「失敗をしてはならない」が引き起こすつまづき - 2014.04.07 Mon
まあ、いろいろな理由はあるのだろうけれど、その根底にある情緒的な部分をみてみたら「失敗してはいけない」というものがあるのかなと思いました。
今の子育てをみていると、子供や子育てについてはわかっていないところに加え、いまの世の中の先行きの見えなさなども相まって、「○○を身につけさせなければ」という子供への見方・考え方がどんどんエスカレートしていっており、それが不安や心配を増大させ、子供への要求として現れてしまっているような印象を受けます。
子供産業・教育産業の加熱というものも、「お子さんにこれをさせるといいですよ」ということで商売をしているのだけど、それもときに「これをさせておかないとよくありませんよ」という捉え方もできてしまうわけです。
そして周囲の空気というのかな、負の感情には伝染する力があります。
周りの人が、心配していたり、不安になっていたり、恐怖を感じていると、そういうものは周囲にいるそういう感情を持っていなかった人にも伝播していきます。
なんとなく、子育ての世界には「強迫観念的なもの」が漂っているようです。
「子育てを失敗してはならない」という感情は、「少子化」になると必然的に出てくるもののようです。
でも、「失敗してはならない」というところからとる対応が、むしろ本来単純明快であった子育てを難しいものにしてしまって、さらなるつまづきの原因をつくってしまっているというのがなんとも皮肉なものです。
「失敗してはならない」がとらせる、「先取り」のようなアグレッシブな行動という出方もあるし、
「失敗してはならない」が、逆に「どう関わったらいいか自信がもてない」、「子供の行動に対して後手後手にまわってしまう」というパッシブな出方になっている人もいます。
これは両者がまったく別の人というわけではなくて、「どう関わったらいいか自信がもてない」という人が、明快にそうだと一般に言われているところ、思われているところの行動というものに流されてしまうという事態になっているというのが現実のところのようです。
「子供にどうしたらいいかわからない」からこそ、世間で言われるところの「当たり前のこと」。早いうち子供に慣らすだとか、ひとみしりをさせないだとかの、「○○すべき、できるようになるべき」的な行動に駆り立てられてしまうのでしょう。
しかも、強迫観念的に。
さまざまな子供産業・教育産業というものに目が向いてしまうといういまの子育ての傾向も、それと同様の構造があるように感じられます。
子供の成長というのは実は単純明快なものです。
ご飯を食べさせて、きれいにして、寝かせて、遊ばせて・・・
こういう本当に当たり前のことのなかにも、それだけではない様々なものが含まれていて、それら当たり前のことを当たり前にしているだけで、子供はまっすぐに育っていく力というのを持っています。
現代は社会の方が単純で明快なものでなくなっているので、当たり前のことだけでは足りないように感じてしまう部分というのがあるのかもしれないけれど、その上のことはそういった基本のことを終えてからでも充分間に合うことなのではないかと個人的には思います。
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● COMMENT ●
hanaさん
単に寝る寝ないの問題ではなく、体や心の疲れをそこで緩和させたりするので、病気の予防などにもとても大きな効果があります。
身体の発達や脳の発達にも影響があるということも言われています。
でも、たしかに昼寝をさせないという家庭はすくなくありませんね。
なかには、家庭でのんびり過ごしている子などでは、精神的体力的に余裕があってなくても「なんとかなってしまう」という現実もあるにはあると思います。
ほかにも、「昼寝をさせると夜寝ない」ということが一般的に思い込まれてしまっているようです。
これはケースにもよりけりですが、実際は世の人が思っているほどにそうではありません。
このあたりのことは過去記事でわりと詳しく書いたところがありますので、「午睡」とか「昼寝」で検索してみると見つかると思います。
返信ありがとうございます
うちの子はよく寝るタイプの子だから特にそう感じるのか、お昼寝もしないで過ごしてしまう同年代の子がなんだかかわいそうで…でもそれも習慣になってしまうんですね。
とりとめのないコメントですみません。ありがとうございました。
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子育ては楽しいです。家庭でのんびりと子育てができることに感謝です。
私の周りの子供たちをみて気になることがあります。それは、2歳前からお昼寝をさせないという家庭が多いことです。赤ちゃんが産まれて…などの理由ではなくてです。
以前にも睡眠の記事がありましたが、またお昼寝についての記事を書いていただけると嬉しいです。