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2023-03

『子供』と『子育て』の価値を高めたい Vol.1 - 2014.06.21 Sat

現代は、これまでになく「子供の姿」と「子育て」というものが難しくなっているように感じます。
必ずしも、今の人たちが「子供を大事にしなくなっている」と言いたいわけではありません。

「親が子供に望むこと」と「実際の子供の姿」と「親の自己実現」というもののベクトルがそれぞれ別の方に向きつつあるということがとても気になるのです。



僕がカルチャーショックを受けたこんなことがあります。

2歳児の女の子。(仮にA子とする)兄弟はなし。
0歳から保育園に入所。1歳児クラスからは保育時間は毎日11時間を超えている。

お父さんはわりと子煩悩なタイプであるが、お母さんは子供に暖かい感情をあらわに出来るタイプではなく、「子供より仕事」という傾向の人。

その子は母親を求めるのだが、母親からの子供への関わりは「冷たい」と「そっけない」の間くらいな感じ。
そのような状況が0歳のときからなので、慢性的に情緒が安定しない。
キーキーと奇声をあげたり、かみつきやひっかきが頻繁に出ていた。
子供の母親への求め方もネガティブ行動が多くなっている。
普段からそういった姿であるから母親も余計に子供に対していい顔を向けられなくなっていた。


2歳児クラスからの担当保育士がA子を十分に受容を心がけて関係づくりをし、奇声やひっかき、かみつきなどを劇的に減らす。

月齢も高く知的な発達も進んでいたA子は、園での生活に安定を取り戻しさまざまな経験と通して自信をつけていく、家庭でもネガティブ行動が減る。
だがそれでも連日の長時間保育からの心身の疲れ、イライラというものは年齢なりにでている。


2歳児クラスだが月齢が高いため夏前には3歳になる。
A子は夏休みに家族で旅行へ行くと言われて、それを数ヶ月も前からとても楽しみにしていた。

「こんど○○いくんだー」と時々話しては笑顔をみせていた。

その子は0歳から保育園に通っているが、ほとんど休んだことがない。
土曜日もときどき仕事で預けられることがあるし、体調が悪い時でも解熱剤など飲まされてふらふらだけれども保育園に来ているというようなこともしょっちゅうだった。
親が平日に休みの時でも、あまり一緒に休むということはなく普通に預けられていた。
さらに2歳児以降の休みの土日は複数の習い事のはしご状態。
それが産休明けで0歳児クラスに入ってからなので、その子の人生のほとんど半分は保育園で過ごしているといっても過言ではない。

自我も大きく芽生えた3歳であるので、いろいろなことがわかるようになり普段本当は「家でのんびりしたい」「親にもっと甘えていたい」ということも我慢して園で頑張っているという姿がありありとでていた。
そんな中、「夏休みに家族で旅行に行く」というのがその子にとってとても大きな意義のあることだったのだろう。

そして、夏休みになり親が休暇を取り旅行に行き次の週帰ってきました。

どうだろう、楽しい思い出をたくさんつくってきたかな?
そう思っていたのだけど、A子はとんでもなく荒れています。
2歳児クラスになってだいぶ落ち着いてきた最近の姿からは考えられないほどに荒れています。


その子にも話を聞き親からも話を聞いてみると、なるほどこれはそうなりもするだろうということがわかりました。

なにがあったかというと、その旅行のあいだのかなりの時間を宿泊先のホテルの託児室に預けられていたのです。
日中や、親が夫婦でコース料理のディナーを食べている間などの複数回、そこに預けられていたそうです。

それにゆえに子供が旅行中からネガティブ行動を出していることに対して、お母さんはイライラして怒って押さえつけてしまったので、休み明けの保育園で爆発的な荒れとなって出たのでした。

A子がその旅行をとてつもなく楽しみにしていたのを知っている分、さすがにこれには不憫に感じられて仕方がありませんでした。

その両親はA子のことが大切に思っていないわけではないので、今回のことで自分たちが一体子供になにをしてしまったのかということを一応は理解をしたようです。

その後、そのA子には2歳児クラスから受け止めてくれた保育士が年長まで担任として持ち上がっていくので、かなりの落ち着きと安定、成長を見せます。
でも、なにかで精神的につまづいたときなど、その子が生育歴の中で獲得してしまった鬱屈したもの、我慢しているものなどが顔を出しとても感情的になってしまうというところが残っています。
このことが思春期などに問題として大きくでなければいいのですが・・。



