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2023-03

保育士の定着率 - 2015.02.14 Sat

こんなニュースが最近ありました。










東京都内の公立保育園で非正規として働く職員の割合が4割を超えることが14日までに、明星大(東京都日野市)の垣内国光教授らの調査で分かった。年収は200万円未満が8割に達し、うち100万円未満も4割超に上った。
 垣内教授は「公立でも非正規雇用が進み、労働環境が悪化しているのが実態だ。非正規職員は低賃金で、仕事もきついため、保育士不足につながっている」と指摘する。
 垣内教授の研究室が2013年、都内の62市区町村を対象にアンケートを実施し、31自治体が回答した。また、公立保育園で働く非正規職員約3600人も調査した。(共同通信)                                     




『保育施設での増加する死亡事故と保育のあり方』
以前こちらの記事で、補助金や手当によって保育士の給与を上げる動きが出ているという報告をいたしましたが、
そのときから気にはなっていたのが、なぜ本給ではなく補助金や手当なの?ということです。

職務に対しての手当が不当に低いというのならば、普通は給与そのものを上げるのが当然なのですが、手当であげるというのは、
給与そのものを上げるための制度を整えるのが間に合わないから、とりあえずまずは手当として先行して増額しておこう、というものか、一時的に上げておいて大きな人材不足が解消されたら、また下げればいいやというものであるかということが考えられます。


上の報道で言うところの、非正規雇用で年収200万円以下という人がフルタイム労働でその給与だとしたら、生計を立てていくことは難しいですよね。しかも家賃、物価の高い都内でのことですからそれはなおさらです。


労働条件がよくないところでは、事故などの確率があがりやすいと考えられます。

人手も少なく、自分も疲れ切っている中で、大勢の子供を長時間見なければならない、そんな状況で怒ったり大声を出したりして子供を抑えつけて、なんとかぎりぎり怪我のないようにするのが精一杯という話を保育士の声としてしばしば聞きます。

いい保育しようにも、人的資源にも厳しい、労働条件も悪いということでは、なかなかできないのですよね。
いま、公立園でも非正規の職員の割合が高まっています。

認証保育所などでも、パート職員がメインのクラス担任をしているということも珍しくなくなっています。

給与や労働の条件が悪いのに、仕事は大変でその責任も重いとなると、なかなか安心してその仕事を続けることは困難です。



よく、園選びでどんなところに注意して選べばいいですか?といった質問を受けることがあります。

僕は思うのだけど、園側が職員の離職率や定着率、もしくは勤続年数などの情報を上げてくれたら、園選びの参考になるのではないかなあと感じます。

別に個人名まで挙げなくてもいいから、「A保育士勤続10年  B保育士勤続6年 ・・・」みたく


いい保育をしているところは、比較的勤続年数は長くなります。
よくない保育をしているところは、なかなか人が定着しません。これはもうてきめんです。

公立だと、雇用の形が変わってしまうので、これではわからないかもしれませんが、私立なんかでしたらできるかと思います。

いい保育をしていると自信のある園からでも、こういった情報を堂々と上げていってよいのではないでしょうか。

これで保育のすべてがわかるというわけでもないけれども、少なくとも働き手が逃げ出すような施設に大事な子供を預けないで済むようにはなっていけるような気がします。
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● COMMENT ●

昨年度から国から助成金が出てボーナスのように頂きました。それも金額は一律だったり年功序列だったり正職員、臨時、パートで金額が違ったり園によって違います。
昨年度は一律でしたが今年度は正職員は十万以上で臨時とパートは一桁でした。
年に一度助成金がボーナスのように貰えるからと保育士が増えるとは思いません。
毎月の給料が上がる方がいいですね。

勤続年数長い所を基準にするのもいいですよね。万年求人募集が出ているところは入れ替わりが激しいと思ってしまいますが実際そうでした。

いい人材が続かないとこもありますよね。

知人で。

現在、保育士として働いてる知人がいます。

子どもが好きで、仕事も好きだけど、労働に対する給料が安過ぎて、この先の生活(自分の子どもの教育費や、老後の資金など)を考えると続けれないから、何年かのうちに辞める予定だと言っていました。

保育士だって、家庭があります。
生きていかならければならないんです。

だから、仕事が好きでも辞めるという人がいる現実があります。

保育士が増えるよう資格をどうこうという前に、現在いる保育士が辞めない&資持ちでも保育士をしていない人が(保育士として)働きたくなる対策を、政府は行なって欲しいものだと、切に思います。

