本紹介 『人はなぜ「いじめ」るのかーその病理とケアを考える』 - 2016.06.17 Fri
思考の”熱量”みたいなものが下がってしまうと、頭には漠然とあっても求心力がなくなって文章化できなくなってしまうので、なんとかそれを維持したいと思います。
そんなかんじでブログの更新があまりできないので、こんなときは本の紹介でもしてお茶を濁してしまおうかと・・・・・・。
ちょこちょことした時間を見つけて読み進めている本が、こちらです。
人はなぜ「いじめ」るのかーその病理とケアを考える
現役の心療関係の臨床医3人が、宗教哲学者の山折哲雄、小説家の柳美里の話を聴くという形で、「いじめ」とそれにまつわる諸問題を考えていくものです。
まさに、異色の組み合わせの本だと思います。
まず、視点が臨床に立ち会っているところの医師が”模索”をしているところからスタートしているのが、とても興味深いのです。
これは医師に限らず、人に関わる仕事をしている人の多くにおそらく共通の想いであるかと感じますが、
「断罪することで解決しない」、「いじめを”悪い”と言うだけで解決しない」
という切実なところからスタートしています。
「いじめとはなんなのか、その根っこから見つめ直していこうよ」
そういったところから、この本のテーマがつむぎ出されています。
宗教学者である山折哲雄氏の話は、僕からすると「本当にそうかな?」とも思えるところがあります。
でも、その「本当にそうかな?」は「賛同できないよ」という意味合いでの、疑問符ではなく「なにかそこには考えていくべき”深み”が感じられるような」疑問符でした。
こういった感覚を覚えさせた本は久しぶりだったので、この本を紹介したくなりました。
読んでみてのわかりやすさ、おもしろさで言えば柳美里さんとの対談は引き込まれるものでした。
「いじめ」が単に善悪論で済むものではなく、「死」や人間の抱える暗部、または日本人の精神性などと密接に絡み合っている。
どうしても「いじめ」は単純化されて語られやすいところがあります。道徳だとか、善悪だとか、法に違反しているとか・・・・・・。
この本が直接・間接に示唆している視点というのは、「いじめ」のことを考えるのにとても重要ななにかをもたらしているように感じます。
(表紙写真の舟越桂さんの『肩に残る声』の彫刻のインパクトもすごい)
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読みました。事実凄い本でした。
私自身2児の母ですが、いじめの渦中にいる学生さん達にもオススメできるのでは
それにしてもネットと現実の学校や政治との解離に頭がクラクラします
女と日本を捨てるのもありかなとふと考えてしまったり
行きつくところまで行かないとどうにもならないのでしょうか