『子供』と『子育て』の価値を高めたい Vol.6 大きな目標と具体的な目標 - 2014.07.08 Tue
親は一生懸命子供に向き合って子育てするのだけど、「不安と心配」の大きさからさまざまな落とし穴に引っかかってしまったり、よかれと思って子供にしていることから返って子供の難しい姿を作り出してしまったりしています。
子供が手に負えなかったり、子供に向き合っている余裕がなければそれがそのまま「重荷」となってしまいます。
それゆえに、子供の世話をしたくない人、できれば子供を誰かに預けて自分で見たくないと感じたり、仕事や趣味など子育てよりももっと別のことをしていたいと思うようになってしまう人もいます。
そのように投げだしてしまいたくなる方にいかなくても、子育て自体の大変さや周りからの視線・プレッシャーに苦痛を感じているという人もたくさんいます。
現代は、「子供」というものと「子育て」というものが実際にはその価値が低くなってしまっています。
その中身は「子供はうざい、むかつく」から「子供は大切ではあるけれども向き合っているのは苦痛に感じる」というようなものまで様々ではあると思います。
しかし、あっけらかんと「子供と一緒にいることが楽しくて仕方がない」という人や「子供がいることで自分の人生は楽しい」と日々感じられるというような人よりもずいぶん、それら子育てをネガティブに捉えてしまうという人は多くなっているでしょう。
この状況というのは変えていかなければならないと僕は思います。
いまの「不安と心配」でいっぱいの子育てから、もっと単純にして日々の子供との生活をお互いに心地よいものとすること。
子育てですることを、具体的に知ることによって子供と関わる中で実際に手応えのあるものにできること。
例えば、毎日キーキーして手に負えなかった子供に一日朝晩くすぐりをするようにしたことで、かわいい姿を見せるようになり大人の言葉を聞こうとする姿勢を持てるようにしたり。
実際に、こういう経験をした人ならばわかると思いますが、このことがもたらすのは子供が関わりやすい、育てやすい姿になるということだけではありません。
それがもたらすもっと大きなことがあります。
それはそれをする親が子育てを自分の手で順転させられるようになることによって、自分に対する「自信」を持てることです。
自分の子供への関わりが子供に対しての明確な意図を持ってでき、それがそのようになることによって子育ての経験を通して親自身の自己肯定感を大きくすることにつながります。
子育てがそのような場とすることができれば、子育ては「いいもの」となっていきます。
しかし、現在はむしろ逆になっていて、多くの子育てする人が子育てを通して、日々自分に対する自信を失う機会となってしまっています。
なので、それらの人達は子供のことを大切に思ってはいても、子育てに向き合うことが辛くなってしまっています。
これでは子供と子育ての価値は高まっていけません。
このシリーズの前の記事で「健康であること」「かわいい子供にすること」二つが子育ての最初の目標であり、それ以外のことはあとからついてくることと述べました。
とりあえずこれが子育ての「大きい目標」です。
世間では「子供にもっと愛情を持って接しなさい」と一口で言ってしまっているようなことを、僕は「受容」「信頼関係」「満たされた子供」などに分解して捉えられるように置き換え、それらが達成できるような実際の具体的な関わりに還元して、それの積み重ねで子育てを作り上げていけることを提案してきました。
これを「具体的な目標」とします。
現代の子育ては闇夜に航海をしているような状態です。
「不安と心配」が大きいと、その気持ちがたくさんのお化け灯台を作り出してしまって、そちらに誘われてしまいます。
でも本当は単純化して、目的地である「大きな目標」の灯台と、通過点である「具体的な目標」の灯台さえきちんと把握していれば、その航海はそうそう難しいものではないのです。
それがきちんと押さえられているのならば、他の小さな灯台をオプションとして意識するということもさほどの問題ではないでしょう。
でも、目標と通過点の灯台を見失っているのに、他の灯台を気にし始めたらなかなか目的地にはつかなくなってしまいます。
僕は子育ては「子供のため」だけではないと思うのです。
大人の方も子育てを通して自己肯定感を高めること、そこにおいて自己実現をしていくことが可能です。
子育てを順転させそれが続けられるようにすることで、シリーズの最初の方で書いた「子供の姿」「親が子供に望むもの」「親が自分のしたいこと」の3つのベクトルの向きも大枠でだいたい同じ方向に向けていくことができると思います。
最近では子供や子育てしている人に対する風当たりというのが強くて、ベビーカーが迷惑だとか、子供の声が騒音であるとかの話がたくさん世間で言われるようになりました。「子供」「子育て」の価値が下がっているのだと思います。
