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2023-03

クレームという名のカウンセリング Vol.1 - 2014.06.08 Sun

今日は保育園についてのことです。

近年では園に対する親のニーズや要望というものの比重が大きくなってきました。

以前ならば問題ではなかったようなことまでが、クレームとして寄せられるようにもなってきています。

ただ、今回の中心はこんなすごいクレームがあるというお話ではありません。
子育てする人がどういう状況にあるのかというお話になります。








登園時やお迎えの際、または電話などで相談なり質問なり、意見なり要望なりというスタンスで話が持ち込まれます。

なかには、大変怒っていたり、イライラしたりしてというものもあります。
それらはまあ、いわゆるクレームです。


普通に相談なり要望なり意見なりということであれば、それななにも不自然なところはないのですが、クレームとして持ち込まれるものの中には、それそのものではないものもあります。
しかも増えています。


どういうことかというと・・。

話のとば口は、子供が園で怪我をしてきたということや、持っていった衣服が戻ってきていないというようなちょっとした事実のこともあれば、なかには全然関係のない事実無根のこともあります。
(事実でないというのは一例をあげると、親は「保育園で怪我をしてきた」という主張なのだが、子供はそれは前の休みにショッピングセンターで転んで怪我したもので、親もそれを知っているはずと教えてくれたり などなど)


最初はそういったクレームで持ち込まれてそれを聞いていると、親の話はだんだんと違う方向にいきます。

会社や家庭・家族に対する愚痴だったり、純粋に子供とは関係のない親自身の思ったことや、趣味の話だったり。


まだ、子育てに関することならばそう不思議ではありません。
子供についての悩みや、将来への不安だとか、自身の子育ての大変さ、生育歴からくる悩みなどなど。姑問題の愚痴でもいいでしょう。
些細なものでも、背中を押してもらいたいというようなことも、子育てのなかではたくさんあるのはわかります。


でも、最初は子供にまつわることでのクレームとして持ち込まれたそれらは、きっかけとして保育士になにかを話すための理由としてあるだけで、本題は子育てについてですらありません。

なかにはこんなものもあります。

お母さんからのクレーム。
最初は「子供が怪我をしてきたどういうことだっ!」という話だったのだけれど、その怪我というのはそもそも、前日の朝登園時の視診で聞いたらそのお母さん自身が「昨日一緒に公園で遊んでた時にぶつけちゃいました」と言っていたもの。

「あれ、たしか公園でぶつけたっておっしゃってましたよね?」と返すと、

何日も前にあったような様々なことを引っ張り出して不満を述べていく。

それがいつのまにか仕事の愚痴になって、それで1時間も話したあとに、「私がこんなにイライラしてたのは、この前(そう最近でもない)髪型が(←お母さんの)変わったのに先生はなにも言ってくれなかったからなんだからねっ」
そういいながら、すっきりした笑顔で帰っていかれました。


「いやいや、別にツンデレアピールとかしなくても大丈夫ですから」とつっこみたくなってしまいそうですが、これはまあ一例です。

ここまで面白くはないにしても、こういうものがたくさんあります。

まあ、その髪型うんぬんというのもなにか言いたかったということの理由づけなのでしょうね。

その本質は愚痴を聞いてもらいたかった、不満をだれかに言いたかったということにあるのでしょう。

つまり、「クレームという名のカウンセリング」なわけです。


なんとなくこの構造は、現代の子供に多い、「なにかでゴネたりして理由をつけないと甘えられない」という姿に非常に似通っているような気もします。


こういったことがとても増えてきており、子育てがどうこう以前にいまの世の中から様々な余裕が失われてきているのだと感じます。

保育園という施設は、なんというか社会の根っこの部分にあります。
いろんなものが凝縮されて見えてきます。
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● COMMENT ●

No title

はじめまして。いつも勉強させて頂いています。

1歳10カ月の娘について相談します。

少し前から気にいらない事があると、キーキー言って、リビングにあるソファを引っ掻いたり、最近では私や主人を引っ掻いたり、叩いたりする様になりました。たまに軽く抓る事もあります。

