《プラスの関わりとマイナスの関わり》 - 2014.03.05 Wed
実は先の原稿は、講演の尺の関係で本当は伝えたい部分を一部はしょってしまっています。
それは中段にある
>では、どう関わっていったらよいでしょうか。
以下の、「プラスの関わり」についての解説部分です。
文中では「いいよー」の部分を主軸に話を進めてしまっています。
口頭で伝えるという性質上、焦点を集約してしまったほうが理解してもらいやすいので、「いいよー」を話の中心に持ってきてしまったのですが、本当は「プラスの関わり」というものがあって「いいよー」はその中のほんのひとつの関わり方に過ぎません。
なので「いいよー」さえ使えば、それで万事丸く収まるというものではありません。
特に、すでに子供の姿が手に負えなくなりつつあるという人が、いくら生活の中で「いいよー」を多用したからといってそれで好転するということはないでしょう。
この講演は対象者がほとんど0歳1歳のお子さんのお持ちの方ばかりでしたので、本当にそのような意味での手がかかるようになる前の段階のお子さんということもあり、「いいよー」という気持ちのニュアンスに重点を置いたところで話をすすめてしまいました。
ですのでここではその部分を補えるよう、その「プラスの関わり」の部分について手に負えなくなりつつある子への対応ということを想定して、具体的に以下に追記したいと思います。
まず、第一に「注意や制止・叱る」といった行為を必要なときに使う分にはかまいませんが、それで子供の姿が良いものになるわけではないということを理解しましょう。
これらは、手に負えなくなりつつある子供にとっては、結局のところ「マイナスの関わり」になってしまうからです。
かと言って、すべきでないこと、危険なこと、人に迷惑をかけるような行動をしているときにも、野放しにしてよいということではないですよ。
そういうときは必要があってするのですから、躊躇することはありません。
毅然と自信をもって対応しましょう。
「叱ることはマイナスの関わりだから、これをしたらよくないのではないかしら」などとおっかなびっくり、関わりに自信を持てずにしていたら、その大人の弱さがさらに子育てを大変にしてしまうことになります。
「毅然と自信をもって」です。このことは大変重要です。
ただ、本当の意味でそれらの「注意・制止・叱責」などが子供に適切に伝わって、その子の身になっていくためには、たくさんの「プラスの関わり」があった上で少量の「マイナスの関わり」が必要なときだけ出てくるという状態が必要なのです。
よく、「難しい人にお願いをするときは、相手の話を10コきいてから、ひとつお願いをするくらいがいい」などと言われますよね。
そういうのと同じように、「プラス」が10コ先にあってはじめて、ひとつの「マイナス」が子供の力になるというような認識でいいと思います。
つまり、手に負えなくなりつつあるという状態にあったら、まず「マイナスを減らし、プラスを増やす」という状態を目指すことが大切です。
そのためには、
ハードルを下げてしまう《子育ての大変を変えていくために》
の記事に書いたように、生活の枠組み自体を見直してしまうというようなことも有効です。
「注意・制止・叱責」をたくさんしなければならないという状態にある子は、もしかすると大人によって子供がそうせざるをえない状況を作られてしまっているのかもしれません。
例えば、他児と関わるところにいくと、他児を叩いたり、モノをとったりすることが多くて、どうしても制止などの「マイナスの関わり」が多くなってしまっている人は、その「他児と関わる所に行く」という前提条件自体を見直ししてしまえばいいのです。
そういうところにいくから子供は制止される行動をとってしまうし、大人は制止しなければならなくなってしまっています。
もうすこし成長したり安定したりして、そういう行動が減ってからいくようにしたって遅くないのです。
また例えば、「このおもちゃがあるといつも兄弟で取り合いになってしまって毎回叱られている」というような状況があるならば、そのおもちゃを子供の見えないところにしまってしまうというようなことをして、そのマイナスの関わりをせざるを得ない原因を減らしてしまうのです。
こういった見直しをすることによって、まずは「マイナスの関わり」をしてしまう部分を、子供そのものを変えることではなく大人の配慮によって減らしてしまうのです。
子供を変えることは一朝一夕では行かないこともありますが、大人の前もっての配慮でしたらそこは大人の意識次第でどうとでもなることですよね。
注意や制止、叱責が多くなっている人は、子供のそういった部分を見つけ出すような関わりがクセになってしまっている人もいるので、このような枠組み自体の見直しをするのはとても有効になります。
本当にそういう粗探しのような子供への見方がクセになってしまっている人は、ちょっと意識をセーブして、ちょっとしたようなことには目をつぶってしまったり、これまで言い続けてきて何の効果もないような言葉だったらいくら重ねても全く意味のない「マイナスの関わり」にしかなっていないような場合もあるので、あえて言わないというような対応・大人の姿勢も場合によっては必要かもしれません。
(このことは子供へのアプローチを放棄したというわけではなくて、マイナスの多い状態で意味のないマイナスを増やすくらいならば、その状態をすこしでも是正するために相対的にマイナスを減らしプラスの多い状態に持っていくための手段としてあるのです)
そして当然ながら、この「マイナスを減らす」ということと同時に「プラスを増やす」ということが大事です。
「プラス」の一番の基本は、「受容」です。
これは過去記事にたくさんあることですから、細々書きませんが「かわいがってもらうこと」が子供の育ちにはどうしても必要なものなのです。
かわいがったり、笑顔を向けたり、抱きしめたりなどの、気持ちよく一緒に時間を過ごすという経験を大事にしましょう。
つぎに「あるがままを受け入れる」こと。
最近の記事ですと『子供は欠如体ではない』
にこのことは詳しく書かれています。
子供は大人に認めてもらっていない・今ある姿を受け入れいてもらっていないと感じていると、その満たされない気持ち・不安感からどうしてもネガティブな行動が増え、結果的に「注意や制止」のマイナスの関わりが増えることとなってしまいます。
逆に、自分を認めてもらっている・今の姿を受け入れてもらっていると感じていれば、ネガティブな行動は減り、かわいい姿を出しやすくなります。
あとになれば必ずできるようになるようなことを、今望むことで子育てのハードルをあげてその結果、子供が安定しなくなるというようなことは、本当につまらないことです。
あるがままの姿を認めてあげることで、子供は安心してその子のペースで前向きに成長していくものなのです。
ここまでが心構えの部分です。
つぎからは実際の関わり。
長くなったので、つづく。
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偶然にも最近気になっていた子供の様子に対するモヤモヤもスッキリしました。作ったりお絵描きしたりに関して何でも自分でやるより私にやらせようとするんです、最近。「○○がやらんと意味ないやん!」とイライラもやもやしてましたが、今はそういう時期なんだ~と受け入れれば良いだけなんですね。あまり焦らずじっくり付き合おうと思えました。