モノで心を満たさない。心は心で満たす! - 2016.01.20 Wed
モノと心は密接な関係があるようです。
大人の話ではありますが、例えば疲れてしまったときや、リフレッシュしたいときなど、「自分へのご褒美」として豪華な買い物をしたりすることで、自分を癒やすことができます。
そういったことは、必ずしも悪いものではありませんね。
しかし、それも度を超すと「クレジットカード依存症」のように、大きな問題となってしまうケースもあります。
最近なにかとニュースになっているものに「ゴミ屋敷」がありますが、あれらもモノを溜め込むことで心の隙間を埋めようとする、一種の心の病が背景にはあるのでしょう。
そのように、モノと心には密接なつながりがあって、適度にはなんでもありませんが、度を超すと問題となってしまいます。
そして、それは子供にもあります。
これまで多くの子供と関わってきて、「ああ、この子はモノで心を満たすようになってしまっているな」と感じる子はけっして少なくありません。
でも、全部が全部よくないというわけではなくて、中にはそれがセーフティーネットになっているというのもあります。
親の子供への要求や、関わり方に問題があるのだけどモノを潤沢に与えられているがために、それが情緒の安定にプラスになっていたり、性格のねじれまでへの影響を防いでくれていたりするケースです。
このようなケースはマイナスの影響への振れ幅を小さくしているといったものですから、”モノで心を満たさない”ようにすることの大切さは変わらないとは思います。
現代はモノがとても豊かにある時代です。
親の気持ちのあり方として、しばしば「〇〇がなくて(子供が)かわいそう」といった意見に触れることがあります。
こういうケースをよく見てみると・・・・・・。
じゃあ、その子がそれで親からそのモノを与えられたとしても、目新しいモノをもらった喜びをみせはしますが、あとあとまでそのことでの満足感を持っていたり、そのものに愛着を持って大切にしつづけるかというと、それがなかなかそうでもありません。
つまりこういうケースは、「モノがあって当たり前、無い状態はマイナス」ということになってしまっているわけです。
その子のモノへの価値感がそのようであると、モノはどんどんと消費されていくものとなります。
次から次へと欲しがりはするのだけど、どこまでいっても満たされることはないという状態です。
また、そういった子の中には他者の心情を理解したり、思いやりを持って接することができなくなっているケースも見られます。
そのような子供の心のあり方を、親のモノへの価値観が作り出してしまっているのを感じます。
祖父母世代のような年配の人は、逆にモノの無い時代に育って、本来ならばモノの大切さを痛切に知っているはずなのですが、その後モノが豊富にあふれる時代に突入し、反動ともいえるのか、モノが得られることを大きな幸福感として享受して、モノを消費する傾向を急激に強めていきます。
ですので、モノを与えることが大好きです。この祖父母世代こそ「〇〇が無いとかわいそう」という価値観を大きく持っています。
そういった世代に育てられた、現在の親の世代もやはり、モノを与えられることを当たり前のこととし、子育ての中でも、モノを与えることで、子供に満足感を与えようとしたり、子供の行動や心を誘導しようという意識を持っています。
しかし、この点あまりにも無頓着でいると、子供の心や人格までへも影響を与えていくのではないかと感じます。
モノへのこだわりや執着を見せる子供は多くなる一方で、子供らしいモノへの愛着や大切にする心を見せる子は少なくなっているようです。
(例えば、人形などへの擬人的な愛着や、楽しい思い出のこもったモノをいつまでも大切にしたいと感じている様子など)
モノが豊かにあることや、モノを与えることが悪いというのではありません。
でも、子供の心がモノで動かせるからと言って、いきなりモノで大人のいいようにしようとするのは注意が必要です。
まず、心は心で満たすべきなのです。
その上で、モノがある分にはそれはプラスになるでしょう。
子育てする人にはこの点知っておいてもらいたいと思います。
なぜならそういった心のあり方は、大人になってもその人の人生に影響を与えるからです。
すでに、保育園に子供を預けているようなお父さんお母さん世代の人に、そういった姿がしばしば見られるようになってきています。
子供そっちのけで、自分の趣味やレジャー、消費に走ってしまうケースです。
祖父母や配偶者のサポートがあって、なんとかギリギリのラインに収まっているケースが多いですが、一歩間違えると「依存症」と呼ばれるものになりかねない危惧を感じます。
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● COMMENT ●
No title
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数年前にとある小児科の先生の子育て講義(?)を受けていたのですが、
そのお話を思い出しました。
その先生は、
「「嬉しい」と「満足」は違います」
ということをおっしゃっていました。
子どもにとってモノを買ってもらうことは嬉しい「だけ」で
必ずしも満たしてくれるものではない、
ということを肝に銘じておかないといけないですね。
「心は心で満たす」というのは、親の心をしっかり子どもに向ける、
ということでしょうか。
おとーちゃんがいつも書いておられる、受容、ということかと理解しました。
物を与え過ぎてるなーと思いつつ、ばあば、じいじ達の物を与えたい!お金じゃなくて、物をあげたい!孫の喜ぶ顔を見たいって気持ちも分からなくはないので、クリスマス、誕生日など、いつも悩みます。
息子、能動的にあそべる子、遊び込める子に育ってるなーと思っていましたが、小学校に入学し、周りは見事にDS、テレビゲームで夢中の子たち。父ちゃんの上のお兄ちゃんの周りの環境も昔の記事で、(子ども会の集まり)そのような環境を書かれていたので、現在はどうなんだろうと気になります。しっかり遊び込める息子さんなら、逆にゲームにも興味を全く持たない訳ないと思うのです。みんながハマるゲーム、やってみようかなーと思った時の父ちゃんさんの声かけ、行動が気になります。
テレビに出られてる尾木ママさんの子どもは、ずっといい子だった。でも、実はチョコレートを食べたかったのよー!って、涙流しながら、訴えられた話を聞くと、なぜか、父ちゃんさんの子どもは大丈夫なんだろうかと気になります。
親がゲームを与えたくないって分かってる子ども。周りの環境が見事にゲーム。
また、記事にしていただけると嬉しいです。
本を持っている、私の友達の間でも、この話題が一番つきません。
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「子供らしいモノへの愛着や大切にする心」を大切にしようと思えばトイレットペーパー人形も大切なオモチャとして扱わないとダメですね。
増え行くガラクタにうんざりしますが・・・