事例が長くなってしまいましたが、カルチャーショックから感じるベクトルのズレというのを説明します。

我が家では家族旅行などの計画を立てるとき子供ができて以来、子供にどんなことをさせたいというのが真っ先にでてきます。
海で泳がせてあげたいとか、一緒に釣りをしたいとか、キャンプをしたい、スキーを経験させたい、果物狩りにつれていってあげたいなどなど。
そういうふうに考えるのが当たり前になっていました。

子供の楽しみ・喜びと、親の喜びのベクトルの向きがだいたい同じ方向になっているわけです。
このことは少なからぬ家庭でも同様だと思われます。


しかし、上の事例に限らずこういった「親のしたいこと」と「子供の望むもの・必要なもの」とが別々の方向に向かっているというようなケースが近年とみに増えています。



そこにもう一つ、「親が子供に望む姿」というもう一本のベクトルも加わります。




A子とは別の事例ですが、かみつきや情緒不安などがずっと出ているにもかかわらず、週に一回その日は保育園を休んで長時間にわたっての託児もしてくれる(=親と一緒に過ごすわけではない。預けて親はそのまま仕事へ)幼児教室に通わせているという人がいました。

ただでさえ幼かったり、安定していないにも関わらずさらに不慣れな環境でなおかつお勉強をさせられるところに連れて行かれます。

この子(3歳)とその妹(1歳)はそこに行ったあとの数日は荒れまくります。
ひっかきかみつき、妹にいたっては自傷行為もでるようなりました。

「子供が本当に必要なもの」と「親が与えたい・子供に望む姿」、「親のしたいこと」これらのベクトルの方向性がみんなバラバラなのです。

そのしわ寄せは結局のところ子供にかかってきます。
その妹が自傷行為でつけた頬の傷の跡は、年長になった時もそれとわかるくらいに残っていました。


別に今の親を責めようとは思いません。
そうなってしまう理由というのも理解できるからです。
でもしかし、その人たちももう一歩別の知識をもっていなければならなかっただろうとは思います。

子供の幼少期は、それらのベクトルがあまりにバラバラでは子供は健全には育てないということです。



多分ほかの多くの家庭でも同様かと思うのだけど、子供ができると子供の喜んでくれる顔が親の喜びにもなると思うのです。
現代はそれが必ずしもそうではないという現実に直面しはじめています。
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● COMMENT ●

No title

そんな人いるんだ
こわい
いやだ
と思ったら心拍数が上がってドキドキしました

旅行先でも託児所って…
かわいそう

保育園の子はかわいそうか?
というとそんなこと一概にないと思うけど
これはかわいそうです

生活と娯楽

ちょっとタイムリーな話題でした。
数日前に実家に帰省し、二歳の息子を両親にみてもらって、夫婦で数時間買い物に出掛けました(我が家は転勤族のため、年に1度の息抜きです。念のため笑)

ショッピングモールでは親の買い物に付き合いきれずに、ベンチでゲーム片手に暇つぶしする小学生たち。

実家に戻ると、滅多に預けられたことのない息子は興奮状態。引っかきや指噛み、夜眠れなくなるなど荒れてきたので、予定を切り上げて自宅に戻りました。(出産ごっこ、赤ちゃんごっこしたら治りました)
たった数時間でこの騒ぎだったので、A子ちゃんの心情はいかほどだったのでしょうか…


私は「だいちゃんとうみ」や「14ひきの○○」シリーズなど、昔の日本の生活が垣間見れる絵本が好きなのですが、昔は「生活」の中に「労働」「娯楽」「子育て」が一体となっていたのだなあと思います。
いまはすべてがバラバラに分かれてしまっているので、「労働」を取れば「子育て」が大変に。「子育て」を取れば「労働」が難しくなる。「娯楽」のために子供が荒れる。

