園が人手がたくさんあってうらやましいとか、楽をしていると言いたいのではありません。
それだけ必要に応じて手をかけられるというのは大切なことです。
ある意味学校ということで守られているのでしょう。
いじめ問題や学級崩壊なども以前から問題視されていて、人々の関心も学校に対して高まっていますしね。
それに引き換え、保育園は実質的にどんどん人が削られています。
職員配置はそのままで、児童数の定員増なども多くなっていますので、実質的に人員が削減されていたりもします。
障がいをもった子供がが入園しても、なかなか役所は人員の加配を了承しません。
この前の幼稚園でみた障がい児は、その程度が軽度な子供でした。
それでも一人に対して一人つけられる人員がおりましたが、保育園では重度の障がいを持った子供が入っても、なかなか人員を増やしてくれるということになりづらくなっています。
最近では特に厳しくなっていて、職員側から要望したのではけんもほろろに今ある人員で対応しなさいという返答しか役所からは返ってきません。
かつてはそういう要望をあげれば保育課の職員なり課長・係長なりが現場を見に来て加配するかどうかという検討をしてくれたりしていました。
最近ではそういう対応も少なくなってきて、しょうがないので保護者の方から人員配置の要望・請願を出してもらってなんとかつけてもらえるといった状況になってきています。
幼稚園・学校と、この保育園の差はなんでしょう。
僕がまじまじと感じるのは、「福祉切り」の流れです。
景気が悪くなってきた頃から、公立保育園の民営化などはぼちぼちと出ていました。
でも、それらはまだ露骨な「福祉切り」の動きではなかったように感じます。
それがあからさまに加速化してきたのは、東京都では石原都政になったころからです。
ちょうど石原都政の施策のひとつをとして「認証保育所」がスタートしました。
政治や行政の側からすると、「福祉切り」をすると二つのメリットがあります。
ひとつには福祉にかける予算を減らせば、その分が当然予算が浮きます。
もうひとつは経済界に対して規制緩和をしましたという点数を上げられることと、それが税収につながるということです。
それまで金食い虫だったものが、お金を生むようになるのだからこんなおいしい話はありません。
しかし、それは市民・国民の福祉を切り下げることを許容するという前提があればです。
福祉の流れの中からいまの行政・政治をみますと、それらは国民の側を向いているのではなく、企業・経済界の側を向いて政治を行っているように感じられて仕方がありません。
「こども園」の構想が具体化に向けて進んでいた頃、国はそのために大きな予算を考えていました。
でもこの予算、そこを利用する国民・市民のために用意されているというよりも、それらに企業が参入するための準備金や、幼稚園に保育園機能を持たせたりするための設備投資費としてその多くがあるわけです。
ゆくゆくは、本来の保育園を必要なだけ設置し運営するよりも、安上がりにするための初期投資の予算なのです。
なので、たくさんの予算を保育拡充のために用意しているように見えて、それは実質的には福祉切りするための一時的な投資なのです。
そういった政治の流れがもたらした保育というのは、結果的にいまよりもさらに手薄なものとなっていくことでしょう。
東京都の認証保育から始まった本格的な企業の保育参入ですが、それは国にも飛び火して、国ももう保育を福祉の枠の中でしない方向に舵をきっています。安倍政権はそういう構想をもっています。
都ももちろんそのつもりでいます。
それらを受けて区も、これまでのように保育を維持し守っていこうという姿勢がなくなっています。
東京23区のほとんどがそういう流れになっています。
東京23区はこれまで保育水準を高めるべくかなりの意識をもっていました。
なので全国的に見ても比較的保育の質が守られていた方です。
しかしここにきてもうそうではなくなってきました。
いままで、区の予算で保育の質を高めるための研修等それなりにあったのですが、あからさまにそれらはなくされています。
むしろ当局は民間との差をなくすために、質が下がることを望んでいるかのような感じもします。
それまで区が子供一人ひとりに昼寝用の布団を用意していたところが、布団の配備・維持にかける予算を減らすために簡易寝台のようなものに切り替えたりもしています。
水分補給用に麦茶を用意していたものが、湯冷ましになったり、水道水を飲ませなさいという指導がきたり。
子供たちの給食のおかわり用に余分に用意していたものを、「規定量を出しているのだから必要ない」とおかわりなしになったり。
もう、ものすごい勢いで保育園にはあからさまな予算削減が来ています。
しかも、その風は国・都といった上部組織から吹いてくるので、大変強い勢いです。
23区のなかでもある区は、以前から質よりも表面的なサービス重視で、かなり革新的、はっきりいって無茶ぶりな保育行政をしていたところがありました。
