子供のアイデンティティ - 2014.04.03 Thu
日本語にすると「自己同一性」と訳されますが、今ひとつわかりにくいですよね。
平たく言うと、「自分の居場所や役割というものの確立、プラス、そこからくる自信」とでも言うようなものでしょうか。
思春期から青年期にかけてはそれの確立に大いに悩み、焦燥感・不安というものにさいなまれるわけですが、それ以前はアイデンティティがないかというとそんなことはありません。
ただ、この時期になるとそれまでのアイデンティティの有効期限がきれてくるわけです。
それまでのアイデンティティ、つまり「子供のアイデンティティ」ということですが、それはどこから沸き起こってくるかというと、「親から大切にされる」ということがそのまま子供の持つアイデンティティとなるわけです。
親から大切にされる可愛がられるということによって、
自分の居場所はここにあるのだ。自分はここにいていいのだ。自分の役割というものがそこにあり、そこでは自分が必要とされている。
そのようなものが、子供の精神・情緒を下から支えて、自分の現在というものに自信をもてているわけです。
なので、子供は通常自分の存在について悩む必要がありません。
しかし、思春期・青年期になり自分が親から離れ社会において独り立ちしていかなければならないというのが見えてくる段階になると、そのような自己同一性では不十分となってしまいます。
それゆえに、その時期においてアイデンティティの悩みというのが押し寄せてくるわけです。
でも、もし子供時代においても、親から認められたり、可愛がられたり、大切にされたりという実感を持てない子がいたとしたらどうでしょう。
思春期・青年期においても、そういった不安定さからときに周囲に攻撃的になったり、反発したり、はたまた非行に走ったりということが起こりえます。
子供のアイデンティティにおいても、似たようなことが起こります。
親に大切にされているという実感を持てない子は、他者を攻撃したり、反発したりといった行動につながりやすいです。
子供を可愛がるのは当たり前で些細なことと思える人もいるでしょうけれども、とても大切なことなのだと思います。
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昔息子が2歳から4歳くらいの時に、しがみつきなどが出ていて情緒が著しく不安定になっている時に限って母親である私に「○ちゃん、お母さんのこと好きなの」と言ってきました。
お母さんも○ちゃん好きだよーと返していましたが、育児関係の方に、普通なら子供にとって確認するまでもなく当たり前のことを、わざわざ子供が言葉に出して確認してくるのは情緒的に不安定になってるサインだから気を付けるようにと言われた事があります。
一般的にはサインでないのかもしれませんが、個別的に息子を普段からよく見て下さっていた方の助言なので、その言葉が出たら、サインと捉えて更なる受容を心掛けるようにしていました。
今回の記事で、子供のアイデンティティの根っこの部分が揺らいでたからこその反応だったのだなとストンと腑に落ちました。
思えば息子はそれこそ会話ができるようになった直後くらいから、普段は無関心な父親から頻繁に「お父さんの事好きか?」と問いかけられ、答えられずに暗い顔で俯いて黙り込んでるのにしつこく覗きこまれて何度も聞かれてました。
この事でいくら夫婦間で話し合ってやめて欲しいと言っても、趣旨を理解してもらえる事はありませんでした。
そして今思えば、あんなに問いかけていたのに父親から息子が好きだよと言ってたことは一度もなかったなと。
ちなみに私も意識しないと無表情に黙り込むタイプで、今から思えば寡黙に子育てしてました。
私自身が受容を心掛けるようにになって、意図して好き好き言ってスキンシップをするようにしてから、そう言えばここ2〜3年くらいそのセリフを聞いてないなと。今気が付きました。
おとーちゃんさんの言われる、好き好き可愛がり、受容をする事が、子供の人格の根っこのあたりにこんなに効いていたのかと改めて考えさせられました。
そう言えば、その育児関係の人に、この子を今のままの態度でこのまま育ててもそれなりに大きくはなるけど、果ては確実にニートか不登校か引きこもりだよと言われた事も思い出しました。
この記事を読んで、そのことも非常に腑に落ちました。
思春期に自分と戦える準備が積み上がってきてないまま戦いの時期に来て、何も出来ずに立ちすくむ、そうならないように、親が手伝いを出来ることはしていきたいなと。
アイデンティティの形成は当たり前ですが幼少期から始まっているのだなと、改めて実感しました。
自分のことばかりの上長くなってしまい、すみません。
返信は不要です。
いつも示唆に富んだ記事をありがとうございます。