何かを切り捨てなければ、何も出来ないかのような思い込みを、私を含め、しがちな時代なんでしょうね。
もっと大きく「生活」というものを心地良いものにしたいなと思いました。

No title

 こんにちは。いつも読ませていただいています、今回の記事を読んで最近悩んでいた答えが出た気がするので思わず、コメントしました。私は専業主婦で8カ月の子供がいます。先日、私の歯医者のため、初めて無認可の一時保育を利用しました。実際に通っていらっしゃったお友達の紹介で園長先生とも事前にお話しし、安心して預けられることを確認していたので二時間弱預けて、迎えに行った時は多少泣いていたもののその後、荒れることもなく安心しました。今後は私のリフレッシュのためにも短時間から慣らせて預けようと思っていました。が、なんとなくためらいが、、、今は、お母さんが、子供と離れてリフレッシュするのは子育ての相談でもすすめられるくらいなのに、、、
なぜ、私はためらうのか、、、わかりました。それは、母親がリフレッシュできると同時に子供には多かれ少なかれ、負担を強いること、そして、それを続ければ続けるほど子供は母親と離れることを怖がってしまうんじゃないかと。
だから、私は一時保育を利用するのをやめようとは思いません。そこまでしても子供と離れて自分の時間を持つことが必要な時もあります。ただ、安易な利用をやめ、帰ってきたらとびきりかわいがってあげよう。そしてなるべくは自分自身が子供といる時間を楽しめるよう工夫しよう。そう思います。

ショックでした

今回の記事は私にとっては天地がひっくり返るようなショックを受けました。自分たちがディナーを楽しむために子どもを託児するって感覚が理解できなくて気持ちが悪くなりました。

私は今のところ、専業主婦で、周りの友人も専業主婦や、短時間のパートが多いです。
保育園とはだいぶ違いますが、子どもの相手をすると家事が進まないという愚痴をよく聞きます。一緒にやればいいじゃんと言うと信じられない顔をされます。

私は家事って英才教育するより大事な生きるための授業だと思っています。一人でやったほうが早いけど、できるだけ一緒にやります。どうやってやるのか、なんでこの手順でやるのか、だんだん教えていきます。
すぐ飽きてもうやめるということもあるし、できると得意げだし、自分からやらせてと言ってくることもある。
正直な話、玩具で一緒に遊んでいる時より、真剣で楽しそうだったりします。

会社の仕事ではそうもいかないけれど、大人は子供をもっと自分の仕事にひっぱりこんでいいと思います。
これは大人のすることとシャットアウトして背を向けるよりも、引っ張り込んでもっともっと子供と接する、一緒にやることのほうがずっと子供のためになると思います。
ベクトルが合わなくなっているのも、大人がすることは子供がすることではない、できるわけがない、させる必要はないと大人のほうで線を引いてしまっているからじゃないかと思うのです。
もっともっと色んなことを一緒にやってほしいなと私は思います。
だから、一緒にスイーツ作ってるお父ちゃんさんの子育て、大好きです。

反省しました…

こんばんは。

私は専業主婦で、一歳の娘がいます。

常に一緒にいる毎日なので、たまの旅行くらい、のんびり、そして贅沢な夕飯を食べたい!
夕飯中(コースだと長くなるので).隣の部屋で預かってくれる施設って、いいなぁと思ってました。

でも旦那さんに反対されて、その旅行は無しになり、結局は娘が楽しいとこはどこか、どう泊まれば負担がなくて、楽しめるか、考えた旅行になりました。

確かに、娘は預けられ慣れしてなくて、預けたら楽しめないだろうから、泣いてる娘を考えたら食べた気しないだろうなぁとは思ってました。

でも泣かなくなったら、たまには…!
とか、思ってたんです。

反省!
確かに子供は親との旅行楽しみですよね。
たとえ毎日一緒にいたとしても。

これからは、そんな考えやめます!

でもたまーに、自分の親に預けて、夜に旦那さんとご飯デートはいつか実行したいです。
これも可哀想になことですかね?