その頃はその区単独の動きだったので、ほかの22の区はそちらに合わせることなく、22区で大体足並みを合わせてそれなりに質も維持しようという保育行政をしていました。
しかし、いまは国・都からしてそういう動きなので、多くの区が質の切り下げの方に遠慮会釈なく踏み切っているという感じがします。
強引な手腕をもった管理職が保育関係の役所の長になって、ばっさばっさとやっています。
保育士のなかから園長に取り立てられる人も、よりよい保育を構築出来る人よりも、役所の意向に素直に従うタイプの人がなる傾向が強くなっています。
一般の人はこういう動きがあるというのは気づいていないと思います。
でも、近年それがものすごい勢いになっています。
僕も正直こんな短期間にここまでのものになるとは思っていませんでした。
いまの政治の動きがこの「福祉切り」のまま安定化することになったら、10年後保育はただのサービス業になって福祉ではなくなっているとしても不思議ではないような気がします。
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● COMMENT ●
No title
No title
ですがこの記事にはちょっと疑問を感じます。
もともと保育園は「保育に欠ける子」のためにあるんですよね?
ですが現状では都内で保育園に通わせている親御さんって夫婦そろって正社員とか公務員とかが多くないですか?昔のように片親とか貧しいとかそういう事情ではない人が大半ですよね。そういう方に「福祉」として保育を提供する必要ってないんじゃないでしょうか?生活に困っている人にとっては「福祉」が必要でしょうし、そういう家庭の子が取りこぼされるようになるのはいけないと思いますが。
民営化してそれぞれ自分たちの都合、考えにそった保育所に預ければいいような気がします。給食に力を入れているとか、習い事に力をいれてるとか、それとも昔ながらの保育とか親が自己責任で選べっていうの当たり前のことのような気がします。・・・幼稚園は特に公立がないところではずっと以前からそういう状態です。
また、近所の公園に複数の認可保育園、認証保育園が散歩に来ますが認可のほうが優れた保育をしているわけではないです。待機児童を減らしてほしいというニーズがある以上規制緩和して企業参入するのは仕方がないのでは?と思います。
No title
なので今、子供が通っている保育園も来年からは全て福祉法人に委託になります。(新しい園舎に移ります・・・) その事を通知されてから、親達の「民間に委託はやめて欲しい」という意見、並びに嘆願書、全て無視されました。 3者間での引き継ぎについての話し合いは都度ありますが、区の意向はとてもとても残念です。(本当に子供たちの事を考えているのか・・・)
No title
No title
個人に不都合がでても、産業を守るためにはその不都合は黙殺する。医業なんかでもそんなことは往々にしてあると思います。
不都合の出る立場に立ってしまうと腹もたちますが、マスでモノを考える立場で考えるならばそれがクレバーなのだろうなぁとも思えたりして、要するに、自分の立場で逞しく生きるということが個々の課題か、と当たり前のことに行き当たります(笑)
福祉だけでなく、予算が減らされるというただ中にいるとなんとも嫌なものですが、他者の目で見れば、既得権を守ろうとしているだけ、にも見えたりしますから、喧々諤々、色々ありますよね。
株式会社の保育参入で質が確保されないという問題の根は、株式会社の利潤追求という存在目的の問題でも、働く人の質の問題でも、意識、経験のあるなしでもなく、株式会社には補助金が投入されないので、会社組織が自前でお金を調達しなければならず、それが並大抵ではない、というところですよね。
質の確保にはお金が必要ですものね。
でも、企業努力、なんて言葉がありますが、少ない予算で利益を出そうとするのは企業なら当たり前のことですから、量の問題を解決するという命題には、福祉法人より株式会社。それはそれで分るし、社会という大きな枠で見れば利点もある気がするのです。
なんだかんだ、直接的な主体が誰であろうと、人間がずーっとやってきた 子どもを育てるということの価値を日本人が失くさなければ大丈夫だろうと楽観的に信じたいだけかもしれませんが。
それでもそれでも、規制緩和は慎重にやってほしいですよね。
困窮した会社が現場を回し切れずめちゃくちゃになって、あげく撤退、みたいな事態は幼い子どもには酷ですし。
本当に色々な価値観がありますが、抜本的には教育という名目のほうが予算がつきやすい国だと思うので、子どものことはすべて文科省管轄にしてしまったほうが子どものためじゃないのか、、?と思います。
No title
東京では保育園に布団が用意されているのですか!?
