保育をむしばむブラック保育園 - 2016.09.11 Sun
将来への安心感のない非正規雇用の増加。
日本の就労問題はひたすら暗いものとなっています。
ザルのように穴だらけなことで有名な「労働基準法」がほとんど機能していないことは、多くの方が同意する点ではないでしょうか。
これまで営利化された保育園を拡大することで急成長した「株式会社日本保育サービス」(アスク保育園)が、このたび労働基準法違反で是正勧告が出されました。
『大手保育園で横行する労働基準法違反 辞める前に行政を動かそう』
『保育業界最大手の労働基準法違反について』
業界最大手の組織が不正をすれば、その後を追うその他の企業も同様の過重労働を課してしまうことでしょう。
働き手である保育士の善意や良心を利用して、過重な労働を押しつけるのは日本の保育界のの悪しき習慣となってしまっています。
しかし、これをやれば必ず保育の質は低下します。断言します。
過重労働をさせてもよい保育ができるほど、保育というのは簡単な仕事ではないのです。
もちろん、保育所を営む運営母体だってそのことは理解しているはずです。
別にそれは保育に限りませんよね。
いい仕事、いいサービスを提供したいとしっかり考えているところは、その働き手も大事にするはずです。
働き手を大事にしないという体質の保育所は、子供も大事にする気などないということです。
労働条件に問題があれば、どんなに優れた保育者であっても、質の高い保育はできません。
その人の努力で短期的にはそれが達成されたとしても、維持していくのは非常に困難を極めます。
子供の人数に比して保育士の人手が足りない、残業時間がかさむといった状況であれば、子供を保育するにも余裕が失われます。
なんとか時程をこなすために、「子供を伸ばす」といった視点を持った保育をする余裕などそこにはありません。
「大人の望むとおりに動かすこと」が、そこでの最優先課題にならざるをえません。
すると、大きな声で注意や指示ばかりになったり、叱ったり怒ったりを多用したり。
そのような状況だと、保育士は「疎外」が大好きになります。
「疎外」がもっとも効率がいいからです。子供を大人の思い通りにするには・・・・・・。
しかし、子供を「育てる」「伸ばす」といった視点からはそれは最悪の保育になります。
かくして、ブラックな保育施設では、子供に高圧的で疎外が大好きな意地悪保育士がはびこってしまいます。
そこでは、子供によい保育をしたいと思う保育士はいじめられます。
いじめられずとも、そのような保育が慢性的に行われているところでは、心が痛くて仕事がつらくなってしまいます。
モチベーションもしぼんでしまいます。
それでも頑張ろうとしてくれる熱意を持った良心的な保育士もおりますが、職場の労働条件も悪いのではそこで仕事をする意味自体が失われていってしまいます。
いま、都市部では非常な保育士不足です。(地方では必ずしもそうではないところもある)
保育の質や、保育士の待遇が悪いところは、どんどん中途で人が辞めていってしまいます。
すると、人員補充されないのでより労働条件が厳しくなるという悪循環です。
一方で、保育の質が高く職員を大事にしているところは、必ずしもそんなに賃金が高くなかったとしても働き手の定着率がとても高いです。
職員の定着率はその園の質がてきめんに反映されています。
いま、保育園の増設は国、行政の喫緊の課題となっていますが、数だけ増やしても、きちんとした質がともなわなければなりません。
おそらく現状では、保育の質をあげるのは保育園側の自助努力ではなく(それがなされているところはそもそも質がさがらない)、ユーザーつまり保護者の方の意識ではないかなと感じています。
あわせて読みたい
ワタミに入社二ケ月で自殺した娘さんの両親が和解金でブラック企業と戦う基金を設立した件について。
(筆者の中嶋よしふみさんのシェアーズカフェのお話は、経済面から問題を読み解く視点がどれも大変おもしろいです)
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● COMMENT ●
満たされた子ども
今、ふと目にとまった満たされた子どもシリーズ1を読んできました。
そしたらですね、下の子(今月2歳の誕生日)が、むーちゃんみたいにお話聞けるように育っててですね。
むーちゃんと同じように育つことがいい!と思っているわけではないです。こどもの笑顔が全て、可愛い姿が全てとわかってるんです。
けど!この記事を読んで、おとーちゃんさんに「それでオッケー!大丈夫だよー!この子満たされてるぽいよー!」って背中をさすってもらえた気がしました。泣けてきました。
私は、支配型の強い大人の傾向があり、自分のコンディションによって、感情的に怒鳴りつけることや、叩くこと、物に当たることがあります。きっとすごい怖い顔してるんだろうな。絶対ダメとわかってます。今は、そうならないように、気をそらす方法を探っているところです。
そんなわたしでも、毎日、子どもを抱きしめて、「あなたが好きよ」を伝えてきました。絵本を読んだり、踊ってみたり、こちょこちょしたり。できないと予測しても、やりたいことはやらせてあげること。時間が許す限り待つこと。言葉で気持ちを代弁すること。このブログで知った知識ですぐでにることは、できるだけ実践してきました。歌もたくさんたくさん歌いましたよ!