難しいですね

今回の記事は自分にも思い当たる節があります。
第1子(娘)が生まれた時です。
娘のことはとっても可愛いのです。でもずーっと一緒にいることが息苦しくってイライラしていました。
実家は高速使って片道4時間かかる県外で、旦那の実家も遠い。
親戚も友人もいない土地で、話す相手も行く場所もない。
結婚して子供ができるまで6年間、仕事中心で、休日は自分のしたいことをする気ままな暮らしでした。性格も社交的ではなく人見知り。
そんなこんなで子供が生まれて縛られてる感が強くてそれに耐えれなくなってしんどかったです。またそのことも、少なからず娘に影響を与えていたと思います。
子育ては自分を抑えて子供を優先するのが当たり前ですよね。
当時は「親のしたいこと」が強すぎてそれを抑えるのに四苦八苦してもがいてばかりいて、その当たり前のことを当たり前に思えるのに時間がかかりました。
生後6ケ月で職場復帰し娘を保育園に入れた時は正直ほっとしたのを覚えています。でも保育園に預けたことはよかったと思います。
先生が毎日こんなことできるようになったよ、こんな可愛いことしたよ、と教えてくれ、また分からないことは相談したり励ましてもらったりと保育園があったからこそ私も成長していけたのかなと思います。
第2子が生まれて、余裕も出てきたのか育児に慣れてきたのか、娘の時に思った感情は一切ないです。ただひたすら可愛いです。(魔の2歳児、ややこしいこともありますが・・・)
旅行も娘の行きたいところ、したいことを優先に選んで行きます。
休日も公園やピクニックなど子供優先です。
ショッピングなどは実家に帰った時にまとめてします。
やっとすんなりと子供優先に考えられる母になりました。
現在は、過干渉してた部分を見直し、受容、表情をもっとたくさんして子育てをよい方向に持っていくよう奮闘中です!
第1子が生まれたころ、おとーちゃんのブログに出会いたかったです。

No title

子供の楽しみ・喜びと、親の喜びのベクトルの向きがだいたい同じ方向になっていること、本当に大切だなと思います。

もうすぐ四歳の一人っ子の娘のことでご相談させて頂きたいです。
わがままにならないようにしたり気をつけてはいるのですが一人っ子の子育てにおいて気をつけておくことはありますでしょうか。


また、今まではなかったのですが、最近キレやすく、思い通りに行かないと物を投げたりすることも気になります。
「自分の思い通りにならないからって物にあたっちゃダメ」と
真剣に伝えているのですがしばらく続いています。
また「うまくいかないのはママのせいだ!」などとも言います。
過保護、過干渉にならないようにも気をつけているのですが、きっと私の対応が何か悪いのだろうと思い気になっています。
気をつける方がいいことがあれば是非教えて下さい。
宜しくお願いします。

なおりんさんのコメントを見て、ほんとに同じような境遇やつらさ、保育園いれて安心できたこと、生まれた頃におとーちゃんさんのブログにであいたかったこと、
自分だけじゃないと思いホッとしました。
手強い我が子に笑顔少なく子育てし、我慢と忍耐と、心配と不安で押しつぶされてた日々でした。孤独感が強かったなあ、、、

上手に子育てできる母親もいれば、うまく回らず苦手に思う人もいる。
母親だって千差万別、子供の個性と同じくだと思います。
愛情を精一杯注ぎたくても空回り、もう少し気持ちを楽にできてたらなあと、
今保育園に預けて、メリハリができた生活をしてみて思います。
子育てに不器用なママたちのために、これからも宜しくお願いします!

No title

楽しみのベクトルが別の方向を向いている。なるほどなあと思いました。
昔私の祖母(大正一桁生まれ)に、最近のお母さんは、何でも出来て買えて、どこにでも行けて、誘惑が多いから、自分を律するのが骨が折れて、可哀想だと言われました。
昔は、ほとんどの欲望も満足も、全て生活と同じベクトルを向いていて、他の選択肢などなかったそうです。お腹がいっぱいで嬉しい、普段の生活が心地よくて嬉しい、とかそんな感じで。
そして、生活と同じベクトルだから、子供と大人と比較的利害が一致しやすかったのかなと、おとーちゃんさんの記事を読んで改めて思いました。

ちなみに私も、出産直後に、ベクトルが一致せず苦しみました。
私は性格的に極端なタイプなので、一旦、自分の欲望を全て捨て去って、やっと、子供と生きる楽しさが見えてきました。
今は、見えてきたので極端なことはやめて、旅行に行くにしても、子供の楽しみ、私の楽しみをリストアップして、両方負担なく満足できる旅程を組んています。
やはりいまだに子供の楽しみだけでは息苦しくなってしまう未熟者です(笑)。

怪物母?

