現代の子育ての落とし穴 Vol.4 - 2010.02.13 Sat
保育園というのは関係ない人にはまったく関係ないちょっと特殊なところなので、今ひとつ理解しにくいことかもと考えていたのだけど、思いのほか共感していただけたようです。
これからもがんばらなくちゃな~と気分を新たにできました。
さて、今回はもうすこし軽い内容でと前回予告しましたが、軽いっていう表現はちょっと違かったかもと考え直しました。正確にはより身近で起こっているっていう意味かな。
それは・・・
前回までにみてきたのは、
子育て経験がない >>> どういう方向にこどもを育てていいかわからない >>
> 「いい子、出来る子」にすることに落ち着いてしまう >>> 抑圧の多い子育てになってしまう
ということでした。
今回はもうひとつの落とし穴についてです。
この落とし穴は「抑圧」ではないけれども、裏表というか気をつけないと紙一重かなと思うのです。
それは乳幼児期に教育してしまうこと。
別に習い事とかそういうことが良くないと言っているわけではないんです。
それはそれでいいのですが、人によってはそれだけで子育てそのものが完結すると思ってしまう人がいることが落とし穴だと感じるのです。
なぜこんなことを言うのかというと、前回のところでお話したように、抑圧レベル1、2、3のこどもたちが保育園にはかなりいます。そういう子たちをみていてあるとき気づいたのです。
「あれ、この抑圧チルドレンみんなしま〇ろうだ~!」
そう、あのしましまのトラのあれにどっぷりつけられているのです。
しかもその抑圧されているこどもたちみんなが見事にそうだったのです。
(あれ購読している人がいたらごめんね~。でも別にあれ読むことが悪いって言ってるわけじゃないからね。誤解しないでね~)
さらに、抑圧レベルの高い子ほどさまざまな習い事などにいかされているのです。
はっきり言って落ち着きがなかったり、じっくりあそぶことやきちんと座って食事することもうまくないような、何かを学んだりする以前のことが出来ていない子ばかりだから、習い事に行ったとしてもたいして学べるとも思えないし、返ってストレスがたまってそのあと大変になっているはずなんだけど、そういう人に限って一生懸命習い事に行かせているのですよ。
これが、普段からきちんと可愛がられていて、こどもの気持ちを受け止められている人がするなら問題ないのだけど、どうもそうでない人ほど一生懸命になっているようでした。
どうして、こうなっているのか考えました。
「なぜいまの親はしまじろうにはまるのか?」
ひとつには安心材料になっているだろうということ。
「周りの親はみなこれやってるし、なんかトイレでおしっこの仕方とかこどもに伝えるような内容になってるし、人のものとったらだめって教えてるし、これ与えてたらいい子になってくれるんじゃないかしら!」
おそらくこのへんの「しつけ・教育」的要素が、現代の子育ての方向性のいまいちわからない親には、魅力的で大人気の理由なのではないかと思い至ったのです。
僕も少し読んだりビデオを見たりもしましたが、内容的にはお話もちょっとしつけ、良い子を描きすぎていて面白みにかけるし、ビデオのできも教育テレビで作っているものにはるかに及ばないと感じました。
キャラクターの要素もあってこどもはそれなりに惹かれるかもしれませんが、排泄や友達関係などの多く取り上げているテーマにしても、実際そういうものをお話として読んでも、それだけでできるようになるわけではないのは明らかです。
なのだけれども、育児経験のない人にとってはそのあたりの「与えていたら良い子になってくれそうだ」という漠然とした雰囲気が落とし穴になってしまっているようです。
本当にこどもちゃ○んじを与えておくだけで、こどもが良く育つと思っている人が実際います。
しかし、当然そうなるわけはありません。
僕の知っている事例では、そう思ってこどもにしまじろうのビデオばかりずっと見せている人がいました。
お母さんは「それさえ与えておけばいいと思ってた」と言っていました。
かなり小さなときから見せていたのだけど、2歳7ヶ月のときその子にしまじろうのぬいぐるみを見せて「これな~に?」と聞いたら、それがなにかすらわかりませんでした。実話です。
その子は言葉の遅れ、情緒の発達が年齢に較べて遅かったり、食事もちゃんと食べる習慣がつかなかったりとさまざまな問題がありました。しかし、けっして知能などの遅れがあったわけではありません。
でも、親子での適切な関わりなどが著しく少なく発達が促されなかったのです。
↑これはちょっと極端な例かもしれませんが、ここまでいかなくともこういう要素のあるうちがたくさんあります。
さまざまな習い事もこの「しまじろう的落とし穴」の延長線上にあると言えます。
習い事教室に通わせることで、こどもに必要なものを与えているという安心感を得てしまうのです。
そして本当に必要な、親子の関わり、人とこころをつなげること、想像するちから、あそぶちから、人と関わるちからといったものなどなど、まで到達しなくなってしまうのです。
