僕の講座には、現に勤めている施設のやり方が支配的でそれに対して「なにかおかしい」と感じる方が来ることも少なくない。
元々支配型の保育をしている施設が多いことに加え、近年の保育施設の急増にともない安易な支配の保育になっているところはさらに増えていると言える。
別にその人たちに「子供を支配してやろう」というつもりはなくとも、専門的な理解なしに保育をすると結局のところ支配の保育になるのが現実だ。
支配の保育は保育をする側にとっても負担。しかし、それ以外の方法を知らなければ、それを繰り返すしかなくなってしまう。
僕はこうした支配にならない保育の理念と実践を、保育士経験が浅い人と経験のある人両方に受けて欲しいと考えている。
実務経験が浅い内に支配の保育を身につけさせられてしまうと、それは容易にぬぐい去れなくなる。
そのまま年数を重ねて、それが自身の職務スキルになってしまうとそれを是正することはとても難しくなる。
経験ある人、それこそ支配でない保育ができる人には、周囲の人に伝えることができるようになってもらうために、保育スキルの言語化のプロセスとしてこの研修を受けてもらいたいと思う。
保育界は、仕事を伝えること、後進を育てることが下手だとはっきりと言える。
そのため本来専門性に裏打ちされていなければならない職務が、個人の人格や、個人のスキルに任せきりになってしまっている。これだと保育の質は下がりこそするが上がっていくことがない。
預けている保護者の側からすると、たまたまいい人に当たるかそうでないかになってしまう。それではとても保育士の専門性を社会的に認めてもらえることはないだろう。
さて、僕が支配でない保育を重視するのには、もう少し別の視点からの見方もある。
それは、現に大人になっている人で生きづらさを感じている人の背景には、この「支配」が大きく関わっているからだ。
幼少期から、過度な支配や自尊心を傷つける支配を受け続けていくと、その人も支配をせずにはいられないメンタルを持たされたり、自己肯定感の低下や自尊感情の低下、意欲の低下、人やものごとへの大きな怒りなどを持たされ、生きづらさに直面することが多くなってしまう。
僕は保育とは福祉のひとつだと考えているので、単に目の前の子供というだけでなく、その子そして家族の幸福という視点が大事だと思っている。
だからこそ、保育者自身がまず、支配を使わなくても子供と関われ、子供を育てられるということを理解、実践し、そうした支配による難しさ生きづらさを抱えてしまっている人も援助していくことが必要だと感じる。
子供を支配しない保育を実践できるようになると、保育は本当に楽しい仕事。また、その施設がそうしたスタンスを持てていると、そこの保育士たちは他者と適切に関われるスタンスを持てるようになるので職場環境も著しく良くなる。
保育施設における人間関係の難しさの話は山ほど聴く。そこには「支配」に無自覚な日本の保育のあり方が関わっているのではないかと思う。
今回のふたつの講座は早々に満員になってしまったために、参加できなかったという声をたくさんいただいた。
日程調整と会場の設定をして来年春に再度行う予定。
おそらく、またPeatixを使って募集をする予定なので、
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