こわいというコメントを読んで、自分がこわいと思われるような人間なのかーと悩んじゃいました。
長時間ではないけれどホテルやデパートに託児があるなら預けてみようかなあと思っていたからです。
母として息子は大好きですが、近くに頼れる親戚がいない子育ては本当にキツいです。
子供の心が安定していて、フォローがしっかりできれば心配ないんですよね?

はっくんさん

>昔は「生活」の中に「労働」「娯楽」「子育て」が一体となっていたのだなあと思います。

そうなんですよね。
僕も14ひきのシリーズは大好きです。(ただ正直に言うと、絵は素晴らしいけど文はわざわざ見るところを誘導してしまったりが多くてもったいないところもあるかなと感じます)

家族総出で冬のための食料の準備をしたり、かつては労働や学びが個別のものではなくそこにも家族間や地域とのつながりが存在していたというのはいまでは完全に失われてしまったことのひとつでしょう。

こういうのは時代の流れなので「良い悪い」ではないですが、無頓着でいるとそれが無くなったことによるマイナスに気づかないまま弊害をもたらしてしまうので、そういった視点というものは持っていなければならないのでしょうね。

これまでの時代は、核家族になってしまってそれらの共同作業というものを「レジャー」に置き換えて家族間のつながりを保っていたのだけど、この事例のようにいまではそれすらも揺らいできてしまっている現実になってきてしまいました。

これが主になってきたらその補いはどうやったらつくのでしょう?
僕にはその先が見えません。なんとも心配です。

まめまめまるこさん

僕も預けることを恐れる必要はないと思います。

子供というのは柔軟性のあるものだし、そういった預けられるという経験が即すべてわるいというものでもありません。
「可愛い子には旅をさせろ」のことわざにもあるように、そういうこともなにがしかの経験になるものです。

ただ、親の方が子供をモノでも預けるかのような気持ちになってしまったら、そこにはたくさんの弊害が出てきてしまいます。
そのことに留意して、フォローをしながらしていけばいいのだと思います。

洗濯日和さん

預けることが必ずしも悪いわけではないけれども、この事例はちょっとショッキングですよね。

この子の1歳児クラスの時の姿、2歳児クラスになったばかりの姿というのは本当にすごいものでした。
虐待やネグレクトをされている子供の姿に近いものがありました。

その原因は母子関係にその多くがあったのだけど、母親が悪いというのではなくて、せっかく0歳児から保育園に来ていたのだから、もっとこの家族の子育てをいい方に向かわせてあげるアプローチというものが保育園側にできなかったのだろうかというこの点がとてももったいなく思うのです。
以前書いた「保育 第三の道」というところですね。

それがもっときちんとできていたのならば、この子の姿も親の行動も違ったものを引き出せていたような気がしてなりません。

ひーままさん

子供を預けて大人の時間を持つことが必ずしも悪いことではないと思います。

子供のおかれた状況や子供の姿というのもそれぞれですからね。
こういうのはケースバイケースです。

この事例の子の場合は、いわゆる「上げて落とす」ということをただでさえ親との関わり・時間が必要だった状況でしたものだから大変なことになりましたが、何事も程度問題ということでしょうか。

なおりんさん

>子育ては自分を抑えて子供を優先するのが当たり前ですよね。

僕は必ずしも「当たり前」であるとは考えていません。

むしろ、現代のように社会が進歩して個人主義の傾向が強くなってきた現状では、個々の求めることが尊重されるべきというのはある意味必然ですらあります。


ただ問題は、子供がいる状況ではそれをどう折り合いをつけていくかということだと思います。
よく夫婦間でも「共通の趣味があるといい」などといいますが、子供も同じようなもので子供の喜びと大人の喜びのベクトルというのが一致すればなにも問題はないわけです。

