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2023-03

「疎外」 -支配と束縛の子育て法- vol.1 - 2015.04.16 Thu

これまでにも僕はしばしば使ってきていますが、「疎外」ってちょっと耳慣れない言葉ですよね。

なんとなく言わんとするところはわかるけれども、どういうものって聞かれたら、「う~ん・・・」となってしまいそうな。

すごくざっくばらんに簡単に言ってしまうと、「仲間はずれ」がわかりやすいのではないかと思います。

大人だって仲間はずれはいやなものですよね。
仲間はずれまでいかずとも、なんかの集まりに遅れて自分が入っていったときの、あの気まずい感じも疎外感の一種ですね。





例えば、昔の保育士がよくこんな言い方を子供にしていました。

大人の思い通りに動かない幼児に対して、

「そんな子は赤ちゃん組にあげてしまいますよ」


子供は小さな子であっても、自分の居場所への帰属意識がありますから、自分のクラスに入れてもらえないと匂わせれば、みな不安になります。
それを一種の脅しとして使って、子供に言うことを聞かせようとしているわけです。

これは明らかに「仲間はずれ」を子供に対して使っていますね。


もうひとつ、自分がその年齢であるといった意識、に対してそれは認めないと、そこのボスである大人が宣言するわけですから、自分の自尊心も危機感を感じます。

この点も、「自分を自分として認めてもらえない」という人間誰しもが感じる疎外感を刺激しているわけですから、やはり「疎外」という行為です。


「帰属意識」は、自分の「存在」を肯定してもらえるかどうかという問題。

「自尊心」に対する疎外もやはり、自分の存在に対する否定の行為です。




する方は、子供を言うことを聞かせるためにと、何気なく使っていますが、実はかなり攻撃的な関わりです。


もし、子供たちが友達同士でだれかを仲間はずれにして遊んでいたら、大人は「人にそういうことをしてはいけないよ」と伝えようとするでしょう。

またもし、ある程度年齢のいった子供が陰湿に「仲間はずれ」をしていたとしたら、それは「いじめ」とも判断されうることでしょう。

そのように「疎外」というのは、「毒」であり「凶器」なのです。



ただ、「毒も使い方によっては薬になる」という言葉があるように、先ほどの「赤ちゃん組に行きなさい」という関わりが、必ずしも子供を傷つけて悪影響を及ぼすことになってしまうわけでもありません。

その保育者が、普段からその子と厚い信頼関係を築いており、さらにそういった強い関わりとバランスを取れるだけの受容的な関わりをフォローとして出来ているのならば、その子にその疎外をした悪影響というのは残さないことも可能でしょう。

(かといって、僕はそのことをすすめはしません。
なぜなら、そのとき言うことを聞かせられてたとしても、これはけっして信頼関係を厚くする行為ではないからです。
むしろ、子供の持つその大人への信頼を逆手にとって、思い通りにしようとする関わりだからです。
それは、子供を尊重するという観点から見れば、不誠実なことです)



しかしもし、その保育者とその子の間の信頼関係が薄く、また肯定や受容をすることもなく、ただ言うことを聞かせるためだけに疎外を普段から多用しているとしたら、その子供は確実に悪影響を蓄積させていくことでしょう。

それは結果として、その子供の行動を荒れさせることにつながります。

例えばその子は、さらに大人の言うことを聞こうとしない行動を出すでしょうし、他児へ攻撃や意地悪をするようになったり、その子を疎外せず受け止めてくれる大人に対して強い甘えを出してバランスを取らなければならなくなったりすることでしょう。


長くなってしまったので分割します。
つづく。
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● COMMENT ●

タイムリーな記事です

以前、睡眠について相談に乗っていただいたぷこたんです。
その節は本当にありがとうございました。

疎外感、いつも感じさせないように気をつけているのですが、一昨日、初めて意識的に疎外感を与えました。
よくないと思いながらも、ほかの方法を思いつかず。。

息子(3歳6ヶ月)が、最近毎日嘘をつくんです。悪意のある嘘ではなく、外から帰ってきて手をまだ洗ってないのに「洗った」と言ったり、テレビを見ていいと言ってないのに、「お母さんが見ていいって言った」と言ったり。考えて言うというより、考えるまでもなく、条件反射的に嘘を言うかんじです。

息子との信頼関係はしっかり築けているので、目を見てしっかり言い聞かせたり、強めに怒ったりして対応してきたのですが、一昨日は言い聞かせた30分後ぐらいにまた嘘をついたので、「嘘をつく子とは話したくありません」と言って、別室へ隔離しました。大泣きして「もう嘘つかない」と言っていたのですが、これまでも何度も聞いたことだったので「信用できません」と言って許さず、朝ごはんの後から夕ごはんまで、食事以外はずっと隔離してました。必要なこと以外話しかけず、トイレも着替えも一人でしてもらいました。

おもちゃは部屋に入れていたのではじめの大泣きが治まった後は元気におしゃべりしながら遊んでいましたが、時折さびしくなって話しかけてきて、返事がないので泣いたりしていました。