すごいですね~・・・。
そういうのは個人負担でいいのでは?とか思ってみたりして・・・。
私の地方ではみんな当たり前に持って行っていますけどね。
国に頼れないとわかっているなら自分でどうにかするしかないですよね。
実際に、じゃあ私が出馬してなんかしますかって言ったら無理ですし。
結局各々でしっかりするしかないのだろう、と思います。
その為にも何事にも興味を示し勉強するべきですね。
自分の意見を持って周りに惑わされない、そんな大人が増えるといいです。
今は小学生の上の子は公立の保育園を卒園していて、3歳の時引っ越しで転園したこともあり2園通った経験があります。
上の子が保育園に通っていたときには、民営化反対運動についていろいろ話を聞く機会がありましたが、他の園の事だったので保育環境が悪化したりするのかなぁとなんとなく思ったりしていました。
しかし、今年から下の子を私立の保育園に通わせることになり、新設ということもあって最初は本当に不安でしたが…実際はとても良い園です。むしろ、上の子の通っていた公立の園よりも先生達の志も高く勉強されていて、子供のことを一番に考えたのびのびとした保育をしてくれる園です。
なので、一概に公立だからいい、民間だから悪い、ということもないのかなぁと私は思います。
あと、公立だと園長が数年ごとに代わるので、威圧的な怖い園長の年は先生どうしもピリピリしていて雰囲気が最悪なときもありまた~…(笑)
あはは
本文にある営利企業とはなにを指しますか?
株式会社?NPO法人?社会福祉法人?宗教法人?学校法人?
どの団体でも、定められている最低賃金以上は貰っている人が多く、直接お金を集めているか、税金(補助金?)を貰っているかの違いだけではないでしょうか。
それが保育の質の良し悪しに一番影響があることなのですかね。
間違えました。
間違えました。
要は「未来」について理念の有無
実は、この夏訳あって、常勤保育士を目指して転職活動をし、都内を中心にハローワークにも行き、ネットで転職サイトにも登録して、その反応の多さにかなり驚いた50代です。「こんな私でも?明日から?」だったわけです。そしてそのとき見学した、今年度新設の、社福運営のこども園の有様に、企業園しか知らない私はとてもショックを受けました。
2箇所見ましたが、どちらも都心部メインストリートに面する土地ということもありますが、民間事務所やら公務員住宅の建物の再利用なのか、四角い4階立てのコンクリートの箱に120人の定員、園庭と呼べるものはほとんどなく、8月のこととて、組み立て式の4M四方くらいの仮説プールを置くのが精一杯の駐車場のようなスペースがあるだけで、屋上に緑のスペースがあるわけでもありませんでした。
首都圏郊外の企業園で広い園庭と周囲の緑に囲まれて3年あまり仕事をしてきた私には、エレベーターに近寄らないための木の柵の向こうから、心なしか、狭い檻の中で飼いならされた動物のように見えるおとなしさで見学者の私を見る子どもたちの姿が、いくら叱っても平屋の部屋の内外を問わず自由奔放に走り回る自分の園の子どもたちと、とても同じ歳には見えないような違和感がありました。
とてつもない閉塞感を感じて、結局賃金的に保育士の時給としては高額の部類に入るその社福園からの誘いを断って、これまでの企業園で、ちょうど欠員が出たこともあって常勤に準ずる形で働くことに決めました。
その社福園の園長先生も言っていた通り、「区役所の職員並みの厚遇」と言われる園の状況がそれですから、いくら恵まれた職場でも、基本的な部分での「子どもの健全な育ちを保障する」なんてことを目指して働く気持ちは湧いてこない、というか新卒でそこに勤めたら、そもそも理想の保育なんていう発想は持ち得ないような気がしてしまいました。
朝から夕方まで長時間、無事に預かってやるんだからそれでいいでしょ、みたいな・・・