対応は、大体怒らずに「引っ掻いたのね」「叩くと痛いからママは悲しい」と伝える様にはしていますが、たまに注意もしてしまいます。
まだおさまる気配はありません。いつまで続くのか、これまでの私の接し方が悪かったのか考えてしまいます。(このブログに出会ったのは2カ月位前です)

それから、色を教えているのですが、青を赤と言ったり、黄色を赤と言ったりします。こういう時は、正しい色を教えた方がいいのでしょうか?
訂正したら否定する事になってしまうのでしょうか?

0歳の時は大人しく手が掛からない娘でしたが、最近は色々考えてしまう事が増えてきました。


No title

そんなストレス解消方法を保育園で取っておられる方がいらっしゃるのですね…。かなりびっくりしました。
何と言うか、相手の気持ちを汲んだり、相手の労力を慮ったり、そういうことが自分の欲望の前に消し飛んでおられるのでしょうか。
本当にお疲れ様です…。

私も仕事柄、高齢男性のクレーマーみたいな人はよく相手をしますが、皆さん、クレーム内容とはだいたい違う事に拘泥されている気がします。クレーム内容に乗せて自己実現してきたり、クレーム内容とは関係ない人生相談と家族の愚痴と過去の武勇伝披露みたいになって、丁寧に相手を否定せずに話を聞いてると、最後はなにか憑物が落ちたように帰って行かれます。

大人になっても全面肯定が時には必要なのはわかりますが、身近な人間関係で解消できずに、肯定をクレームという形で求めるのは、本当におとーちゃんさんの仰る、子供のネガティブな甘えに似てますね!目からウロコでした。

今回の記事も面白かったです。いつもありがとうございます。

No title

保育士さんって大変ですね!

息子が通う園の保育士さんも、髪の毛切ったら言ってくれるし(息子も私も)、息子と同じような色の服を着ていけば「おそろいの色なのねー」と言ってくれます。おそろいの服、ではなくて色だけですよ?

私としては「すごいなー、さすが保育士さん、細かいところに気がつくなー!!」と感心していましたが、このような背景があったのですね・・・。


ほんと、お疲れ様です!

莉乃さん

これに関しては相談カテゴリに基本的なところをまとめた記事を載せています。

『相談 「叩く子供の姿」 Vol.1』  http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-357.html

特にVol.2~3があてはまるかもしれません。

とりあえず、ここの記事にあることでチェックしてみるといいかと思います。


あと、たぶんくすぐりを毎日楽しくしていれば減るとはおもいますよ。

もし、保育園に預けていたりするならば、そこでの頑張りの反動や、疲れからそういった行動がでているという可能性もあります。



色に関しては、色覚に異常がないとしても、目で認識する色と、言語化された(赤、青)ということを一致させるのは実はかなり高度な作業なのです。


3歳くらいまで色とその名前が一致しないということは普通によくあります。

間違っているからといってきにすることもないし、わざわざ教え込む必要のないことだと思いますよ。

おおらかにいきましょう。

ありがとうございます

お忙しいのに返信ありがとうございます。

紹介して頂いた記事を拝見しました。

いくつか思い当たる事がありました。
娘を肯定しているつもりでいましたが、全面肯定していなかった事に気がつきました。

今回も紹介して頂きましたが、数日前からくすぐりと、接する時は表情に気をつける様にしています。
まだ、ネガティブな関わりをする時もありますが、前よりも笑顔が増えて甘えてくる回数が増えてきた様に感じています。

色に関してですが、教えこむのはやめる事にします。

実は、一年程前から幼児教室に通っていますが、おとーちゃんさんのブログを読んでから不自然に感じる様になりました。
遊び感覚で、娘は楽しそうにしていますが、もしかしたら、娘の行動の原因の一つになっているのかなと考えたりもします。

これからはおおらかにいきます。


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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