昨日、今日は嘘をつかずに過ごしてくれましたが、かなりこたえたようで、今日寝る前に「今日も嘘つかずに本当のこと言ってくれたね。とってもうれしかったよ」と話すと、「うん、だからもう、あっちの部屋に行ってもいいよね」と言っていました。

そもそもこんな小さなことで嘘をつくようになったのは、これまでの子育てで息子の意思を尊重しすぎて、息子が「自分のやりたいことが最優先」と思ってしまっている節があり(保育園でかなりマイペースで困っています)、それが原因なのかもしれません。こちらの意思を通すところと息子に譲るところのメリハリはつけていたつもりでしたが、元々おおらかな方なので、譲りすぎていたようです。

私のせいでつらい思いをさせてしまって、息子に申し訳ないです。

記事の続き、楽しみにしています。

ぷこたんさん

はじめまして。うちの息子(4歳2ヶ月)も最近うそが多いです。小さなうそが多く、手を石鹸で洗ってないのに洗ったといったり、妹を泣かせたのに、「自動に泣いた」とかです。私の見解では、保育園でお友達の真似をしているだけかなと思っています。今日もお友達がうそをついたお話を話してくれました(汗)

ぷこたんさんのところとは全然ちがうかもしれないのですが思わずメールしてしまいました。気に障るようでしたらごめんなさい。

新年度になり、クラスがひとつ持ち上がったこの時期、「疎外」を多用した「意地悪保育」をする先生、本当に多いです。
「○○できないんだったら前のクラスに戻りなさい」なんて声が聞こえる度に、とても悲しい気持ちになります。
また、新卒で入ってきた若い先生たちも、その対応を手本として育っていくのだと思うと、これから先の子供たちの成長が心配でなりません…

「おいていくよ」より、「待ってるよ」。
「やりなさい」より、「していいよ」。

「心のパイプ」をしっかりつないでおけば、疎外感を味わわせたり、威圧的な態度で脅したりしなくても、気づきを与える声かけと視線で十分ですよね。
子供から寄り添ってきてくれるうれしさを、先輩の先生方にも伝えたいのですが……
言える立場にないのが辛いところです。

保育園で

もう小学1年生になった息子が、保育園で3才年少組だった頃。
担任の先生は若いのにとてもいい先生で、子供たちからも親からも評判がよかったんですが。
「赤ちゃん組連れてくよ」と言ってるのを聞いてびっくりしたことがありました。。
その頃には、おとーちゃんさんの記事で勉強していた私は、その言葉がショックで。
今は下の子どもがその保育園の2才児クラスに通っています。
上の子が通ってた時より、部屋にぎゅうぎゅう詰めな感じです。実際に数えた訳じゃないですが。
保育園激戦地区で入れない子供が多く、再来年には新保育園が出来る予定らしいんですが、今年から受け入れ人数を増やしたそうです。
働くお母さんが増えているとこういう所で実感します。親のためではなく、おとーちゃんさんのように子どものための保育をしてほしいです。

ぷこたんさん

同じです!
うちの3歳10ヶ月の息子も、少し前からやってないのに「手洗った」「おしっこしたよ」と平気な顔でシレッと言います。
はっきり見てたときは「うそつけ~」と言えますが、判別が難しい時は手を触って「濡れてないじゃん!」みたいな。
始めの頃私のその対応が楽しかった?ようで、はしゃぐようにうそついてくるような時もあって、
こりゃいかん、と嘘ついたときは「本当じゃないことは言わないで下さい」(嘘つきってなに?ときかれちゃったので。)と淡々と接していたせいか、最近は嘘つくこと減ってきたかな?
うちも、興味あること以外なかなかやろうとしないザ・マイペース。保育園で若干問題視されてます(汗)

他の方も書かれてますが、こんな嘘つく時期って幼児にはあるのかしら、個人差?

この書き込み、もし気にさわる内容でしたらごめんなさい。


たかさん、おにぎりさん

コメントありがとうございます!
同じような子がほかにもいるんだ、と思ってほっとしました。
私自身はそんな小さなことでは嘘をつかない子供だったので、子どもがそんなちょっとしたことで嘘をつくなんて考えたこともなく、戸惑っていました。

最近は嘘を気にするあまり、嘘をついたときに叱るばかりになっていたので、疎外してしまった翌日の一昨日からは、本当のことを言えたときにたくさんほめる、というプラスの関わりを意識的に増やすようにしています。「本当のことを言ってほめられる、お母さんが喜ぶ」という経験をたくさんさせてみようと思って。

それに、嘘とはどういうものか、まだよくわかっていないようなので、嘘と本当について、少しずつ教えていくつもりです。

これで嘘をつかないようになってくれるといいんですが。
子育てはほんと、試行錯誤ですね〜^^;


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楽しく無理のない子育てを広めたいと2009年ブログ開設。多くの方の応援があって著作の出版や講演活動をするようになりました。 現在は、子育て講演や保育士セミナーの他、『たまひよ』や『AERA with Baby 』等の子育て雑誌の監修やコラム執筆。『ジョブデポ保育士』の監修や育児相談などをいたしております。

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