だからこの落とし穴が僕は怖いのです。
こどもを良くしようとしてやっていることが、返って逆効果になりかねないから。
親子の関わりなどなどをちゃんと持てた上でなら別に問題ないのですよ、でも現状そうでない人がたくさんいるのです。
早期教育、幼児教育、知育玩具などなどこういった、乳幼児教育産業は数兆円産業らしいです。そしてこの不況のさなかでも成長する有望株です。その内容が本当にこどもに良いかどうかは別として、そういった親の心理をつくことで十分ビジネスとして成り立ってしまいます。
ですから、今後もさらに増えていくでしょう。
しかし、いま上でみたような理由から、ほんとうにこどものためになる利用のされ方であるかどうかという危惧があります。
「教育」とは『人間』(人格とでも言ったほうが正確かな?)ができた上で初めてできるものです。
どうかその順番を間違えないようにしたいものです。
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● COMMENT ●
No title
しまじろう
玩具は重宝してますが・・・^^;
>子育て経験がない >>> どういう方向にこどもを育てていいかわからない >>
> 「いい子、出来る子」にすることに落ち着いてしまう >>> 抑圧の多い子育てになってしまう
これにハマってしまわない様に頑張ってますが、やっぱり難しいですよねぇ(^_^;) おとーちゃんさんのブログ、はバイブルになってます! 助かってます^^
>与えていたら良い子になってくれそうだ」という漠然とした雰囲気
これも勉強してから気付きました(・_・;)
メディアの影響も大きいですよねぇ
これを使えば脳がよく発達する~
これを与えれば手先が器用になる~
これを買ってあげれば人間が良くなる~・・・
とはならなぁい(-O-)
メディアは宣伝が仕事。 そりゃ『商品』を売り込みますよねぇ
色々な『権威』ある人に、この商品は良いですよ~・・
なんて言わせてみたり
科学的な研究結果を絡ませ、納得させる方法もよく見ますよねぇ
どうやれば売れる? を常に考えてる『宣伝部』
に乗せられてるわけですよね
こういう、数有る『罠?』的な情報に踊らされる事無く
親本人の人間の本質を鍛え、伝えていきたいです( ^^)
さっちんさん
> うちもやってますが、確かにあれさえ見せておけば・・・ってなると危険かもしれませんね~。
さっちんさんのうちみたく、いっしょにままごとセットとかお絵かき机とか作ったりするような、関わりやこどもへの思いがまずあれば、どんなことさせたってちっとも問題ないのですけどね~。
晴トントンさん
> これを使えば脳がよく発達する~
> これを与えれば手先が器用になる~
> これを買ってあげれば人間が良くなる~・・・
> とはならなぁい(-O-)
まさにそこが問題なんですよね~。テレビショッピングの商品が宣伝どおりではないのと同じように、こども関係の商品もそうなんですよね。
> こういう、数有る『罠?』的な情報に踊らされる事無く
> 親本人の人間の本質を鍛え、伝えていきたいです( ^^)
ほんとに結局はそこに落ち着いてしまいます。親がこどもになにを求めなにを伝えられるか。
自分がこういう仕事だから余計そう思うのでしょうが、子育てってその人の本質が現れてしまうものだと最近とみに感じます。
過去は私もそうでしたー
ちなみに、玩具はなかなか上出来な物もあれば、いまいち玩具もあり、やめてしまいました。本人は、しま○ろう絵本は好きみたいで、今でもよく私の所へ持ってくるので一緒に読み聞かせていますよ。なので、親が頼りすぎることなく、上手にコミュニケーションするツールとして使うには、悪くないかもしれませんね。とーちゃんのおっしゃる通りだと思います。
今の親は情報が多すぎて、あせりだけが先走りしてしまう世の中ですよね。だから、こうやってとーちゃんのように警告を発信して参考にしていく場があることは、とってもよいことだと思います。
とーちゃんのキーワードは「いい子」なのかなーとブログを拝見して感じ始めてきました。
日本人は、とにかく角が出ることを「良し」としない風潮がありますよね。文化なのか、日本の過去の教育がそうさせたのか・・・。みんな一列に並んでないと親が心配する風潮。私のまわりでもたくさん見かけます。「そこで、親が口出すのー!?」という場面、何度も見ます。親は子どものためと思っていても、子どもの個性を実はつぶしてたり、自主性を損なわせてたり・・・と子どもに考える時間を与えず、親が口を出して、「いい子」にもっていきたいのかなーと思える場面です。
私は、「みんな違ってみんないい」なので、人と違ってようが、本人がこだわりをもってやった事や作品はめちゃくちゃ誉めます。なので、長男くんは性格なのか分かりませんが、何をするにも、全部意味があって行動を起こしているパターンが多いので、それを親として理解してあげようとこれからも思っています。
やっぱり!