公立、社会福祉法人の経営、民間の企業の経営、いずれの制度の良し悪しというより、そもそも、福祉だろうが教育だろうが、白紙の状態でこの世に生まれてくる子どもたちの、人生の初めの1ページ目に色をつけるという仕事が何を意味しているか、社会の未来、国の未来の全ての始まりがここにあるということを理念としてしっかり持っていない組織や長であれば、お金のためか職員の楽のために全てがグズグズと崩れて成り下がっていくと思います。
ちなみに、私はこれまで、自宅近くの市立園と社福園で、昼寝の布団を見ましたが、正直に言って、育ち盛り、汗かき盛りの子どもが、1週間に1度程度も干すかどうかという布団に寝るというのにどうも抵抗があり、現在の勤務園で使用している、足つきプラスチック枠の内側にメッシュを張ってあるコットにシーツを掛けるスタイルのほうが、おねしょの時もすぐ水洗いしてあっという間に乾くので、気に入っています。
経営(運営)理念という話に戻ると、今の世の中、福祉の現場に限らず、飲食店でも美容室やら服飾店でも、果てはクリニックというような場所でも、いわゆるモットーとか、モラルとか社会的責任感みたいなものがどんどん薄れていっているように思えます。お客にバレなければいい、儲ければいいという発想は、世の中そこらじゅうに蔓延しているのではないでしょうか?「福祉の切り下げ」以前に、人間の質の低下があるような気がしてなりません。
No title
いつも考えさせられながら、読ませていただいています。
今回の一連の記事を読んで、自分が考えたのは
「今の親の側にも企業の営む保育事業に対するニーズがあるから、今の流れをとめるのは難しいのではないか」
ということでした。
ひとつは、待機児童の(比較的)早期解消。
もうひとつは、家庭の育児でやりきれない部分を求めること。
職場の近くのビルの中に、新しい保育所ができました。
「働きながら、保育園に預けながら小学校受験ができる」
というような保育園でした。
自分はそれをみながら、
「やっぱり働いていると、限られた時間で受験に必要なこととか教えるのは大変だから、こういうニーズはあるんだろうな」
と思いました。
自分の子供(4歳と2歳)の通っている保育園は、英語や運動、発表会など盛りだくさんの園で、そのことに対して子供にはいいのか悪いのかは気になりましたが、送迎時間の都合と見学した際の先生の雰囲気は「子供が好き」ということが感じられて、いい印象だったので家から近い順に希望を出し、現在楽しそうに通っています。
地域でも人気の園で、福祉法人の経営で園舎も新しくきれい、遠い地区から希望して通わせている親もいるようです。
運動会・発表会のレベルも(よくもわるくも?)なんだかすごいです。
ただ、運動会や発表会の前あたりになると、決まって上の子の帰宅後の機嫌が悪くなり「疲れたの~!」「抱っこして~!」とグズグズになってしまうのです・・・。
登園をぐずり、「早お迎え来て・・・」「ママがいい・・・」とつぶやきます。
限られた家での時間が、なんとも辛い時間になります。
「保育園は楽しい、ただ疲れるの・・・」という娘。
自分はその経験を経て、企業が参入してきて、他の園との差別化を図ったり、親のニーズに応えるために、今以上にいろいろなイベントを子供に用意したりする、それはある意味家ですべき関わりも保育園にお願いしようとする危険な親のニーズであって、子供のニーズである安定のための保育とは、やっぱり違うものになっていってしまうのでは、と思いました。
子供は、どんなに楽しい時間が用意されていたとしても、おいしいおやつが用意されていたとしても、表面的なかかわりしかできないタイプの自分のような母親でも、保育園に行くより自分と家にいることを求めているんだろうな、とは思います。
でも、そんなことを言いながらも現状仕事をやめるという選択肢が自分の中にない以上、自分にできることは家での時間を少しでも子供にとって心地よいものにする努力をすることだと今は思っています。
