「不安と心配」について - 2015.11.15 Sun
下書きもしないで勢いで書いたものですから、僕の悪いクセがでてしまいました。
もう少し本来書きたかった前半部分を掘り下げてみようと思います。
子育ての多くのことに対して、この「不安と心配」をたくさん持っていると、子供の姿や行動に対して「怖れ」を持つようになります。
するとその姿が「でないように、でないように」と子供の行動を無意識にコントロールする方向で関わりを考えてしまいます。
例えば、最近保育園で多く見かけるようになってきた、「子供を園に連れてくることができない」といったケースを見てみます。
その子は、登園途中にごねたりぐずったり、または言うことを聞かずどこかへ走っていってしまったりして、親を手こずらせてしまいます。
親は、その子供の難しい姿を自分では如何ともしがたいので、そうされることを「怖れ」てしまっています。
そのため、子供のご機嫌を損ねないようにと、「あ、トラック走っているよ、見てみて」とか「犬がいる」などと、気を紛らわそう紛らわそうと関わっています。
子供のいいなりになって、本心では親自身もするべきと思っていない、させては困ることなどにもなんでも聞いて、子供のご機嫌をとりつくりながら連れてきたり、または、お菓子で釣りながら歩かせようとする人もいます。
これらは、子供の困った姿を出して欲しくないといった「怖れ」から、子供への対応が「ごまかし」になっているわけです。
または、母親ひとりで連れてこれないからと、お父さんや、おばあちゃんと一緒に来て、いざごねたら力ずくで連れてこれるように、人手を増やすことでそれに対処しようと考える人もいます。
これは、物理的に問題を解決したり、なかったことにしようとする、一種の「対症療法」です。
どちらも、問題の根本的解決にはつながりません。
むしろ、それらの対応はその場では、なんとかなってしまうので効果があるようにも感じられますが、「諸刃の剣」となって、さらに子育てを難しいものにしてしまいます。
現代の人がおちいりやすい、こういった後手後手の関わりになってしまうことには、先に子供の姿に対する「怖れ」があるのです。
(誤解のないように補足しておくと、具体的なそれらの対応のひとつひとつに対して、それがいい悪いと言いたいのではありません。
「私が実際にしていることを指摘された」と、怒りがわいてしまった人や、自分が責められたと落ち込んでしまう人がいましたら、この記事はそういった難しい状況をどうしたら改善できるかという趣旨のものと書かれているということをご理解いただいて、いまいちど冷静に読んでみてください。
それでも、わだかまりがぬぐえないという人は、おそらくこのブログを読んでも苦しめるだけでプラスにはならないと思いますので、他の情報に当たったほうが精神衛生上よろしいかと思います)
この種の、手に負えなくなる子供の姿を怖れて、子供に不適切な関わり方を積み重ねていってしまうケースには、非常に大きく考えて2パターンがあります。
ひとつは、それ以前の子育てに「受容」が積み重ねられてこなかったケース。
もうひとつは、「受容」はなされていたとしても、大人の側の「弱さ」ゆえに子供に必要なだけの関わりができないケース。
(もし、この両方が兼ねられていた場合は、さらに難しい子供の姿に直面することとなってしまうでしょう)
「受容」や「弱さ(弱いタイプの大人)」に関しては、関連記事がたくさんあることですので、ここでは深く触れません。
もし、子育ての基礎に「受容」がないと、子供との関係の中に「信頼関係」がなかなか構築されていきませんので、親が手こずる子供の姿が増えていくことになります。すると、そういった姿を親は「怖れ」なければならなくなってしまうのです。
そうなると、そこから”子育ての迷走”が起こりやすくなります。
「ごまかし」や「いいなり」「脅し」、物理的な解決を多用していくと、本来はそこで子供が得ていったはずの”心の成長”を得られないことになってしまいます。
そうすると、大人の対応がつねにその場しのぎになり、年齢が上がれば上がるほど子育ては大変になります。
このような子育ての積み重ねから、3歳、4歳、5歳~になって、「もう子供は見たくない」「子供と一緒に過ごしたくない」「子供なんかひとりで十分」と感じるようになってしまう人がいます。
実際に、我が子の子育てに投げやりになってしまう人も少なからず見てきました。
現代の多くの人にとって、子育ては未知のものです。
「〇〇になったらどうしよう」と、ネガティブな姿を頭に思い描いて、そうならないようにならないようにと、先回りした”囲い込み”のような過保護な対応になってしまう人が多くなっています。
でも、「問題がでないように」とおっかなびっくり子育てする必要はないのです。
むしろ、それをするとかえって問題をつくってしまいます。
子育てをしていれば、みんな子供の大変な姿に当たることがあります。
しかし、そういった経験も子供の成長には必要なことなのです。
それを適切に乗り越えて子供は育っていくのですから、「問題の起こらないように」とあらかじめ考えてしまうのではなく、「問題が起きたらそこから考えればいい」のです。
そのときの対応は親にとっても、しんどいかもしれません。
でも、それをすることによって親も年齢を重ねていく子供に対応する力をつけることができていきます。
挙げたようなごまかしや対症療法、または子供を大人の意のままにコントロールするようなテクニックに頼って、「問題の回避」ばかりに気が向いてしまうと子育ては迷走し、つらい、しんどいものになってしまいます。
まずは子育ての基礎に受容を置きましょう。
すると、怖れなければならない姿そのものを、減らしたりなくしたりすることができるはずです。
「保育園につれていくことができない」という例示したケースで、もう一度それを考えてみましょう。
