現代の子育ての落とし穴 Vol.2 「抑圧ポイント」 - 2010.02.10 Wed
では、それをもう少し具体的にみていきたいと思います。
とある事例です。
3歳の女の子2人が、それぞれのお母さんと一緒に公園に遊びに来ました。
どちらのお母さんもまじめなのです。育児にも一生懸命。
だからどちらも、ついついしっかり「しつけ」たくなってしまう人だったのです。
その女の子2人がおもちゃの取り合いになってしまいました。
Aちゃんが使って置いた後ほかのあそびに行ってしまいました。
しばらくしてだれも使っていないのでBちゃんが手にとって遊びはじめると、Aちゃんが「それは自分が使ってるものだ!」と主張しだす。
このことは、こどものあそびのなかではよくあることなんです。
そこで、この2人のお母さんの対応がどちらも「○○ちゃんが使っているのだから返しなさい!」なのです。
まあ、たしかに正論ではあるのだけど、こどもの側にも言い分があるのですよね。
Aちゃんは自分が使ってたものだという思いがあるし、Bちゃんは誰も使ってなかったから自分が使ったんだと思っているのだし。そこを理詰めで説得されても、こどもにとって受け入れにくいし納得できることでもない。
でも、正論で押し切られてしまう・・・・
(人によっては正論ではなく、親の権威や、怒られる、叱られるということで押し切られるかもしれないし、「ごまかし」で押し切られることもあります。もっとわるいと暴力で押し切られたりということも。)
これをすると、「抑圧ポイント」が1ポイントちゃり~~ん と溜まります。『いい子、出来る子』を目指して子育てしている人はこの「抑圧ポイント」がいつのまにかたくさん溜まっています。
(別に意識して『いい子、出来る子』を目指しているわけではないかもしれません。しかし実際、多くの人は意識してそうしているのではなく、昨日述べたように経験がないので気をつけること、避けるべきこともわからず、知らず知らずそこに落ち着いてしまっているのですね)
この2人の女の子も普段から「抑圧ポイント」たくさん溜まっているので、
そのときは親に自分の思いを断ち切られて、一見解決したかのように親からは見えるのだけど、こういう風に泣き寝入りさせられたあとは溜まった「抑圧ポイント」を開放したくなります。
そこでこどもはどうするかというと。
ほかのきっかけを見つけて、ゴネるのです。普段から親に理詰めで説得されているので、こういう子はなにかに理由づけするのがとてもうまいです。
例えば、帰る時間になっても「ヤダ、まだ帰らない!」とか、
ほかの子とちょっとぶつかったりしたことを大げさに言い立てて泣き喚いたり、
わざわざ他の子が使っている遊具を横取りしたりして、
別のところで自分の主張を押し通すことで溜まった「抑圧ポイント」を開放したりします。
この「抑圧」が慢性的になると、日々こういうことが起こるようになります。
当のお母さんからすると「ハァ、やっぱり子育てって大変」とか
「反抗期だからこうなのね・・」という感想を持つようになります。
こういうスパイラルにおちいってしまっている人は、実はこどもだから大変なのでも、反抗期だから大変なのでもなく普段の親子の関係に原因があるのに、なかなか自分では気づけません。
親のこどもへのアプローチが子育てを大変にしてしまうのです。
この落とし穴が「しつけ」で育てたり、「いい子」を求めたりする構造の中にはあるのです。
しか~~し、これはまだ序の口なのです・・・。
明日につづく!
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● COMMENT ●
No title
さっちんさん
そうなんですよね、大人はついつい「正しい」ことをさせようとしてしまいます。
こどもに非があるのであれ理があるのであれ、まずは「受け止める」というプロセスがあるかないかでこどもの姿はまったく変わってきます。
叱ったって怒ったっていいんです、でもまずは「受け止める」ことがとても大切。
受け止めてあげないと「正論」も「叱ること」もこどもの心には入っていきませんからね。
普段からこころがけてあげたいことだとおもいます。
No title
ぴよままさん
いっつも、書いていると長くなっちゃうので続きにしてきらないとね~(笑)
ほんと文章にして伝えるのは難しいですよ~
No title
これをいい大人がやってるんです。
大真面目に。必死に。
本人の過去の話を聞くほどに
幼少期の抑圧ポイントが自我を崩壊させるくらい
たまっているんですよね。
将来、イチバン苦労するのは本人なのに。
「抑圧ポイントたまってるよ!」って
発しているサインに親が気づいてあげてほしい。。
No title
こうやって一人の人間を性格を含め育てていくんだもん、育児って奥が深いですよね。当たり前だけど親も子供とともに成長ですよね!
うちは最近イヤイヤが始まって。。。成長期ですよね。
子供のことを受け止めるようにしてますが、それが甘やかしになってないかいいなりになってないか不安になることもありますが・・・
そうだ、私の記事で保育士おとーちゃんさんの記事をリンクさせて頂きました。
まっきいさん
そういうこともあるよ、全部が全部うまくやることなんてないんだよね。でもそういう対応をしちゃってるのかも、と知っているか知っていないかではあとあとかわってくるのではないかと思うのですよ~。
> うちは最近イヤイヤが始まって。。。成長期ですよね。
> 子供のことを受け止めるようにしてますが、それが甘やかしになってないかいいなりになってないか不安になることもありますが・・・
もしもね、うまくいかなくっても大丈夫。可愛がられている子は間違っても戻ってこられるから。「愛は勝つ」のですよね~。
> そうだ、私の記事で保育士おとーちゃんさんの記事をリンクさせて頂きました。
ありがとうございます。多くの人に読んで頂けるとはげみになりまっすっ!
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抑圧ポイント!!
でもこういう場面ってよくありますよね~。
前から保育士おとーちゃんがこういう場合の対応をちょくちょく書いてくれていましたが、いざこういう場面になるとついつい自分の子に「○○ちゃんが使ってるんだから・・」と言ってしまいがちです。
意識しててもなかなか使えないんですよね~(^^;)
普段からこういう場面の対応をイメージトレーニングしておかないといけませんね~。
そして抑圧ポイントのたまった子の発散。
抑圧ポイントためないように気を付けなくちゃ~σ(^_^;)