先生に状況を伝えながら、子供の様子も聞きながら、子供に乗り越えられそうなことは乗り越えてもらい、声を上げるべきところは先生と話し合う。
子供と園を信じながら、情報には敏感でいられるようにする、それが今の環境の中で自分にできる対応だと思っているのですが・・・。
自分の状況は園のせいというわけではなく、自分の預けている時間が長いことや、日が落ちるのが早くお迎え時間が暗くなったこと、子供の性格などいろいろな要素が重なってのことでもありますし。
かなりおとーちゃんさんの話とはずれてしまいました、すみません。
自分は夫もあきれる性善説派なので、企業が行う保育は悪い保育だけではなくいい保育をするところも出てくると信じたいのですが、やっぱりその割合は圧倒的に前者が多いのですかね・・・難しいですね。
RIRIさん
いまどこもものすごい勢いで進んでいます。
公立にもいろいろ問題はあるけれども、既製の福祉法人でも本当に良質なところはそう多くありません。
行政は民営化するときに「質は下げない」というのが決まり文句だけど、そもそも請け負う業者が決まってもいないときにすら、そんなことを断言できるはずがないのです。
このあたりのこともいろいろありますので、いずれ時間のあるときに記事にしたいと思っています。
ムムリクさん
「大切なものは失ってみないとわからない」と星の王子様もいっていますものね。
miuさん
たしかに利点もあるとは思います。
でも、保育の質というのはなかなか利益とは釣り合わないものなので、その点に関してはどうしても懸念が残ります。
特に子供の健全育成という点においてです。
家庭での養育機能が十分に機能しているといえる状況ならば、保育施設は子供を預かる機能プラスアルファで済むとは思うのですが、現実では家庭での子育ての問題など様々起こっています。
虐待やネグレクトなど珍しくもありません。
そういうものに、企業のする保育というのはどこまで本気で取り組めるだろうかなどという問題があります。
そしてそういった営利でする保育の質の問題は、一般の人からはさほどわからないかもしれないけど、現にたくさんあり、僕の立場からはとても楽観できないという危機感がありこれらの記事にしてみました。
rumaさん
そうなんです。
全てではないですが23区ではそのようになっています。
でも東京を一歩出れば、もうそうではありません。
東京近隣の市でも、布団は保護者が担いで持っていかなければならないです。
また、夕方以降は正規職員がひとりもいなくなって、遅番時はパート職員しかいないなどという公立園もあります。
だれが責任をもって子供を預かっているのか。なにかあったらどう責任をとるつもりなのか。
そういうような保育はちょっと考えられません。
パート職員でいいという行政の価値観は、「子守り」の域を出ていないものなのだと僕は思います。
布団のことにしてもそうですが、それは東京がとりたてて優遇されているというのではなくて、考える方向が逆なのだと思います。
他のところが公的な保育というものを随分と以前から切り下げていった結果こういう事態が起こっているのだと思います。
保育の成り立ちがそもそも、都市部での労働者というのがもっとも大きな需要だった関係で東京はとくにそれが整備されたという経緯があります。
はるか以前は、東京もほかと同じようにさほど保育が優遇されていたわけではありませんが、労働人口の増加と、高まる保育への要求の中で児童福祉として勝ち取ってきたものでした。
ゆきさん
僕も公立の問題はさんざん知っています。
テーマとしているのは、国や行政が保育をもはや福祉としては考えなくなっているということなのです。
私立でも非常にレベルの高い保育を展開しているところはあります。
そういったところには公立はさまざまなネックからとても及びません。
とてもいい園にめぐりあいましたね。
俺もとーちゃんさん
株式会社?NPO法人?社会福祉法人?宗教法人?学校法人?