No title

地方都市在住です。
子供の保育園探しの際に、公立を希望しました。
何故なら、田舎では公務員が一番安定した職業の一つであり、自分の子供を長時間預けるにあたっては、少なくとも待遇面でハッピーな人に預けたかったからです。
実際に預けてもう4年以上ですが、正しかったなと思います。
市内の殆どは私立園なのですが、公立園の方が男性保育士も圧倒的に多く、年齢バランスも良いです。

業務内容と責任の重さに見合った待遇を受けられるように、保育士に対する評価が変わるよう切に願います。

No title

義母が定年まで保育士をしていました。お給料がものすごく低くて(昭和50年代)、子供達を保育園に預けて仕事をすると保育園代が自分の給料を超えるので預けることができず、近所の親切な人に預かってもらっていと言っていました(それができた当時の地域の力もすごいと思います)。

義母曰く、保育と介護の給料はよっぽどのことがない限り今後も上がらないだろうとのこと。なぜなら、これらはもともと嫁が無償でやっていたことだから。まだまだ私達の心の中に、タダなものに高いお金を払う抵抗感があり、お金を払うくらいなら、息子夫婦と同居して嫁にタダで介護して欲しいいという人や、嫁が仕事をセーブしたり専業主婦になったりして、子育てをするのが金銭的に良いと思っている人がまだ回りに沢山いる、と言っていました。

義母はいつも、介護保険料のように保育保険料を作って子育てしている人に還元できればいいのにね、と言っています。私はまだ子供がいませんが、そんな制度があってもいいな~、と思います。

保育士向けに

初めまして。
子どもが産まれてから保育士おとーちゃんさんのブログを知り、いつも勉強させていただいています。
たくさんの素敵なアドバイスありがとうございます。
それから私は保育士をしていまして、もうすぐ仕事復帰します。
割とすぐ子どもができた為、保育士として少ししか働かない内に産休に入ったのですが、正直保育士としての自分に自分の子どもを預けたいと思えるような保育が出来ませんでした。
周りにお手本にしたいと思えるような保育をされてる先輩もいなく…
厳しく怒って何とかまとめる保育が当たり前な環境にいる内に、絶対になりたくないと思っていた恐い保育士に自分もなってしまっていました。
どうにかしたくても、どうしたらいいのか分からなくてどうしても厳しくする方に流れてしまいます…
おとーちゃんさんのような先生から保育を学べたら…と切に思います。
保育でも基本姿勢はおとーちゃんさんのおっしゃる子育てと同じだとは思うのですが、どうしてもバタバタな中1人1人にじっくり向き合えず、また1人に時間をかけすぎると怒られてしまうのです。
どうしたらおとーちゃんさんのように、子どもたちと信頼関係を作り、怒鳴ったりしなくても大丈夫な保育が出来るのでしょうか…
お忙しいとは思いますが、どうか保育士向けにも具体的な子どもたちとの向き合い方やまとめ方や声かけの仕方…といったノウハウの記事を作っていただけないでしょうか。
また保育士として勉強になる書籍などもありましたら教えていただきたいです。
ガミガミせずに楽しく穏やかに保育が出来たら、それだけでも保育士を続けたいなって思える人は増えるんじゃないかなぁ…と思います。
毎日怒ってばかりだと、子どもたちももちろん嫌でしょうが、保育士も辛いです。。

そのさんへ

子供になめられる Vol.3  支配がもたらす自己肯定感の欠如
http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-607.html
クラス運営 厳しくするべきか、やさしくするべきなのか?
http://hoikushipapa.blog112.fc2.com/blog-entry-703.html?sp

このあたりの記事が当てはまりそうですが、ご覧になりましたか?
もうご覧になってたら申し訳ありません。

No title

保育士は専門的で重大な責任も伴う仕事なのに
給与が低かったり不安定な雇用形態であったりで
ひどい話です。
良い保育も、悪い待遇の中の保育士個々人の情熱でカバーされているのだとすると、良い先生ほど燃え尽きてしまいそうですね。
保育や介護といった女性が家の中で担ってくることが多かった分野についての専門性の評価は不当に低いと思います。
准保育士の記事にもありましたが、良い人材を集めたければ、それに見合った待遇も最低条件として必要でしょう。
少子化対策といっても、子どもを大事にみんなで育てましょう、お金もちゃんと使いましょう、ということろにはなかなかコンセンサスが得られないのでしょうか。
社会として、子ども時代にきちんとお金と手をかけることは、コストベネフィットの発想からしても合理的であると思うのですが。

こまゆかさんへ

リンクまで貼ってくださり、ありがとうございますm(__)m
記事はもちろん読ませていただいていました。
ですが、もっと実践的な、具体的なことが知りたくてコメントでお願いさせていただいたところでした。
早速記事にしていただけて本当に感謝です。
こまゆかさんのお気遣いもありがたかったです。
ありがとうございましたm(__)m


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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