その子は、「自分が十分に受け止められていない」と感じるがゆえに、保育園にいくことを心から”よし”とできないわけですね。
根底にあるのは、「あたたかく自分を見て欲しい受け止めて欲しい」という気持ちです。
そこにあるのは、「園にいきたくない」とか「親を困らせたい」と思っているわけでなく、「向き合って欲しい」という想いなのですね。
しかし、それに対して「お菓子で釣る」という対応をしてしまうと、子供は年齢が小さければなんらかの「ごまかし」や「釣り」がその場では通じますが、自分の本心に気づいてもらっていない、求めていることが少しも達成されていないという気持ちは持ちますので、それらの対応でごまかされてしまう一方で、感情的には”いらだち”、”欲求不満”を募らせていくことになります。
そのいらだちはもともとあった、受容不足にさらに加算されて、余計に難しい姿を出す原因となっていきます。
もし、先にそれなりにでもいいから「受容」がなされているのであれば、「ここでごねられたら困ります」といった毅然とした態度を親の方が自信を持って取ることもできますし、また同時に、子供の方もそういった関わりを受け止めることができるようになります。
「受容はしているつもりだけど、自分は弱いタイプでなかなか堂々とした関わり方ができない」という人も、普段から「受容」を心がけた関わりをしたり、言葉で「あなたのことを心から大切に思っているわ」といった気持ちを伝えることができていれば、そこに”自信を持って”毅然とした関わりを取りやすくなります。
こういうとき、むかしながらの「しつけ」メソッドの子育ての考え方でいると、「子供が言うことを聞かないならば、強くいいなさい、叱りなさい、怒りなさい、叩きなさい」といったことを求めてきました。
(お菓子やモノでつったり、鬼などで脅したりすることも、大人の求める「正解」の結果の姿だけを作り出そうとする関わりで、結局の所は「叱りなさい、叩きなさい」と言っていた「しつけ」」メソッドの派生形に過ぎません)
家族のあり方や、子育て状況の変化があって、昔はそれで通じた関わりも現代では同じようにはいかなくなっています。
「自分はそれに納得しているわけでもないのだけど・・・・・・」とそういった「借り物の価値観」を持ってきて、それをしたところで、必ずしも適切な関わりにはなりません。
子育ての基礎に「受容」を持ってくることで、”自信を持った”関わりができるようになります。
「自分は弱いタイプだな」と思う人も、まずは子供をしっかりと受け止めること、子供へ想いを伝えることを意識してみて、そこから子供の困った姿を怖れて横から裏からの関わりをするのではなく真正面から子供に向き合うのが、一見すると遠回りや大変なようかもしれませんが、実は一番の近道ではないかと思います。
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● COMMENT ●
お礼
弱い大人だし、抑えつけるけど
私は子供の要求に負けてしまう「弱い」大人だし、私が限界がくると抑えつけようとしてしまう、お父ちゃんが例にあげるNGな親です。分かっててもなかなか、うまく出来ないんです。
ただ、子供が思春期に差し掛かって、反抗も強烈だし心配事も山ほどあるけど、何故か「子供の信頼を得ている」自信はあるんです。
もしかしたら全然いけてなくても、子供を受容して、いい面を伸ばしていこうと言う思いは、どこかで通じてるのかもしれないなあ。
それでもまだまだ子育ては続きます。
No title
妹にもいじわるするものの根本は優しいお兄ちゃんしていて本当にうれしく思っています。
来年、1月には第3子誕生の予定です。うれしい反面不安もいっぱいですが笑って、楽しく子育てしたいなーと思っています。
困ったときはブログに助けてもらいます。頼りにしてます!
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0歳児からこちらのブログ読んでおります。
悩んだり、辛かったりもしましたが、今、子育てが楽しいです。
正直、育てている、という感じはないです。一緒に生きている、という感じに近いですかね。
保育園を嫌がり泣きながらの登園。なのに、帰りは遊びたがって帰らず。
激しいだだこね。30分泣き叫ばれたり。
こちらも本気で怒ったり、イライラしてどうにもならず、布団に潜り込んで逃避したり。
今でも、ちょこちょこありますが、それ以上に可愛くて楽しいんです。
周りから(おばあちゃん含めた諸先輩方)は、自我が出て、これからもっと大変よ~、と言われることがよくありましたが、確かに大変さも増えますが、子供自らできることも増え、楽になってきた面もあるし、たくさんしゃべって、表現できるようになっていく子供が楽しい!
そして、我が家は私も主人も親バカで、子供が寝たあと、今日の息子はこんなことが可愛かった、こんなことができるようになった、とお互いが息子の可愛い自慢をします。
全く子育て知識がなかった私達、夫婦が楽しい子育てができているのはおとーちゃんのブログに出会えたおかげです。
この先もまた、子育てで悩むことも多々あるでしょうが、なんとかなるかな!と思えます。
このブログで、子育ての基本、心構えを知ることができたと思ってます。
ありがとうございます!
(ちなみに、私が勝手に心構えとさせてもらったことは、子供を子供にすること、粘土細工のように型にはめる子育てでなく植物を育てるようにその子の持つものを認めて生かしてあげること、先回りの不安はせず、なんとかなるさ~の精神などです。)
記事とは関係ないコメントですみません。
ご多忙かとは思いますが引き続き、ブログも楽しみにしてます。
今後もおとーちゃんのご活躍を陰ながら応援させていただきます。