関連した過去記事にこのあたりのことが書かれていますのでよろしかったらご覧になってください。
>どの団体でも、定められている最低賃金以上は貰っている人が多く
就労していて最低賃金以下しかもらっていなかったら普通に法令違反だと思いますので、それは当然のことかと思われます。
>直接お金を集めているか、税金(補助金?)を貰っているかの違いだけではないでしょうか。
働き手から単に収入という点から言えばそうかもしれませんが、ここで問題にしているのはそこではなく、保育の枠組みという意味でのサービス業になってしまうのか、福祉として続けるのかということです。
努力でその内容的・質的な水準を維持するというところはもちろんあるでしょうけれども、関連記事にあるように、ユーザーを満足させれば良いサービス業と、子供の育ちを多角的に考えて行っていく保育というのとは目指すところが違いますので、僕は質的変化というのは必ず起こると考えています。
最後に、荒らし行為や煽りというのでなければ、題名に「あはは」はいかがなものかと思います。
すごく良く理解できます
この問題を取り上げて頂きましてありがとうございます。
うちの自治体でも、
幼稚園には、巡回相談と称し、
発達の専門家が全幼稚園を定期的に回っているのに対して、
保育園では、巡回相談は「保護者が希望する場合」に限り
行われるとのことです。
とすれば、
幼稚園に通っている子どもは保護者の希望の有無によらず
早くから専門家のサポートが受けられるのに、
保育園に通っている子どもは
親が気づかない限り、巡回相談の対象にならないので、
保育園児と幼稚園児との間で不公平が生じています。
その点を行政に質問した方もいました。
自治体の担当者からは、
「管轄官庁の違い(文部科学省と厚生労働省)」?とかで
そうなっているとのことでした。
幼稚園を一方的に責めるつもりも毛頭ありません。
保育園を増やしたい・増やさなければならないという
予算の都合でいつも済まされているような気がします。
おっしゃるように、
保育園に対する行政のサポートが低下していると切に感じます。
これからも出来る範囲で、是非、
この問題を取り上げていって下さいね。
追伸
・私は都内23区在住ですが、
おとーちゃんさんがおっしゃるように、
社会福祉法人が運営する保育園は質が高いところばかりではないのを、
たくさんの園を見学に行って切実に感じました。
・もちろん、社会福祉法人が運営する保育園で、
公立ではなし得ない素晴らしい内容のところもありましたが、
1~2割でしょうか。
私立保育園は良くも悪くもクセがありますよね。
・株式会社が運営することによって、低コストになって良い保育が
受けられて何が悪い…という意見もありますが、
少なくとも認可保育園は現状、補助金で運営されており、
保育料を法人が勝手に決めることができないという特殊事情が
あることを、多くの保護者の方に知ってもらいたいです。
・見学に行った中では、無認可で素晴らしい保育園がありました。
しかし、質の高い保育を謳っているところだったので、
保育料が高額(10万~20万さらにはそれ以上)でした。
もし、補助金が一切、なくなった場合、
今の認可保育園での質の高い保育を維持するのであれば、
保育料は将来、そのように高額になる可能性が高いと予想します。
おとーちゃんさんがおっしゃっているような、
アメリカみたいな状態になるんでしょう。
じょうさん
じょうさんのご指摘のとおり、難しいのが「親のニーズ」と「子供のために必要なニーズ」というものが必ずしも一致しないということです。
この問題が現代においてはとくに大きくなっています。
しかし、多くの人は「親のニーズ」が全てになりかねません。
そのなかで子供の育ちが歪んでいってしまっているという現実もあります。
このあたりのことはそのうち記事として書いていきますね。
ありがとうございました
お礼が遅くなり申し訳ありません。
おとーちゃんさんも「ニーズ」の差について、何らかの問題があると考えておられるのですね。
難しいのは、「親が楽をするためのニーズ」の全てを悪としてしまうと、特に子育てを一人でやることになってしまっている家のお母さんなどは追い詰められてしまうなあ、とも思うのです。
子供のためにも、もっと楽に笑顔で子育てしたいなあ、と自分も思います。
でも、「親が楽をするためのニーズ」に、子供を傷付けたりつぶしてしまう要素がある場合には、やはり親はそこは頑張らないとな、と思います。
「子供のためになっている、なっていない」という判断がまた、「自分本位の目線になっていないか」と考えてしまって結構難しいのですが・・・。
お忙しい中とは思うので、もちろんおとーちゃんさんが記事にしたいなあと思ったときで結構です。
「ニーズ」についてのお話が聞けるのを楽しみにしています。
あおぞらさん
こういったことを市民の側から行政に問いかけていくのはとても重要なことだと思います。
ありがとうございました
お返事有難うございました。
そうですね。行政に働きかけていくのは
重要なことですよね。少しずつでもそうしていきたいと思います。
じょうさんのコメントにもありましたが、最近、
親のニーズを満たすことが重要視されているということが
とても気になります。
私の住む町でも、
休日保育や一時保育等が昔よりは充実しています。
多様なサービスがあると
親としては助かるとは思いますが、
子どもにとって、
そのようなサービスはどうなんだろうか?
いつもと違う保育園に休日保育で預けられたら
乳児だったら一日中泣き叫んでるだろうか?
と思うと、結局、今まで一度も利用したことがありません。
私は近場に両親が住んでいるからそうできるのかもしれませんが。
是非、親のニーズに関する話題についても、取り上げて下さい。
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