『目に見えることと目に見えないこと』 - 2010.05.02 Sun
産科に付属の小児科なので、赤ちゃんとお母さんばかりが待合室にいたようです。
ほかの子は泣いてしまったり、落ち着かなかったりしていたけれど、むーちゃんは、周りのこどもたちの顔をのぞいたり、お母さんたちに笑いかけていたので「ずいぶんしっかりしていますね~」などと声をかけられて、そこのお母さんたちと仲良くなりました。
みなさん第一子でわからないことも多かったようで、そのまま妻が子育て相談を受けるようなかたちになってしまいました。
そこで3ヶ月検診を受けに来ていたお母さんから、
「ひとみしりをしなくなるように、今のうちからいろんな人に合わせたりして慣らせておくといい」と本に書いてあったけれどもどうなんでしょう?
と聞かれたそうです。
そんなことが育児の本にかかれているのか~~と正直びっくりですが、今の育児の本とかだとありがちかな~とも思います。
結果からいってしまえば、そんなことは無意味であるばかりか、こどものためにならない可能性が大きいです。
なぜなら、まずは母子間の愛着形成をしっかりとするべきときであって、それが未完成なまま、ひとみしりをしなくなるようにとあえて人にあずけたりすると、人間にたいする不信感をもつようになってしまう可能性があるからです。
誤解のないように補足しておくと、人に会ったりするのが良くないというのではないのです。
電車やバスのなかや、公園やお店などで知らない人から声をかけられたりするのは、脳の発達の刺激となったりして、とてもいいことです。
ただそれは母親という大きな傘のなかに入っている状態だから、赤ちゃんは安心して受け入れられるのであって、人見知りをしなくなるようにとあえて傘のなかからだして、他者に近づけることは大きな不安をこどもの心に植えつけることになりかねません。
この頃の、親の傾向を見ているとどうも、こどもの自然な姿をネガティブなものと捉えていることが多いように感じます。
赤ちゃんが泣いていれば 「泣くのは良くないことだ」 >> 「泣かせてはいけない」 >> 「おしゃぶり漬け」
ひとみしりをすれば 「人をみて泣くのはよくない」 >> 「ひとみしりしないようにする」
かんしゃくを起こしたり、自己主張をしたりすれば、「親の言うことが聞けない子だ」 >> 「しつけが足りない」
と考えたり 「だだをこねないようにごまかす」
などなど。
こういう姿をたくさん見かけます。
こどもに関わった経験が少ないと、一見そういったことは「悪いもの」と捉えがちになるかもしれません。
しかし、大人からみてそう感じることも多くは、こどもの成長の発達段階のひとつとして必要なことなのですね。
この「ひとみしりをしなくなるように、今のうちからいろんな人に合わせたりして慣らせておくといい」
にしても、そもそも前提として「ひとみしりをすべきでないもの」と捉えているわけであって、そこがそもそもおかしいわけですね。
ひとみしりをする時期ならば、ひとみしりをすればいいのです。
たまたま、ひとみしりをしない子というのはいますが、そういう性格だったり、親からそう見えていないだけだったりするだけで、ひとみしりしないからいいというわけではないですよね。
前回も同じようなことを言いましたが、現代では子育てがとても特殊なスキルになってしまっているので、どうも目に見えることだけにちからを入れて、目に見えないこどもの内的な発達などがおろそかになっていることを多々見かけます。
今回のひとみしりもそうだし、オムツをはずすことや、指しゃぶりをやめさせること、字の読み書きができることなどなど、例をあげれば書ききれないほどありますが、親が目に見えることにだけやっきになって、ほんとうに大切なことがおろそかになりゆがんだ成長を遂げている子、少なくないです。
こういうことはケースバイケースだし、やっている親本人はこどものために良かれと思ってやっていることも多いし、自分ではなかなか気づきにくいのだよね。
また、人に指摘されても反発してしまったり、理解できてもなかなか直せなかったりね~。
ほんと子育てって難しいところがあるよね。
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● COMMENT ●
人見知り
参考になりました
うちは今6カ月の子がいます。まだ人見知りがそれほどあるわけではないのですが、やっぱりママが一番の様子。
義母のところへ行くと、ママとばっかりいるからよ~なんて言われてたんですけど、やっぱり今はしっかりママと信頼関係を作ることが大事なんですよね。