多くの人が子育てを楽しめるようになっていくことで、こういった世間における「子供や子育て」の価値というものも結果的に高まっていくのではないでしょうか。
このシリーズの題名が、『子供』と『子育て』の価値を高めたい だったのは、ひとりひとりの子育てをよいものとしていくことで、それが社会をいい方へと向けていって欲しい、またそれが可能になるのではないかと考えていたためです。
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● COMMENT ●
ありがとうございます。
No title
たびたびすみません。
今日の記事は、本当に今の私には重要な記事でした。
ありがとうございます。
ここ数週間、色々なことが重なって、息子との仲が悪くなってしまいましたが、う〜ん、とりあえず今は乗り越えようと、ハードルをほぼ撤廃し、頭で考えず、ただ一人の家族としてしっかり見てみようとやってみて、今日は久しぶりに穏やかに過ごせました。
まだまだ大変だろうなあと思いますが、止まっても、戻っても、諦めないで、出来る時は努力して、とそれだけはやって行こうと思います。
息子がどう育つかはわかりませんが、「母ちゃんは、最大限の努力はしたよ。」と、それだけは胸を張って言えればいいかなあ。思います。
余談ですが、私は息子が水たまりをバシャバシャするのは、汚れていい時は存分にさせるのですが、先日通りすがりのお婆さんに(私は、この子はこういう子だからこれでいいんですよ。と言ったのですが、)「可愛いけど、でも少しは注意した方がいいんじゃない。」と言われました。
二歳の子がバシャバシャするのは、そのお婆さんには好ましくないのだなあ。お婆さん世代は、こういうのオッケーかと思ったら、やっぱり人によるんだなあ、と思いました。
本当にありがとうございました。
お返事は不要です。
もともと自信の無さの塊だった私に
自信を持たせてくれたのは
娘と過ごす日々です。
そして、そんな毎日を築く
礎となっているのは
間違いなくこのブログなんです。
闇夜に行灯もつけずに
右往左往していた私ですが、
「こどもへの暖かな視点」
という大きな灯りをいただきました!
まだまだ反省も間違いも多い
とても未熟な親ですが
せっかく娘に親として育ててもらって
いるのだから、
自己卑下してる時間があるくらいなら
ドンドン愛情注いでいきます。
執筆作業、お忙しいと思いますが
出版を楽しみにしています。
どうかお身体をご自愛なさってください。
心に染みました!
お忙しい中、心に響く文章をありがとうございます!
政治や環境問題等、子育てする上で途方に暮れるような記事ばかりを見聞きしていた毎日でしたが、前向きに子育てしたいと思える生の活字を読むことができ、嬉しいです!
3歳になり第一次反抗期を迎えているように思える我が子ですが、おとーちゃんさんのお陰で、癇癪をかわいい言い方で言い換えるように諭したり、好ましくない行動を「そういうのは意地悪って言うんだよ」と伝え教えることで(そしてそれらは全て息子に安定をもたらしてくれています)、私からのアプローチに自信が持てています。自己肯定感が低いと思われる私にとって、おとーちゃんさんの言葉は多岐に渡って救いです。本当にありがとうございます。
我が子が満たされた子どもであることが自分の喜びなのですが、最近希望を満たし続けていても良いのだろうかと少し悩んでいます。例えば欲しいもの(ミニカー、ガチャガチャ、ラムネ、果物、野菜等)や行きたいところなど、親的に不快がなければ全て希望を叶えても構わないでしょうか?自分的には言いなりではなく、嫌だと思わない要求だけを聞いているつもりですが、OKしているものが多いです。
過去の質問を全て読めておらず、重複していましたら申し訳ありません。宜しくお願い致します。
子育てしてる自分に誇りをもてたら
私の娘が産まれた8年前には、『「子どもがいても」こんなに輝いてる素敵なママ』みたいなフレーズがあちらこちらで踊り始めていて、自分ももちろん 見栄えも含めて素敵でありたいけど… そんな余裕ないよー! という感じでした。
そんなとき、ある外国の方と話していたときに
『世界中のすべての仕事の中で、一番重要な仕事って、子育てだよ。当たり前でしょ!世界共通!』
と言われ、スーっとして、自分の中に、芯ができた気がしました。
世間でどんな流行り廃りがあろうと、私は今、価値の変わることのないほんとうに尊い仕事をしてるんだ。この子が幸せな人生を送り、ひいては周りの人も幸せにできるような人に育てたい。子どもが自立するまでの十数年の時間を捧げるのも惜しくない。やりきった、楽しみきった充足感で満たされて安心して子どもを巣だたせてあげれたら、私のほうこそ、幸せにちがいない!
