丹波市講演を終えて - 2016.11.12 Sat
当初100名程度との講演規模とのことでしたが、多くの方のご応募をいただいて160名を超える講演となりました。
「狭くなってしまって申し訳ありません」と会場の方からは言われましたが、なんのなんの僕はそれくらい近い距離でお話しできるところの方が、不思議と伝えたい言葉がなめらかに出てきます。
よく音楽の世界なんかでも「ライブ感が」、なんて言いますが講演でも不思議とその場の雰囲気とかで、同じ言葉を話しても伝わる感じとか手応えとかが変わってきます。
今回も事前にアンケートを取っていただいていたので、それを踏まえてのお話をいたしました。
なんとなく自然が豊かでのんびりしているところだと、子育てもすんなりいくのではないかなんて気がしてしまいますが、実際はそんなことはありません。
地域によって傾向の違いといったことはあるものの、やはりその人その人そこここでの悩みや難しさを感じながら子育てに向き合っています。
講演では、子育ての根っこを明らかにすることで、子育てを無理なくシンプルなものに変えていく『子育てのたったひとつの大切なこと』をメインにお伝えしました。
また、それをどうしたら子育てするその人その人が自分なりに少しでも試してみることができるのかも一緒にお伝えします。
その具体的なお話ができることが、僕の強みなのだと思っています。
(プロ向けのお話だとそれの逆をできることも強みになっています。子供への関わり方や姿勢を理念と結びつけて取り出すことで、より意識的に取り組めるようにできる点)
僕は「○○が大事ですよ」でお話を終えてしまったら、それは僕の仕事ではないと考えています。
子育ての現場で見てきた、研鑽を積んできたことに立脚点があるので、「じゃあ、それをするにはどうすればいいの?」の問いの答えも一緒にお伝えすることを目指しています。
もちろん、それはいろんな人に対して伝える上で常にその人にぴったりというわけでもないのですが、極力ヒントくらいにはなるようなものにはしたいと思っています。
今回は、講演後1時間半ほど皆さんで車座になって、お時間のある方希望される方には子育ての相談もお受けしてきました。
周りの人がどんなことで悩んでいるか、私と同じことを悩んでいる人がいるといったことを感じることも、子育てをラクにしてくれるものです。
そういった場はあるようでありません。
そしてそれは、家族など身近過ぎる人と話すこととはまたちがった面があります。
また、そういうところに加わりたくても、子育ての悩みの深い人ほど入ることをためらってしまいます。
自分がうまくいっていないように感じているので、自分を責める気持ちが心のどこかにできてしまい、それを表現することがいたたまれない気持ちになってしまうのですね。
でも、そういう人ほどそれを出せる場が必要なのだと思います。
僕は一般論として子育てのことをいろいろ書いていますから、人によっては僕は「子育てはこうありなさい!」と求めているのだと感じたり、解釈してしまう人もいるかもしれません。
しかし、僕は子育ての正解がひとつでないことは重々承知してしますから、「こうしなさい、それができなければダメですよ」という気持ちはまったく持っていません。
よしんば「つい子供に手が出てしまうんです」と言われたとしても、それを責めることは一切ありません。
一般論と個別論は違います。
その人の立場で、どうすればいい方向へ持って行けるかを一緒に考えていきたいと思っています。
今回の講演や育児相談を通して強く感じたのは、
子育てをめいっぱい頑張っているところに、「もっと頑張りなさい」と言われてしまっている人や、言われているような気がして子育てが辛くなってしまう人がたくさんいるのだということです。
「頑張りなさい。もっと頑張りなさい」
子育てに限らず、この「頑張れ頑張れ」は日本の文化のような気がします。
すでにめいっぱい頑張っているのに「もっと頑張れ」って言われると、そこから上手くできる人はほんの一部です。
実のところほとんどの人は、それをされるとかえって上手くいかないのですね。
僕は人間の本質には「弱さ」というものがあると考えています。
講演でも少しだけお伝えしましたが、人は赤ん坊というか弱い存在として生まれ、「老い」という弱さに向かって進んでいきます。
その弱さを「ああ、そうなんだ」とありのまま一旦受け止めること。
それはあまりに何気ないことなので、多くの人は見過ごしてしまう点です。
しかし、そこにこそ大きな意味があります。
まず子育てする人自身をありのままに受け止める人がいなくては、その子育てする人がその子供のありのままの姿を受け止めてあげることはできません。
このことを改めて重要と感じる経験となりました。
短い滞在ではありましたが、丹波は素敵なところでした。
それについてもまた別のときにでもお伝えしたいと思います。
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● COMMENT ●
教えてください!
