『認めて育てる』 - 2010.06.08 Tue
「ほめて育てる」というのは確かに大切なことなのだけれど、しかしこのことも使いようによっては必ずしもこどもの良い育ちにつながらないこともあります。
僕はよく「言葉の価値」という言い方をしますが、ほめる事もときと場合によっては、この「言葉の価値」を下げることがあります。
それは、こども自身が達成感も感じていないようなときにほめられ、逆に達成感を感じているときにはほめてもらえないようなときです。
こどもの様子をしっかりと見ていないときや、こどもの気持ち・心情を汲み取れない大人にありがちです。
つまり、ほめることはいいことだという先入観で、なんでもかんでもほめていたら、その言葉の価値がなくなってしまって、返ってこどものやる気・気力というものをそぐ結果になってしまいます。
ときどき祖母がこどもが渋っていることをやらせようと、ごまかし的に「○○ちゃん、~~できてえらいな~」とまだ出来ていないことをほめることがありました。
こういうことを大人が言われたらどう考えるでしょう。
多くの人は自分が馬鹿にされているととるのではないでしょうか。
こどもも同じです。
普段から、こういうような使い方をされていくと大人の言葉そのものに対する信頼がなくなり、結果的にはいわゆる大人の言うことを聞かない子になってしまいます。
「ほめること」自体は大切なことなので、もちろんほめるべきときはしっかりほめてあげることも大切ですなのですが。
「ほめる」ということは大切ではあるのだけど、どうしてもその構造上、「上から目線」であることには違いないですよね。
それよりももうちょっと相手に寄り添った関わり方があります。
それが「認めてあげること」です。
認めるとはつまり「出来たことを認めてあげること」です。
それは無理して出来たことではなくて、普通に出来たことです。
どうしても大人は「出来ないこと」に目がいってしまいがちになります。
しかし着眼点を少し変えるだけで、「認めてあげる」ことはたくさんあるのです。
例えば、苦手な野菜が少ししか食べられないとき。
「出来ないこと」を見てしまえば、「身体にいいんだから、もっとちゃんと食べなさい」とか言いたくなってしまいます。
でも、「出来たこと」を見てあげるようにすれば、「苦手なのに少しは食べられたんだね」と言えるわけです。
このように、ほめるようなことでなくとも「認める」ということならば実は、日々の中にたくさんあります。
そのためにはきちんとこどもを見てあげるということは必要だけれども、「認めること」をしっかりしていくと、その子はとても意欲的な子に育ちますよ。
言われてやる子に育てるだけならば、怒ったり、叱咤激励することで出来るでしょう。しかし、それだけでは意欲をもって自分から物事に取り組める子にはなりえません。
まず、現在の自分を「認めてもらうこと」、つまり肯定してもらうことは、すぐに現れないかもしれないけれど、本当にその子の力になっていきます。
僕はだいたい、子育てについて考えるとき0歳~3歳くらいを念頭においていつも考えているのだけど、この「認めること」というのは人間の心の根本に関わることなので、相手が何歳であってもたとえ大人であっても有効に働くと思います。
ほめることを探したら1個しかない子でも、認めることならば10個くらい見つけられます。
(無理やりほめるところを見つける・作るということもできるのだけど、これは基本的には白々しいのでこどもに見透かされ、冒頭に述べたように返って逆効果になることもあります。
ただし、保育園的な観点で言えば、虐待されている子など無理やりにでもほめるところをみつけてそうしなければいけないこともあります。)
「たのしそうに、積み木遊んでたね」
「泣かないで起きられたね」
「一人で着替えできたね」
「手をつないで散歩にいけたね」
「たくさん公園で遊んだね」
「絵が大きく描けたね」
などなど、些細なことでいいんです。一見できて当たり前なことのようだけれども「認める」だけなのだからそれでいいんです。
もちろん、ケースバイケースでこどもやその前後の事情によっては、こういった些細なことでもほめていっていいこともありますよ。
慣れないと最初はなかなかうまく「認めること」って使えないかもしれないけど、最初だけちょっと意識するだけでこどもをちゃんと見ている人ならばわりとすんなり出来ると思います。
怒ること・叱ることに慣れちゃう前に「認めること」慣れた方が、大人もこどももずっといいですよ~(笑)
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● COMMENT ●
こんばんは
今回も同感!
今回の記事も同感です。
認めることって日々たくさんありますよね~(^_^)
その事自体は小さなことかもしれないけど、それがたくさん集まって子供の中で大きく育っていくんだと思います。
No title
確かにそうですね。
ちゃんと子供を見て使わないと、ダメなんだなぁ思いました。
これからは、ほめる時、気をつけてみようかと思います。
No title
そういえば先日うちの母も言ってました(^^;;
そのときは娘はその言葉を聞いて動いてましたが、これって確かに大人に言うとバカにしてる感じですよね。何も考えず動いてくれてよかったと思ってしまいましたが。。。
信頼感ダウンです。
認めるというのは慣れるまで難しそうだけど、褒めるよりももっといいかかわりができそうですね。
意識してやってみようと思います。
無事?退院できそうです。
ぜひとも取り入れていきたいです♪
私は明日無事退院できそうです。
息子は多少泣きながら環境に順応していっているようで子供はすごいなぁと思います。
明日はがんばった息子を存分に甘えさせてあげたいです!