僕もまったく一緒のことを考えていました。
現場の声で確信した思いです!
買い与えただけで満足しちゃうんですよね。
でも、そこから先のまとめや振返りが大事なわけで、
実生活上、こまった時にどうすればいいか、
どうすればよかったか。
友達とぶつかったときや悩んだときに
どうしようか。。
教材を「材料」に親と一緒に考えて
話合う時間があって初めて
その素材が生きると思うんですよね。
この連載記事、
僕のブログでアップさせてもらっていいですか?
なんだか、話さずにはいられなくなってきた!(笑)
ちえっつママさん
経験の少ないことだから、自分の子育ての現状に不安感をもってしまう、これはどうしても避けがたいことではあるのだけど、だからこそコマーシャリズムに左右されなに知識を持ってもらいたいですよね。
> とーちゃんのキーワードは「いい子」なのかなーとブログを拝見して感じ始めてきました。
どうだろう、あんまりメインテーマみたいなこと決めてはじめたわけじゃないから意識してなかった(笑)。
「そこで、親が口出すのー!?」という場面、何度も見ます。親は子どものためと思っていても、子どもの個性を実はつぶしてたり、自主性を損なわせてたり・・・と子どもに考える時間を与えず、親が口を出して、「いい子」にもっていきたいのかなーと思える場面です。
本当に近頃ではこれが多いんですよ。良かれと思ってるのかもしれないけど逆効果になってしまっていることが・・。
> 私は、「みんな違ってみんないい」なので、人と違ってようが、本人がこだわりをもってやった事や作品はめちゃくちゃ誉めます。なので、長男くんは性格なのか分かりませんが、何をするにも、全部意味があって行動を起こしているパターンが多いので、それを親として理解してあげようとこれからも思っています。
多くの人がそう考えてあげられたら、もっと生きやすい世の中になるんだろうけどね~。
「こどもは親を選べない」この頃ことあるたびにこの言葉が頭をよぎります。
素が屋さん
物質的、経済的にはとても豊かな国になったけれでも、心をとりまく問題が深刻になってきていますよね。豊かさを追い求めるよりもずっと難しい時代になりつつあると思います。
No title
しまじろう、確かに我が家に存在しています。
遊ぶツールとして一緒に遊びますが、確かにビデオ見せていることもありますね。特に夕ご飯の準備のとき・・あいたた・・。^^;
全てがいい、悪いというわけでなく、どういう使い方をしているかによるのかなぁ~と思います。
やみくもに乳幼児産業が沢山あります。それを選ぶのに本当に困ってしまいますよね。本当に大事なことを後回し(みえていない)のに先に進めば何かあるというように思っていらっしゃるのかもしれません。
私も乳幼児産業の一員としてわずかでも収益を得ているものとして子ども視線に落とし、うわっつらでない子どもと共に成長してもらえる親御さんを一人でも支えてあげたい、一人だけでなく地域がみんなよくなればいいなぁ~と活動していきたいとこのブログを拝見していて再確認しました。
ぴよままさん
> 遊ぶツールとして一緒に遊びますが、確かにビデオ見せていることもありますね。特に夕ご飯の準備のとき・・あいたた・・。^^;
> 全てがいい、悪いというわけでなく、どういう使い方をしているかによるのかなぁ~と思います。
そうですよね、そういうものを利用することがいけないのではなく、どう位置づけていくかなんですよね。
> 私も乳幼児産業の一員としてわずかでも収益を得ているものとして子ども視線に落とし、うわっつらでない子どもと共に成長してもらえる親御さんを一人でも支えてあげたい、一人だけでなく地域がみんなよくなればいいなぁ~と活動していきたい
子育ては一人でできるものじゃないからそうやって支えてくれる存在の意味がとても大きいのですよね。どうかこれからもがんばってくださいね~。
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うちもやってますが、確かにあれさえ見せておけば・・・ってなると危険かもしれませんね~。
あれをきっかけに遊びを広げたり、子どもとの関わり方を参考にしたり・・・っていう風な使い方をしたいなと私は考えているのですが、ちょっと方向を間違えると危ない方にいってしまいそうだということに気づきました。
これからはそういうことも考えながらうまく利用したいな~と改めて感じました。