そういうような視点・意識というものを大人の方があらかじめもてているかどうかということ次第で、このようなことはずいぶん変わってくるのではないかと思います。

マロンさん

推測に過ぎませんが、さまざまな同様の事例と比べて考慮しますと、おそらく

>また、今まではなかったのですが、最近キレやすく、思い通りに行かないと物を投げたりすることも気になります。

このことの原因は、

>わがままにならないようにしたり気をつけてはいる

このことにも一因があるのではないかと思います。


「子供を信頼し、あるがままの姿を認めてあげること」このことの欠乏が

>最近キレやすく、思い通りに行かないと物を投げたりすることも気になります
>「うまくいかないのはママのせいだ!」などとも言います。

これらのことを引き起こすことがしばしばあります。


過去記事では「全面肯定」という言葉で述べている部分です。検索すると該当記事が当たります。



子供の行動に対して規範を教え込もうとしたり、制止や禁止、こういった対応が必要な時も確かにありますが、これらはこどもからすればどこまでいっても「マイナスの関わり」です。


人間というのはこの「マイナスの関わり」をたくさん積み重ねたとしても、そこで望まれるような姿にはなることができません。
本人がなりたくてもなれないのです。

大人はプラスの関わりに留意してそれを積み重ねて行けなければなりません。

http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-544.html
http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-244.html

これに関してはこのあたりが参考になるかと。


http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-592.html

こちらの記事であげたようなプラスの感情が伝わりにくくはなっていないか、という点もチェックしてみるといいかもしれません。

あと、アプローチをするなら迷いながらではなく、毅然としてでないと気持ちにブレが出て、子供は混乱し納得できない気分になってしまいます。

でも、まずはとにかく、子供のいい部分を見てプラスを多くすることです。


また、女の子で4歳ということですから、「揺り戻し」の時期に差し掛かっているのかもしれません。

揺り戻しというのは成長の大きなステップアップのときに、幼い姿をだしてその段階の達成感を再確認したいと思うような子供の自然な発達の姿です。


親から見ると、それまでなんの問題もなくできていたことを、「できなく」なったり、「してほしい」と言ってきたり、そういうときに「甘え」を出してきます。

それらは成長の確認作業として必要なことなのですが、親からすると当然できることを「できなく」なるので、「甘やかし」だとかサボっているというように見えてしまうこともあります。


その時期は一旦受けてあげればしばらくして次のステップに大きく成長を遂げるのですが、これを大人の方が受けられないと、この「脱皮」がしたくてもできずに苦しむことになります。


僕からは様子が見えませので断定はできませんが、そういう様子がありましたら、「できない姿」も認めてあげていいと思います。

ありがとうございました

おとーちゃんさん、お忙しい中ありがとうございました。
一人っ子だから気をつけなくてはと私が気負う気持ちが娘の姿に現れているのかもしれないですね。。。
普段から肯定し受容しているつもりではいましたが、まだまだ足りないのかもしれません。
揺り戻しの時期というのもあるのですね。。
思い当たる節がありますので受け止めてあげたいと思います。

いつも自分自身の子育てを見直す機会を与えて頂き、おとーちゃんさんには本当に感謝しています。
これからも記事を楽しみにしています。
ありがとうございました。

No title

おとーちゃんからいただいたコメントを読んで考え込んでいました。
子供を産む前と直後は自分のやりたいことも育児もする、できると思っていました。
折り合いをつけていく段階で、物理的問題や私の性格などの影響でやりたいことをやっても疲れたりうまくいかなかったり、やらずに諦めたりすることが多くなり結果、自己犠牲感が強くなっていました。「自分を抑えて子供を優先する」と思うことできっと自分のやりたいことをすんなり諦めさせる理由にしていたんだろうと思います。
子供を優先すると考えるのではなく子供と共に、子供と同じ方向を向く、子供の喜びと大人の喜びのベクトルが一致するようにと意識できていたなら、折り合いのつけ方も子供に与える影響もまた違ったものになったんでしょうね。
気づかせていただきありがとうございました。