そう 強く私を支えてくれています。
でも成人するまでの20年くらいまるまる捧げるほどでなく…娘8歳ともなるとだんだんと私は後方支援状態。子育ての主役だったつもりが少しずつ出番も減りつつあります。
まだ幼いお子さんを育てられているお母さんに、声を大にしていいたいです。
子育てって、ほんとうに世の中で一番大切な仕事なんだよ!って。社会から取り残されてるとか、あたしなにやってんだろうなんて思わなくていいんだって。
世界中のみんなにとって一番重要な仕事を今、やってる。お子さんの笑顔こそ、お母さんの誇り。子どもがいないかのようなおしゃれをするより、子供の笑顔を追いかけて、四苦八苦頑張るママは、ものすごく素敵だってこと。その中に、大きな喜びがあること。もしかしたら人生で一番輝く時間かもしれないこと。
社会全体で、子育てという営みの価値を再確認してほしいです。
これからの社会を担うのは、子どもたちだから。うちの子も、隣の子も、地球の反対側にいる子も、みんなが幸せに真っ直ぐ育ってくれないと。まわりまわってみんなの未来がかかってる。
お母さんも誇りをもち、社会全体で子どもを育てる空気が生まれないかなあといつも願っています。
いつも拝見しております。
書籍化、嬉しいです!微力ですが色んな人に読んでもらえるよう、薦めて回ります。
期待かけすぎてご負担になるといけないのですが、くれぐれもお体ご自愛くださいね!
今日、いつもの子育て広場に行きました。
3,4才の子達だけの集まりで皆2年保育からの子達です。
私もよく年中から入れます、というと他のお母さんから
スゴいですね!年中までみれないですってほぼ100%言われるのですが
今日は何人かのお母さんも、子供といるのが楽しいですか?それだけ可愛いんですね。
と、言われるとおっしゃってました。
世の中では、
少子化だから子供を産むのは歓迎、
でも家でゆっくり子育てするなんて、
不経済で、つまらなくて
しんどくて煩わしいこと、図らずもそうなっちゃってるのをひしひしと感じます。
もちろん、子供とずっといっしょだと大変なこともあります。でも、それも皆貴重な時間だと思えたら、少しでも前向きに捉えられるのでしょうが、そう思えないのが現代の子育てでしょうか
私も年中までは家でゆっくり子育てして、来年から働こうかと思っています。
おとーちゃんさんに以前、大きくなってからだと子供の心に余裕という貯金ができるので
と言っていただいたのを胸に、今は娘との時間をゆっくり楽しみながら、子供に負担のない範囲で、探そうと思っています。
本当に同感です。
更新、いつも楽しみにしています。
三歳児の母ですが、周りには、私と同じように子供を生活の主体とした育児をしている人がおらず、簡単に言えば親の行動に子供を付き合わせるといった子育てをしている人がほとんどです。
その事にすごく違和感を覚えていましたが、このブログに出会い、自分の子育ては間違っていなかったんだと確信を持つことができました。
不安な時、行き詰まった時などは、ハっと気づかされる事も多く、とても勉強になっています。
そして、ブレそうになった時に真っ直ぐ正してくれる、子育ての軸になっています。
感謝の気持ちでいっぱいです。
それから、ぴーなつさんのコメント、思わず泣いてしまいました。
私も、子供が生まれてから三年間ずっとずっと、「子育ては一番重要な仕事」って思いながら育児してます。
周りからどんな風に思われようと、何を言われようと、寝不足等でお肌の老化が急速に加速しようと(笑)、息子が自立するまでは自分の時間なんて全部捧げてやる・・・そんな気持ちでいます。
本当に、これ以上の仕事って世界中のどこ探してもないんですよね。
温かいエールを送ってくれてありがとうございます!