夫の理解・協力があり、自己犠牲は伴わずに2年間過ごせたと思います。それでも私が尊敬している、大好きなおとーちゃんさんに、「よくやってきたね」と言われた気がして嬉しかったのです。勢いでコメントまでしています。
上の子(4歳)がイヤイヤのころにこのブログに出会い、何度も教えられ、考えさせられ、助けられてきました。思えば、この子もお話の聞けるタイプのこどもで、〈手のかからない子どもの母親〉と言われることが多いです。
「うちはわたしがこわいからねー」なんて、他のママさんには言ってますが、〈こわいだけじゃこんなに可愛い子には育たない。それも二人も!〉と夫には言っています。
可愛い子どもに育つよう、おとーちゃんさんが知恵を授けてくださいました。有り難うございます。
本当なら、他のママさんにもおとーちゃんさんのことを教えてあげればいいんでしょうけど、余計なお世話になるのが嫌なので、黙ったままです。寂しいですが、トラブルで心を消耗するより、我が子と向き合う時間をとりたいという気持ちのほうが強いです。
おとーちゃんさんが、メディアに取り上げられることが増えれば、救われるお母さんも増えると思います。
今も充分お忙しいとは思うのですが、さらなるご活躍を期待しています!
朝晩寒い日もありますので、お身体にお気をつけください。
保育園のことで思っていることなど
講演会もあるのですね、聞いてみたいです。それから、息子が通園している保育園でもやって欲しいです><
通園中のところはブラック保育園でしょう。
乳幼児は言葉で伝えられないし、自我が確立されていないので「違う!」とか思いませんもんね。
今朝も、一人の男の子(2歳3か月くらい)が、何があったかはわかりませんがべそをかいていて、ある保育士が「そんなふうだったらもう遊ばなくていいよ!」と子どもっぽい怒鳴り方で怒っていました。男の子は益々泣いていました。
男の子の心の中は、きっと「お母さん、お父さんに助けて欲しい」けど「助けてもらえない、いない」って感覚になったのじゃないかなぁと思い、大変に心苦しくて、今もナーバスでいます。私はどうにしたらよかったのだろうか、と思います。うちの子も同じように言われたりしているでしょうが、多くの子供たちがこんな目に遭わされているというのは由々しき事態です。大声で、ほかの子がいるところで逃げ場のない怒り方をされるというのは辛い。大人だってそんなことを毎日されていたら精神病になります。たまたま入ったお店の店主がそんなふうに従業員に怒ってたりすると見苦しいし聞き苦しいことこの上ない。
なんか他の保育士も、ほぼ金切り声で怒ったりします(高いトーンで抑揚が激しい・内容も条件付け、脅し、ダメなどの否定語中心、乳幼児に難しい概念・抽象語の多用)
元々幼稚園だったのが、数年前にこども園になったところです。
4歳までの子供の成長を知らないです。知識も経験もない(または忘れた?)のです。担任は、30歳くらいから15年くらい勤続しているようですが、子育て経験はなくて、自分の生育環境(つまり40年以上昔の個人の家庭状況)と比較して同じにしてやろうという固定観念と怠慢で・・・確かにおっしゃるように「自分が楽な保育」をやっています。年功序列が優先されてなのか、そうした経験も知識もない人を0歳から担当させてます。けれども、誰も「指導」する人がいないわけです。加えてモラハラ傾向がある=自己愛が強いので、年下、パート、園長も主任も言いなりです。(ちなみに、モラハラは人格障害であって、自分らしさという人格をもたず、とにかく自己責任を他者へ渡して自分がいいようにだけ動き、そうできる人をマインドコントロールする、という見解に基づいた考えによります。)
こういう場合に、改善することはありえるのでしょうか。とてもあるように思えません。そういう人がいると、下の人も同じようにやる(自分が楽なので、そもそも直そうとは思わなくなる)ようになるわけで。保育園の場合は、「ものいえぬもっとも弱き者」であるこどもが犠牲になります。
未来輝かしいこどもの素養を奪っている、と思います。
この段階でそうされるから、中学生になってうまく色々なことができない子供がいたりするのかもしれないです。
・完全な親はいない、誰しもうまくできないこともあるような内容ですが・・・(すみませんちょっと違ってて)
私は、こうした保育園について「おかしい」と思ってはいます。
しかしながら息子が2歳になる前で、1か月か数週間かなぁ、しばらくお迎えに行くと走り回って逃げる、というようなことが続きました。私を視認した後で、わざと目を合わせないで逃げるのです。私は、そういう様相は、ゆっくり見守って様子をしっかり観察したい派?です。
しかし担任は「お母さんが迎えにきたら、帰るものなんだよ!」ってしつこいのです。ネットで調べたら「嬉しさ、安堵感で遊び続けたりする」とあって私は「安心」しました。
担任は直接的ではなくとも「ほかの子は帰るのに」とか「ふつうは帰る」とか「保育園でまだまだ遊びたいんだ」とかを「お母さんより保育園で遊ぶ方がいいんだ」と言いたいような、暗に示唆するような言い方をしてきました。しつこくです。連絡帳も常にそういう感じです(これはモラハラを受けるタイプの人間じゃないとわからないかもしれないです)。
