子供の尊重の実践 vol.0 - 2016.02.10 Wed
「子供の尊重」。
このことをきちんと理解している人は、子供関係の仕事をしている人でも、必ずしもそう多くありません。
理念としては理解をしていても、実践には現われていない人も少なくありません。
おそらくそれは本当に「理解している」のではなく、「”子供を尊重する”ということは大事なんだ」と理解しているにすぎないのでしょう。
言葉ではすごく立派なことを言うのに、実際の子供への関わり方はとても尊重と呼べるものではないといった人を大勢見ています。
理念だけで実践がともなっていないのです。
そのように「子供の尊重」という言葉だけが独り歩きしていることはとても大きな問題です。
多くの人が「尊重」という言葉から実践の場で理解しているのは、子供に「優しく」「柔らかく」接するということです。
しかし、尊重していない関わり方は優しくやろうとも、柔らかく接しようともそれは尊重にはならないのです。
だけど、子供関係者でも多くの人がこういったレベルでの理解に留まっています。
これにはやむを得ない部分があって、日本人の思考の特徴で、ものの関係を「上下」でとらえがちなために、なかなか「尊重」という概念自体がつかみにくいのです。
それが子供相手のこととなるとなおさら「子供だから」という先入観が強くあって、「尊重」という概念が「優しく接すること」「子供の要求をきくこと」といったレベルでの理解になってしまいます。
ですから、理念と実践がなかなか一致しません。
実践どころか概念としてとらえるだけでも、そうとうしっかりした問題意識と学びが必要になってきます。
子供に関わる施設は山のようにありますが、これを組織として意識し、すべての職員が理解して子供に対するアプローチを考えているところは、そうでないところと比べてとても大きな質の差が生まれます。
僕がこの「子供の尊重」について概念でも実践レベルでもお話しすることもできますが、答えだけ知ったとしてもそこに問題意識がともなわなければやはり実践として継続していくことはできません。
まずは。「子供の尊重とはなんなのだろう?」と、子供に関わる人それぞれが普段から疑問を持ってもらいたいと思います。
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● COMMENT ●
考えさせられます
1 子どものあるがままの姿を見ること
2 子どもの自己主張を認めること
3 自分の自己主張をちゃんと伝えること
子供の尊重ですか…
尊重することに慣れてないので…
尊重している風ならそこまで難しいことでもありません。でも、長い期間を通じていくとそれではいつか必ず限界が来ます。(ボロが出ると言った方が実情に近いかもしれません。)
子どもが小さい頃は、まだ分かっていないことも出来ないことも言葉で言い表せないことも(子どもには)たくさんあったから(多分私が受け取ろうとしていなかったせいで、よりそのように思えたのかもしれません)、尊重している風でも何となく「ちゃんと尊重している」つもりになっていました。ところが4歳にもなると、理屈も言えるし親の不条理もはっきり認識して「それはおかしい」ときっぱり言い返せる。成長していくにつれて、親の言うことを聞いてくれない厄介な子どもになってきたなんて感じてしまっていました。そこからは尊重している風すらなくなって、更に不条理さを押し付ける。「間違っていることにはちゃんとNOと言わねば」と思い、親の正しさを分からせてやるって感じで意地になって。でも意識の片側にある「何かこんなの楽しくない。何か違う気がする」という思い。そこから、「今の自分は、きちんと子どもを尊重出来ているのか?真の意味で子どもを尊重するとは何だろう?」という疑問にぶつかりました。
たとえ親とは違った考えでも、いや違うからこそ、その子のあり方として認めるという意識が、尊重するということの根っこにあるのかなと思います。(文章にしてみると今更感が半端ないですが…。)
尊重するって、慣れていない私にとってはすごくすごくめんどくさいものに思えてしまいます。でも、そこをちょっとこらえて、話を聞くべきときにしっかりと耳を傾けると、子どもはすごく腑に落ちたようなすっきりした顔付きになりました。
「毅然とした態度で子どもを導く」ことと「子どもの言い分をしっかり聞いて受け入れる」こと。一見相反することのように私には思えて、ついついどちらかに偏りがちになってしまうのですが、ふたつは決して共存出来ないものではないと思います。