自己肯定感がキーワード
今回の記事、激しく共感します。
本当に今、子育てが難しい世の中で、私も本当に悩んでいた一人でした。
なんでこんなに育児は辛いんだろ。
おかしいなぁ、とずっと思って本を読んだりこのブログのやり方を真似したり。
途中へこたれて自分が折れそうになったり…実際抗鬱薬を飲むところまで行きました。
そこで、楽しい育児をする上で大事かというのは、まず親の自己肯定感だと痛感しました。
(『自己肯定感』と検索してこのブログに出会いました。)
今は育児がそもそも辛い部分があると認めた上で楽しいと思えます。
育児は自分と向き合う部分が必要なときもあり、自己肯定感が低い親にとっては辛い瞬間があります。
けれど、ただ逃げるだけではなく、自分と向き合い、子どもと向き合うことで、本当に幸せな瞬間が来ることがわかりました。
このブログのようにいい母親になれないと悩んだり、いい母親というのは勝手に自分が作り上げた幻想だと気がついたり、色々励まされました。
私もまずこの先、子育てが辛いだけでなくそれを超えて楽しいとお母さんが思えるといいなと思っています。
真面目に書いてしまいましたが、真面目だけではない私です。
もう少し肩の力を抜いて過ごしています。よければURL覗いてみてください。
長々と読んで下さり
ありがとうございました。
肯定感
肯定って、誰でも間違いなく必要だよね~って深く感じていて、とっても共感したのて、投稿させていただきました。
子(2歳9ヶ月)が、つい最近、怒りんぼさんになって困っていた時に、このブログを拝見し、同時期に体調も戻り復職したことで、子と時間的な距離がとれ、客観視出来たところで、子の怒りんぼさんは鎮静化していきました。
我が家は、子を保育園にお願いして、母は仕事に行き、保育園のお迎えで「今日もお仕事行かせてくれてありがと~」と迎えに行き、夜を楽しく過ごすという方法が、よいようです。
子は大切な存在で、子育ては大切な仕事だと思います。
でも、仕事内容に向き不向きがあるみたいに、子育て方法?も向き不向きがあってもいいじゃない、母は仕事に行くけど、仕事に行って子以外のことを考えることで改めて子の状態を客観視出来るし、私が仕事のあいだはプロ(保育園)にお願いして、朝や夜や週末に一緒に笑えればいいよね~。帰ってからの夕食の準備など家事も、「ママ、抱っこっこしたい~」となったら、「抱っこっこしようね~。夜ごはんはご飯とお味噌汁(フリーズドライ)と冷奴とシシャモを焼くので充分だよね~」などなど、「旦那さんにはごめんねって笑って許してもらおう」と、手を抜きまくっても、自己肯定?をしています(^-^)
おとーちゃんさんみたいには子育てをスムーズに出来ないけど(←保育のプロでそれでお給料をもらっている人とは張り合いません、ってこれも自己肯定ですね)、「○○してちょ~

なんだか話が少し逸れたかもしれませんが、「肯定感」、誰にとっても大切でそれがあると自分にゆとりが出来て、人を受け入れられる基本だよね~と深く感じました。
自信つきました
明確な目標ができて、対応の仕方が分かって、それが結果に結び付いて。
それは私にとって、ずっと自問自答していた母親の存在意義を「働かざる者」から「子育て職人」に変えていってくれました。
未だに私が成果主義から抜け出せていないのが悲しいところですが、それが自信につながったことは、本当に良かったと思います。
自己肯定感て、一生ぶんの心の保険みたいなものだと思います。大切なことに気付かせていただき感謝ばかりです。
ありがとうございます。
かわいい子の母さん
ものすごく一生懸命子供のことを考えて神経質に子供によいことというのを気にかけている人もたくさんみていますが、子供のことを重視することが悪いことではもちろんないのですが、そういった子供への見方の背景には親の持つ「不安と心配」というものが前提としてあるわけであって、そういったところから出ている子供への手厚さというものは、なかなか子育ての円滑化・安定化にはつながっていかないことがしばしばあります。
だから適度に肩の力の抜けたおおらかさというものが必要だと思います。
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こちらのブログと出会ってから、遅すぎることはない!と思いながらも 「もっと早く くすぐりなどしたり、肯定してあげていれば・・・」 と後悔もしてしまいます。
でも、娘の母は私だけ! なら今、出来ることをやろう!! と前向きに日々思い直させていただいています。
>大人の方も子育てを通して自己肯定感を高めること、そこにおいて自己実現をしていくことが可能
そうなのですね。 私の心が落ち着いていれば、娘がもっと楽しい生活になりますよね★
泪が出るくらいホッとしたのと嬉しかったので、コメントさせていただきました。
ありがとうございます!!!