入院の経過はブログに載せたのでお暇なら覗きにきてくださいね~(お暇ならでいいですよ)
こんばんは
今回の「認める」という記事、もう何回も何回も拝読しました。
ずっと9才の息子のことで悩んでいて、彼の欠点ばかりについ目がいってしまったんです。でも叱ったり、下手な褒め方をして、悪循環を引き起こしていたのは、まさに母親の自分だと反省した次第です。いたずらに「褒める」のでは無くて「認める」。
とても難しいことですけど、これをいつも頭の片隅に置いておきたいです。
本当に勉強になりました。
何事につけても、あまり子供扱いせず、「一個人」として人格を尊重することが大事なんだと、つくづく感じて、我が身を振り返りました。
いつもありがとうございます。
この記事沢山の方に目を通して頂きたいです。
ルフランさん
コメントありがとう。
その後の様子を聞けて安心しましたよ。
うまく回り始めたみたいでよかったね。
認めること、ほめること得意じゃないならそれはそれでいいんだよ、それもまた個性なんだから。
それならその代わり、毎晩寝る前に「大好きだよ~」っていってあげるとかでもいいしね。
でもほんと、娘さんもちょっとずつでも前に進めているようで、ほんとによかった。
アトピーっ子かーちゃんさん
> その事自体は小さなことかもしれないけど、それがたくさん集まって子供の中で大きく育っていくんだと思います。
ほんとはそうなんですよね。
でもどうしても世の大人はできないことばかりに目がいきがち、認めてあげることに気づかないまますごしてしまう人も多いのが現実なんですよね。
sachiさん
>
> 確かにそうですね。
> ちゃんと子供を見て使わないと、ダメなんだなぁ思いました。
> これからは、ほめる時、気をつけてみようかと思います。
まあ、「ほめること」は基本的にはいいことだから、あんまり気にする必要もないかもしれないけどね。
今回は、多くの人に「認めること」に気づいて欲しかったから、ちょっと対比して強調するような言い方をしてしまいました。
さっちん さん
> そういえば先日うちの母も言ってました(^^;;
> そのときは娘はその言葉を聞いて動いてましたが、これって確かに大人に言うとバカにしてる感じですよね。何も考えず動いてくれてよかったと思ってしまいましたが。。。
こどもって大人が思う以上に実はいろいろ感じてるから、そのうちなんとなく変だな?とか気づいちゃうんだよね。
まあ、それで急にどうとかなるってことでもないから、まああんまり気にしなくていいのかもしれないけどね(笑
> 認めるというのは慣れるまで難しそうだけど、褒めるよりももっといいかかわりができそうですね。
> 意識してやってみようと思います。
うんうん、前に記事にした自己肯定感を高めることにもなるから、普段から取り入れていくとこどもの意欲が目に見えて変わってくるよ。
houkisouさん
>とても難しいことですけど、これをいつも頭の片隅に置いておきたいです。
一見ね難しいようだけど、実はそんなに難しいことじゃないんですよ。
「おうむがえし」ってあるでしょ。
聞いた言葉をそのまま繰り返すやつ。
あれみたいなものでね。
見たもの聞いたことを、そのまま繰り返して伝えるようなことなのね。
(もし伝えるべきことがあるなら、そのあとに言ってもいいわけだし。)
このことって実はこどものに良いっていう以前に、普通の大人が「出来たところ」を見ないで
「出来ないところ」ばかりみてしまうっていう視点の変更なんだよね。
たったそれだけのことなんだけど、結果としてこどもは大きく変われるのだよね~。
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認める事、すごく大切ですね。認めてあげる、褒める事、私はあまり出来ていないかもしれません。もう少し意識して認めてあげなければ、と反省しております。娘は私以上に大人なので、つい大人のような扱いをしてしまいがちですが、やはりまだ幼い子供。体全部を使って抱きついてきます。もっと愛情を持って抱き締めてあげなければと思います。緘黙の方は相変わらずですが、最近ではお友達も増え、自分から先生の肩をトントンと叩いたりしたそうです。お迎えに行くと先生の近くにいる事も多くニコニコしています。クラスのお友達に「なんでお話できないの?」と質問される事もありますが、本人は知らん顔。「気にしてないよ」と言っておりますが本当はとても気にしていると思います。
コメントと言うより、報告になってしまい申し訳ありません。いつも子供達の声を代弁して下さり、ありがとうございます。本当に勉強になります。