乳幼児期の性教育について - 2014.09.02 Tue
一言で言ってしまえば、僕は「あんまり気にしすぎない」と言うので良いのではと思っています。
もう20年以上は経つのかな、世界的に「性教育は早めにした方がよいのでは」というムーブメントがありました。
その主張はいろいろなところで取り上げられましたので、いまでも少なくない人がその影響を受けて「性教育を早期にしたほうがいいのか?」という考えを持ってしまっているのではないかと思われます。
実際にアメリカなどをはじめとして多くの国でその考えにのっとって実践もされました。(多くは学齢期に入ってからです。早いものだと小1から)
しかし、結果は必ずしも想定していたものとはならなかったのです。
たしかにその性教育によるある程度の成果は見込めるものの、逆に性的な関心を早めてそれゆえの問題がそれ以前よりも多くなってしまったのです。
このことが意味しているのは、「正しい知識」さえ与えればいいということではないということです。
これまでは「早期に与える」というムーブメントが大勢を占めていたわけですが、一周回って「与えない」という積極的な選択肢も考慮すべき点になったといっていいでしょう。
僕は乳幼児期において性教育ということは考えていませんが、それの前段階になることと、のちのちの性的な問題につながることの遠因はあると思います。
前段階になることというのは「大事にされる経験」です。
これが元になって子供のなかに作り出す「自尊感情」また、そこから派生する「自己の身体を大切にする感情」それらがさらに「他者の身体や個人の尊重」ということを生み出すでしょう。
このことが性的な教育以前のところにあることだと言っていいでしょう。
これらのことが獲得していなければ、上で紹介した近年の性教育の早期化をいくらしたところで望ましい結果とはなり得ないはずです。
もう一点の遠因というのは、機能不全家族やその他の不適切な子供への関わり方によって、恋愛感情や性的な関係によってそれらの穴埋めを子供が求めて行ってしまうという現実です。
「アダルトチルドレン」と言う言葉があります。
元々は、アルコール中毒の家庭のような機能不全家族において、幼少期の問題をひきずったまま大人になってしまっているものを指す言葉でしたが最近ではそれの範囲が拡大して以下のようなことを指すようになっています。
以下wiki「アダルトチルドレン」から抜粋
近年では「幼少時代から親から正当な愛情を受けられず、身体的・精神・心理的虐待または過保護、過干渉を受け続けて成人し、社会生活に対する違和感があったり子供時代の心的ダメージに悩み、苦しみをもつ人々」を総称して、メンタルケア(心理療法)が必要な人をアダルトチルドレンと呼ぶこともある。(引用ここまで)
こういった状態が家庭への帰属感を喪失させ、家族から適切に受けられなかった感情を男女関係や性的関係などの代償行為へと向かわせてしまい、その過程で子供の妊娠など性的な問題が発生してしまうことがあります。
子供の性的な問題の背景には、幼少期の親子間の関係などが大きく関わっているのです。
それが遠因となって起こっているということでしたら、それは「正しい知識」の問題ではありません。
このように乳幼児期においての性教育というのは具体的な性的な問題そのものではなく、基礎的な親子関係や適切な関わり方、「自己肯定感」「自尊感情」といった通常の子育てのなかででてくることが大切ではないかと考えています。
ちなみに、親から良い感情をもらいたくてももらうことができずに、変に大人びていってしまう子供というのは保育園の年長くらいであきらかに見て取れます。その子たちが将来早熟化するという可能性は高いのではないかと感じます。
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● COMMENT ●
No title
そしておとーちゃんさま
今回も興味深い記事をありがとうございます。
おとーちゃんさんの記事、
何度も何度も読み返しました。
心に響く言葉をいつもありがとうございます。
とても参考になります。
蛇足ですが、
横から失礼させてください。
我が家には「こいぬがうまれるよ」
という絵本があります。
性教育が生命を大切にすること、
であるなら
もってこいの本です。
本屋さんの回し者ではありませんが笑
少しお知らせさせてください。
この本は幼児の目線で
子犬の誕生、成長を温かく
愛情深くとらえている本です。
出産シーンもありますが、
白黒なのでファンタジックに
捉えられる気もします。
この本に出会って、
「あなたのお腹にも赤ちゃんの
たまごがあるのよ。」
という説明をしました。
いつも「あなたが大好き!」と
幾度と無く娘には
伝えていますが、
この説明をすると、
「わたし、大事大事ー」と
自分のお腹を撫でていて
それはそれはかわいいものでした。
(親バカですみません)
自分の体を大切に、そして
他人の体も同じくらい大切に、
というところが
我が家の幼児期の性教育です。
ただ、昨今の事件などもありますので、
「おかあさんはあなたのことが
大好きでたくさんキスをするけど、
知らない人にされるのは
嫌なことだよ」とか、
「お母さんは家族だから
お風呂であなたの裸をみるけど、
知らない人の前では恥ずかしいからね」
とか、
すこしずつ伝えるようにしています。
そしてこのあたりの意識は
主人とも共有することにしています。
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大事にされる経験、自尊感情、自己の身体を大切にする感情、どれも本当に大切で、これらがダイレクトに性に対する価値観というか、大げさに言えば人生の基礎となる気がします。まずは自分の大好きな人に大切にされないと、自分を大切とは感じにくいんですよね。
親が心配することとして、性犯罪に巻き込まれないか…ということがあると思うのですが、それに関してはやはり小さなころから少しずつ伝えていった方がいいように思います。
痛ましいことに子どもが心を許している身近な大人が加害者になることもありますし、「大人はみんな信頼するに足る存在」ということは毎日の生活の中で自然に伝えながらも、「でも、嫌な気持ちがしたり、何かおかしいと思ったらすぐに話してね」と伝えることも必要ではないかな思います。
小さいうちは少しずつでいいと思うのですが。
そして、「触られて嫌な感じがした」と感じることができるためにも、「心地よい触れ合い」というのがとっても大切なんですよね。親とスキンシップを十分にとっていて、信頼関係ができている子どもは、嫌な感覚にも敏感なようです。
信頼できる親との心地よい触れ合いは性教育の出発点で、その子の一生のお守りになるのかなあと感じています。