そういうふうにずっとされていたせいか、「私のことが嫌いなのかな・・・もうほっといてあげた方がいいんじゃないかしら」と思うことがあったわけです。
でも、「この保育士はおかしい」と思っているので、「なんとかそう思わないようにしよう」と抗ってはいましたけれども、そういう気持ちもあったのです。そして自分で調べてやっと「安心」しました。
この保育士への連絡帳には「なかなか眠れなかった」ようなことなどかくと「弱点得たり!」で遠回し攻撃がひどいですから、そういうことは一切書けません。
本当に嘆かわしいです。
しかし、こうした人が増えたり、こうした人はネットだと「水を得た魚」となって声を高々と上げたりしますから(誰にでも「弱点」はあるので、それを「後出しジャンケン」で見つけては攻撃する)、「それだとちょっとおかしいのじゃないかしら」と思うような人は、コメントすることなしに声を消します。
結果的には攻撃する人がうじゃうじゃ・・・そういうのを見ると、攻撃してるだけの人があたかも「常識」で「まとも」かのように見えてしまうので、「わたしはできてない母親だ」と思ってしまう人も増えていると思います。
(日本人は、「論争する」ということがないので、モラハラ的なやり方で、相手を非難・否定して自論を展開したり優位に立とうとする手法の判別がもう出来ない人が多いのではないかと思っています)
たった一人だけの考えややり方でも、それが愛情に立ったものであれば、自信をもつことも大事だと思います。自分の子供も、自分という人間も、たった一人の存在だから。
これからしっかり記事を読んで、糧にしたいと思います。
はじめまして
出産、夫の転勤を機に大好きだったその保育園を辞め今私は認可外保育園に勤めています。初めて勤めた時は衝撃でした。資格もない人も働いています。子どもの手をパチンと叩いてるところもみました。全てにおいて保育のほの字も知らない人ばかりが働いていて誰1人発達を保障、いえ、遊びすら保障されていませんでした。認可外とはこんなものかと衝撃以外の言葉が見当たりませんでした。
ブログに書いてある通り、私はそこの園で嫌われ者になりました。保育の視点から早急に変えていったほうがいいものは変えていかなければ子どもたちが可哀想だと思いました。でもその行動は他職員からしてみると『丁寧にかかわっている』ではなく『楽している』に捉えられてしまったのです。
怒鳴り声が交差する現場。いつしか自分も子どもを叱るように…。本当に苦しいです。自分がこんな風になっていることにも腹立ちます。前の保育園でやってきた私の保育士の基盤となっているものが全て崩れ去りそうです。
辞めたいですがそんな簡単に子どもたちを見捨てることはできず苦しいです。
何より自分自身が許せなくなっています。
こんなはずじゃないと毎日言い聞かせ、もっと丁寧に丁寧にと思うのですが現場は待ってくれません。人手不足なうえ保育を知らないひとたちに阿吽の呼吸は通用しないのです。
歳は若くはないですが保育士になりたての者です。
保育士さんって意地悪な人が多いです。
心が折れそうになりますが、私は自分と子どもたちを信じて保育に向き合おうと思っています。
意地悪な保育士
でもその裏には、誠に大人げなくいじけたり、その勢いで人をいびったり、子どもの母親を自分の価値観でジャッジし、それを上から目線の笑いのネタにするのが妙にうまかったり、子どもの家庭状況をのぞき趣味目線で雑談のネタにしてしまうような姿があり...。
なんでこうなるのかな。
せっかく子ども達や保護者から信頼感を勝ちえているというのに。
それとも私がナイーブなだけなのかな。
ひとの行動や失敗や障害や見た目を、あげつらったり、何かにたとえて笑いを取る...なんて際どいこと、保育士の私には絶対できない。
でもその保育士は、子どもにはもちろん、職場の仲間にも(もちろん部下の私に対しても)かげでは上司に対しても、やる。
その方、保育士の職務はうまく遂行していても、人間的には「いじわる」な人だなと思わざるを得ません。
すみません。ひとりごとでした。
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保育士、を、母親、に変えても同じことが言えるのではないか、と読んでいて思いました。
子供を産んで、仕事して、家事は時短でこじゃれた格好して、素敵な写真をSNSに載せて…
メディアから伝わるイメージでは、どんどんやる事がふえていきます。
やる事が増えると、大事なことが疎かになる。
自分も、子供も…。
年に数回、新幹線に乗ります。
いつも、周りに座っている子供にうちの子供たちは遊んでもらって、楽しく旅をさせてもらっています。
タブレットやスマホが普及して、徐々にモバイル機器を持っている子供が増え、5割、9割、となり、一度遊んでもらえる子供が誰もいませんでした。
ところが、その後、スマホ育児が危ない!と言う情報が流れ始め、次に乗った時は2~3割。起きている大人の9割はモバイル機器をいじっていますが。
日本のお母さんが情報をよく取り、素直に子供のためにとすばやく行動を変えているのが分かりました。
安心した半面、少し切なさ・辛さも感じました。