No title

子どもがいたらやりにくいことはあると思いますが、子どもがいるからこそ楽しめることもたくさんありますよね。
私は子どもと遊んだり出かけたりしている時は、童心に帰って思いっきり楽しんでいます。
自分が子どもの時にやりたかったことに挑戦してみたりと、子育てを通じてもう一度子ども時代を楽しんでいる感じです。
子どもを楽しませるためにガマンしようとか、子どもをもてなそうとか思うことはなく、自分も子どもに戻ってはしゃいでいます。

こういうのが同じベクトルを向いているっていうことなのでしょうか。


親だからガマンしなくちゃとか、子どもに尽くさなくちゃと頑張りすぎて自分を追い込んでしまっている方々を見るとすごくもったいなく思います。

そうやってムリして子どもと向かい合っているからこそ息抜きとして「大人の時間」が必要になってしまうのではないかと。

私は疲れた時は「今日は疲れたからお母さんの営業を終了します」などと言ってソファーでダラけていたり、子どもたちより先に寝てしまうこともありますが、子どもたちは「疲れてるから休ませてあげよう」と言ってくれます。
私をすごく信頼して愛してくれていて、長男は「お母さんはAランクだね。僕はお母さんを交換したいとは思わないな」と言ってくれます。(母親交換取次所という本を読んでの感想です)

ムリして頑張らなくても良い子育てってできるんじゃないかなといつも思っています。
最近は親も子もできることや、してあげることばかりがクローズアップされていて、見えない何かに追われて頑張らされていて大変そうだなぁと思います。


「叱らなくて‘いい’子育て」

おとーちゃんさん、こんばんは。

まずは出版企画の実現化おめでとうございます。

それから、大変遅くなってしまいましたが、先日の私の質問に、お忙しい中早速お応えいただきましたことお礼申し上げます。


今回、-『子供』と『子育て』の価値を高めたい-の記事の中にあった、

>「子供が本当に必要なもの」と「親が与えたい・子供に望む姿」、「親のしたいこと」これらのベクトルの方向性がみんなバラバラなのです。

まさにこの一節の中に、全ての問題が集約されていると思いました。


それは、今の日本の社会の問題でもあるわけですが、
「親が与えたい・子供に望む姿」、「親のしたいこと」・・に極端に擦り寄っていってしまうのが、サービス業としての企業園の問題点で、

例えば、本来の子供にとって本当に必要なもの(安心・安全で素朴なおもちゃ)の買い増しより、親受けのする英会話の講師を招く費用を優先するようなことになっていき、ひいては新たに不要な心配や競争心を親に植え付けてしまい、ただでさえ精神的負担の増した子供が、叱られなくてよいはずのところで理不尽な叱られ方をする結果になってしまったり・・・

そして、最近気付いたことですが、巷には‘「子供が本当に必要なもの」
教えます’的な各種ハウツー本や、育児セミナーなどが玉石混交で溢れていて、時にそれらに信者のように嵌ってしまって、特に「(絶対)叱ら‘ない’子育て」教を妄信したために、子供をとてもむずかしい姿にしてしまっている人というのもいますが、そういう親にも、「それは少し違いませんか?」と言えないスタンスなのが企業園のような気がします。

おとーちゃんさんが常日頃主張されていて、本にもされてようとしていることは、上記のようなこととはある意味正反対の世界であって、

「そもそも子供をそんなに叱らなくてはならないようなことって、たくさんはないんですよー。それは、大人の側の価値観や構えの問題なんですよー。あんまり世間に振り回されないで、子供の育つ力を見つめて、親も一緒に育つというのでいいんじゃないですかー。」

ということですよね。(私の勝手な理解ですが)


できれば、番外編というか、姉妹編ということで、子供の望みと親の望みのベクトルにもうひとつ、それらを正しく優しくつなげる保育者のベクトルのあるべき姿みたいなことも書いていただけたら・・・などと虫のいいことを考えています。

私も苦しみましたがたちの悪い夏風邪が流行っているようです。出版準備で無理をなさらないよう、くれぐれもご自愛下さい。

細く長くのブログの更新も楽しみにしております。




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当ブログはあくまで個人ブログであり、記事の内容および相談・コメントの返信等は効果を保障するものではありません。
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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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