まぁ、私がこれをやろうとするとすっごくエネルギー使っちゃってすぐに音を上げてしまうんですが、もう少し肩の力を抜いて、自然に出来るようになれたらなって思います。(やっぱり、親子双方楽な方がいいですしね)
子どもの尊重
娘が1歳を過ぎ、自分の意思を表現できるようになってきたので、これからもっと考える機会が増えるのかと思います。
こちらのブログに初めて訪問させていただきました。大変参考になるので過去ログなどゆっくり拝読させていただきます。
実践するのは本当に難しい。。
親戚の叔母のおうちにたまに遊びに行かせてもらうのですが、、叔母の言葉がいつも気になってしまいモヤモヤしてしまいます。
下の子の後追いがすごくてちょっと離れただけでも泣くのですがそれを見て、「大変だね。」「よく怒らないでいれるね。」「これは周りも大変だわ。」となどなど、、。
私としては子供は純粋に母を求めてるだけなので、むしろ愛おしいのですが、、
上の子もそこではすっかり顔色を伺いながら行動しているので、そこではとってもおとなしく
、「上の子はいいね!」とか、平気で言います、、。
大人達にとって都合の良い子がいい子供と言われて、都合の悪い子供はよくない子といわれてるみたいでモヤモヤしながら帰ります。
ちなみにそこの息子さんは小さい頃全然手がかからない子だったそうなんですが、引きこもりになって今は社会復帰できるよう凄く頑張っています。。
抑圧されちゃったのかな。。と勝手に思ってしまいます。。でもこんな事考えるなんて本当失礼ですよね。。
叔父がすごく子供好きで可愛がってくれるのと、私も頼る人が周りにいないので、たまにお邪魔しては、叔母の発言にモヤモヤ(笑)
だけど私も10カ月の赤ちゃんに対してはそんな感じでおおらかに出来ますが、三歳の子のかまって欲しさの嫌がらせのような(笑)イタズラやしてほしい事はしない、してほしくないことをする攻撃(笑)
には心底うんざりしたり、怒鳴っちゃうこともあるのです。。反省。
自分がされたら嫌なことはしない!大好きな親友に接する気持ちで接しよう!ときめていても、なかなか実践するのは難しいと感じています。
子供に対して誠実でいたいです。
全然出来ていない日もあるけど、ここのブログを読み返しては、気持ちを入れ替えています。いつもありがとうございます!
No title
その園は、少人数でアットホームが売り。
子供の自立をうたっていて、よく子供に自分でさせてくださいと注意をされました(私は出来る時は手出しをしなかったのですが、保育士はそれを見ていない)が、お迎えがギリギリ(と言っても15~10分前)の私が、子供が靴を履いたり荷物を取りに行ったりする数分を待っていたら、遊んでないで抱きかかえてもいいから早く帰ってください、と言われました。
一生懸命にやってる子どもの前で言われて切なかったです。
結局、子供が嫌がり、言葉も話せなくなり、目も合わず、家でずっと荒れてわーわー泣くようになり、一年足らずで止めました。
止めたらすぐに、落ち着いた以前の子どもに戻りました。
色々な園があるんだな、と思いました。
私は子供といるのがとても好きで、子供の発達を見られなくて残念に思ってたこともあり(私の子供の発達を一番に見られるなんて先生いいなあ、と思うほどでした(笑)、家で私がみたほうがいいなと思い、仕事を辞めました。
全ての子どもが、良い大人との出会いを迎えられますように。
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アメリカで子育てをしている52ママです。
以前英語教育に関して質問させて頂きました。
その節はありがとうございました。
娘はもうすぐ4歳になります。
人見知りがほとんど無く天真爛漫な子に育っています。
その一方で家ではもの凄く自己主張が強くなったり
私が言った事はやらない、しないでと言った事をするという天の邪鬼な面もみせたりで
1日中一緒にいるのが少々疲れたりしていました。
しかしこの記事を読んではっと考えさせられました。
「子どもの尊重」とは「子どもを1人の人間として見る」ということと思っています。
しかしおとーちゃんが指摘なさるように私も理解しているが実践できていないのだと気付かされました。
ついつい時間に追われて娘の「自分でやる」という気持ちを中断してやってしまったり
こっち来て、という呼びかけを軽く流したり。
大人相手にはしない様な態度で接しているなと思います。
今は少し時間に余裕ができてきたのでじっくり娘のペースに付き合えるよう努力して行きたいと思います。
私にとってはタイムリーな記事をありがとうございました。