これからも色々と参考にさせてもらいたいと思います。
あさみさん
> でも周りからは「お母さんと普段2人だから仕方ないよね」ってよく言われます(>_<)本来の性格って言うのは認知度が低いものなんですかね。
そうなんですよね。
こどもの性格よりも、育て方でこどもを「しつける」というのが日本の子育てなので、一般的にはそういう認識なんですよね。
大人に都合よく育てることが、長い目で見たときに必ずしもこどものために(結局は親のためにも)ならないということもあるんだけどね~。
たか&あっころさんはじめまして
> うちは今6カ月の子がいます。まだ人見知りがそれほどあるわけではないのですが、やっぱりママが一番の様子。
> 義母のところへ行くと、ママとばっかりいるからよ~なんて言われてたんですけど、やっぱり今はしっかりママと信頼関係を作ることが大事なんですよね。
> これからも色々と参考にさせてもらいたいと思います。
ありがとうございます。
「ママが一番」が一番です。(笑)
保育園でも1~2歳児で新しく入ってきた子の中には、ちっとも泣かないで最初から平気な子がときどきいますが、実はこういう子のほうが心配だったりします。
なぜなら、母子間の愛着形成がきちんとできていない可能性があるからです。
(中にはただそういう性格で平気な子もいるのだけど)
愛着形成がしっかりできていない子だと、入園当初は泣かないで楽かもしれないけれど、あとあと様々な問題がでてくることもあるんです。
そういうわけで、やっぱり「ママが一番」って思えることが一番大切ですよ~。
No title
そういえば 本に書いてあったな~って思ってました。
人見知りも大事な成長ですよね~。
家の子も あまり人見知りしないな~って思ってても
やっぱり 男の人とかだと
ちょっと引きぎみになっちゃいます。
でも よく知らない人の所に話しかけにいったりするし・・・・
やっぱりその子の性格なんでしょうね~。
No title
うちの娘は2ヶ月か3ヶ月の頃からず~っとで、たまに「核家族だから仕方ないね」とか言われたりして悩んでましたが、大家族の家の三人兄弟の真ん中の子だけ人見知りがすごいなんて子も知り合いにいたし、全然関係ないんですよね。
周りからいろいろ言われて不安になってしまいがちですが、今は回りからいろいろ言われてもな~んとも思わなくなりました。
おとーちゃんさんのアドバイスのおかげです~。
でも、人見知りって結構母親は大変なのですよね~(^^;;
そのうちこちらがべたべたしたくても勝手に離れていってしまう時が来るのだから今のうちにべったりしておかなくちゃ~と思います。
ほんとうに大切なことをきちんと見据えていきたいな~と思います。
これからもおとーちゃんさんの日記楽しみにしてますよ~。
このブログ、本にして出版されればいいのになぁ~と最近つくづく思います。
ちっぴ~さん
>
> やっぱりその子の性格なんでしょうね~。
そうなんだと思います。
だから、ひとみしりをする子にひとみしりについて否定的な態度を親がとれば、それはその子からみれば自分の性格を尊重してもらっていない、ということになってしまいます。
だから、そういうときがあっても「今はこういう時期なんだ、あなたはそれでいいんだよ~」
という態度を親がとってくれれば、その子は安心して成長できるでしょうね。
さっちんさん
一般的には個性を尊重するより、「しつけがなってない」みたいな意見が支配的なのですよね~。
ほんと、特に女の子はベタベタさせてくれる時期はあっというまに終わっちゃうみたいだしね(笑
ありがとうございます。
少しでもみなさんのお役にたてれば幸いです。
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友達は誰にでも笑顔で遊んで、抱っこされてうらやましいなとは思いますが、成長の一環として今は人見知り中の我が子を見守っています。
それでもやっぱり顔を見るだけで泣かれると相手に悪いし・・・という後ろめたさも感じるのは事実です。
初めの頃はよく聞きました!「人見知りしないようにあっちこっち行ったほうがいいよ」って。なのであっちこっちでかけたりしてよりたくさんの人と触れ合う場を作ってきました。育児書にも書いてあるって言うのは初耳でビックリです!
でもあとから気付いたのはその子の性格なので、そういうのは関係ないんですよねw今となってはママの息抜きの場だったと思っています☆
でも周りからは「お母さんと普段2人だから仕方ないよね」ってよく言われます(>_<)本来の性格って言うのは認知度が低いものなんですかね。