支配しなくても子供はまっすぐ育つ vol.3 - 2015.01.31 Sat
僕は第二子の娘(むーちゃん)を、妻の育休が明けて復帰して以来、主になってみています。
このことは、僕にとってとても幸せな経験でした。
子育てを日々喜びや楽しさを感じながら送れるというのは、非常に幸運なことであったでしょう。
特に男性でありながらこの時間をたっぷりと持てたことは、現代では本当に希有なことであったろうと感じます。
それができることは、必ずしも当たり前ではないことを知っています。
子育てには自分の努力だけではどうにもならない場合もあります。
もし、娘が「寝ない子」であったり、「触覚過敏」な個性があって始終不快感を示していたり、触れられること、抱かれることも好まなかったり、という個性があった場合はそのようにすんなりとはいかないこともあったでしょう。
(お子さんに強い個性があって子育てがスムーズにいかない場合は自分を責めないようにしましょう。それは「子育てのしかたが悪い」というような問題ではないからです。
しいて言えば、むーちゃんは寝ぐずりがかなり激しかったことが特徴でした。これは4歳後半まで強くでていました)
それほど難しい個性を持っていたわけでもなかったので、無理なくたくさん可愛がることが出来、受容や信頼関係のプロセスがスムーズに行えました。
職業柄、子供といることにはあまり抵抗がないので、ついつい「かわいいなぁ」ばかり口をついて出てしまいます。
「子供を尊重する」という言葉を聞くと、
「子供のことを大切にしなさい」とこの人はいっているのだなと理解する方が多いかと思いますが、それだけでは半分しか正しくありません。
大人で考えてみればすぐわかりますが、こちらが相手を尊重して敬っていても、相手がそれを笠に着て居丈高にえばってばかりだったりすれば、そこにはお互いの信頼関係というものは高まっていきませんよね。
それでは本当の尊重には至らないのです。
「相手を尊重する」というのは、相互であって初めて健全に機能することです。
「子供を尊重する」ということは、
同時に、「自分で、自分自身も尊重する」し、「子供にも自分を尊重してもらう必要がある」ということです。
なので、僕は子供を支配はしませんが、自分が嫌なことは嫌と伝えるし、不快に感じることも子供の手前我慢するのではなく、それが不快であることを子供にもわかるように示します。ただ、それはあくまで不快であることを示すのであって、子供を責める気持ちを前面に出しているわけではありません。
例えば、こんなとき。
子供が3~4歳だとします。(1~2歳程度であれば発達上仕方ないケースもあるでしょう)
食事をしていて、コップを倒してしまった(食べ物を落としてしまった or お味噌汁をこぼしてしまった など)とき、笑顔で「いいよ、いいよー」とはしません。
それはミステイクであって、悪意があってしていることではないですから、責められるようなことではありませんが、かといって推奨されるようなことでもありません。
もし、それを食事のたびに毎回されたら、たいてい大人はうんざりしてくるでしょう。
またもし、1年後、2年後も同様のことが頻発していたら、そこでも大人は不快を覚えるでしょう。そして、その時期でもこのようなケアレスミスが多い状態では、大人は不快を通り越して怒りや、強いイライラを感じるはずです。
たくさんされたら嫌なこと、大きくなってされたら嫌なことなのですから、それは一回だとしても、年齢が小さかったとしても嫌なことには変わりないのです。
ですからここで、笑顔で「いいよいいよー」にしてしまうことは、自分にも子供にも嘘をついていることと同じになります。
なので、責めはしませんが敢えて笑顔を作りはしません、真顔で対応します。
「気をつけて下さいね」と伝えたりして、自分がそれを好ましく思っていないこと、つまり不快であることを子供が受け入れられる範囲で示します。
これによって、子供はその後、自覚的に行動に気を配ることを身につけていきます。(前提として信頼関係があれば)
叱ったり、小言を言うことで規範を押しつけて子供に正しい行動を教え込むこととは根本的に違うアプローチになっています。
この出発点は、「子供を尊重する。同時に大人自身も尊重する」というところにあるのでした。
そうして、一人 対 一人の人間としての関わりを積み重ねることで、ことさら支配のレールに載ることなく、無理のない形で子育てを送ってくることができています。
これはうちの娘が特別だったからできたというわけではありません。
保育園に来る大勢の子供とも、年齢が大きくなっていても、大人の姿勢次第でこのような関係を結ぶことが可能だからです。
最近、「子供と信頼関係で子育てをしてきて本当によかったなぁ」と思わせるエピソードがあったのですが。また今度紹介します。
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● COMMENT ●
No title
我が家の場合
娘が成長期にはいってからというもの、夫と話し合い(言い争い?)になる論点は、この「子供を尊重するとはどういうことか」でした。
今もお互い同じようには捉えていないと思います。
だけど、それでいいのかな、と思うようになりました。
元気に育ってくれればそれでいい、という大きな軸に違いはないのでやり方は色々あっていいのかな、と。
娘に、「相手を尊重するとはどういうことか」教えてもらったような気がします。
成長期って親も成長していく時期なんだな〜としみじみです(笑)
最近は娘が私に寄り添ってくれてるんだな、と実感することが増えました。
まだまだ激しい自己主張もあるけれど成長期も終盤に差し掛かかったかな、と思う次第です。
お父ちゃんさんとお子さんのエピソードの記事、楽しみにしています!
鏡の自分
「子供だから出来ない」とか「こぼすのも仕方ない」とか親がイライラしつつ対処するのは、子供も成長しないし、親もストレス溜まると思うので、ずっと「こぼしたら、拭いてキレイキレイするんだよ」と説明し続けていたら、自分で後片付けをするようになりました。
子供って、まだ「どうしてそうなるのか?(コップからこぼれる)」とか「どう対処すれば良いのか?(雑巾で拭く)」を知らないだけなので、やっぱり『教える』って大事じゃないかな、と思います。
だから、支配するとかしないとかじゃなくて、(人生の)先生と生徒な気持ちになれば、良い関係が築けるんじゃないかな、と親をしていて気付いたことです。
自分自身は、支配的な親で育ったので、反骨心で支配的にならない!という思いと、おとーちゃんのブログに支えられて、とても可愛く(子供らしく)育ってます。
本文の、転載許可のお願い
唐突で大変失礼なのですが、本文の転載をさせて頂きたいと思い、連絡させていただきました。
育児真っ只中の私にとって、ほ~!っとため息が出るくらい育児のあるあるばかりで、本当に勉強になります!
正解がないだけに、この対応で良かったのだろうかと自問自答するばかりでしたが、気持ちが軽くなりました!
記事はこれから書かせていただきたいと思います!
許可のお願いを申し上げます。
そして、アップ出来次第報告させて頂きます!
これからも参考にさせていただきます♡
ありがとうございました!
ps.コメントの非公開が出来なかったので大変恥ずかしいのですが(*'-'*)
よろしくおねがいします~
ヒステリーを起こしてしまいなかなか楽しい子育てができずにいますが
少しずつでも子供を支配せずに信頼関係を作れるようにしたいです
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