リンク『日本の保育園は「サービス」しすぎ? 潜在保育士が復帰しない理由』 - 2016.05.22 Sun
『日本の保育園は「サービス」しすぎ? 潜在保育士が復帰しない理由』(J-CAST)
僕もこの記事の趣旨にほとんど同意します。
ただ、僕の立場から感じているのは「サービスのしすぎ」ではなく、言ってみれば、努力の方向性が間違った方に向いているのではないかということです。
1.保育の実態(保育士・園がしていること)が時代にそぐわなくなっている点
2.保育が本質を維持できてこなかったために、”園(理事者側)の意図”と”保護者の求めるニーズ”と”現場の保育士の仕事”との乖離が起こり迷走している点
地域や園の状況により、そのような行事や制作物に力を入れるといった旧態依然とした保育のあり方でも問題がないところもあるでしょう。それならばそれでいいのだと思います。
しかし、現場の人間が直面している問題はさまざまに多様化し複雑化しています。
もしそこで働く保育士が、例えば
「この子はこんな問題がある、どうにかして解決してあげたいけれど、園の要求する行事や制作物の準備が忙しすぎてそちらに手が回らない」
「子供を伸ばすことよりも、親に受けのいい行事をすることに園は力を入れていて、子供の問題を見てみないふりをしている・・・・・・」
「クラスの子供たちは落ち着かない子ばかりで、一日の保育を終えると心身共にへとへとになってしまう。でも制作物を作らなければならず何時間も残業しなければならない」
こんなことがあれば、まさに文中にあるように
「心が枯れていく」
ということになるでしょう。
そして、問題意識が高い人、子供によい保育をしたいと思うような人ほど、「ああ、憧れて入ったけど現実の保育の仕事ってこんなものなのか、もういいかな・・・・・・」と燃え尽きてやめていってしまいかねません。
保育士たちは、子供のためと思えることならば多くの人が頑張れるんです。
けっして高いとは言えない給料の中からすら、多くの人が自費で勉強会や研修に参加してまで研鑽を積んでいます。
でも、「やらなければならない」と感じている問題に手をつけられずに、「これをしていていいのだろうか」と思う仕事を強制されていたら、モチベーションはそうそうに燃え尽きて頑張れません。
また、
「私は危機感を感じるほどの問題があるのに、他の職員は気にも留めていない・・・・・・」
この状況も、多くの誠実な保育士を燃え尽きさせているのを僕は知っています。
たしかにかつては、「行事や制作物を頑張ること=よい保育」になった時代もありました。
保育って”習い性”になるから、こういうことで保育が全うできた時代に保育士としてのスキルを獲得した人にとっては、現代でもそれが目指すところと見える人も少なくないかもしれません。
しかし、現状はもっと深刻です。
「保育で本当に目指すものはなにか?」
といった原点に立ち返った意識を保育業界は持っていかなければならないと思います。
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● COMMENT ●
本当にそのとおりだと思います
勤続年数の長い保育園
行事も他の保育園と同じくらいあるし、園のあちこちには保育報告の壁新聞が掲示されてます。
先生方はみなさん、子供が可愛くてたまらない雰囲気で、子供一人一人をきちっと目を見て話すし、子供の育ちに熱いです。他のクラスの子供でも、自分のクラスの子供と同じように対応されてます。
市の視察もあったらしいけど、理事も園長もおっとりと、何でも包み込む雰囲気で「何でみんな頑張ってくれるのかな?うちの先生方はみんな熱くて、いい先生達で嬉しい」とおっしゃってました。
端から見て思うのは子供の個性はもちろん、保育士の「子供一人一人を大事にしたい」という熱を大事にされる雰囲気だからだと思ってます。
保育園って中小企業だし、閉鎖的な世界で、いくら自分に思いがあってもオーナーの意向には逆らえないって点も、保育士不足の問題だろうと思ってます。最近は代替わりも進んで「園長が保育の経験無し」で、でも先代から何か変えたくて、から周りしてるとこも沢山あります。結果、保育士がどんどん辞める。
もちろん、上の保育園でも「辞めたくないけどどうしても体力が保たなくて・・・」という先生もいらっしゃるので待遇の改善はしてあげて欲しいです。
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本当に、保育園のサービスで、これはいいから子どもの様子に気を配ってほしいと思うことが多々あります。
たとえば、全員に同じことを書いているであろう内容の連絡帳のコメント。
(「今日は○○公園へ行き、元気に遊んでいました」など。)
運動会やお遊戯会の衣装づくり。
それより、子どもが話しかけたときに丁寧に答える余裕を
先生にも与えてほしいです。
最近、子どもが先生のマネをして
「ごちゃごちゃいわずに、さっさとやりなさい」
とか「とにかく(ごはんを)お口にいれなさい」など言い出して、
悲しい気持ちになります。
先生、忙しすぎますよね…。