参考に・・
おとーちゃんさんの講演会は2度参加しましたが、どちらも子供も一緒にわいわい参加する感じでした。お子さんと二人の方、すごく多かったですよ。今回の雰囲気はわかりませんが、おもちゃスペースが用意されているようですし、ご自分で子供の様子を見て、迷惑がかかりそうでしたら退席する判断をされてもよいのではと思います。(うるさくても、かまいませんよーっと言っていただいて、2回とも退席者はいませんでした。)
まったく別の講習会に参加したこともありますが、子供連れ可の子供に関する講習会・講演会であれば、遊びスペースや自席を移動したり、多少の粗相などは大抵許容されると思います。
参加したことのある私としては、せっかくのチャンスですから逃さないほうがよいのでは・・と思います。
ありがとうございます
予約の際に聞いたのですが返事はなくて…。
ホームページでは膝の上で座らせるか同伴者の方に見てもらって下さいという感じでして、大丈夫かなと思ったのです。
今回の会場が親子カフェでおもちゃスペースがあるので、息子を遊ばせながら少しだけでもおとーちゃんさんの話を聞けたらと思います。
雰囲気などを教えてくださってありがとうございました。頑張って?参加してみます。
RayRayさんへ
膝の上にずっと座ってるのも難しいだろうし、同伴者がいた方がいいのかとやはり不安でしたが、そのまま参加することにしました。同じような方がいて心強いです。
あまりどうしようもなければ、最悪外に出ればいいかなと…
お互い実りある時間になるといいですね!
ありがとうございました。
いろいろ質問も考えて行ったのですが、お話しの中に答えがあり、結局、何も聞かずに帰ってきてしまいました。
本にサインをいただけるとのことでしたのに、持っていなかった事が悔やまれます。
子育ての悩みにももちろんですが、日々お客様と接する仕事をする中で、受容と共感の大切さを感じています。
昨日はとても忙しく、焦って対応した結果あれこれミスしてしまい、さすがに歌わないにしても、リラックスというか平常心が大切と感じました。
仕事に家事に追われる毎日ですが、子供たちの成長を「見守る」余裕ができたのは、おとーちゃんのおかげです。今まで、親として何とか「あるべき姿」を作ろうとして、怒ってばかりいた事が悔やまれます。
認める関わり、本当に楽だし楽しいです。宿題に涙する小1、選挙の投票所で笑いを取る4歳、成長期真っ盛りの2歳、それぞれ悩みはあるし怒鳴りつけることもしばしばですが、おとーちゃんの教えをもとに頑張っていきます!
本当にありがとうございました。
ところで講演会とは全く関係ないのですが、秋の丹波のおいしいもの、楽しんでいただけたでしょうか?せっかく遠路はるばるお越しくださったのに、どうだったでしょう…?
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おとーちゃんさんのブログのファンで頻繁にじっくりと読んでいます。
講演会に参加されたことのある方に教えて頂きたいことがあります。多摩センターでの講演会を予約したのですが、やはり一歳九ヶ月の息子と二人で参加はきついですよね。やっとお話しが聞ける!と思い予約してしまいましたが、他の参加者の方に迷惑がかかるようならキャンセルするべきかと考えております。子どもと二人での参加の方は結構いらっしゃるのでしょうか?そして二人での参加はきついでしょうか?
もしご存知の方がいらしたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。